No.184215

真・恋姫無双 魏end 凪の伝 23

北山秋三さん

真・恋姫無双の魏end後の二次創作SSになります。
凪すきーの凪すきーによる、自分の為のSSです。ご注意ください。

2010-11-13 06:28:20 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:4862   閲覧ユーザー数:3945

 

 

 

※この作品は魏endで一刀が"完全"に消滅した事を前提としているため、

 

記憶が戻るとかは無いので御容赦下さい。

 

後、オリジナル設定もあり、登場人物の行動や言動が原作と一致しない場合も

 

多々ございますので、その点も御容赦下さい。

 

 

 

生き残った『にゃあ黄巾党』の男達が悲鳴を上げながら逃げ出す。

 

だがあまりの爆発の大きさで目や耳がやられ、まともに走れるもの以外は次々と矢に射られていく。

 

一刀の計算ではこれで『にゃあ黄巾党』は約半分にまで減った筈だが、それは未だに五千人もの敵が

 

いるという事。

 

だが、それでいい────

 

一刀の真の狙い。

 

それは唯一つ。

 

『時間を稼ぐ事』

 

明日の昼までには建業から援軍が来るのでそれまで耐えればよかった。

 

援軍が来るのが昼頃ならば『にゃあ黄巾党』の部隊はおそらくそれより少し前に逃げ出す事になる。

 

例え村を攻め落とせたとしても、略奪している時間が無いのでは話にならないだろう。

 

それまでに少人数で出来る事・・・それは相手を混乱させる事。

 

多い人数はパニックになれば脆い。

 

戦おうとする者。逃げようとする者。留まろうとする者。それらがぶつかり合い衝突が起こる。

 

それをひたすら繰り返す事で時間を稼ぐ。その為には相手の人数が多いほうがいい。

 

一刀にとっては閉鎖型粉塵爆弾も混乱させる為の小手先の一つに過ぎなかった。

 

相手の指揮命令系統はズタズタにしてある。

 

これが『にゃあ黄巾党』でよかったと思う。

 

もし、訓練された千人の兵であれば結果は違っていただろう。

 

連携の"れ"の字も取れない『にゃあ黄巾党』だったからこその作戦とも言えた。

 

押されてみせ、押してみて、そしてまた押されて見せる。

 

ただそれだけでも『にゃあ黄巾党』は作戦にはまってくれた。

 

(花火を大量に作ってくれた李典将軍って人に感謝しないとな・・・)

 

そこで頭を切り替える。

 

全てが順調・・・そう、順調すぎる。

 

嫌な予感は終わらない────

 

不安を拭うために『南海覇王』の柄を掴みながら考える。

 

万が一の切り札はまだあるが、これをこの時代で使っていいものか・・・。

 

第十一作戦。

 

それはこの時代にはありえない作戦。粉塵爆発はこの時代でもあるものだ。

 

だが・・・。

 

そこで右手を胸元にやろうとして────

 

「北郷様、敵が村の外まで後退しました!」

 

伝令兵が駆け付け、一刀の前に跪く。

 

「よし!予定通り門の所に杭を置け!その上で第四作戦開始!」

 

胸元に持っていきかけた手を下ろし、伝令兵に第四作戦の発動を告げる。

 

「ははっ!!」

 

これでもう少し時間が稼げる筈・・・。

 

「オレは一時後ろを見てくる。ここは頼む」

 

嫌な予感が後ろからする気がして一刀は側にいた兵にこの場を任せ、後方に駆け出した。

 

 

その頃蓮華もまたザワリとした感覚を体感していた。

 

(・・・胸騒ぎがする・・・雪蓮姉さまのよく言う勘・・・だろうか)

 

何故か雪蓮に警告されている気がした蓮華は、一刀の様子が気になった。

 

「よし、数人着いて来い!前線の様子を見る!」

 

「はっ!」

 

蓮華の腰に下げられた『南海覇王』が震えた気がした。

 

 

(・・・?)

