No.213312

真・恋姫無双アナザーストーリー 蜀√ 桜咲く時季に 第06話

葉月さん

第六話アップします。
なんとか一週間投稿を守ってるかな?この先はどうなるかわかりませんが;;

諸葛亮、璃々を助けて一刀一行。
そんな一行はしばしの休憩とともに会話に話を咲かせていた。

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2011-04-24 22:49:44 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:12412   閲覧ユーザー数:8249

真・恋姫無双 ifストーリー

蜀√ 桜咲く時季に 第06話

 

 

 

 

【ヤキモチ愛紗と鈍感一刀】

 

「いてて……まだ頬がヒリヒリする」

 

「あ、あの大丈夫ですか?」

 

「ああ、大丈夫だよ。ごめんね。えっと孔明ちゃん」

 

「はわわっ!そ、そんなことないでしゅ」

 

頬を擦りながら孔明ちゃんに微笑みかけると何故か慌てて帽子で顔を隠されてしまった。

 

「んんっ!して、諸葛亮殿と鳳統殿はこれからどうするのだ?」

 

「ひぅ!」

 

「ほ、ほら愛紗。そんなに睨みつけたら怖がっちゃうだろ」

 

「う゛……別に睨みつけてはいないのですが……そんなに私は怖いのだろうか」

 

愛紗の睨みに二人とも怯えちゃったよ。まあ、確かに愛紗に睨まれると怖いよな。

 

愛紗も落ち込んじゃったし後で慰めないとな。

 

「ごめんな?それで孔明ちゃんたちは何処に行くつもりだったのかな?良ければ途中まで送るけど」

 

俺は出来るだけ優しく微笑みながら孔明ちゃんに聞いてみた。

 

「はわわ、あ、あの実はですね、幽州に居る公孫賛様の所に行こうとしていたのですが目的を達成しちゃいました」

 

「しちゃいました」

 

「?どういうこと?」

 

意味がわからず首を傾げていると、孔明ちゃんがとんでもない事を言い出してきた。

 

「あ、あの!私たちを配下に入れてくだしゃい!あぅ噛んじゃった」

 

「え?……えぇぇええっ!?」

 

「な!このような子供を配下にだと!?」

 

「え……」

 

俺は愛紗の言葉に思わず鈴々を見てしまった。

 

「なんでお兄ちゃんは鈴々見るのだ!」

 

いや、だってどう見ても……

 

「……子供だろ?」

 

「むー!鈴々は子供じゃないのだ!」

 

「鈴々は武に長けています。ですがこの二人は……」

 

その言葉を聞いて見る見るうちに元気を無くす二人。

 

愛紗の言ってることは最もだけど、もしこの子達があの伏龍鳳雛だったら……

 

「いや、この二人は俺たちに負けないものを持っているよ」

 

「そうなのご主人様?」

 

「ああ、今後の俺達には必要になってくる人材だよ。そうだろ孔明ちゃん?」

 

「は、はひっ!」

 

「ひゃい!」

 

二人揃ってびくんと肩を震わせて返事をする。

 

「ふ~ん。ご主人様がそう言うならきっとそうなんだろうね。私は仲間が増えるなら大歓迎だよ!」

 

「と、桃香さま!?」

 

「鈴々も大歓迎なのだ」

 

「鈴々もか!?」

 

「愛紗はなんでいやなのだ?」

 

「うっ……そ、それは……これではまた好敵手が……ブツブツ」

 

愛紗はなぜか頬を赤くして何かブツブツと言っていた。

 

「確かにこれから先は軍師も必要だよね。そう思わない愛紗ちゃん」

 

「た、確かにそうですが……はぁ、わかりました。私だけが駄々をこねても仕方の無いことですからね」

 

「「それじゃー!」」

 

二人の顔がパーッと明るくなる。

 

「これからよろしくね!私は劉備、字は玄徳。真名は桃香だよ!」

 

「我が名は関羽、字は雲長。真名は愛紗だ。ご主人様と桃香さまをお守りする為にその力を存分に発揮してくれ」

 

「鈴々は張飛、字は翼徳。真名は鈴々!鈴々も真名で呼ぶのだ!」

 

「はわわ!私は諸葛亮。字は孔明。真名は朱里っていいましゅ!」

 

「あわわ、名は鳳統、字は士元。真名は雛里でしゅ、あぅ」

 

