No.211411

デートに向けて

tanakaさん

何作目かは忘れましたが優子さんシリーズです。
久しぶりなんで色々忘れてますね。
でも優子さんの可愛さは忘れてませんよ!

2011-04-12 23:29:16 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4297   閲覧ユーザー数:4044

「えへへ~♪」

 家に帰るなりベッドに飛び込む。

「えへへ……えへっ♪ 明久くん……」

 ベッドの上で思い浮かべるのは大好きなあの人。

 そして自分の行動への称賛。

 ついに、ついに明久くんをデートに誘う事が出来た。

 あの二人の監視の目を潜って、なんとか誘う事が出来た。

 これでアタシも明久くんとデートが出来るのね……

「えへ~♪」

「あ、姉上が壊れてしまったのじゃ……」

「……秀吉。あんた何勝手に人の部屋に入ってきてるのよ」

 許可もなく、女の子の部屋に入るなんて非常識よ非常識。

 しかも、壊れてるって何気に酷い事を言うわね。

 秀吉のくせに……あまり調子に乗ると折るわよ。

「――っ、今物凄い悪寒を感じたのじゃが……」

「気のせいでしょ」

 ――チッ、無駄に感が鋭いわね。

「と、ところで姉上は何故、そこまでテンションが高いのじゃ?」

「うふふっ♪ それはね、やっと明久くんとデートが出来るからよ!」

「な、なんじゃと……っ!?」

「ふふん! アタシだってやる時はやるのよ」

 デートに誘うまでに色々と障害はあったけど、それはまぁ……Aクラスの意地というか、

乙女の意地というか……とにかく頑張ったのよ!

「このデートを上手く使って、明久くんとの仲を進展させてやるわ!」

 どうせ明久くんのことだから、アタシがデートに誘った意味なんて理解してないと思う。

 だから、この機会に少しでいいからアタシの事を知って欲しい。

 気持ちの全てを知って欲しいなんて我儘は言わないわ。だけど――

 少しくらい好意があるっていうのは感じて欲しいかな。

 そういうわけだから――

 

「秀吉。分かるわよね?」

「いや、全然分からないのじゃが」

「ふん!」

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ! 折れる! それ以上は骨が折れてしまうのじゃ――――っ!?」

「あんたがバカな事を言うのが悪いんでしょ! それよりアタシの言いたい事、理解出来てる

わよね?」

 もし、理解出来てないって言うのなら…………死んでもらうしかないかもね。

「わ、分かっておるのじゃ! だ、だから放して欲しいのじゃ!」

 ジタバタと暴れる秀吉。

 そんな事をしても無駄なのにね。アタシが簡単にあんたを解放すると思う?

 あんたの言葉に嘘が無いか確かめるまで放しはしないわよ。

「秀吉。何が分かったのか言ってごらんなさい」

「あ、あれじゃろ? 姉上のデートを誰にも邪魔させないようにすればいいんじゃろ!?」

「ええ、そうよ」

 なんだ。ちゃんと理解してたのね。

「あ、姉上……そろそろ解放して欲しいのじゃが……」

「ああ、ごめんごめん」

 ゴミを捨てるように秀吉を投げ捨てる。

「ふげっ」

 情けない声をあげる秀吉。

 はぁ……我が弟ながら情けないわ。

 ま、こんな弟でもキッチリと役に立ってもらわないといけない。

「じゃあ秀吉。今度の日曜にデートするから頼むわよ」

「う、うむ……」

「もし失敗したら――」

 分かってるわよね?

「したら?」

 

「生きて明日を迎えられると思わないでよ」

「りょ、了解したのじゃ……」

 よし。これで準備は整ったわね。

 後は本番を待つだけ。絶対に……絶対に今回のデート、成功させてみせるわ!

 

 


 
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