ご注意
この小説は、恋姫の世界での自分の妄想を形にしたものです。
なので、キャラ崩壊、原作の世界観逸脱、等々あります。あと、ジャンプ漫画の設定がチョロチョロ出てきますので、不快に思われる方はダッシュで逃げてください。できれば、大海のような心と春の日差しのような目で見守っていただけると幸いです。
それではヨロシクお願いします。
「えっと…」
冷や汗を流しながら、後ずさる一刀。
「許可を得ず、その者の真名を呼ぶということが、どういうことか知っておろうな。」
星は槍を構える。
その瞳には怒りと殺意が宿っている。
「ま、まあ一応…でも、これには訳があって…」
昨日、一刀は風達と話した際、真名については聞いていた。
もちろん、その話を聞く以前から、知っていたのは言うまでもないが、
今回、星の真名を呼んでしまったのは、一刀の不注意に他ならなかった。
「さすがに、風達も擁護できないのですよ~。」
「昨日、強く念押ししていたのにも関わらず…、愚かとしか言いようがありませんね。」
風も稟も冷たい目をして一刀を見ている。
その間に星の槍は一刀をその射程にとらえていた。
「まず、どこで私の真名を知った?」
「いや、なんとなく勘で…。」
また、それかよ。
この前も言ったけど、言い訳がなっちゃいないっすよ。
「そうか、真面目に答える気もないということだな。ならば、いたしかたない。」
星が槍を握る手に力を入れる。
「…死ね。」
言うと同時に、足を踏み込んだ。
一刀は何とかその一撃を、横に転がるように避けた。
「ちょ、ちょっとマジで待って!!」
「今の一撃を避けるか。」
一刀の風貌からさほど武に長けていないだろうと無意識に加減された一撃ではあったが、
それを避けられたことに、星は驚く。
「ならば、少し本気で行かせてもらおう。」
ドドドドドド
次は連撃が一刀を襲う。
「くっ。」
『ヤベー、つい真名呼んじまった。でも、何とか避けられるな。
このまま、避け続けて、武器を奪って、話を聞いてもらえる状況にしないと…。
あっ、星は石鹸の香りだ。』
こんな時でもそれですか。もはや呆れを通り越して、尊敬の眼差しで見てしまうよ。
と、意外と、余裕がある一刀ではあったが
ザシュッ
星の匂いに気をとられ、少し回避が遅れた一刀の左腕を、槍がかすめた。
大きな傷ではないが、そこからは、血が流れ始めた。
「ぐっ!!」
一刀は、腕を押さえた。
その手には血がべっとりと付いていた。
「ハア、ハア、ハア、ハア、ハア」
その血を見た途端、一刀の息は荒くなり、体中から冷や汗が噴き出た。
「おや、槍で傷つけられるのは、初めてですかな?顔が真っ青ですぞ。」
星が槍を構えながらゆっくりと近づいてくる。
「ううっ。」
『ああ~、気持ち悪い。吐きそう。なんだこれ、目の前がチカチカする。これが走馬灯なのか?』
違うから、それ単に気が弱いだけだから。
「それでは、終わりですな。」
「っく」
死を意識したその瞬間、一刀の中で何かがはじけた。
『ど、童貞のまま、「死ねるかあああああああああああああああ!!!!!」
それは一刀の魂の叫びであった。
「ほう、無礼にも真名を呼んだと思えば、今度はそれで抵抗するのか。」
一刀の手には千本桜が握られていた。
「ハア、ハア、そう…しないと、話を聞いて…貰えないんだろう?」
『さっき、風も言ってたとおり、ここじゃ、力を見せないと始まらない。』
「では力づくで私にその話とやらを聞かせてみせろ!」
星の槍が一刀の心臓を狙う。
「…散れ…千本桜。」
刀からは溢れだした花弁は一刀を覆い、放たれた星の一撃をはじき返す。
「な、なに?」
「うらああああああああああああああ!!!」
力任せに一刀は桃色の気を帯びた刀を振り下ろす。
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!
星は槍でその一撃を受けとめようとするが、あまりの圧に危険を感じ、
体をひねることでその力の塊を何とかかわした。
「こんなことが…あるのか?」
一刀の火事場のくそ力的な一撃を受けとめよとした星の槍は先端から中程までが粉々になっていた。
「まさか、お主がここまでやるとは…。」
星が見下ろした一刀は気を失って、倒れていた。
「う~ん」
『どこだここは?』
「おう、ようやく起きましたね~」
「えっと、確かオレ…。いてぇ。」
傷を負った左腕には包帯が巻かれていた。
「お兄さんはうっかり、星ちゃんの真名を呼んで、殺されかけたのですよ~。」
「そうか」
『ああ~、何とか生きてた。よかった、童貞のまま死んだら、死んでも死にきれんからな。
今回ばかりは童貞に感謝だな。』
「とにかく、外に出て下さいね~」
そう言って、風はテントの外へ出た。
一刀もそれに続く。
外に出ててみると、日が傾きかけており、
一刀が眠っている間にいくらかの時間が過ぎたということが解る。
そして、目の前では稟と星が笑いながら、話をしていた。
ん?なんかこの辺寒いぞ、なんでだろ?