「これからよろしくね、朱里に雛里。俺のことは好きに呼んでもらって良いよ」

 

俺は微笑みながら二人の頭に手を載せて撫でた。

 

「はわわー」

 

「あわわー」

 

う~ん。すごい小動物的な行動が可愛らしいなついつい頭を撫でたくなるぞ。

 

「あー!朱里ちゃんと雛里ちゃんだけ、ずるーい私も私もー」

 

「鈴々もなのだー」

 

「いいなー璃々もお兄ちゃんに撫でてもらいたい!いいよねお母さん!」

 

「あらあら、よほど北郷さんが気に入ったのね」

 

「うん!」

 

一斉に俺に群がる三人にどうする事もできずただただ揉みくちゃにされる。

 

「ちょ!わ、わかったから!な、撫でる!撫でるから落ち着いてくれ!」

 

うっ!俺の背中にとても柔らかいものが……ま、まさかこれって!

 

「ねぇねぇご主人様。早く撫でて~♪」

 

「わ、わかったから!背中から抱きつかれたら撫でられないだろ!?」

 

「は~い♪」

 

「でも、まずは璃々ちゃんからね」

 

「え~!」

 

「桃香はお姉さんなんだろ?だったら我慢しないとな」

 

「ぶー。その代りいっぱい撫でてね」

 

「はいはい。それじゃ璃々ちゃんからだね」

 

(なでなで)

 

「えへへ~♪お兄ちゃんの手、おっきくてくすぐったい!」

 

「次は鈴々だ」

 

(なでなで)

 

「にゃはは。くすぐったいのだ♪」

 

「次は……」

 

「わくわく♪」

 

声に出すほど待ちどうしかったのか?

 

俺は苦笑いを浮かべながらも桃香の頭を撫でてあげた。

 

(なでなで)

 

「えへへ♪やっぱりご主人様に頭撫でられるのって好きだな♪」

 

「……」

 

そんなやり取りを見ている人物が居た。

 

「うふふ、愛紗ちゃんは行かないのですか?」

 

「わ、私は別に撫でて貰おうとは……それに、桃香さまのように美しく、鈴々や璃々のように可愛くないのでな……」

 

「あらあら、そんな事ないとおもうわよ?」

 

(恋に臆病なのか接し方が判らないのかこのままではいつか爆発してしまうのではないかしら……)

 

「ほ~ら!愛紗ちゃんそんな所で何してるの?愛紗ちゃんもご主人様に撫でてもらおうよ!」

 

「うぇ!?桃香さま!そ、そんな引っ張らないでください!私は結構ですから!」

 

「遠慮なんてしちゃだめだよ!ほらほら~」

 

「あらあら、大丈夫みたいですわね。ですが、あのままと言う訳にも行かないでしょうね」

 

その時の俺は紫苑が愛紗の心配をしていることは知らなかった。

 

「ご主人様~!愛紗ちゃんも褒めてあげて!」

 

「ああ、そうだな。今回は愛紗のおかげで朱里と璃々ちゃんを救う事が出来たんだもんな」

 

「そ、そんな!そのお言葉だけで私は十分です」

 

「だ~め♪ほらほら愛紗ちゃんも何かお願いしなきゃ」

 

「なんでもいいぞ?」

 

「うっ……そ、それではお言葉に甘えて……」

 

さて、愛紗はなんて言って来るのかな?まあ、愛紗のことだから無茶な事は言わないとは思うんだけど。

 

「そ、それではその……あ」

 

「あ?」

 

「あた、あた、頭をな、なな」

 

頭をなんだ?

 

「頭を殴らせてください!」

 

「……へ?」

 

「「え?」」

 

「にゃ?」

 

え……な、なんで殴られるんだ?

