No.194488

真・恋姫†無双〜虚像の外史☆三国志演義〜(蜀編)

アインさん

前回のお話
袁紹から董卓を倒すために力を貸してほしいという書状が劉備に届く。
しかし、劉備はこの世界での董卓を倒すべきなのか悩んでしまう。その直後、孔明と鳳統が仲間になる。
矛盾した世界に戸惑いながらも劉備は連合軍に参加するのだった。

2011-01-07 12:16:17 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:1572   閲覧ユーザー数:1425

―――連合軍、劉備・陣営。

 

数分後、軍議に参加した劉備と孔明が陣営に帰ってきた。

「お疲れ様です兄者。……それで軍議の方はどうなったのですか?」

 笑顔で出迎えてくれる関羽達だが、一方の参加した二人の顔は暗かった。

「特に何もありませんでした、としか言い様無いですねぇ~……」

「にゃ? どういうこと―?」

 孔明の言っている事がわからなかった張飛は孔明に尋ねる。

「総大将である袁紹さんが、色々と好き勝手言ったりするのでみなさん呆れて解散してしまったんです」

「な……ふざけているのですかっ! それでは戦いようが無いではありませんかっ!」

 当然ながら関羽は激怒するが、終わってしまったことにどうしようもないために”すまない愛紗”と劉備が頭を下げることなる。

「あ……いえ、すみません」

 こちらも当然ながら関羽は、何も悪くない劉備に頭を下げさせたことを詫びた。

「愛紗さんが怒りたい気持ちも分かります……でも、とりあえず董卓軍の様子を探るために、速くて機転の利く人を何人か間者として放ちましょう」

「間者はどこに放つのだ朱里?」

「汜水関は以前、黄巾党との戦いで崩壊してしまったらしく拠点として使うとは思えませんので、虎牢関です鈴々ちゃん。 ……砦の内部に侵入するのは難しいと思いますけど、高地より遠望することは出来るでしょうから」

「それで何かわかるといいね―」

 ここに至るまでほとんど董卓軍の情報が無いことを不安に思い、頭を付き合わせて何かをしようとしてする孔明。

「………」

 その一方で、劉備は再び気難しい顔をしていた。

(汜水関が黄巾党に落とされた……?)

 劉備の知る三国志とは違う未知の歴史。

「………」

 しかし自身に逃げる選択はない。

 それを知る劉備は、ただ突き進むことを思う。

第三話

 

『異変』

 間者から入って来た報告は驚くべきものだった。

 虎牢関が無人だったのだ。中は呂布どころかネコの子一匹いなかったらしい。

 一瞬、都に立てこもって本土決戦したいのでは……? とも考えられたが呂布も張遼も健在な現状、虎牢関を捨てる価値はどこにもない。

 それに都での籠城戦となると、民にも心を配らねばならないので、それをするくらいなら、兵しかいない砦で籠城した方がはるかに負担が少ないはずだ。

 もちろん董卓が民の事など考えない暴虐者なら話は別だが……。

 それでも、全く戦闘がないというのはおかしかった。

 そしてその謎は洛陽に着いて納得する。

「黄巾党が洛陽を落としただと?」

 関羽はもちろん、劉備も張飛達さえもその報告に驚いた。

「……確かに洛陽が落とされてしまっているのなら、虎牢関に兵がいないのは納得は出来るが……」

 関羽の疑問もわかる。

 黄巾党の首領の張三姉妹は自分達の仲間になってくれているし、偽張角も曹操に倒されたはず。ましてや生き残った黄巾党達が全戦力で洛陽を襲撃した所で、あの呂布や張遼が倒されるなんて考えられなかった。

「それで洛陽を襲った黄巾党達はどうしたんだ?」

「それが……消えてしまったんです」

「なっ!? 消えた!?」

 愛紗の顔が真っ赤なり、少し怖がっているような顔つきなる。

「はい。洛陽に住んでいる村人達のお話では、董卓さんやその仲間を倒した後、まるで幽霊かのようにス――ッと……」

「きゃぁぁぁ――っ!!」

 朱里の恨めしそうな顔が愛紗を襲い、愛紗は気を失ってしまった。

「………はは」

 劉備はそんな怖がる愛紗を他のみんなと一緒に笑いながらも心の中では困惑していた。

(……呂布などが黄巾党に倒されるだって。そんなこと……)

 ありえるはずはないっと信じたいが、すでにここに至るまでに信じられない現象はいくつも起きている。

 もはや『ありえないなんて、ありえない』かもしれない。

「………」

 劉備は董卓の顔を思い返す。

 董卓もまた関羽達と同じ女性。

「………」

 そして劉備が男だからかもしれないが、涙が流れる。

「兄者?」

 心配してくれる関羽。

「……なんでもない」

 劉備は涙を拭き、前を向く。

 おそらくこの世界のほとんどの英雄達が女性だろう。そして彼女達は女としての生き方を捨てて戦場に出ているはず。

 なら歴史を知り、そして救うことが出来る力を持っている自分ならどうするべきだろうか。

「……俺は」

 劉備は決心する。

 この世界の戦争を終わらせ、彼女達が武器を持たせないような世界を作るべきだと。

 彼女は目を覚ますとと暗い部屋に閉じ込めらていることに気付いた。

 手足を動かそうとすると、鎖で縛られているためか動くことができない。

「な、んだ。ここは……私は」

 彼女は過去を思い返す。

 張遼達と別れた後、すぐに虎牢関へ行こうと兵を集めようと思って外に出た所は覚えている。

 しかしその後、意識がなくなりそのまま……。

「……君はこれから『別の世界』の主人公になる」

「な……に?」

 暗闇から声が聞こえた。

 だが暗くてどこにいるかはわからない。

「終焉の扉を開くためにはどうしても四つめの世界が必要なのだ。だから君には、その四つめの主人公になってもらう」

「だ、誰が……」

 意識が再び遠くなのるのを感じる彼女。

「君に拒否権はない。いや……そもそも人形である君に拒否自体存在しない」

「………一体、何が目的なんだ……」

 意識はそこで途切れた。

 しかし、彼はそのまま彼女の問いに答える。

「この世界での並行世界すべての北郷一刀を抹消するためだよ。華雄」

――――そして、何も知らぬ劉備は群雄割拠時代へと移る。


 
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