No.217156

真恋姫無双~風の行くまま雲は流れて~第68話

第68話です

相変わらず誰のこと書いたらいいか迷う…キャラ多すぎ

2011-05-17 00:09:19 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:5721   閲覧ユーザー数:5133

はじめに

 

この作品はオリジナルキャラが主役の恋姫もどきな作品です

 

原作重視、歴史改変反対な方、ご注意ください

 

 

何故、彼女達は彼女達なんだろう

 

今更ながらに湧いて出た疑問

一刀は子供のようにえづく桂花の背をさすりながら考えていた

彼の知る三国志はいずれも屈強な強者が己が生を、己が主がその覇を示さんと立ち回る物語だ

そしていずれもその登場人物は男だ

勿論のこと女性に出番もあるがその中心にあるのは曹操を始めとした英傑

彼等が彼等であることは、歴史が証明している

 

ならば今

 

目の前で泣いている彼女は誰だ

 

荀イク

覇王曹操をその知謀で支え王佐の才と称された逸材

 

改めて彼女を見つめる

まるで違う

 

彼の腕の中で尚も泣き続ける彼女は

彼が知っている桂花という少女は

 

自信過剰で男嫌いで華琳に盲目なまでに心酔で自分の姿など見かけた時には罵詈雑言の嵐を呼び、何かとちょっかいを出してきて…そのくせすぐ泣く

 

一刀の目に映る彼女はそんな女の子

 

そんな女の子が自分が知る顔見知りの死に泣いている

 

先程に見た光景が脳裏に浮かぶ

この世界に来て既に幾度となく戦場を体感し幾度となく人の死に直前して来た

それでも尚、その事に慣れた気はしない

ましてや生首などと…

それが…自身の大切な人だなんて

 

どう接したものか判らない

そこに満点の回答など存在しないのかもしれない

 

「ごっ…ごめっ…ごめんなさい」

 

それが誰に向けられたものなのか

 

ふと自身の手に目がいく

 

赤い線が幾つも手の甲を走り、滲み出た赤い液体が空気に触れ乾燥している

 

この部屋に来るまでに彼女が彼につけた抵抗の跡

 

いやいやと首を振り声を枯らして泣き叫んだ傷痕

 

彼女が付けた

 

彼女が彼女である証

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」

 

知っている

 

それが先程に非業の対面を果たした彼へ向けられたものだと

 

こんな事なるなんて思わなかったの

あたしはただ悠がこれで救われると思ったの

 

また一緒に

 

昔みたいに

 

自分が捨ててしまったあの時を

 

また元通りに

 

枯れ腫らした声で懺悔を並べる彼女に

 

はらはらと涙を流す彼女が

 

何時かの自分…何時かの「彼女」の姿に重なる

 

一瞬

 

この場にあるまじき邪な思いすら浮かべてしまう

 

はたして自分が消えた時

 

彼女達は泣いてくれるのだろうかと

 

もしそうであるならば

 

自分は彼女達を泣かせてしまうのだろうかと

 

つくづくに想う

 

何故彼女達は…彼女達なのだろう

 

あるいは彼女達が歴史に知る彼等であったならば

自分は今こんなにも苦しんでいるのだろうか

 

 

自惚れと嘲笑されようとも、例え傲慢と罵倒されようとも

 

自身の想いが自身に否定されることはなく

 

つまりのところ

 

愛おしいのだ

 

外史というイレギュラーな世界の…正史から外れた登場人物が

 

彼女達が

 

目の前で泣く

 

この少女が

 

 

 

不意に慌ただしくなった扉の向こうの気配に、桂花の唇へと伸ばしかけたその手が止まる

 

一刀が振り向くと同時に扉が開き

 

ブッ…

 

赤い水しぶきが舞った

 

「はい稟ちゃん…トントンしますね~」

 

フガフガと鼻を摘む稟の後ろに立った風と目が合う

普段から眠たげに感情が読み取れないその瞳に

 

なにか

 

とても残念そうなモノを見たかのような色が

 

というか確実に「そういう」目で見られてる

 

「ご心配なくなのですよ~」

 

稟をさすりながら首を傾げて語りかける風の姿に何がと聞かずにはいられない

 

「風は華琳様と違って焼き餅焼きさんではないのでお兄さんが何処でニャンニャンしてても咎めないのですよ~…」

「………」

「例え今が戦場にあっても」

 

刺さった

刺さったよ今

お兄さんの心にグサリと刺さったよ

 