 

「あ、あの愛紗?」

 

「なんですか!」

 

「な、なんで殴られるのかな~って理由を聞きたいんだけど」

 

「そ、そんな事は決まっています!私の忠告を無視して助けに行くなど!」

 

「いや、あれは緊急事態だったし」

 

「いいえ!それでもご主人様はそのような場所に行ってはなりません!そうです、ご主人様はいつも危ない事を……ブツブツ」

 

「と、とにかく殴るのはなし!それ以外で何かないのかな?」

 

なんだかそのうちに『斬らせてください』と言わんばかりだから早々に却下した。

 

「そ、それ以外ですか?むむ……そ、それで「私を撫でてください!」なっ?!」

 

「え、それでいいの?」

 

「い、いえ。わ「それで構いません!」はぅ!?」

 

ん?なんだか桃香っぽい声だけどそんなに恥ずかしい事じゃないよな?桃香たちも撫でてるんだから。

 

「と、桃香さまなんて事を!」

 

「えへへ。ほら、いいからいいいから」

 

「?何もめてるんだ?」

 

「あははー。なんでもないよ!ささ、ご主人様。愛紗ちゃんを撫で撫でしてあげてください!」

 

「あ、いや!ちょ!ま、待ってっ!」

 

「うん、愛紗もご苦労様」

 

(なでなで)

 

「~~~~っ!?!?!?……い」

 

「え?」

 

「いや~~~~~~っ!!!」

 

「ぐふっ!」

 

「へ?ああっ!ご、ご主人様!」

 

我に返った愛紗は俺の鳩尾に入れた拳を慌てて離してくれたがとき既に遅し。

 

「い、いい拳だ。あい、しゃ……」

 

「ご主人様、しっかりしてください。ご主人様~~~~~っ!!」

 

愛紗の必死に呼びかける声を聞きながら俺は意識を手放した。

 

「合わせる顔も有りません」

 

「もう気にしてないから」

 

「あ、愛紗ちゃん。ごめんね!私もちょっとやりすぎちゃったよね」

 

あ、あれでちょっとですか?常人ならまず全治何ヶ月って状態だぞ。あのパンチは……

 

「いいえ。桃香さまが良かれと思ってしてくださったこと。ですが私は……はぁ~」

 

「えっと、えっと……どうしようご主人様?」

 

「お、俺に振るのか!?そ、そうだ!こんな時の軍師!」

 

「はわわっ!こんな時の軍師じゃありませんよぉ!」

 

「あわわ。ご主人様ずるいです」

 

「ぐっ!た、確かに……あ、ここは経験豊かな紫苑に」

 

「あらあら、経験豊かという事はそれだけ歳をとっているからという事でしょうか北郷さん?」

 

「え?そういう意味では。それに紫苑はまだまだ若くてお綺麗だと俺は思いますよ」

 

「あらあら。それは嬉しい事を言ってくださいますね♪」

 

いや。そう言っとかないと命に関わるような気がしただけなんだけどね。

 

「何か言いましたか?」

 

「いいえ。何も。それで何かありませんか?」

 

「言っても構いませんがここはやはり。愛紗ちゃんの主である北郷さんが励ましてあげた方がよろしいと思いますわ」

 

「仲良くしなきゃ、めっ!だよ?」

 

「ああ、そうだね。ありがとう璃々ちゃん」

 

お礼を兼ねて璃々ちゃんの頭を撫でてあげるとくすぐったそうに首をすぼめた。うん。癒されるな~。

 

さて。どうやって落ち込んでいる愛紗を元気つけるかな……

 

変な気遣いはきっと逆効果になるだろうし……そうだ。

 

「よし。愛紗」

 

「なんでしょうか。ご主人様」

 

「俺と手合わせをしよう」

 

「……は?」

 

「え。ご主人様?」

 

「にゃにゃ!?」

 

俺の言葉に愛紗は目を丸くし、桃香と鈴々も驚きの声を上げた。

 

「あ、あの。ご主人様?なぜ手合わせなのでしょうか?」

 

「ん?愛紗と手合わせしてみたいなって前々から思ってたからさ」

 

「それは判りましたがなぜ今、なのですか?」

 

「ん~。褒美?」

 

「ぎ、疑問系で言われましても」

 

「まあ。良いじゃないか!愛紗だって俺と手合わせしてみたいって前に言ってただろ?」

 

「お、覚えていてくださったのですか?」

 

「当たり前だろ?」

 

「……嬉しいです」

 

「ん?何か言ったか?」

 

「っ!い、いえ!なにも!」

 

「あ、でもそれじゃ褒美にならないのか?どちらかというと俺への褒美になっちゃうのかな?

