No.201368

真・恋姫無双呉ルート(無印関羽エンド後)第三十九話

海皇さん

 皆さんお待たせいたしました!第三十九話、投稿完了いたしました。

 いよいよ物語も佳境にはいってきました。果たしてうまく書けるのか・・・。自分でも不安です。

2011-02-13 16:00:12 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:4526   閲覧ユーザー数:3952

 

 劉表side

 

 「そうですか・・・、許貢が死にましたか・・・」

 

 「はっ!孫策軍に攻められて城内において自害した模様です!!」

 

 「なるほど・・・、他に報告は?」

 

 「はっ!許貢の側近くに仕えていた兵士達が数10人、曹操の下に下ったとの事です!」

 

 「そうですか・・・。分かりました、下がりなさい」

 

 「はっ!」

 

 兵士からの報告を聞き終えた蒯越は、表情を少しも動かさずに兵士を下がらせた。その蒯越の背後で、蔡瑁が手に持った扇子で口元を覆いながらくすくすと笑っていた。

 

 「あらあら、許貢さんもあっけなかったですわね。もう少し位もってくれると思ったのですけど」

 

 「初めから許貢には期待をしていません。紅刃様も、せいぜい孫呉をかき回せれば良い方だとおっしゃっておりましたから」

 

 蔡瑁の言葉に蒯越はそっけなく返答を返す。蔡瑁はそんな蒯越の態度に不満を抱くこともなく笑みを浮かべていた。

 

 「まあ別に許貢さん一人が居なくなったとしても別に問題は有りませんわ。揚州には他にもたくさん豪族の方がいらっしゃいますもの。その方達を利用すれば良いだけですわ~」

 

 「・・・・」

 

蔡瑁はそう言って哄笑をあげていたが、一方の蒯越は笑うこともなく相変わらずの無表情のままだった。それを見た蔡瑁は少し眉を顰めた。

 

「・・・蒯越さん、いつも思うのですけど、少しは笑ってみてはどうですの?そんな無表情では、人が寄ってきませんわよ?」

 

「元々こういう顔と表情なのです。治しようがありません」

 

「・・・・ああそうですの」

 

蔡瑁は親友の態度に大きく溜息を吐いた。一方の蒯越はそんな蔡瑁の姿を見ても、眉一つ動かすことがなかった

 

 一刀side

 

 許貢との戦いから三週間経った。

 

 あれから孫呉に謀反を起こそうという諸侯は出ず、なんとか国内は治まりつつあった。

 

 そんなある日、

 

 「ねえ一刀、明日私とちょっと遠乗りに行かない?」

 

 「遠乗り?何でまたいきなり?」

 

 雪蓮からの突然の誘いに俺は少しばかり戸惑った。なにしろいきなり俺に遠乗りに行こうと誘ってきたのだから。そんな俺に雪蓮は唇を尖らせて、いかにも不満そうな顔をした。

 

 「だってだって!最近いつもいつも誰かが護衛についているから自由に行動できないのよ!私は囚人か何か!?」

 

 「そんな事言われても・・・」

 

 いくら雪蓮が不満でも、万が一の為なのだから我慢してほしいんだけど・・・。

 

 「・・・これも雪蓮を暗殺させないためだよ」

 

 「まあそれは分かるんだけどね。一刀もみんなも心配しすぎよ」

 

 「心配しすぎるに越したことはないよ。暗殺なんていつ起きるか分からないんだし」

 

 実際暗殺というのはいきなり不意を付いて行うのが普通だ。予告してから暗殺するなんて、そんなことはせいぜいフィクションでしかやらないだろう。

 

 「分かってるわよ。だから一刀連れて行くんじゃないのよ」

 

 「へ?」

 

 何で俺?

 

 「だって一刀も明命達程じゃないけど強いじゃない?だから一刀も一緒に行けば大丈夫よ♪」

 

 「う~ん・・・確かにそうだけどな・・・・」

 

 「そ・れ・に!最近一刀関平ばっかり構ってるじゃない!!夜に全然私の所に来てくれないから、寂しいんだからね!」

 

 雪蓮は不満そうにそう言う。まあ確かに最近夜は愛紗と過ごす日が続いているからな~。ひょっとして雪蓮、やきもちを焼いているのか?

 「分かった。俺も一緒に行くよ」

 

 「本当!?なら決まりね!!明日門前で待ってるから!!あ、後、関平に教えちゃ駄目だからね!!」

 

 「ちょっ、おい!!雪蓮~!!」

 

 雪蓮は不満そうな顔から一転、なんとも嬉しそうな笑顔を浮かべて、言いたい事をさっさと言って部屋から出て行ってしまった。俺はただそれを呆然と見送った。

 

 「遠乗り、ねえ・・・・」

 

 そう言えば最近仕事が忙しかったせいで雪蓮と一緒にどこかに行くってこと無かったからな・・・。たまにはいいかな?