 

走っていた白蓮の足が止まる。

 

いつの間にか現れた黒い女が進む先に立っていたからだ。

 

黒いベールに覆われた顔は見えない。

 

「なぁ、あんた。こっちに緑髪の女の子が来なかったか?」

 

白蓮の問いに答える事無く女は立ち尽くしていた。

 

月明かりに照らされた神事服を着た女の姿はまるで幻のようにも感じる。

 

その時、女が静かに剣を抜いた。

 

その剣は月明かりでもはっきりと分かる。

 

『靖王伝家』

 

「な!?そ、その剣は!!?」

 

慌てて少し下がるが、女は動く事無くただその場に佇んでいた。

 

だがその気配が増大する。

 

途轍もない気の力。

 

強烈な敵意が叩きつけられ、白蓮の頬を冷や汗が伝わる。

 

即座になぎを降ろし、白蓮も剣を抜く。

 

「下がってて。なぎ」

 

なぎを自分の後ろに隠すように庇い、女に向かって剣を構える。

 

「ぱいれんおかあさん・・・」

 

「大丈夫。これでも色々強いやつを見てきたんだ」

 

不安げななぎの声に笑顔を見せて答える。

 

相手の目的が分からない。

 

何故こちらに敵意を向けてくる相手が『靖王伝家』を持っているのか。

 

そしてここに敵がいるのならば一刀達はどうなったのか。

 

肝心の『靖王伝家』を持っていた桃香達はどうなったのか。

 

分からない事だらけだが、分かるのはこの危機を乗り越えないと後ろのなぎが危ないという事。

 

ゴッ!

 

という"音"がした。

 

「ぐぅっ!?」

 

ガギィィィィンン!!!

 

白蓮がそれを防げたのは奇跡としかいえない。

 

突如目の前まで迫った女の攻撃を剣で受け止める事が出来たが、その手は痺れるほどだ。

 

ギィン!!!

 

「・・・ッ、くっ、ハァ、ハァ・・・」

 

続く女の剣戟をもう一度防ぐが、二度目ですでに息が乱れる。

 

凄まじいプレッシャーが女から発せられ、身の竦む思いがした。

 

でも────

 

「ここで引けるか!」

 

白蓮が渾身の力で振りぬいた剣を女は後ろに跳ぶ事でかわす。

 

それにあわせて白蓮の構えが、剣を顔の横の高さで構える突きの体勢に変わる。

 

一刀から旅の間に教わった剣術。

 

北郷流の突き手であり、高速の剣。

 

ダッ!と駆け出し、白蓮の剣が女の眉間を狙う。

 

全身を前に乗り出すような決死の突撃に見える。

 

女がそれを剣で切り替えそうと剣を振るった。

 

次の瞬間────

 

「!?」

 

女が驚愕する。

 

今度は目の前で白蓮が消えた。

 

確かに『靖王伝家』は白蓮の剣を捉え、振り払った筈────

 

一瞬女の動きが止まる。

 

衝撃は下から来た。

 

ドガァアアアア!!

 

「ぐはっ!?」

 

女の体がくの字に曲がり後ろに飛ばされる。

 

────何が起きた?

 

白蓮がやったのは剣を"囮"にした後ろ回し蹴り。

 

北郷流の剣術と凪の体術を合わせた技。

 

その足蹴りが女の腹を捉えたのだった。

 

「・・・やってくれる・・・」

 

倒れていた女が初めて声を出す。

 

その声を聞いて思わず剣を取り落としそうになるほど白蓮が驚く。

 

その声は────

 

 

「────あい・・・しゃ・・・?」

 

 

白蓮の声が震える。

 

今、目の前で『靖王伝家』を持つ女から出たのは確かに愛紗の声だった。

 

パサリ、と頭に被っていた黒いベールが落ち、その顔があらわになるがその顔も確かに愛紗のもの。

 

なぎもあまりの事で声が出ない。

 

長い髪をサラリと揺らしながら立ち上がるまで二人はただ見つめるしか出来なかった。

 

「やはり得意の獲物で無いと全力が出ないな」

 

そう言いながら『靖王伝家』を地面に突き刺し、懐から一枚の札を取り出す。

 

札が淡い光に包まれた瞬間にその姿を変える。

 

光から現れたそれは────

 

『青龍偃月刀』

 

「なんで・・・なんでだ!愛紗!なんでこんな事をするんだ!」

 

白蓮の叫びに答える事無く槍が振るわれる。

 

ダアンッ!!