 

「あ……で、でし「愛紗だけずるいのだ!鈴々とも勝負するのだ!」鈴々!?」

 

愛紗が何かを言おうとしていたが鈴々がその声を遮るかのように叫び出てきた。

 

「おっ!いいぞ。鈴々とも相手になるぞ」

 

「やったのだ~!絶対お兄ちゃんには負けないのだ!」

 

「い、いや。話を勝手に進められては」

 

「まあまあ、いいじゃない愛紗ちゃん。ご主人様がそう言ってるんだから。ね?」

 

「桃香さま……はぁ、元はと言えば桃香さまが」

 

「あは、あはははは……ごめんなさい」

 

「もう良いです。桃香さまのそういう所は諦めていますから」

 

「あ~ん!愛紗ちゃん、見捨てないで~」

 

「……」

 

なんだかんだと仲のいい二人だよな。

 

「とても賑やかですわね」

 

二人を見ていると横に紫苑が立ち話しかけてきた。

 

「ええ。毎日が楽しいですよ。それに、こんな得体の知れない俺を主と仰ぎ付いて来てくれるんですから」

 

「お優しい目をなさっていますね」

 

「え、そうですか?」

 

「はい。とても大事なものを見る目をしています」

 

「ははは、なんだか恥ずかしいな」

 

「あっ!ご主人様?紫苑さんと何はなしてるんですか」

 

桃香が紫苑と話しているのに気が付き、少し頬を膨らませてこちらにやってきた。

 

「なんでもないよ。ちょっとした世間話だよ」

 

さっき話していたことを話すもの恥ずかしいから適当に誤魔化した。つもりだったんだけど……

 

「ふふふ。北郷さんはお二人の事をとても大事に思っているという話をしていたのですよ」

 

「「……え?」」

 

「ちょ!し、紫苑!」

 

ああ!恥ずかしいから言わなかったのに!

 

「あ、あのご主人様。紫苑さんが言った事って……」

 

「えっと。その……まあ、うん。ホント、かな」

 

「~~~っ」

 

穴があったら入りたいとはまさにこのことだ。恨みます紫苑。

 

「鈴々は!鈴々も大事なのか!?」

 

「あ、ああ。鈴々も大事だぞ」

 

「はわわ。私達はその中に入ってないのかな雛里ちゃん」

 

「ど、どうだろ。入ってると良いね」

 

「もちろん入ってるに決まってるだろ?朱里も雛里も俺たちの大事な仲間なんだからな」

 

「はわわ」

 

「あわわ」

 

「ふふふ。羨ましいですね。私ももう少し若ければ。北郷さんのお仲間に入りたかったですわ」

 

「何言ってるんですか。大歓迎ですよ。それに年齢なんかで差別なんてしませんよ。その前にまだまだ紫苑は若くて綺麗なんですから」

 

「あ、あらあら。恥ずかしいわね。ふふふ♪」

 

「あ、あのご主人様?お話がそれているような気がするのですが?」

 

「あ、ああ。そう言えば、う~ん。手合わせじゃ俺への褒美になりかねないしな~。何が良いかな」

 

「で、では手合わせではなく、お暇なときに稽古をして頂く、というのは如何でしょうか?……勿論!お嫌でなければですが……」

 

「嫌なもんか。よし!なら褒美は、時間が付くときは一緒に稽古しよう」

 

「はい!ありがとうございます。ご主人様」

 

愛紗は嬉しかったのか微笑みながら返事をしてくれた。

 

「鈴々もなのだ!」

 

「了解」

 

「いいな~二人とも。あっ!それなら私、見学したいな!」

 

「いや。見学って……」

 

「えー私だけ退け者はいやだよ~」

 

「嫌って言われても……っ!?」

 

「ねえ、良いでしょご主人様?」

 

桃香は俺の腕を取りそのたわわに実った二つの膨らみを押し付けてきた。

 

「ちょ!桃香当たってる当たってから!」

 

「え?きゃっ!ご主人様の助平~っ!」

 

「理不尽な!?」

 

「ぶ~!」

 

頬を膨らませて不満そうな顔をする桃香になんなく折れる俺だった。

 

「はぁ、わかったよ。でも、手合わせ中は離れてみてるんだぞ?」

 

「えへへ~。やったね!」

 

「うふふ、羨ましいですわ。私も見てみたいものですが残念ながら行く方向が違うので見る事が出来ませんわね」

 

「あ、そっかー。白蓮ちゃんの居る幽州と益州とじゃ行く方向が違うもんね」

 

「ええ。名残惜しいですが……」

 

「そうですね。でもまた逢えますよ」

 

「ふふ。それは口説いておいでなのですか?」

 

「ええ!?」

 