 

 「そうだな・・・、たまには、いいか」

 

 俺はそう結論付けると、ベッドに寝転んで、胸ポケットから、雪蓮から貰ったあの首飾りを取り出して、じっくりと見てみる。

 

 

 

 宝石や装飾品に縁がない俺でも、これはかなりの値打ち物だと分かる。それほどまでに、この首飾りは美しかった。だが、この首飾りからは、どこか禍々しいような、不吉な雰囲気が漂っているような気がした。

 

 「・・・一体何なんだ?これ・・・」

 

 一応雪蓮がくれた物ということで持ってはいるけど、藍里が戻ってきたら調べてもらったほうがよさそうだな。

 俺はその首飾りを胸ポケットに入れると、ゆっくりと眼を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それじゃあ冥琳、蓮華、留守番よろしくね~♪」

 

 「はいはい、分かってるわよ」

 

 「一刀、姉様の手綱をきちんと握っておいてね」

 

 「ちょっと~!!なによ蓮華!!人を馬みたいに言って~!!」

 

 「実際姉様は馬よりたちが悪いですから」

 

 「む~・・・・」

 

 蓮華の言葉に雪蓮は膨れっ面になる。・・・まさに小蓮そっくりだな、まじで。実際小蓮が成長したら雪蓮みたいになるのかな。

 

 「雪蓮、そろそろ行こうか」

 

 「む~、そうね、それじゃあ行ってくるからね~」

 

 そして俺と雪蓮は並んで馬を走らせた。

 

 

 

愛紗side

 

 

 「ご主人様!!何処ですか!!」

 

 「お、お、落ち着いてください!!関平様!!」

 

 その頃愛紗は、愛する一刀を探し求めて城中を駆け回っていた。その隣では咲耶が暴走する愛紗を必死に宥めていた。

 

 「ご主人様~!!一体どこに・・・・、っは!!ま、まさか敵の勢力に誘拐されて・・・」

 

 「そ、それは城の警備の兵から大丈夫だと・・・」

 

 「ならばご主人様は一体どこだ!!ああ~~!!ご主人様~!!!」

 

 「はうう~・・・」 

 

 一刀が居なくなって暴走している愛紗に、咲耶はどうしてよいか分からず、混乱していた。

 

 「む?何だ関平に咲耶、こんなところで何をしている?」

 

 「何だか慌てているようだけど、どうかしたのかしら?」

 

 と、そこに一刀と雪蓮の見送りを終えた冥琳と蓮華が現れた。

 

 「!め、冥琳!蓮華!そ、それが、ご主人様が居なくなってしまったのだ!!」

 

 「突然一刀様が何も言わずに居なくなられてしまわれたので、関平様はすごく心配なされて・・・」

 

 愛紗と咲耶の言葉を聞いた冥琳と蓮華は困惑した表情を浮かべた。

 

 「!?どうした冥琳、蓮華!ま、まさか、ご主人様がどこに居るか知っているのか!?」

 

 その様子を不審に思った愛紗は蓮華達を問いただす。すると冥琳はどこか言いにくそうに答えた。

 

 「いや・・・・、北郷殿は、だな・・・・、今、雪蓮と一緒に遠乗りに出掛けているぞ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「な、なんですってえええええええええ!!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 冥琳の返事に愛紗は絶叫を上げた。

 

 「・・・と、いうより関平、あなたは知らなかったの?」

 

 「全然知りませんでした!!ご主人様からも何も聞いておりません!!」

 

 「それは・・・、まあ・・・、雪蓮に口止めされていたからな」

 

 「な、なんと・・・・、こうしてはおれぬ!!」

 

 と、愛紗は冥琳達が来た方向に向かって駆け出そうとした。

 

 「ちょ、ちょっと待って関平!?あなたどこに行く気なの!?」

 

 「ご主人様と雪蓮を追う!!そしてご主人様を連れ戻さねば!!」

 

 「落ち着け関平。そもそもお前は北郷殿がどこに行ったのか分かっているのか?」

 

 「うっ・・・そ、それは・・・・」

 

 冥琳の質問に愛紗は口籠った。

 

 確かに自分は一刀達がどこに遠乗りに行ったのか全く知らない。だいたい遠乗りに行くことすらも教えられていないのだからどこに行くか等知ってるはずもないのだ。

 

 「まあ今日ぐらいは雪蓮の自由にさせてやってくれ。最近北郷殿と一緒にいれないから、あの子も欲求不満なのだろう」

 

 「むう・・・。分かりました。今日のところは譲りましょう・・・・」

 

