No.202229

一姫✝無双・外√~コハクと一姫の膝枕~

さん

和兎さんの作品「カヲルソラ」のキャラクター「琥珀」と一姫のコラボ小説。

ブログのみの公開でしたが和兎さんの許可が出たので投稿します。

2012/11/4 (加筆修正)

2011-02-18 11:38:13 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:3838   閲覧ユーザー数:3490

 

 

コハクはいつも、愛紗と一緒にいた。

コハクは愛紗が大好きだった。

コハクはよく愛紗の膝枕で昼寝をした。

コハクはいつだって愛紗とあそんでいた。

 

……あの日まで……

 

 

 

「おねえちゃーーん!はやく、はやく」

「少し落ち着きなさい」

「だって、おなかすいたーー!」

 

黄巾党の討伐からコハク達が帰って来ると鞘花が一姫にご飯を作ってくれとせがんで来た。

まあ、暫く会えなかったから甘えたいのが本音だろう。

たしかに一姫のご飯は美味しい、遠征中は一姫も料理をする暇が無かったから

コハクも久しぶりに一姫のご飯が食べたいというのが本音だ。

鞘花に便乗してコハクも食べるとしよう。

 

 

「やっぱり姉ちゃんのご飯は美味しいよ!」

「ふふっ。ありがとう、季衣」

「この微妙な味加減は私も真似ができません」

「私だって流琉の味加減で真似できないモノはあるわよ」

「さやはどっちのごはんもおいしいよ」

 

鞘花が一姫と流琉に頭を撫でられはしゃいでいると、秋蘭が話す。

 

「しかし、一姫はまた腕をあげたな。以前より美味くなっているぞ」

「そりゃ、私が住んでいた所と此処とじゃ材料や調理器具も微妙に違うし。まあ、此処の暮らしに慣れてきた証拠よ」

 

「…お姉様はやっぱりご自分の国にお帰りになりたいですか?」

 

ピクッ

 

一姫が…帰る?……

 

桂花の言葉にみんなの手がとまる。

 

「…うう、…グスッ……お、おねえちゃん、かえっちゃうの?…」

「か、帰らないわよ。一緒に居るって約束したでしょ」

「うん。グスッ…えへへ、そうだよね。やくそくだもんね」

「うう、よ、良かったです。お、お姉様~~」

 

帰らないのか、びっくりした。

…いや、コハクは別にどっちでもいいんだがな。

 

「だいたい、帰ると言っても来た方法が解らぬのだから帰る方法も解るわけがないであろう」

 

ピタッ!!

 

な、何だと。コイツ、今何て言った?

 

「な、何だ?皆動きを止めて。私は何か変な事を言ったか?」

「いいえ、べ、別に変な事は言ってないわよ」

「と言うより、脳筋のあんたが変な事を言ってないから変なのよ!!」

「驚いたわね」

「あ、姉者が正論を……」

「み、皆…皆ひどいじゃないかーー!うわあああーーーん!!」

「春蘭様ーー!」

 

ああ驚いた。春蘭め、一瞬時が止まったぞ。

ん、ご飯がなくなった。おかわりはどうしよう。

悩んでいたら目の前に一姫の手が伸びてきた。

 

「ほら琥珀、おかわりいるんでしょ」

「……いる」

 

見透かされてたみたいでなんか悔しい、くそう。

 

もぐもぐ。

 

ああ、ご飯がおいしい。

 

 

 

 

「ふう、御馳走さま。美味しかったわよ」

「ありがと、華琳」

「是非とも今夜は一姫の料理だけじゃなく一姫も味わいたいわね」

「??かりんさま、おねえちゃんたべちゃうの?おいしいの?」

「ええ、きっと物凄くおいs…」

「カリン……」

「な、なな、何でもないわよ。じゃあ私は政務があるから、ああ忙しい」

 

まったく華琳は懲りないな、これで何度目だ。

 

「ごちそうさま。さや、おなかいっぱい」

「おそまつさま、いっぱい食べたわね。じゃあお散歩いこっか」

「うん、いくーー!」

 

一姫と鞘花は手をつないで散歩に行った。

コハクも腹ごなしに鍛練でもしよう。

 

 

ビュン、ビュン、ビュン、

 

ふう、このくらいでいいか。

 

汗を拭きながら部屋に帰ろうとしていると一姫と鞘花がいた。

鞘花はどうやら一姫に膝枕をしてもらって寝てるみたいだ。

 

 

「琥珀?」

 

一姫は気配を察したのかこちらを向きながらコハクを呼んだ。

むう、出来るようになったなコイツ。

 

「鞘花はよく寝てるようだな」

「うん。侍女さんに聞いたんだけど私達が遠征に出てる間はあまり寝てないみたいだって」

 

そう言いながら一姫は鞘花の頭を優しく撫でていた。

 

「あ…」

 

それを見ているとコハクの頭の中にあの頃の光景が浮かんできた。

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あの頃、平和だった頃。

毎日愛紗とあそんでいた頃。

 

『こら、こはく』

『えへへ~~』

『まったく、この甘えん坊が』

 

コハクは愛紗が大好きだった。

 

『愛紗姉のおひざ、きもちいい~』

『私だって昼寝がしたいんだぞ』

『こんどはこはくがおひざをかしてあげる。だからきょうはこはくのばん』

『わかったわかった。約束だからな』

『うん。愛紗姉、すき~~』

『ははは、私もこはくが好きだぞ』

 

そして愛紗はコハクの頭を撫でてくれた。

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 ……はく…琥珀」

 

「…はっ、な、何だ?」

「どうしたの?ぼーとして」

「なんでもない」

 

くそ、不覚だ。

 

「琥珀」

「だからなんだと…」

 

見ると一姫は開いている右側の膝をポンポンと叩いている。

ひょっとしてソコに寝ろと言うのか?冗談じゃない。

もし、そんな所を華琳や春蘭に見られたら何と言われるか

わかったものじゃない。

 

…なのに何でコハクはいつの間に膝枕をされてるんだ。

一姫め、さては妖術使いだな。おのれちょこざいな。

 

「疲れてるんでしょ。たまにはゆっくり休みなさい」

 

ああこら、頭を撫でるんじゃない。コハクのほうが年上なんだぞ。

いかん、眠くなってきた。くそう、こんな妖術に負けてたまるか。

 

「くう、くう、くう」

 

聞こえてきた寝息がさらに眠気をさそう。おのれ鞘花、おまえもか。

 

 

コハクは愛紗が大好きだった。

愛紗の膝枕でよく昼寝をした。

 

 

 

 

一姫は愛紗じゃない。……でも…

 

 

愛紗も一姫じゃない。

 

 

一姫は一姫だ。

 

 

だから……

 

 

 

この膝も…悪くない。

 

 

 

とりあえず今は寝よう。後のことはそれからだ。

 

そしてコハクは目を閉じた……

 

 

~終わり~

 


 
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