「ふふ。冗談ですわ。でも、わたくしもまた逢えるような気がします。璃々そろそろ行くわよ」

 

「はーい、それじゃあね、お兄ちゃん!……ちゅ」

 

「な!璃々ちゃん!?」

 

「えへへー♪」

 

璃々ちゃんは俺の頬にキスをすると照れながら紫苑の元へと駆けて行ってしまった。

 

「あらあら、璃々ったら北郷さんに口付けをするなんて」

 

「えへへ。お兄ちゃんが助けてくれたからお礼だよ!」

 

璃々ちゃんは無垢な笑みを見せていた。

 

「ぐっ、これでは怒るに怒れんではないか」

 

「にゃー、璃々が羨ましいのだ、お兄ちゃん!鈴々ともするのだ!」

 

「うええ!?ち、ちょっと鈴々さん!?」

 

俺はうろたえながら後ずさった。そこにさらなる最大の火種が襲い掛かってきた。

 

「えー、鈴々ちゃんったらずるーい!私もご主人様と口付けしたーい!」

 

「なあ!?ふ、二人とも落ち着こうよ!璃々ちゃんはまだ子供なんだよ!」

 

「璃々、子供じゃないもん!」

 

「だそうだよ、ご主人様」

 

「し、朱里も雛里も見てないで助けてくれ!」

 

「はわわ」

 

「あわわ」

 

二人は顔を真っ赤にしてオロオロしていた。

 

「……」

 

そこへ愛紗が無言で俺の目の前に姿を現した。

 

「あ、愛紗!たすけて、く……れ……あ、あの愛紗?あ、あれ?みんな?」

 

いつの間にか鈴々と桃香は俺から離れ二人抱き合って震えていた。

 

「あ、愛紗が怖いのだ」

 

「ひーん、愛紗ちゃんが怒ってるよー」

 

「……ご主人様」

 

鈴々と桃香のキス攻撃からは逃げられたが更なる恐怖が目の前にあった。

 

「ご主人様……なんたる破廉恥な」

 

「い、いや、別に俺が頼んだわけでは……」

 

「さらに、璃々のような幼子にまで手を出すとは……ご覚悟は出来ておいででしょうか、ご主人様?」

 

「あ、あはははは……出きれば、お手柔らかにお願いしたいかな?」

 

「ふ、ふふふふふ、それは無理な相談ですね……ご覚悟を!」

 

「さー、璃々。こちらを向いて目を瞑って耳を塞ぎましょうねー?」

 

「?うん!」

 

紫苑は璃々ちゃんに見せてはいけないものを見せないように目と瞑らせ耳を塞がせていた。

 

『さ、さすが母親!でも紫苑。璃々ちゃんが口付けをする前に止めていただけるとこんな事にはならなかったと思うんですが』

 

『ふふふ。未来の旦那様かもしれないのに止めるはずなんて無いですわ。おほほほほ』

 

『母親は強し……』

 

俺と紫苑は今のやり取りをアイコンタクトで一瞬のうちに行った。

 

そして、拳を振り上げる愛紗を見ながら俺は思った……母親は偉大だ、と。

 

(ボコッ!バキッ!バコーーーーンッ!!)

 

「ぎゃーーーーーーーーーー!」

 

その後、俺の断末魔が森一帯に響き渡ったのは言うまでもない。

 

《朱里視点》

 

「いつつ……」

 

ご主人様は頬を擦りながら歩き。愛紗さんはジト目でご主人様を見ていました。はわわ、愛紗さんとても怖いです。

 

「……」

 

「あ、あははは、ほら愛紗ちゃん!もう直ぐでつくよ」

 

「そのようですね……」

 

桃香さまはなんとか場を盛り上げようとしていましたが愛紗さんに素っ気無く返されていました。

 

「あぅ……ご主人様大丈夫?」

 

「ああ、大丈夫だよ。だからそんな泣きそうな顔しなくてもいいぞ桃香」

 

「う、うん。でも、ごめんなさいご主人様」

 

別に桃香さまが悪いわけでもないのですが、きっと愛紗さんのご主人様に対する態度で心を痛められたのでしょう。お優しい方だということはそれだけでわかります。

 

「……どうせ、私は怪力女ですよ……はぁ」

 

「やはりご主人様には桃香様のようなお優しく美しいお人がいいのだろうな、私のような無骨者ではなく……」

 

