No.197271

異世界冒険譚 もしも最初の世界が〇〇だったら? IS編

RYOさん

交通事故によって死んでしまった主人公。しかし、それは神の弟子が起こした事故だった!?主人公はなぜか神に謝られ、たくさんの世界へ冒険する……はずだったがなんと最初に来た世界は・・・・

これは異世界冒険譚のIFのお話

2011-01-22 22:12:34 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:5825   閲覧ユーザー数:5180

yukito side

 

「…………ぅ……」

 

視線を感じる。

俺の事を一挙手一投足見逃さないとでも言うような好奇の視線だ。

確かに俺は珍しい銀色の髪を持っているし、この場所には二人しかいない男だが、ここまで見られているとさすがにイラッとくるな。

 

俺は顔を幼馴染の方に向ける。

そこには白い制服を着た黒い髪の男が居た。

名前は織斑 一夏(おりむら いちか)。

一夏もこの空間に居心地の悪さを感じているらしい。

冷や汗をかいて、顔が強張っている。

 

おや? 誰かここに入ってきた。

薄い緑色の髪をした童顔の女性だ。更に童顔の割にはある一点が年相応に育っている。

 

彼女はこのクラスの担任なのだろうか?

 

「皆さん、入学おめでとう。私は副担任の山田 真耶です。」

 

副担任だったか。

彼女がそう名乗ると、黒板に(この世界に来ていつも思っていたんだがこの黒板に意味はあるのだろうか?)名前が表示される。

 

「…………」

 

皆、無反応。というよりほかの事が気になって副担任まで注目がいかないようだ。

 

「あっ……えぇ?」

 

ドンマイだ山田先生。

そう言えば山田先生と言えば忍たま乱太郎の山田先生だろ。果たしてこの学園に土井先生は居るのだろうか?

 

「ぁ……じゃ、じゃあ自己紹介をお願いします。えっと……出席番号順で……」

 

自己紹介か。メンドクサ。適当でいっか。

出席番号1番が立ち上がり自己紹介をする。

 

……ん? あれ? あそこに居るの箒じゃん。久しぶりだな~。あいつはまだ一夏に惚れ続けているんだろうか?

 

さて、みんなが自己紹介しているので俺も自己紹介といくか。

俺の名前は高科雪人(たかしな ゆきと)。

一度死んで神に新しい体を貰ってこの世界に来たトリッパーであり、ここ、IS学園に今年入学した1年生だ。

 

先ほどこの場所には俺と幼馴染の一夏の二人しか男が居ないといったことに対して説明をしよう。

まず、IS(インフィニット・ストラトス)についてだ。

ISは簡単に言えば身体装着型MSか?

体に装着して飛んだり跳ねたり殴ったり蹴ったり撃ったり斬ったりできる。

飛ぶとかなりのスピードが出てさらに戦闘機以上の機動が出来るため各国の抑止力が戦闘機などからISに移って行ったらしい。

 

一見素晴らしい性能を持っているISだが欠点がある。それは女性にしか起動できない事だ。

何故かは知らないが男性が起動しようと思ってもうんともすんともいかない。

YだかXだかの染色体に反応するように作られているんだろうか? 開発者は何がしたいんだ?

 

話が逸れたな。ここ、IS学園はISの操縦者育成用の国立高等学校だ。

もうお分かりいただけるだろうか? つまりこの学園には俺と一夏以外の男はほぼ居ない。

 

さて、なぜ俺がここに居るか理由を説明しよう。その理由は……

 

「織斑君? 織斑一夏君?」

 

「あっ…は、はい!」

 

……こいつが理由だ。

俺が神に頼んでリリカルなのはの世界に送ってもらおうとしたんだが、違う世界だった。

神がやった事だから何か理由があるかな? と思って最初に居た街に住み着いた。

学校で一夏に会って見ているうちに俺は気づいた。

 

こいつ……主人公だ……と。

 

