No.200878

真・恋姫無双~妄想してみた・改~第四十話

よしお。さん

四十話をお送りします。

―一刀、目覚める―

開幕

2011-02-11 10:10:50 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:4982   閲覧ユーザー数:3678

 

 

華陀から頼まれて、一刀の得物である刀“恋姫無双”を本人に渡すため、一刀の部屋に向かった蓮華であったが、

部屋の前に着いて早々、部屋の中からなにやら物音がしていることに気がついた。

 

(おかしいわね……一刀は寝たきりのはずだし、一刀以外に誰もいないはずなのだけれど……まさか!)

 

――侵入者!?

寝たきりの一刀をこれ幸いと襲おうとする不届き者!?

 

……なぜかこの時、趙雲を思い浮かべたのは内緒だ。

それはともかく。

 

(もしも寝たきりの一刀を襲おうとしているなら――)

 

例え天が許しても私が許さないッ!!

 

 

「そこまでよ、この不届き者! 私も混ぜなさい!!(御縄につきなさい!!)」

 

 

 

「へぅっ!?」

「えっ!?」

 

 

 

 

「……え?」

 

 

バンッ!と強く扉を開けた先には、襲われている一刀……ではなく。

大きな音にビックリしている様子の、メイド服に身を包んだ董卓と賈クの姿がそこにあった。

 

 

 

 

 

 

 

「き、着替えさせていたのね。び、びっくりしたわ」

 

大きな音を立てたことで董卓と賈クに怒られ、特に『もしもご主人様が起きなくなったらどうするんですかっ』と董卓に涙目で言われたときには、

流石に反省して、これからはきちんとノックしようと心に誓った。

 

「華陀さんにちゃんと言っていたはずなんですけど……」

「ごめんなさい、私の確認不足だったわ……それで、一刀の様子は?」

 

一刀の様子を見てみると、依然安らかに眠っているままだった。

整った顔が眩しい。

 

「先日までうなされていたんですけど、今日はなんともないみたいです……」

「まったく……月に心配かけないでほしいわね」

 

なんだかんだ言って、賈クも賈クなりに一刀の心配をしてくれているらしい。

邪険に言ってはいるが、その表情には暖かさがある。

 

(きっと、この子たちも一刀と……)

 

そう思うと嫉妬で心が焦がれるが、それももう慣れたもの。

一刀を独占したいのは山々だけど……正直身に余る気もする。

それに、あの優しさは私一人で独占していいものではないし……。

 

そんなことを考えていたら、月と賈クがこちらをじっと見つめていることに気付いた。

 

「ど、どうかしたの?」

「あ、いえ……あの……」

「……あなたとまともに喋ったのは今回が初めてじゃない? いい機会だし親交を深めない?」

 

私の問いにいつものようにどもってしまう董卓をフォローする賈ク。

とても王に対する言葉ではないが、自分を飾らない姿勢にむしろ好感が持てた。

 

「ふふ、それもそうね。何を話そうかしら……」

 

 

 

 

 

 

「あなたたちは、一刀との記憶はあるの?」

「はい……この世界で一刀さんと別れたときに、蜀で一緒に過ごしていた記憶が……」

「ボクもよ」

 

聞けば、反董卓連合の決着がついて、蜀に降ったときに記憶が覚醒したらしい。

一刀は天の御使いとして、蜀の面々の『ご主人様』となっていたそうな。

 

「……」

 

なんていうか凄く……いやらしいわね……。

でも一刀のことを『ご主人様』と呼ぶのも悪くないのかしら?

 

(……一刀は喜んでくれるかしら)

 

一刀が喜ぶことならなんでもしてあげたい。

目を覚ましたらご主人様と呼んでみよう。

 

「一刀、起きないかしら」

「そのうち起きるんじゃない? こんなやつ、どうでもいいけど」

「もう……詠ちゃん?」

「……うぅ……だってぇ……」

 

 

 

「ふふ、あなたも一刀のことを心配してくれているのね」

「だ、誰がこんな奴のことを!!」

 

私が指摘すると、図星だったのか途端に真っ赤になって反論する詠。

ちなみに真名はついさっき交換した。(一刀を想う人に悪い人はいないわ)

彼女が一刀を邪険に扱うと、決まって月が――。

 

「詠ちゃん? そんな言い方ダメだよ?」

 

と、制する。うん、私と思春みたいな関係ね。

思春が詠で、月が私で……。月みたいにお淑やかではないけれど。

一刀はやっぱり、月みたいに人形みたいに可愛らしいほうが好きなのかしら?