「おや、起きたようですな。」
「全く、その程度で気絶するとは情けない。」
「いや、まあ。」
『情けないって、こっちは初めてだぞ。戦闘バージンだったんだぞ、それを槍で突かれてみろ。
立ってられるわけないだろが。っていうか…』
「なんで趙雲さん、そんなに落ちついてるの?」
『さっき、殺そうとしたくせに!!むりやり奪ったくせに!!』
「おや、真名だけでなく私の姓名もご存じとは…。いやはや、どこからお話すればよいものか。
実はこの趙子龍、元々そこの二人とは知りあいなのですよ。」
「はい?」
そこから、一刀は三人のいきさつを聞いた。
旅の途中で三人は出会い、星は道中風と稟の護衛的な立場だったという。
森の中で、二人が一刀に出会った時、星だけは物陰に隠れていたとのことだった。
「なんで、そんなめんどくさいことをしたんだよ?」
と一刀が尋ねれば、弱そうな男を怯えさせ無いためだという。
一刀の持つ見たこともない道具について、どうしても話を聞きたかった稟と、
一刀を天の御使いだと思っている風は一刀をビビらせて逃げられては都合が悪いということで、
星は離れて待機をしていたらしい。
「いや、べつにビビらんでしょ?」
「お主はそう言うが、道中私の槍と風貌を見て、逃げ出す男がかなりいたのですぞ。
全く、このような美女をつかまえて、失礼極まりないことではないか。」
「なるほどね。」
『まあたぶん、星に色目使って、睨まれた男がかなりいたってことだな。
そんなに胸開いてたら見るっつーの。男は本能の奴隷だっつーの。
これだから規格外のキャラは困るんだよ。
自分の目線がどれほど凄まじいものか理解してないんだから。
まあ、オレがMならご褒美なんだろうけど、残念ながら違うからなあ。』
「それで、折を見て姿を現そうということになっていたのに、
風も稟も全く呼んでくれないのですぞ。
そこで夜、お主が寝た後で風と稟に話をしようと思っていれば、
お主はブツブツ言いながら、一睡もせずに何やら書き物をしていたのでそれも叶わず。
朝になれば、仲好く三人で飯を食い始めるし、完全に出る機会を失ってしまったのだ。」
「そっか」
『なんかちょっと可哀想だな。星ってこんなキャラだっけ?
これじゃまるで、白い馬の人じゃないか』
「そして、森を抜けてお主が「二人は強いのか?」というような話をしだしたとき、これだ!!
と思い、満を持して姿を現してみれば、いきなり真名を呼ばれるという屈辱!!
一体、私が何をしたというのか!!」
星のボンテー…ボルテージが上がってきた。
「まったく、華蝶仮面になってみれば鼻血メガネからは変態だと罵られ、
ラーメンにメンマをすこ~し多めに入れて食べていれば、
あいつはバカ舌だと鼻血百合ボケに陰口をたたかれ…うんぬん…かんぬん…。」
どうやら、かなりストレスが溜まっていたようだ。
主に稟に対して…。
「とにかく、そんなこんなでお主に槍を向けたのだ。申し訳なかった。」
「いやいや、いきなり真名を呼んだオレが、全面的に悪い。
確かに真名の重要性についてはすべて理解できているわけではないけど、
殺されても仕方ないことなんだろ?だから、本当に申し訳ありませんでした。」
『やっぱ、この星はちょいキャラが崩壊してるな。それより、星と稟って仲悪いのか?
これは、二次元では解らなかったな。
これから、色々と女のいやなところを見せつけられたりすんのかな~。
月や明命が腹黒かったらオレは死ぬぞ。』
と一刀は頭を下げた。
「いや、もういいので頭を上げてくだされ。」
「ああ」
そういって一刀は頭をあげる。
「ところで、どうして私の姓名どころか真名までご存じだったのか、お聞かせ願いたいのだが?」
「えっと、それは…。風と郭嘉には話したけど、
オレの居た世界では、今この世界で起きていることが凄く昔のこととして記録されているんだ。
その記録の中の登場人物で、趙雲は凄く有名なんだよ。」
「ほう、それは稟よりもか?」
星はニヤリとしながら尋ねる。
「そうだね、それはもう。天と地ほど差があるかな。」
『真名呼んじゃったし、これくらいゴマすってもいいだろう。
まあ、郭嘉とはこの先おさらばだし。
実際、会ってみると星はスゲぇ美人だし、胸もいい感じだし。
仲良くなっておいて損はないな。ランクBにクラスチェンジだ。』
ゲスいゲスいよ。一刀君。
「そうであろう。そうであろう。」
星は笑いながら横目で稟を見る。
凛はいつものクールな顔を崩していないが、
目が、いつもより20℃ほど冷たく見えるのは気のせいだろうか?