いつも一夏を中心に話が廻っているような気がしたし女の子がいつも近くに居た。

これで主人公じゃなかったら転生者か何かだろ。

話を聞いていたところ転生者じゃないみたいだし。

 

一夏が主人公なら何かに巻き込まれるんだろうなと思って事あるごとに一夏について回った。

そして、高校の試験会場で一夏と俺はISを起動させた。

 

男がISを発動させたという事で世界は俺達に注目した。

そして、あれよあれよという間にこの学園に入学させられていたと言うわけだ。

 

「高科 雪人君。」

 

そして現在のこの状況に至った訳だ。

 

「はい。ってあれ? 千冬さんじゃないですか。ここの教師だったんですか?」

 

「さっき自己紹介をしたはずだが? それと学校では織斑先生だ。」

 

「はい。解りました。…千冬さんwww」

 

――ぼこっ!

 

「痛い! 殴ったね? 親父にもぶたれた事無いのに!」

 

――ガン!

 

痛い! さっきより強く殴られた!

 

「すいません。織斑先生。」

 

そんなこんなで俺の自己紹介は終わった。

 

 

休み時間。

俺はゲームをしながら時間を潰そうとしていた。

 

「な、なあ雪。」

 

「なんだ? 一夏。」

 

「何とかしてくれないか?」

 

一夏が懇願するように言ってきた。

 

「何とかしてくれというのはゲームの攻略か? それとも織斑先生の暴力か?」

 

「どっちも違う。この状況をだ。」

 

「女子に噂や好奇の視線で見られている事か? 諦めろ。女子は噂が大好きだからな。」

 

一夏が俺に何かを言おうとしたところで誰かから声がかかった。

 

「ちょっと良いか?」

 

「え?」

 

箒が一夏に声をかけてきた。

一言二言話して一夏と箒は教室から出て行ってしまった。

何か話があるんだろうけど箒が昔のままだったら、きっと一夏が一方的に喋って終わりだろ。

 

さて、一夏が教室から出て行ったから視線が俺に集まりまくりだ。外に出てゆっくりしよ。

 

俺は次の授業まで教室の外で時間を潰した。

 

 

次の授業が終わる。

 

ふむ、何とかついていけたな。

あの分厚い本を暗記したかいがあった。

 

「高科君、何かありますか?」

 

「無いです。あの分厚い本をひいこら言いながら暗記してきたので。」

 

「ふふっ……そうですか。織斑君、何かありますか?」

 

「がぁ! えっと……」

 

ん? ……おい。こいつまさか……

 

「先生。」

 

「はい! 織斑君!」

 

「殆ど全部わかりません(涙)」

 

やっぱり~~~!

 

「え!? 全部ですか!? 今の段階で分からない人はどの位いますか?」

 

「…………」

 

誰も手を上げない。

 

「織斑。入学前の参考書は読んだか?」

 

「えっと……あ、あの分厚いやつですか?」

 

「そうだ。必読と書いてあっただろう。」

 

「いやー間違えて捨てました。」

 

――スパーン!

 

一夏が千冬さんにひっぱたかれた。生徒名簿らしきもので殴るとは……さすが千冬さん教師の風上にも置けん。どっちかっていうと教官だな。

 

「後で再発行してやるから。1週間以内に覚えろ良いな。」

 

優しいな。皆覚えているんだから。3日とかで覚えないと授業も進まないと思うんだが。

 

「いや……一週間であの厚さはちょっと!」

 

まあ、実際キツイよな。でも一夏くん。君がいけないのだよ。

 

「やれと言っている。」

 

怖っ!?