お姉さまやシャオよりはお淑やかだとは思うのだけれど……。

そう思っていると、寝台の方から声が聞こえてきた。

 

「――ん……」

「「「!?」」」

 

(騒ぎ過ぎた!?)

 

3人とも固まって、一刀が寝つくのを待っていると。

 

「んん……あれ? 皆、どうしたの?」

 

 

 

 

一刀が、目を覚ました。

 

 

 

 

 

 

一刀が目を覚ました報せは、月と詠の二人によって瞬く間に城内に広がった。

そして現在、一刀の部屋では『北郷』の主な将や元魏、呉の面々が集まっていた。

 

「――うむ、快調したようだな! だが無理は禁物だ。暫く安静にしていてくれ」

「ああ。迷惑をかけるな」

「なに、気にするな。困った人間を見過ごせないだけだ」

 

華陀が一刀を診察し終えると、休憩するために宛がわれた自室に戻っていった。

最後に激しい運動は控えるようにと釘を挿して。

 

「みんな……迷惑をかけたね。本当にごめん――」

「御館ぁぁぁ!!」

「わっ!?」

 

一刀が寝台の上で謝罪しようとすると、何者かが一刀に向かって突進してきた。

ツンと上を向く形の良い乳房に頭を挟まれ、両腕で頭をロックして更に胸の奥へといざなう。

 

「魏延……さん?」

「御館ぁぁ……心配したんだぞ!!」

 

見上げると、魏延の顔が涙と鼻水でぐしゃぐしゃになっていた。

 

(ああ……そういえば、焔耶はツンツンデレタイプだったなぁ)

 

「大丈夫。俺は、ちゃんとここにいるから――焔耶」

「っ!!」

 

一層抱く力が強くなり、一刀としては正直辛抱たまらなかった。

 

「うぉほん。焔耶よ、御館様に逢いたかったのはお前だけではないんだぞ?」

「はっ!? す、すみません、桔梗様!」

 

ばっ、と離れていく焔耶の胸に『あ……』と切なく声をあげながらも、

厳顔に顔を向ける。

 

「厳顔さん、先日は助けて頂いて……」

「他人行儀はおやめくだされ。……以前のように、桔梗と……」

 

焔耶にされたのと同じように、しかし焔耶よりも遥かにボリュームのある胸に顔を挟まれ、

両腕で包まれる。

 

(ぼ、母性だ……これが母性愛か!!)

 

一刀は胸に弱かった。

 

「――本当に助けられていたならば、御館様を何日も寝込ませたりはさせませぬ。わしにもっと力があれば……」

「……桔梗、それは違うよ。桔梗と焔耶がいてくれなかったら、俺はここにいなかったかもしれない。だから、ありがとう」

「…………御館様」

 

ギュッ、と強く胸に押しつけて、桔梗は名残惜しそうに離れていった。

桔梗と入れ替わりに華琳と蓮華が前に出た。

 

「心配したわよ……ばか」

「大丈夫そうでよかった……」

「ああ。心配かけてごめん。もう、大丈夫だから」

 

今度は一刀の方から二人を抱く。

突然抱かれた二人は一瞬ビックリしていたが、次には壊れ物に触れるように優しく一刀を抱いた。

 

「あ、蓮華。それは――」

 

蓮華の持っているものに目をやると、それは一刀の得物である“恋姫無双”であった。

 

「ええ。華陀から渡すように言われたの」

 

そう言って、大事に抱えていた刀を手渡す。

 

(あれ?)

 

両手で“それ”を持つと、違和感が一刀を襲う。

 

 

 

 

 

 

(重くなってる……? それに手に取ったときに浮かんだ風景は……)

 

間違いなく、フランチェスカのものだった。

それに、一緒にいた女の子。おぼろげだったが、名前が頭に浮かびあがった。

 

(愛……紗……?)