やはりここ、寒いです。
「ということで、趙雲の事を知っていたんだ。」
「ちょっと、待ってください、お兄さん。」
風が会話に入ってくる。
「星ちゃんを知っていたことまでは、理解ができますが、
それでは真名を知っていることについての説明になってませんよ~。
確かお兄さんの世界には真名が無いのですよね?」
「う~ん。まあこれは、天の御使いの力ってことにしといてもらえないかな。
別に、知っていたとしても呼ばなきゃ問題ないんだろ?」
『さすがに、あんたらはゲーム内のヒロインで、
オレはそれをクリアしたユーザーとはとても言えんでしょ。
しかも、18禁ゲームだって知ったら、なんて言われるか。
この蛆虫チ○コホウケイインキンクソヤローくらい言われかねん。』
「呼んでしまったから、聞いてるんですよ~。この蛆虫チ○コホウケイインキンクソ童貞ヤロー。」
「ぐあ!!」
『いきなり呼ばれるとは、風、恐るべし。しかも、想像をこえてくるとは。』
「まあ、今後、気を付けるんで頼むよ。」
「まあ、それならそれでいいです。ほんと~に気を付けてくださいね~。」
「了解。」
「しかし、名前のことはいいとしても、私と曲がりなりにも戦えるとは、驚きでしたぞ。」
「確かに、最後の一撃は当たっていたら確実にあの世逝きでしたしね。」
稟の棘のある言葉が宙に舞った。
「そうですな。」ギリッ。
『うわ~。なにこの冷戦状態。
あっ!!星の唇から血が!!どうなってんの?助けて風。怖いです。』
「はいはい、ふたりともそのへんで~。で、一体あの力は何なのですか?」
「あ、ああ、最後の桃色の花弁はこの世界の“気”と同じものだよ。趙雲も使えるだろ?」
「確かに、私は“気”を武器に纏わせて戦いますが、
あのように具現化したモノを見るのは初めてですな。それは、天の世界の力なのですかな?」
「いや、天の世界でも、あんなのは無いよ。
あれは、この世界に来ると同時に身についていたんだ。」
『ホントは用紙に書いて申請したんだけどね。』
「それは興味深いですな。後ほど、もう一度見せていただけますかな?」
「それは、もちろん。」
「しかし、血を見て青ざめるなんて軟弱にも程がありますよ。」
「はは、面目ない。」
『うるせぇんだよ。お前も鼻血吹いていつも、気絶してんじゃねえか。
よーし決めた!!決めました。オレは星とお前の戦いになったら、全力で星を応援するぜ。
ついでに、魏もつぶしてやんよ。あっ、流琉と凪は別だけどな。』
「とにかく、趙雲もこの先一緒に旅をするってことでいいのかな?」
「ええ、よろしくお願いしますぞ。」
「それじゃあ、行こうか。」
と言って一刀は立ち上がる。
「ちょっと、お待ちくだされ。」
星が真剣な顔をして言う。
「なんでしょうか?」
『おっ、ここで真名を預けてくれるのか?なかなかいい流れだな。二人目ゲットだぜ。』
「私はまだ、天の料理を食べておりませんぞ。
稟には食べさせて、私には食べさせ無いなんていささか、納得がいきませんぞ。」
「そうだな、オレのせいでもう夕方だし、晩御飯にしようか?是非、作らさせてもらうよ。」
『そういや、ずっと隠れて見てたんだもんな。』
「それでは、この秘伝のメンマも食卓に並べてくだされ。」
そういって、おもむろに懐から小さな壺を取り出す。
「はは、趙雲はメンマが好きなんだな。了解。」
『うっ、この壺、人肌に温まってる。』
「…メンマバカ舌。」ボソッ
「ああん?」ギロッ
「もうやだ。」(泣)
寒い、寒いよ。ここ。
バナナで釘が打てちゃうよ。
今回ばかりは、一刀君に同情するよ。
踏ん張れ凡人。骨は拾ってあげるから…。
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一刀はなんだかんだでかなりハイスペック。
ということでただの凡人が外史へ行ってみました。
主人公の中身が凡人だとどうなってしまうのか?