 

「うっ……はい…やります。」

 

一夏はがっくりとうなだれる。がんばれ一夏。

 

その後、何事もなく授業は進んだ。

 

 

休み時間。

 

俺が一夏と話していると声がかかった。

 

「ちょっとよろしくて?」

 

「あ?」

 

「ん?」

 

いきなりかけられた声に俺と一夏は気の抜けた返事をした。

 

「まあ! なんですの? そのお返事!」

 

いきなり声をかけてきたそいつはいきなり説教みたいなものをし始めた。

 

「わたくしに話し掛けられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるのではないかしら。」

 

うわっ! メンドクサ。俺、こういう奴嫌いなんだよね。

ISがあるせいで女尊男卑の世界ってのは解ってるけどさ。

 

「そうか……あふぅ……それは光栄だな。」

 

ちっとも光栄と思っていないので俺は欠伸をしながら答える。

 

「なっ!? ちょっと貴方!」

 

「ああ。すまない。昨日は夜更かしをしていてな。」

 

無論嘘だが。

 

「それで君は……確かアイネ・クライネ・ナハトムジークさん。」

 

「そうなのか。じゃあどうしたんだ? ナハトムジークさん。」

 

「ぶふっ。」

 

ちょっ、一夏www素で言わないでくれwww危なくポーカーフェイスが崩れる所だった。

 

「私の名前はセシリア・オルコットですわ! それに貴方! 今、笑いましたわね!?」

 

セシリア・オルコットさんは俺を指さして怒鳴る。

 

「いや。笑ってなどいない。……ぶふっ。」

 

「今! 今、笑いましたわ!」

 

「ああ、君が思えばそうなのかもしれない。」

 

「貴方ね!」

 

「おい、雪。気に入らないからって言いすぎだぞ。」

 

一夏の方を向くと一夏が俺を少し睨んでいた。

 

「む……」

 

確かにちょっとからかいすぎたか。面白そうだったからつい……

 

「すまない。初対面の人間にする言動ではなかった。」

 

俺は頭を下げて言う。

 

「う……ま、まあ、わたくしは心が広いので許して差し上げますわ!」

 

「ああ、ありがとう。」

 

「それで、セシリアさんは何の用があるんだ?」

 

「ああ、そうですわ! 貴方!」

 

一夏を指さして言う。

 

「俺か?」

 

「そう、貴方ですわ。貴方、何も知らないのによくこの学園に入れましたわね?世界で二人だけ男でISを操縦出来ると聞いていましたけど、期待外れでしたわね。」

 

……やっぱり気に食わないな。

 

「俺に何かを期待されても、困るんだが……」

 

「ふん。まあでも、わたくしは優秀ですから貴方のような人間にも優しくしてさしあげますわよ。分からない事があればまあ……泣いて頼まれたら教えて差し上げてもよくってよ? 何せわたくし、入試で唯一教官を倒したエリート中のエリートですから!」

 

「あれ? 俺も倒したぞ? 教官。」

 

「はあ!?」

 

「あ、俺も倒した。」

 

「なっ!?」

 

セシリアさんは驚いている。

 

「倒したっていうか……いきなり突っ込んできたのを躱したら壁にぶつかって動かなくなったんだけど。」

 

「俺は普通に倒せたぞ?」

 

同じ条件だったし、油断してたのか動きが直線的だったからな。

 

「……わ、わたくしだけと聞きましたが……」

 

「女子ではって落ちじゃないのか?」

 

「もしかしたら教官が負けた事実を隠してたりして。」

 

なんかプライドが高そうな人だったし。

 

「貴方達!貴方達も教官を倒したっていうの!?」

 

「え~っと落ち着けよ。な?」

 

「こ、これが落ち着いていられ……」

 

――キーンコーンカーンコーン

 

セシリアさんがさらに怒鳴ろうとした時、鐘が鳴った。

 

「話の続きはまた改めて。」

 

そう言ってセシリアさんは去って行った。

 

 

授業が終わり、寮に着く。

ここが今日から俺が住む場所か。

 

「お、ここだ。」

 

一夏が部屋の前で止まる。

1025号室か。

 

俺の部屋はもうちょっと先だな。

 

「じゃあな、一夏。後で俺の部屋でゲームやろうぜ。」

 

「おう。」

 

そう言って一夏は部屋に入っていった。

 

俺はそのまま廊下を進む。すると……

 

「うわぁああ!」

 

男の悲鳴が聞こえてきた。

ここに居る男は一夏しかいないはず。

一夏は世界的に見て重要人物。そしてISを動かせる男。いつ襲われてもおかしくはない。

 

急がなくては!

