No.188154

真・恋姫✝無双 仙人で御遣い 43話

虎子さん

チョー久しぶりです。リアルに振り回されている虎子です。
待っていて下さった皆様、お待たせです。
初見様。是非、最初から読んでみて下さいね。

2010-12-05 18:59:29 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:4162   閲覧ユーザー数:3498

~孫堅軍本陣 雪蓮の天幕~

 

「雪蓮。『白虎』が到着したそうよ」

「ホントに!?」

冥琳の言葉に、雪蓮が嬉しそうに顔を緩ませる。

「ええ。明命から、たった今報告があったわ」

「へ~、元気にしてるかしら」

ニコニコしながら呟く雪蓮。

その雪蓮を呆れた様な顔で冥琳が溜息を吐く。

「雪蓮。一応訊くけれど、それは誰に対して言ったのかしら?」

「・・・え?」

首を傾げる雪蓮。

「あのね、普通は、潜伏任務をこなしてくれている親友の昴(すばる)のことを考えるのではないか?」

「うっ!」

冥琳の言葉に、顔が引き攣る雪蓮。

「しかし、どう見ても、あなたの顔は恋する何とやらの顔よ・・・ハァ」

溜息を吐かれた雪蓮は

「はははは・・・・・・」

笑うしかなかった。

 

 

 

~孫堅軍本陣 蓮華の天幕~

 

「やっと着いたのね」

「はい!只今、陣の構築をされております!」

蓮華に訊き返され、報告に来た明命が再度答える。

「そう。なら、そのことを他の将たちにも伝えてきて」

「はい!」

明命は、元気に返事をして、天幕を出て行った。

その背中が見えなくなると、蓮華は傍らに佇む思春に声を掛ける。

「だ、そうよ、思春?」

思春は、ニヤつく蓮華に声を掛けられ

「い、いえ、私は別に///」

目を閉じて難しい顔をして頬の熱さを隠そうとする。

「隠しても駄目よ、思春。今回の討伐に、バラバラにされていた私たちが招集されたとき、私よりも嬉しそうにしていたのは誰だったかしら?」

「そ、それ・・・は///」

「頑張ってね、思春」

蓮華は、ますます頬染める思春に余裕そうに笑顔でそう声を掛ける。

しかし、内心では

(思春を、こんな風にした“天の御遣い”。どんな男か、見極めてみせるわ)

御遣いである豪臣に対する好奇心と警戒心が入り混じった、なかなかの興奮状態だった。

 

 

 

~劉備軍~

 

『白虎』の到着に、桃香を始め愛紗、鈴々は、その心強さに喜びを感じていた。

しかし、若干気まずい思いをしている者が居た。

 

 

【視点・雛里】

 

「ねぇ、雛里ちゃん、大丈夫?」

「・・・うん。大丈夫」

朱里ちゃんは声を潜めて話し掛けてきた。

私は頷くけど、顔に沈んだ自分の気持ちが出ていた様です。

朱里ちゃんも、私の顔を見て表情に多少の陰りが見えます。

『白虎』到着の情報が私たちの耳に入って以来、こんな状態が続いています。

桃香様たちの前では、表に出さない様にしているものの、二人きりになると豪臣さんに言われたことを考えてしまう。

私たちの主君・劉玄徳の大望を“夢”、その言動を“自覚と覚悟の無い正義を悪と呼ぶ”と言われてしまった。

実際には、そうならないように、と豪臣さんに注意をされたのですが、私にとってこの言葉は衝撃的でした。

桃香様の考える平和は“綺麗で優しく温かい”皆の希望となるものだった。しかし、豪臣さんの言葉で、桃香様の考えはどこまでが“皆”で、どこからが“皆以外”なのか、という疑問と、“皆以外”要らないのか、という二つの疑問があることに気付かされてしまいました。

どんなに綺麗な言葉で塗り固めても、自分たちのやっていることは弱者を助けるために弱者を虐げる行為であることを。助けるということは、助けないということ。桃香様や愛紗さんは、理解していないのか気付かない様にしているのか、そのことを失念しています。