 

「うぁっ!?」

 

衝撃だけで吹き飛ばされ、受身も取れずに転がるが愛紗は構わず稲妻の如き速さで連続で槍を突き出す。

 

その様は正に暴風。

 

転がる事でなんとかかわす事が出来たが、白蓮の体には幾つもの切り傷がつく。

 

急いで立ち上がり剣を構えるが全身が激しく痛む。

 

そこにさらなる追撃が掛けられる。

 

飛び上がった愛紗が槍を振り下ろす。

 

ドオオオオオオオオオオオンン!!!

 

「カ・・・ハ・・・ッ!」

 

地面が抉れ、その衝撃波で白蓮の体は足を引き摺りながら後退する。

 

飛んできた石が白蓮の額に当たり、額から血が溢れて左目に流れて開かなくなるが拭っている暇は無い。

 

悠々と進む愛紗に向かって白蓮が剣を振るうが、それは容易く弾かれた。

 

そのまま槍の石突が白蓮の腹を捉え、白蓮が派手に後ろに吹き飛ばされる。

 

「・・・・!」

 

声も出せずに転がるが、

 

「ぱいれんおかあさん!」

 

なぎの叫びを聞いて力を振り絞り、剣を杖の代わりに立ち上がる。

 

(折れたか・・・!)

 

アバラ骨を数本持っていかれた。

 

「ゴホッ!ゴホッ!」

 

息が苦しい。

 

いつのまにか呼吸が荒くなっていたが何とか息を吸い込み、必死で呼吸を整える。

 

「ハァ!ハァ!ハァ!ハァ!・・・っく・・・何で・・・」

 

ボロボロになりながらも呟くように問いかける白蓮に愛紗は溜息をつき、

 

「そこにいる異分子。我らの目的の為にそいつが邪魔なのだよ。白蓮」

 

愛紗が槍でなぎを指し示す。

 

「何を言っているんだ愛紗!何でお前が・・・!・・・こんな子供を殺すって言うのか!?」

 

白蓮は悔しさのあまりに瞳に涙が滲んで来るのを感じた。

 

目の前の事態が信じられない。

 

だがその声は間違いなく愛紗のものだ。

 

「異分子・・・といえば、貴様もなのだよ。白蓮・・・」

 

「!?」

 

「"こちらではお前はすでに死んでいたからな"」

 

「何を・・・!?何を言っているんだ!?」

「だが・・・白蓮。そこにいる者を渡せば、貴様の事くらいは助けてやれるかも────」

「そんな事できるか!!!」

愛紗の言葉を白蓮の叫びが遮る。

 

「この子は私の子だ!!!何の目的か知らないが、私の子を殺すなんてさせないぞ!!!」

 

なぎの瞳から涙がこぼれ落ちる。

 

嘘を信じて優しくしてくれた白蓮。

 

その命の火がかつての仲間の手によって刈り取られようとしていた。

 

「そうか・・・やはり死ね。白蓮」

 

両手で構えた『青龍偃月刀』による超高速の突きの一撃が繰り出される。

 

それを白蓮の剣が受けるが・・・・・・衝撃を受け止められなかった。

 

パキィン!という音と共に剣が砕かれ、槍の刃が白蓮の腹に突き刺さる。

 

なぎの────悲痛な叫びが響いた。

 

 

一刀が村の中を駆けている時、こちらに駆けてくる少女の姿が目に映った。

 

だがその少女は右足を引き摺っているように見える。

 

良く見ればあちこちに包帯を巻いているようだ。

 

「君!どうしたんだ!」

 

一刀が声を掛けた時────

 

緑髪の少女はこれ以上無い程の驚愕の表情を浮かべた。

 

「に・・・にい・・・さま・・・」

 

緑髪の少女は流琉・・・一刀が初めて会う魏の恋姫だった────

 

 

お送りしました第23話。

 

すべては・・・寝てからで・・・いいですか・・・。

 

米の返事もあとから・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
30
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択