 

俺は気を解放して縮地で来た道を戻る。

 

「居た!」

 

一夏が部屋の前のドアでドアを突き抜けて攻撃してくる木刀を躱し続けている。

 

俺は一夏を抱えドアから離れる。

 

「大丈夫か! 一夏!」

 

「あ、ああ。」

 

ほっ。無事だったか。

 

「なになに?」

 

「あっ! 織斑君だ!」

 

「高科君も!」

 

人が集まってきたか……

とりあえずいきなり命を狙われた一夏をここには置いておけない。もしかしたら他にもいるかも……

 

離れるか。

 

俺は縮地でその場を離れる。

 

後に残ったのは、

 

「あれ? 織斑君と高科君は?」

 

「あれ?いつの間に?」

 

俺たちの周りに居た野次馬と、

 

「一夏!?」

 

声がしなくなったので一夏が怪我をしたのではないかと心配になって出てきた箒だけだった。

 

 

「なるほどね。箒が……」

 

「ああ。」

 

俺は部屋に戻るとすぐに一夏に事情を聴いた。

 

箒の事だからたぶん見られて恥ずかしかったんだろうけど……箒が一夏を殺そうとしている可能性も捨てきれん。6年は人って言う存在には長すぎる。

 

「とりあえず、お前は今日はここに泊まっていけ。」

 

「え? 良いのか?」

 

「ああ、誰も部屋に入ってないみたいだし、もしまだ来てないだけだったら箒の部屋に行かせればいいだろう。それとも箒の部屋に行くか? 気まずいだけだと思うが?」

 

「う! ……ここに泊まらせてください。」

 

「おう。」

 

とりあえず今日は一夏を泊まらせた。

ちなみに同居人は居なかったようで一夏に不平不満を言われたが、知らんと言っておいた。

 

 

次の日。

 

一夏と朝食をとっていると箒が来て、一夏になぜ部屋に帰ってこなかったのかを聞いた。

 

「俺の部屋に泊まっていた。」

 

俺が箒にそう答える。

 

「雪人の部屋にか!?」

 

「ああ。」

 

「なら、連絡くらいくれても……」

 

「いくら幼馴染とはいえ部屋に入った人間を殺そうとするやつの部屋に友人を置いておけるわけないだろう。」

 

「う……」

 

箒はバツが悪そうに視線をそらす。

 

「まあ、お前の事だから理由は分かるが……」

 

「うぅ……」

 

「お前は手が出るのが欠点レベルだもんな。一夏がらみで。」

 

「う、うう、うるさい! 雪人はいつもいつも私に説教してばっかりだ!」

 

「その説教しても治らなかった癖をどうにかしてあげたいと思ってる幼馴染の俺にそれを言うのか? このままじゃお前の魅力は意中の人に伝わらないぞ?」

 

「ま、まあまあ。雪もあんまり言いすぎるなよ。それに、箒の好きな人も箒の魅力は分かってくれるって。」

 

その箒の好きな人がお前なんだが……まあいっか。

 

その後、千冬さんが来て俺達を急かしたので急いで朝食を片付けて学校に向かった。

 

 

「それでは、これより再来週行われるクラス対抗に出る代表者を決める。」

 

千冬さんが教壇に立って話し始めた。

 

「クラス代表者とは対抗戦だけでなく生徒会の会議や委員会の出席など、まあ、クラス長と考えて貰っていい。自薦他薦は問わない。誰か居ないか?」

 

うわ、メンドクサ。冗談じゃないよ。誰かやってくんないかな?

 

「はい。織斑君を推薦します。」

 

「え!?」

 

お、一夏か。悪いけど、ここは一夏にスケープゴートになってもらって……

 

「私は高科君を推薦します。」

 

「なっ!?」

 

俺も推薦だと!?