私はといえば、そんなことは最初から理解していたことでした。太平を目指すのならば強者として弱者を守り助けるだけでなく、力を見せて縛り虐げることも必要であるということを。

ですが、大義を掲げる桃香様の下に集い語らい戦っていく内に、桃香が想うこと、つまり“上も下も無く、皆が手を繋いでいける世”を願ってしまい、桃香様の思いは無条件で正しいこととしていました。

豪臣さんと話した時、私は“夢”の象徴たる桃香様の思想を否定され、豪臣さんに反抗しました。しかし、陣に戻って冷静になって考えると、自分自身が危険な考えをしていたのではないかと言う危機感に駆られました。

確かに、何かしらに対して思いを一つにしていくことは大事です。でも、自分たちのしていることを綺麗な言葉で覆い隠していては、それを指摘されたとき、新参の私でも動転してしまったのに、果して桃香様や愛紗さんが正気でいられるかどうか・・・

(いえ。そうならない様にと、豪臣さんが助言をして下さったんです)

私は、こう考えるが、未だにこの助言にどういう答えを出すか、考えあぐねています。

しかし、一つだけはっきりとしていることがあります。

(確かに桃香様の思想は、理想や夢であって現実的な目標とはなり得ない)

でも

(だからこそ私は、私たちは一丸となって、この大きな“夢”に一歩でも近づける様に桃香様を支えないといけないんでしゅ!!)

私は、沈んでいた気持ちを引き揚げて、朱里ちゃんの顔を見る。

「朱里ちゃん!」

「はわっ!」

「桃香様たちのところへ行こっ!」

「え?ひ、雛里ちゃん?もう・・・大丈夫?」

朱里ちゃんは、急に元気を出した私に驚いています。

(空元気だけど・・・)

「うん。今回の作戦を話し合わなきゃいけないでしょ?」

「う、うん。・・・そ、そうだね!行こう、雛里ちゃん!」

そう言って、朱里ちゃんは手を差し出してきたので

「うん!」

私は、元気よく答えてその手を握りました。

(今は、黄巾賊のことです!劉備軍は、まだまだ小さくて弱い。ここで功を立てないと)

私たちは、天幕を出て桃香様たちの元へ向かいました。

 

【視点・終】

 

 

 

~曹操軍~

 