 

無理に思いだそうとするも、頭が痛くなるばかり。

これ以上彼女たちに心配をかけないためにも、今は思いださないほうがいいだろうと判断した。

 

 

 

「っと……それはともかくとして。大喬、小喬」

 

一旦、刀を脇に置いて今回の事件の発端かもしれない二喬を呼ぶ。

 

「……はい」

「……」

 

華琳と蓮華は一刀の両脇に控えた。目の前の“敵”を睨みつけながら。

そのあからさまな敵意の視線を受けて、うろたえてしまう二喬。

このままでは話もままならぬと、両脇にいる二人を抑えた。

 

「華琳、蓮華……抑えてくれ」

「……わかったわ」

「でも!」

「蓮華」

「……」

 

華琳は一回で分かってくれたが、蓮華はよほど心配していたのだろう。

今回の事態を引き起こした疑いのある目の前の二人を許せなかった。

しかし最終的に一刀の頼みに折れて、二喬から視線を外した。

 

「……ぁぅ」

「全部、話すわ……」

 

 

「なんで、混乱を起こすような真似をしたんだ?」

「ある人から依頼されていたのよ」

「周喩かい?」

「冥琳様には監視を頼まれていただけよ! ……民の不安を煽り、『北郷』を混乱させよと依頼したのは――」

 

 

小喬の口から語られた人物の名は――。

 

 

 

 

 

 

「于吉よ」

 

 

 

<つづく>

【続・関羽千里行】

 

 

 

「北郷様! このまま我らが主、桃香様の元へと向かいましょう!」

「ちょ、ちょっと待って!? なにがなんだか――」

「きっと桃香様もお喜びになられます」

「す、ストップストップ!! 俺は魏のものだよ!?」

「これからはご主人様とお呼びしますね♪」

「話を聞いてくれぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「くう、なぜ追いつけん!!」

「ありゃ華琳の絶影やな……華琳も厄介なものを手土産にしたもんやで!」

「隊長……ッ!!」

 

 

―パカパッ パカパッ

 

 

「あなたたち……関羽の事を追うなと言ったはずよ。凪、ちゃんと通達しなかったのかしら?」

 

 

 

「……北郷が連れ去られたのです!!」

「一刀が攫われたんや!!!」

「隊長を奪われたんです!!!!」

 

 

 

「……………………………魏の精鋭及び将、軍師たちを集めなさい。舐めた真似をした関羽を討つわよ」

 

「御意!!」

「りょーかいや!!!」

「ハッ!!!!」

 

 

 

 

 

―キュピーン♪

 

「どうした、雪蓮」

「なーんか……面白そうなことが起きる予感がするのよねー……このすぐ近くに男女両方乗せた黒くて大きな馬が物凄い速さで通る」

「まさか。有り得んな」

 

 

―ダダダダッ

 

 

「嗚呼♪ ご主人様ぁ!! ちゅっ♪ ちゅっ♪」

「か、関羽さん!? やめっんむっ!?」

 

 

 

「――あれ、魏の御使いクンよね?」

「男の方はよく確認できなかったが、男を襲っていたのは関雲長だったな」

「……さて、冥琳。ちょうどここに我ら孫呉が誇る精鋭部隊もいることだし、追い掛けましょうか」

「なに!?」

「このままだと劉備たちに御使いクンを奪われちゃうわよ? 私、あの子のこと凄く気に入ってるし、奪われたくないんだけど」

「……はぁ。分かった、追おう」

「やった♪ それでこそ我が断金の友ね!」

(私も北郷一刀には惹かれているしな……ぽっ)

「全軍! 目標は目の前の一騎!! 駆けろ!!!」

 

―オオオオォォォォ......

 

 

 

 

 

◆          ◆          ◆

 

 

 

「む、貴様は」

「あら、夏候惇じゃない。こんなところで奇遇ね?」

「今は貴様と話している暇はないのだ! 先に行かせてもらうぞ!!」

「追っているのって御使いクン?」

「!! なぜそれを!?」

「今精鋭に追わせてるのよ」

「た、助かる!」

「あら、言っておくけど返さないわよ? 捕まえたら呉に連れていくもの♪」

「な、なぁにぃぃーー!?」

 

 

 

 

◆          ◆          ◆

 

 

 

「か、関羽さん、なんだか追われてるみたいなんだけど」

「大丈夫です、ちゅっ、ご主人様。 あなたさまが、ちゅっ、いらっしゃれば、れろっ、私は本来の百倍の力を出せますから♪」

 

 

「ぁぁぁいちょぉぉぉぉおお!!」

「っぷぁっ、凪!!」

「隊長!! やっと追い付きました!!! さあ、こちらの馬に乗り移って下さい!!」

「あ、ああ――」

「さっせるかぁあぁぁぁぁあぁ!!!」

 

 

―ビュウウン!

 

 

「あぁ!? 隊長ぉぉッ!!」

「ウチに任せとき、凪! ハッ!!」

 

 

―シンソクゥゥゥン!!