 冥琳の言葉を聞いた愛紗は苦虫を噛み潰したような表情でそう言った。それを冥琳は面白そうに見ていた。

 

「それにしても、ご主人様もご主人様です!出掛けることくらい私に話してくれてもいいものを・・・」

 

「実際に話したらお前は反対するだろう?だから話さなかったんだろう」

 

「むう・・・・」

 

冥琳の言葉に言い返せずに愛紗は顔を真っ赤にして俯いた。実際冥琳の言う通りだったからである。

 「れ、蓮華様~!!冥琳様~!!」

 

と、突如慌てた様子の明命が飛び込んできた。

 

 「あれ?どうかしたのですか明命?」

 

 「あ!咲耶に関平様!!お二人もいらっしゃったのですか!・・・と、そんなことより大変です!!」

 

 「どうしたというのだ明命」

 

 息を弾ませて慌てている明命に冥琳は訝しげに聞いた。明命は一呼吸置いた後、驚愕の知らせを口にした。

 

 「そ、曹操軍が、曹操軍が現在こちらに侵攻中です!!その数、およそ20万!!」

 

 「曹操だと!?馬鹿な!!隣国の袁紹と衝突中ではなかったのか!!」

 

 突然の報告に冥琳は驚愕する。他の三人もあまりの驚きに声が出せなかった。

 

 

 

 なぜなら曹操は現在、袁紹と衝突中だという情報が入っていたからである。

 

 「そ、それが、現在袁紹は、黒山賊の征伐を行っており、曹操と戦える状況ではないとの事です!!」

 

 「・・・・なるほど、偽の情報を掴まされたか」

 

 曹操にまんまと嵌められたことに気が付いた冥琳は苦々しげに舌打ちした。

 だがいつまでも悔やんでばかりはいられない。

  顔を上げた冥琳は明命に指示を出した。

 

  「明命!ただちに祭殿達にこのことを伝え、曹操を迎撃できる態勢を取りなさい!!」

 

  「はっ!」

 

  「冥琳!私はご主人様と雪蓮を連れ戻しに・・・・、と言いたい所ですが、あいにく二人がどこにいるか知りませんので、私も軍の指揮に・・・・」

 

  「待って。関平」

 

  兵達の指揮に向かおうとする関平を、蓮華が呼び止めた。

 

  「姉さまの行った場所、大体検討が付くわ。私が案内するから着いてきて!」

 

  「れ、蓮華!?よろしいので!?」

 

  突然の蓮華の思いがけない言葉に愛紗は驚きの声を上げる。それを聞いた蓮華はクスリと笑みを浮かべた。

 

  「緊急事態だから仕方がないわ。

 それに、私も姉さまが一刀を独り占めするのは面白くないって思ってたし」

 

 どうやら蓮華も、雪蓮に対してやきもちを焼いていたらしい。蓮華の言葉を聞いて、愛紗も笑みを浮かべた。

 

 「なるほど・・。分かりました!咲耶!軍の指揮は任せるぞ!!」

 

 「あ!はい!了解いたしました~!!」

 

 愛紗は咲耶に軍の指揮を任せると、蓮華と共に一刀達のもとに向かった。

 「・・・ふう、蓮華様も関平もせっかちなものだな。まあ、そうなる気持ち、分からないわけではないが・・・」

 

 冥琳は走り去っていく二人の背中を見ながら苦笑した。内心羨ましく思いながら・・・。

 

 「・・・なら明命、咲耶、後は頼んだぞ」

 

 「はい!・・・あ、それから冥琳様、これは、未確認情報ですが・・・」

 

 「何だ?」

 

 冥琳の問い掛けに明命は少し沈黙した後、答えた。

 

 「・・・曹操軍の内部に許貢の残党が居たとの報告が・・・」

 

 「許貢だと!?」

 

 明命の言葉を聴いた冥琳は驚愕の声を上げた。隣では咲耶も驚きの表情を浮かべている。

 

 

 

 

 

 

 

 『許貢を殺したら、雪蓮は死ぬ』

 

 

 

 

 

 

 

 冥琳の脳裏で、一刀から告げられた言葉が蘇った。

 

 

 あとがき

 

 

 お待たせして申し訳ありませんでした~!!第三十九話、投稿いたしました!

 

 待たせた割に随分短い内容になってしまいました・・・・。

 

 ようやくここまで来たといった感じです・・・。・・・まあいつまで続くんだ!って意見の方もいらっしゃるでしょうけど・・・。

 

 次回はついに呉ルートのハイライトシーン、雪蓮暗殺の場面です!!今度はできる限り早く更新していきたいものです。

 

 本当は新年企画の続編としてバレンタインの話とか書きたいと考えてもいるんですけど・・・。さすがに二つは無理か・・・。

 

 


 
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