 

「他にはいないのか~? 居ないならこの二人のどちらかにやってもらうが?」

 

「ちょっとまて千冬さ「納得がいきませんわ!」……ん?」

 

俺と一夏が後ろを振り向くとセシリア・オルコットが立ち上がっていた。

 

「そのような選出は認められません!」

 

お、味方発見。もっと言ってやれ。

 

「男がクラス代表なんて良い恥さらしですわ!」

 

訂正、敵大発見。

 

「このセシリア・オルコットにそのような屈辱を1年間味わえとおっしゃるのですか!? 大体! 文化としても後進的な国に暮らさなきゃいけないこと自体、私にとっては耐え難い苦痛で……!」

 

あ? なんつったこいつ?

俺は日本には忠誠を誓ったり盲信もしてないけど自分の住んでいる国をバカにされれば腹も立つ。

 

「イギリスだって大してお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で何年覇者だよ。」

 

「それに最盛期は凄かったかもしれないが、今はただの島国。さらに独立した国に追い抜かれてるんじゃ笑い話にもならないよなwww」

 

「お、美味しい料理ならいっぱいありますわ! それに……」

 

「へえ。他の人種に比べて味を感じる神経が3、6割の人種の料理が? ああ、君にとっては美味しいのかwww」

 

「なっ…………け、決闘ですわ!」

 

「良いだろう。ちょうどお前が気に入らないと思ってたところだ。」

 

「奇遇ですわね! 私もあなたが気に入りませんわ!」

 

さて、決闘すると言ったが俺には能力がある。これを使えば、いや、これを使わなくても俺の圧勝だろう。鍛えてますから。

 

「さて、ハンデはどうする?」

 

俺に重りでもつけるか? それとも脚だけで戦うか?

そういうつもりで言ったのだが返ってきたのは気の抜けた反応だった。

 

「は?」

 

「だからハンデだ。……いらないのか?」

 

「「「あははははははっ。」」」

 

いきなり大爆笑された。なんだこれ?

 

「高科君。それ本気で言ってるの?」

 

「ああ。」

 

「男が女より強かったのってISが出来る前の話だよ?」

 

?なんで決闘でISの話が出てくるんだ?

 

ちょっと不思議に思って一夏に聞いてみた。

 

「なあ一夏。イギリスって決闘にIS使うのか? というかこいつらは男との決闘にISを使うのか?」

 

「さ、さあ?」

 

分からないよな~。一夏だし。

 

「むしろ私がハンデをつけなくていいのか、迷うくらいですわ。くすっ。日本の男子はジョークセンスがあるのね。」

 

こ、こいつ腹立つ。

 

「高科君、今からでも遅くないよ、ハンデ付けて貰ったら?」

 

ハンデなんぞ!……ハンデ? ティン!

 

「OKハンデをつけさせてもらうよ。」

 

「あらハンデをつけるのね?」

 

セシリア俺を小馬鹿にしながら言う。

 

「ああ。でもそれだと君が不利になりすぎるから俺もハンデをつける。多分これでイーブンになる筈だ。」

 

「そうですか。分かりましたわ。それでよろしくてよ。」

 

「話は纏まったな? それでは勝負は次の月曜。第3アリーナで行う。高科とオルコットはそれぞれ準備をしておくように。」

 

そう言われると、俺はほくそ笑む。……勝った。

 

side out

 

itika side

 

俺の目の前で雪がにやりと笑う。

うげっ、あの顔は雪が悪だくみを考え付いた顔だ。

……今からセシリアさんに黙祷をささげておこう。

 

side out

 

 

yukito side

 

次の月曜日。俺はアリーナの選手控室に来ていた。

 

「これがお前のIS打鉄(うちがね)だ。」

 

そこには黒色のISが鎮座していた。

 

「これが俺のISか。う~ん黒いからダークヒーローっぽくてグレイト。」

 