 

 

「馬術でウチに勝てるとおもたらあかんでぇ、関羽!!」

「チッ、しつこい奴だ……! しつこい女は嫌われるぞ!!」

「なっ!? 一刀はウチのこと嫌わへんもん!! ウチのこと、愛してるってゆーたもん!!!」

「ハッ! どうだか!! ……ふん、そこで指を咥えて見ているがいい!!! 私とご主人様の愛を!!!!」

「んんっ!!」

 

 

 

―ちゅっちゅっ♪ れろれろ♪

 

 

 

「ああああぁぁぁ!! 一刀とちゅーするなやあああああ!!!」

「隙有り!! さらばだぁぁぁ!!!」

 

 

 

―ビュウウウンッ!!

 

 

 

 

◆          ◆          ◆

 

 

 

「あ!」

「どうしましたか、桃香様」

「今、愛紗ちゃんが私のイイ人を連れてくる予感がしたの♪」

「ほう……では早めに迎えにいくとしましょう。もう少し早く漕げないのか、朱里、雛里」

「は、はわわぁぁ……」

「こ、この仕事は軍師がやるものじゃないと思います……あわわ……」

 

 

―ギィコ、ギィコ

 

 

「鈴々、船って苦手なのだー……」

「あはは……もう少しの我慢だよっ! 鈴々ちゃん!」

 

 

 

 

 

 

~数年後~

 

 

 

「ごしゅじんさまぁ~♪」

「おにいちゃーん! なのだ♪」

「ご主人様……♪」

 

 

 

「おっとー!」

「おとさまー!」

「おちちうえー!」

 

 

 

「……はわわ! 今お腹の子が蹴りましたぁ♪」

「御館様、今晩も子作り致しましょうぞ♪」

 

 

 

「は、ははは……」

 

 

 

 

◆          ◆          ◆

 

 

 

 

「華琳、ただいま」

「……後ろの子たちは劉備たちね? 見かけない子たちもいるみたいだけど」

「ああ……俺の、子供たちさ」

 

 

 

「雪蓮」

「なぁに? 華琳?」

「呉の者たちを集めなさい。ずーっと待ってた一刀が蜀の面々を孕ませて戻ってきたのだから、私達のためにも頑張ってもらいましょう」

「! 早速皆呼んでくるわ♪」

 

 

 

「え? え?」

 

 

 

「一刀、覚悟しなさい。これからは本当の意味で種馬になってもらうから」

「うぇぇぇぇぇぇ!?」

「……にしても、戦もせずに蜀を落としたとは……相変わらずデタラメね、あなた」

「いや、皆いい子だったよ?(キリッ」

「………………………まぁ、しばらくは休めないでしょうから、今のうちに休んでおきなさい」

「(TдT)」

「泣いてもダメよ。あの桂花ですら、あなたと会えないあまりに素直になってしまったのだから」

「な、なんと! す、凄く興味あります!!」

「……い、言っておくけど……あ、あなたの一番はこの私なんだからね?」

「つ、ツンデレ最高!(ガバッ!」

「♪」

 

 

 

 

 

「あっ、あぁっ……! んっく……あ、あなたこそっ、天下いちのぉっ!! ツワモノよぉっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「というお話さ」

「お父様、その“種馬伝説”をもっとお聞かせください!」

「ぱぱー、ままたちは待ってるあいだ、なにしてたのー?」

「華琳たちはひたすら蜀に兵を送ってたなぁ。君の母親の雪蓮もそれに協力してたみたい」

「でも蜀は負けなかったよねー♪ おっとー♪」

「ああ。なんでも“ご主人様がいてくださる限り、私たちは無敵です!!”って言ってたからね。

実際、あの霞が星に速さで負けたり、朱里が目から光線を出したり、桃香が春蘭を倒したりしてたし……。

あ、愛紗!」

 

 

「ご主人様、ここにおられたのですか♪ ずいぶん探しましたよ?」「おははうえー!(ぎゅっ」

「ははは、ごめんごめん。 子どもたちにお話しを聞かせてたんだ」

「ふふ……子どもたちのお世話を見てくれるのもよいですが、私たちのお世話もしてくださいね?」

「ああ、もちろんだよ」

「よいお返事です♪ 華琳殿がお呼びですよ」

「ん、じゃあ行ってくる」

 

 

 

―ちゅっ♪

 

 

「おははうえー! おちちうえのおはなしもっと聞かせてくださいー!」

「ははは、いいだろう。あの方との出会いは、そう……運命だったのだ――」

「「「わくわく♪」」」

 

 

 

 

 

 

 

三国統一〆(笑)

(このお話は本編とは関係ありません)


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
46
4

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択