人知れず小さな声で呟きながら溜め息を付く愛紗さん。でも、それにまったく気づかずに歩くご主人様を見て私は一つ愛紗さんに聞いてみたいことが出来ました。

 

「あ、あの愛紗さん。お聞きしたい事があるのですがいいでしょうか?」

 

「ん?ああ、どうした朱里よ」

 

「ご主人様とはどのようにして出会ったのですか?」

 

「どのようにして、と言われてもな……流星が落ちたところに行ってみれば黄色い頭巾を被った三人組に絡まれていたのを助けたのがご主人様だったと言うだけなんだが」

 

「はわわ、やっぱり流星に乗ってきたのかな雛里ちゃん」

 

「そうだったら凄いね朱里ちゃん」

 

私の横で聞いていた雛里ちゃんも同じように頷いてくれた。

 

「みんなー!見えてきたよー」

 

桃香さまは後ろを向き私達を呼んできました。

 

「どうやら着いた様だな。朱里、雛里行くぞ」

 

「はい」

 

「……はい」

 

「まずはどうするんだ桃香」

 

「まずは白蓮ちゃん、公孫賛の所に行こうと思うの」

 

「わ、私たちもお供していいのでしょうか?」

 

「もちろんだよ!もう私たち仲間なんだから!ね、ご主人様」

 

「ああ、だからそんな畏まらなくてもいいんだよ」

 

「は、はい……」

 

「はぅ~」

 

「?」

 

きっとご主人様は私と雛里ちゃんを安心させる為に微笑んだんだと思います。

 

私はその笑顔が恥ずかしくて見ていられなくなり俯いて、雛里ちゃんは私の後ろに隠れて帽子を目深に被っていました。

 

「あははー……ご主人様の女っ垂らし」

 

「え?何か言ったか桃香?」

 

「ふーんだ、さぁ。行こう、愛紗ちゃん、鈴々ちゃん」

 

桃香さまはご主人様を無視して愛紗さんたちと歩き出してしまいました。はわわ……やっぱり桃香さまはご主人様の事をお慕いしているのでしょうか?

 

「……俺なにか悪い事したかな?」

 

「あ、あはは、ご主人様は少し鈍いところがおありだと思いますよ」

 

「……鈍いです」

 

「そ、そうかな?友達からは気が利くってよく言われてたんだけどな」

 

私はご主人様に聞こえないように雛里ちゃんと話し出しました。

 

「ご主人様って普段は察しがいいのにこういう時って鈍くなるみたいだね」

 

「それが、ご主人様のいいところなのかもしれないよ朱里ちゃん」

 

「ん?何話してるんだ?」

 

「はわわっ!な、なんでもないです!」

 

「です!」

 

「?」

 

「さ、さあ、ご主人様!早く桃香さまたちを追いかけましょう。見失ってしまいますよ」

 

「……(コクコク)」

 

首を傾げるご主人様を私と雛里ちゃんとで背中を押す。

 

「ああ、そうだな。よし二人とも逸れない様に手を繋いで行こうか」

 

「はわわ!」

 

「あわわ!」

 

なんとご主人様は私と雛里ちゃんの手を繋ぎ歩き出しちゃったのです!はわわ、はわわっ!ど、どうしよう雛里ちゃ、雛里ちゃん?

 

なんだか雛里ちゃんの様子がおかしい。ご主人様のお顔と繋いだ手を交互に見ていた。その直後……

 

「あ、あわわ、あわわわわ……ぷしゅー」

 

「ひ、雛里!?」

 

「雛里ちゃん!」

 

雛里ちゃんは頭から湯気を出して気を失っちゃいました。

 

「雛里は体調でも悪かったのか?朱里」

 

「いいえ、違うと思います……」

 

「そうか。ならいんだけど。ならなんで倒れたんだ?」

 

……どちらかと言うとご主人様が原因なんだと私は思いますよ。

 

「何か言ったか?」

 

「い、いいえ。何も言ってましぇん!」

 

「とにかく、みんなの所に行こう。雛里は……俺が抱いていくしかないか」

 

「はい」

 

いいな、雛里ちゃん。ご主人様に抱っこされて……っ!はわわ!わ、私はなんて事を考えているんでしゅか!?