でも訓練機か~。仕方ないか。

 

「では装着しろ。」

 

「え?」

 

俺は呆けて見せた。

 

「は?」

 

「へ?」

 

千冬さんも山田先生も呆けた。

 

「何言ってるんですか? 先生。」

 

「何って装着を……」

 

「俺は生身でやるんですよ?」

 

「ええっ!? ISと生身でですか!?」

 

「……なるほど。ハンデという訳か。」

 

あらら。さすがに付き合いが長い千冬さんには分かっちゃったか。

 

「そういう事。じゃあ、行ってきます。」

 

俺はそう言ってISが発進するところから飛び立つ。一瞬の浮遊感。そしてどんどん地面に近づいていき着地した。

 

「さて、じゃあ始めようか。」

 

俺は上に居るセシリアに話し掛ける。

セシリアは俺を驚きの目で見つめている。

 

「貴方……今の高さから落ちて大丈夫なんですの?」

 

「ああ、小さいころから体は頑丈なんでね。」

 

「まあ、良いですわ。早くISを展開しなさい。そのくらいの時間ならあげましてよ?」

 

「いや、その前に降りてきてくれないか?」

 

「は? 何故ですの?」

 

「ハンデについて話があるんだ。上向いて話すと疲れるからさっさと降りてきてくれ。」

 

「ふぅ、わかりましたわ。まったく、日本の男性というのは……」

 

セシリアが何やら言っているが聞こえません。

セシリアが着地する。

 

「じゃあ、ハンデについてだけど。」

 

「ええ。」

 

「IS。待機状態に戻して肌から外してくれる?」

 

「なっ!?」

 

「早くしてくれよ。アリーナの使用時間は限られているんだからさ。」

 

「貴方! まさかISを使っていない私にISで戦おうというんじゃありませんわよね!?」

 

「そんな訳無いだろ? ほら。俺もISは持っていない。」

 

「……信用なりませんわ。」

 

「あっれ~? もしかして、IS無いと男に勝てないの? 嘘でしょ~? そう言えば男が女より強いのはISが出来る前までだったっけ?」

 

「くっ、良いですわ。やってやろうじゃありませんの!」

 

おい。お嬢様言葉が崩れてるぞ。

 

「ああ、それとほら。」

 

俺はセシリアに竹刀を差し出す。

 

「これは?」

 

「俺の分のハンデ。俺は素手、お前は竹刀。これでイーブンじゃないか? 決闘は相手に一撃を入れた方の勝ちという事で。」

 

「分かりましたわ。」

 

「じゃあ、織斑先生に試合開始のゴングを鳴らしてもらうとするか。織斑せんせー!」

 

『では、両者構えろ。』

 

俺達は構える。

 

『始め!』

 

「「はあああああ!」」

 

 

次の日。

 

「雪人さん! おはようございます。」

 

「ああ、おは……よ……う?」

 

「どうかしましたの? 雪人さん?」

 

「いや、お前、なんで俺の名前……」

 

「セシリアと呼んでくださって?」

 

「あ、ああ……セシリア。」

 

「はい! 雪人さん!」

 

笑顔がまぶしい。

 

それにしても……

 

俺はセシリアの方を向く。ニコニコしている。

 

どうしてこうなった/(^o^)\

 

 

あとがき

 

祝アニメ化! という事で書いてみましたインフィニット・ストラトス!

 

と言っても俺はISの本読んでないのですが……アニメを見て面白そうだと思ったので書いてみました。

 

ちょっとアンチが混じっていますが、そこはスルーで。

 

ちなみに私はイギリスが嫌いなわけでも、男尊女卑じゃなきゃ嫌だとかそう言う思考ではないので

 

ちょっとおかしいんじゃない?ってところに突っ込みを入れただけなので。

 

さて、今回のお話は楽しんで頂けたでしょうか?

 

次回も楽しんで頂ければ幸いです。

 

それではまた次回。バイバーイ!


 
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