「…つまり北郷殿は友人の死に心落とす桂花を己が欲情のままになぶり、泣き叫ぶ彼女の裸体を舐めまわし、いきり立った邪な肉棒を…ブフォ!」

「勝手なこと言って自爆すんな!つうか何時桂花が裸なったんだ!」

 

指差す二人に振り向けば当の桂花は寝台に潜り込み手足を引っ込めた亀のように丸まっていた

 

「あの~桂花さん?」

「私に話しかけないで獣!」

「………」

 

布団の中からのくぐもった声にげんなりした様子で肩を落とす

 

その肩を

 

ポンと叩くは少女の頭に乗った謎の物体X

その下でペロリと飴を一舐めした風がやはり眠たげな瞳を一刀に向け

 

「風は知っているのですよ…お兄さんのこと」

 

まるで全てを見透かしたかのような瞳

 

ゴクリと一刀の喉が鳴り終えるの見届けた後

 

「その昔に文献に読んだことがあるのですよ~、生殖機能を持つ生き物は自身が生命に危険を感じた時、種を残さんとある種の生存本能が働き無意識に発射体制に入ると。此処は戦場ですからねぇ…お兄さんの意志とは別にニャンニャンしたくなるのも生物として仕方のない事なのですよ~…と、華琳様には報告しておきます」

「うんやめて♪殺されるから」

 

「つまり北郷殿は戦場に生命の危機を無意識に察知し、己の意志も無関係に暴走しその乱暴な肉棒が…ブフゥ!」

「あああああ!面倒くせぇえ!!」

 

ガシガシと両手で頭をグシャグシャに掻く一刀

 

「とまあこんな所で許してあげましょうか」

「フガフガ…」

 

嘘付け

稟の奴明らかに貧血起こしかけてるじゃねぇか

 

壁にもたれ掛かり足どりが危うい軍師殿の姿に盛大なため息が出る

ふと手を見やれば大量の抜け毛

 

(禿げる…今日を境に間違いなく俺は禿げる)

 

深く

深く

ため息を吐く

 

「で、何があったのさ」

 

抜けた毛を愛おしそうに数える一刀をよそに、それまでにやけていた風と稟の表情が一転し

 

「敵がまた攻めてきました」

「華琳様がお兄さんをお呼びなのですよう」

 

『敵』という単語に一刀が首を傾げた

 

「だって総大将の袁紹を捕らえただろう?」

 

一刀の疑問に二人は顔を見合わせた後

 

「逃げられてしまいました~」

「現在、張の旗を先頭に此方へ進軍中…逢紀が対処に当たっています」

 

ピクリ

 

寝台の上の桂花が反応するも三人は気付かない

 

「皆さんに召集がかかったのですよ」

「桂花…あなた」

「此処にいろ」

 

何か言いたげな二人の視線に一刀が首を振る

 

もう十分だと

 

これ以上

 

袁家の事で彼女が傷つくことはないと

 

「お兄さんは…臭いモノに蓋をという言葉を知っていますか」

 

風にしては珍しくキツい…桂花には聞こえない程度の呟きにも

 

「見るものと真実だけが正しい訳じゃない…もう…いいだろう」

 

今日のお兄さんはやけに甘々なのですよ~

 

一刀を見る目は

 

やけに寂しげだった

 

 

パタリと扉が閉まった音を確認して

 

もぞもぞと亀が頭を出した

 

此処にいろ

 

そうなの?

 

此処にいろ

 

それでいいの?

 

此処にいろ

 

アイツが来たのに?

 

此処にいろ

 

アイツが攻めて来たのに?

 

此処にいろ

 

アイツが怒ってるのに?

 

此処にいろ

 

アイツの側に悠がいないのに?

 

此処にいろ

 

 

 

 

 

アイツが

 

 

 

 

泣いているのに?

 

 

 

あとがき

 

ここまでお読みいただき有難う御座います

 

ねこじゃらしです

 

 

いや~

 

暑い

 

暦の上では夏なんだそうですね

 

なに勝手に終わってるんだ春!

 

いやいやビールが美味しい季節がやってきましたよ奥さん!

 

ま、年中飲んでるけどさ

 

さてさて

 

なんでかギャグっぽくなっちゃったね今回

 

ホント何でだろ?

 

あと昨日部屋の大掃除してたんですけど…

 

誰か俺の充電器どこいったか知りませんかああああぁあぁ!?

 

 

それでは次回の講釈で


 
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