No.187857

デペイズマン・シード 4th season;⑨

まさかのくぎゅー回その2なラスト一つ前。
何故なら普通の人と凡人は違うのだよ、的な意味話。
それにしてもアリサならGPSとかついてるだろ、とか今更ながら思わないでもない。
判ってるさ、判っていたんだ。それでも展開が全て(酷

2010-12-04 09:26:47 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2276   閲覧ユーザー数:2202

 

 

 

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「はやて?」

その部屋に下りた途端、覚えのある声にその名を問われ、彼女は一瞬その身を固くする。

見れば埃の積もった、かつてはオフィスとしてそれなりににぎわっただろう床の上に伏しているピンクのシフォンドレス姿の少女。

幾ら未だ幼い娘の身とはいえ、それは不安になる格好そのものだったが、、先ほどの声はしっかりしていたし、見ればドレスも「汚れている」ワケでもない。

床に接している部分は、絶望的だろうが。

 

「下が五月蝿いわね、あのこたち?」

 

うっつぶしたまま、少女・アリサがどこか途方にくれたように聞いてくる。

おそらく、止められなかった自分を悔いているのだろう。

そういう意味では至極真面目だが、決してそれは彼女の罪ではない。

それより、はやてはアリサの行動の意図を悟り、感心していた。

 

「聞いとるんや」

「他に手段がなかったからね。好きな体勢じゃないけど」

 

プライドの高い少女だ。

埃っぽい床に伏しているなど、好む好まないを越えて屈辱的ですらあるのだろう。

それでも優先すべきことは理解する。

アリサ・バニングスのプライドが、単なる横柄なものではない、それは証明だ。

 

「怪我はない?」

 

そんな彼女に近寄りながら、はやては見てわかることを改めて問う。

案の定「ないわよ」とさらっとした口調が応えた。

 

「まぁ、その、おつかれさん?」

 

他に上手いことばが出てこず、はやては自分でも的がずれているとしかいいようのない言葉を投げると、アリサは苦虫が口の中にいるような曖昧な言い方でそれに返す。

 

「さっきまでは平気だったわ。不運かつ大馬鹿な連中が、よりによってあの子に電話するまでは、ね」

「あはは」

 

細い少女の手首・足首に動きを封じるためにと撒かれたビニール紐を丁寧に紐解きながら、はやてはもう空笑うしかない。

自由になったからだに手を添え、起こす。

紅いあとを残すその手で、アリサは先ずその髪を整えようとする。

 

「ありがと、はやて。あぁもう髪がぐちゃぐちゃだわ。外歩きたくないわね」

「あとで梳いたるよ。アリサちゃんの髪は綺麗やから弄り甲斐がありそうや」

「折角のドレスもクリーニングだけどね、これじゃ。それよりもはやて。あんた車椅子は?まさか街中に放置とかないわよね?」

「あ、いや。えっといとこの兄ちゃんが持っててくれる、かな?」

 

空の車椅子を引く男子高校生二人。

・・・・・・・・・・怪しい。あやしすぎる。

 

(ごめん、太一兄…)

 

今更のようにいとこに心の内で謝罪していると、あきれたような友人の声。

 

「未だ当面はあんたの相棒でしょう?」

「せやなぁ。けどアリサちゃん助けに来たんやし、ちゃんと許してくれると思うで?相棒やから」

「まったく。その助けに来た、でここの連中は法より怖い目にあっているわけだけど」

 

どこはかとなく、目が泳いでいるのはおそらく仕様だろう。

こういう時に使っていい言葉かどうかは不明だが。

 

「まぁ法でも裁いてもらうからえぇやろ」

 

心神喪失状態って言われたら勝てない気もするけど。

と笑えないやりとりへのフォローのように携帯が鳴った。

魔法少女がそういうものを取り出すというのは少々ネタっぽいが、普通の人とのやりとりなのだから当然と言えばそうだ。

 

 「はやて、現状」

 

スピーカー設定にして聞こえる、挨拶も抜きにした短い問いはいとこのもの。

はやては端的にその問いに応じる。

 

「魔法少女無双実施中。ターゲットの無事は確認」

 「無事、の度合いは?」

「は?」

 

思わぬ切り替えしだった。

目を丸くする少女の脇で、当の彼女が冷静に眉を潜めた。

 

「……もう一度脅迫電話の途中で、ヒロインぶれるくらい、かしら?」

 「話が早くて都合がいいな。」

 

電話越し、ある意味で頭ごなしな物言いは非常にさばさばしていて、そういう意味では緊迫感はない。

それはとても、まっすぐした関係の成立。

苦労人引き受け同盟ともいう。自分たちで自覚してしまったら救いようがないが。

 

「わかるわよ、それくらい。連中を公式に逮捕したいなら、既成事実が必要だって」

 「あまり愉しい話じゃないけどな。わりぃ」

「いえ。まぁ私もあの子たちの暴走の尻拭いは仕事かって」

 「その年で悟るな、それを」

 

高校生に同情される小学生女子というのも珍しいが、下の階かもっと近い辺りからタイミングよく聞こえきた声がそれを助長していく。

不運にも、電話越しにも聞こえるくらい、綺麗ではっきりした、その声。

 

「ほら、もっと、もっと怖い思いしてよ!!

アリサちゃんを怖がらせたんだから!ソレくらい知らなきゃ、覚えなきゃ!!

知らなきゃまたやるでしょぅ?ごめんなさいは?ほら、きこえないよ!はっきり、ご・め・ん・な・さ・い・は?!!」

 

・・・・・・・・・・・・

 

「何か聞こえるんだけど」

「気のせいや」

 「あぁ、気のせいだろ」

 

 

 

 「じゃぁ今から君の携帯を使って、君の家に電話をかける」

「アリサよ」

 

話を切り替えて、だが譲れない部分ははっきりと少女が主張する。

電話越し、見知らぬ相手はだがその言葉に謝罪を乗せてくる。

 

 「あぁ、すまない、アリサ。脅迫声明はこちらで用意してある。

  まぁほぼ先ほどの奴らのものをサンプルにしてるんだがな」

「OK」

 

周囲を警戒しながら、一応防音用の結界(主に親友sの暴走音回避の為)を展開したはやてが冗談めかして、多分彼女の緊張を緩和するつもりで声をかけ。

 

「迫真の演技を期待するで」

「是非も無いわ」

 

アリサ・バニングスは力強い笑顔でそれに応えた。

 

 

 

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やっと、終るよ?多分。


 
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