豪臣たち『白虎』の到着の報を聞き、華琳は夏候姉妹と桂花を自分の天幕に呼びつけた。

「天の御遣いが率いる『白虎』が到着したわ。これから、会いに行こうと思うのだけれど、何か意見は無いかしら?」

華琳の言葉に春蘭が

「はい!どんなことがあっても、私の大剣でたたっ切ってやります!」

頓珍漢なことを言う。

「ハァ、もう黙ってなさいよ、この脳筋は」

桂花が溜息混じりで呟く。

幸い春蘭には聞こえていなかった様で、特に反応は無い。

「そう。頼りにしているわ」

華琳は、言っても無駄なことが分かっているので、敢えて流す。

春蘭は嬉しそうに返事をし、その妹は何かを呟きながら悦に浸っている。

桂花は、一度咳払いをして口を開く。

「華琳様がどうしても行かれるのでしたら、私も供として傍に」

「あら、珍しいわね?男のところに行くというのに、自分から付いて来るだなんて」

華琳は、一瞬驚くも、すぐにニヤ、と唇を釣り上げて「どう言うつもりかしら?」という眼で桂花を見る。

桂花は、華琳の視線に若干興奮しながら答える。

「天の御遣いには毛の先程の興味もありません。私が見たい物は『白虎』の兵と“深淵”です」

「なるほど。例の“深淵の天才軍師”を見定め様ということだな?」

桂花の答えを聞き、正気に戻った秋蘭が訊く。

「ええ。今後、対立した場合。最も知っておきたいことは相手の軍師の力量というか考え方よ。孫子じゃないけど、知っておけば対処はある程度出来るわ」

「敵を知り己を知れば百戦危うからず、ね。でも、桂花?まるで相手の方があなたよりも上の様な物言いね?」

華琳は、桂花に対して鋭い視線を送る。

しかし、桂花は冷静に

「相手を見縊れば痛い目に遭う。ただの道理です。華琳様の覇道のため、障害となり得る者のことは知っておくに越したことはありません」

華琳は満足そうに、そう、と言い、今度は秋蘭の顔を見る。

「秋蘭。この中で、御遣いにあったことがあるのはあなただけよ。前にも訊いたけれど、もう一度訊くわ。紫堂豪臣とは味方とすべきか否か。味方となればどの様な役目を負えるか。敵となればどの様な不利益を被るか。答えなさい」

「は!」

秋蘭は姿勢を正し答える。

「仲間に出来れば、必ずや我々の力となりえます。武は私と“互する”程でしょう。智に関しても、おそらくはそこらに居る文官よりは使えるでしょう。なにより『白虎』の将兵、特に間諜が手に入ります。しかし、逆に敵となれば、これ程までに厄介なの壁はありません」

「そう。あなたの意見は変わらないのね?」

華琳は、秋蘭を見据える。

「はい。あの男はそれほどの者です。出来るのであれば、敵対は避けるべきかと」

華琳は、秋蘭の言葉に眼で頷くと春蘭たちを見る。

「春蘭、桂花行くわよ。秋蘭は陣を任せるわ」

「「「ハッ!」」」

 

 

 

~曹操軍・本陣~

 

秋蘭は、華琳たちが去っていく姿を見ながら豪臣のことを考えていた。

(おそらく、豪臣とは敵対することはないだろう)

秋蘭は、凪たちと『白虎』に出会った戦いの後、陳留で季衣と流琉から豪臣の義妹であることを告げられていた。

(あれほどの間諜を持つのだ。季衣や流琉が華琳様の下に居ることくらい知っているだろう)

真名を預けた自分や凪だけでなく、義妹の季衣たちまで居るのだから、豪臣も邪険にはしないだろうし、華琳もそれを交渉の道具の一つにするだろう、というのが秋蘭の考えだった。

ただ、秋蘭はひとつ危惧することがあった。

秋蘭の私見では、豪臣は揶揄うことが好きな気があるように感じていた。

出会ったとき、秋蘭を指差し、視線を誘導して暗部隊員を見つけさせて驚かせたときのことだ。

(姉者が、熱くならなければ良いが・・・)

秋蘭は、そんな心配をしながらも、華琳様が居るから大丈夫だろう、と思い、自分の天幕へ向けて歩き出した。

 

 

しかし、秋蘭は一つ、重大なことを忘れていた。

 

そう。季衣たちから、自分たちが豪臣の義妹であると聞いたのは秋蘭ただ一人。

 

つまり、華琳たちはそのことを知らないのだ。

 

これが、後にどう響くのか、秋蘭は知らなかった。

 

 

 

あとがき

 

どうも、虎子です。

いや~、かなりのお久しです。

前の投稿から、どれぐらい経ったでしょう?

まぁ、仕事で、あんまりにも割に合わない給料なので辞めてやりましてねwww

あ、関係ないですねwww

 

では、作品の話です・・・

今回は雛里の葛藤と華琳との邂逅の前フリでした。

結局のところ、雛里は桃香を支えていくことを決意しています。

まぁ、ここで決別でもしたら物語が大変なことになりますしねwww

やっと、次回豪臣と華琳の対面です。

なんか起こりそうな?終わり方しましたね。

自分で書いておいてなんですが、どうしましょう(涙)

また、長考しそうですね~orz

 

次回投稿なのですが、今月中を目標に頑張ります。

 

作品への要望・指摘・質問と共に、誤字脱字等ありましたら、どんどんコメント下さい。

 

最後に、ご支援、コメントを下さった皆様。お気に入りにご登録して下さった皆様。

本当にありがとうございました。

 

ではでは、虎子でした。

 


 
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