 

慌てて考えていた事を振り払う。

 

後日、私は雛里ちゃんにそのことを話したら。また顔を真っ赤にしてのぼせちゃったのは別のお話です。

 

桃香さまたちに追いついた私たちでしたが、抱かかえられている雛里ちゃんを見て桃香さまの笑顔が引き攣っていました。

 

「ご主人様?雛里ちゃんに何をしたのかな?」

 

「……やはり私がご主人様を矯正させねば……」

 

「あ、あの二人とも?まずは、俺の話をだな……」

 

「問答!」

 

「無用!」

 

(バチーーン!)

 

桃香さまと愛紗さんの平手打ちがご主人様の頬を叩くととても痛そうな音があたりに響き渡りました。

 

はわわ……ご主人様、大丈夫でしょうか?

 

心配しながらも、自業自得だと思う私でした。

《To be continued...》

葉月「ども~!みんなのアイドル葉月で~す!」

 

愛紗「黙れ下衆が。それに貴様がアイドルだと!?片腹痛いわ!」

 

葉月「ひどっ!愛紗ひどっ!」

 

愛紗「ふん!それで、今回はどのような言い訳を聞かせてくれるのだ?」

 

葉月「ド直球ですね。あれですか?愛しの一刀さま~が綺麗な子にどんどん取られるから拗ねてるんですか?」

 

愛紗「なっ!べ、別に拗ねてなどいない!わ、私は……そ、そう!こんなにも早く紫苑とかを出していいのかと聞いているのだ!」

 

葉月「でも、紫苑はここで別れましたよ?」

 

愛紗「ぐっ!」

 

葉月「それに元々。公孫賛の所で朱里も雛里も仲間になってるんですから。少しくらい早くても問題ないのでは?」

 

愛紗「も、問題ありすぎだ~!これではご主人様と一緒に居る時間がっ!」

 

葉月「一緒に居る時間が、なんですか?」

 

愛紗「ぐぐぐっ!」

 

葉月「聞きたいな~。その続き♪一緒に居る時間がなんですか?」

 

愛紗「う、うるさいうるさい、うるさ~~~いっ!ええい!ここで貴様の首級を頂く!覚悟しろ!」

 

葉月「ちょ!理不尽な!ちょっとからかったくらいで」

 

愛紗「黙れっ!もう我慢の限界だ!そこに直れ葉月!」

 

葉月「そ、そんなことしていいんですか!」

 

愛紗「なにがだっ!」

 

葉月「次回は、愛紗と一刀の手合わせを書こうと思ったのに!」

 

愛紗「……なに?それは本当か?」

 

葉月「本当ですよ。それなのに殺されるんじゃ書けないですよね」

 

愛紗「いや。すまなか」

 

葉月「いや~。残念残念。これでこの話も打ち切りですかね~」

 

愛紗「だ、だからすまなかったと」

 

葉月「皆さん。悲しいお知らせがあります。これでこの話は……」

 

愛紗「わー!わー!わーーーーっ!!」

 

葉月「なんですか愛紗?今大事な話の真っ最中ですよ?」

 

愛紗「だ、だから悪かったといっているではないか!」

 

葉月「本当にそう思っていますか?」

 

愛紗「あ、ああ。すまなかったと思っている」

 

葉月「誠意が感じられませんね~」

 

愛紗「ぐっ!な、ならどうすればいいというのだ」

 

葉月「そうですね~。ここで皆さんにしっとり艶やかなものを見せてください」

 

愛紗「なっ?!」

 

葉月「あれ~?見せられないんですか?」

 

愛紗「み、見せられるわけ無いだろ!」

 

葉月「なぜですか?」

 

愛紗「な、あぜって……恥ずかしいではないか!」

 

葉月「恥ずかしいって、そんなに髪を見せるのが恥ずかしいんですか?」

 

愛紗「あたりま……あんだって?」

 

葉月「だから髪の毛を……あれ~?愛紗はどこと勘違いしたのですか?」

 

愛紗「~~っ!ど、何処でもない!髪だろ髪!」

 

葉月「ふ~ん」

 

愛紗「っ!やっぱり殺す!」

 

葉月「あははははっ!殺されるのは嫌なので逃げます!では皆さん!次回はさっきも言いましたが愛紗と一刀が手合わせする予定です。では、また次回お会いしましょぉぉぉぉ……」

 

愛紗「ま、まて~!今度と言う今度は許さんぞ!貴様の首!この関雲長が貰い受ける!」


 
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