No.179811

大好きだから… ~They who are awkward~ 第12話

みーくんさん

遅くなりました12話です(´・人・`)

どうぞ

2010-10-23 00:27:50 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:483   閲覧ユーザー数:479

 

 

 

最終日当日。

 

その日はあいにくの雨だった。

 

「こいつは、波乱の予感がするな……」

 

傘をさしながらもどこかが濡れてしまうのは避けられないことである。

 

「ただの雨でしょ?関係ないわ」

 

俺の呟きにすぐさま反応してきた美樹に否定される。

 

「いや、だって昨日一昨日は晴れだったのに今日だけ、しかも最終日に雨なんて何か感じないか?」

 

「私は感じないわ。ただ単に低気圧が近づいてきたせいで降っているだけでしょ?」

 

「いや、それはそうかもしれないけどなんていうか…」

 

恭一ならわかってくれると思い振り向いたが、茉莉子と話をしている最中だった。

 

「どうして低気圧が近づくと雨が降るのか茉莉子ちゃんわかるか?」

 

「あれはですね。低気圧の周辺に上昇気流が出来やすいから雨になるんですよ」

 

「ほー。で、上昇気流があるとどうなるんだ?」

 

「えっとですね。空気が上昇すると、上空は気圧が低くなっているため、その空気は気圧の低いところに移動することになります。気圧が下がると体積が膨張し、気温が下がります。

気温が下がると、含まれている水蒸気の温度も下がります。

そして、水蒸気の温度が下がり続けると雲ができ、更に成長すると雪や雨となって降りてくるんですよ」

 

おぉ、茉莉子すごいな。

 

「茉莉子ちゃんやっぱり頭いいな。普通は低気圧が近づいてくるから、しか言えねぇもんな」

 

俺の隣にいた美樹が少しむっとした顔をする。

 

「あはは。そんなことないですよ。天気予報士さんも低気圧が近づいてくるからとしか言わないし、

正確ではないですけど概ねあっているから別に問題ないと思いますよ」

 

「いや、それでもちゃんと知ってるのはすげぇよ。やっぱりすげぇ」

 

「あ、あぅ…ありがとうございます」

 

恭一べた褒めだな。茉莉子は照れてるし。

 

「ふん、それはあたしに対してのあてつけなの?」

 

美樹が恭一に突っかかる。

 

「邪推するなよ。確かにお前のことバカとは思ってるけど、別にお前だけじゃなくて世間一般が対象だっつの」

 

「私がバカ…ね。確かに否定はしないけど同じバカのあんたがそれを言うのかしら?あ?」

おぉ、荒ぶる美樹の降臨だ。触らぬ神に祟りなし。

 

 

 

 

 

 

 

「波乱を感じたのはきっとこれだったのかもな」

 

二人が争っているのを尻目にしみじみ思いながら俺は勝手に納得した。恭一、お前は一言多いんだ。

 

元はといえば俺のせいかもしれんが…

 

 

 

 

 

 

 

「雨、止みそうにないなぁ」

 

テストの最中ふとそう思った。

 

今日のテストの最後、ふと窓の外を見る。

 

時間が余ってしまった時の過ごし方は、三つのタイプに別れると思う。

 

一つ、きっちりと見直しして頑張るやつ。こういうやつは本能的に長寿タイプ。

二つ、ぼんやりしたり落書きをするやつ。先生に暇を待て余しているなと思われているのは確定的に明らか。

三つ、寝るやつ。寝すぎて頭がおかしくなって死ぬ。

 

くだらない事を考えてしまうのもあれだ。テストのときに起きる一種の魔力というか。

 

そんなことは置いといて、俺には考えなければならないことがある。

それは澪先輩への返事だ。待ってくれると言ってくれたがいつまでも待たせるわけにはいかない。

 

澪先輩と屋上でサボった時だ。

 

 

 

 

 

 

 

「――――――――――――  悠樹、私はきっとお前のことが好きなんだ。

お前と出会ってたった1年間だが私には何にも代え難い日々だった。

ふふ、こんなこと言って迷惑かもしれないがこれが私の偽らざる気持ちだ。悠樹、本当にありがとう」

 

 

俺は澪先輩から感謝と見方を変えると誤解を招きそうな言葉をいただいてしまった。

 

「そ、そんな面と向かって言われると照れますよ。俺もみんなも澪先輩といて楽しいんですからそんなの こちらこそありがとうですよ」

 

俺も澪先輩にならい感謝する。

 

と、いきなり澪先輩がガバっと俺の頭を両手で掴み自分の顔のほうへ寄せる。

 

「な、なにするんですか!?危ないしそれに…」

 

顔が近すぎる。少し動けば簡単に色々触れあってしまう距離。

 

「…………………………」

 

「ど、どうしたんですか?」

 

「感謝してくれるのは嬉しい。が、最初の単語は無視なのか?」

 

「え?あ、アレは友達としてですよね?俺はそういう解釈だなと」

 

澪先輩の手が温かい。それに、近くにいるとすぐわかるがいい香りがする。

 

「その解釈では正解…とは言えないな」

 

先輩は続ける。

 

「なぁ、ここまで言わせなくてもわかってるだろう?答えを聞かせてくれないか?じゃないと…」

 

 

 

 

 

「私から既成事実を作ってもいいんだぞ?」

 

そう言った澪先輩の熱い息が俺の顔に当たる。

むしろ、お前のほうからさっさと作ってくれと言わんばかりに誘うような目つきを俺に向ける。

 

今の俺の顔は多分とてつもなく赤い。見なくてもわかる。

ヤバイ、理性が負けてしまう。

 

「ちょ、ちょっと…ちょっととりあえず離れてですね……」

 

だが澪先輩が手で押さえているせいで離れられない。

内心焦りまくっている。

 

「あ、あの、で、ですね離れてくれないと、そ、その上手く言えないといいますか…」

 

「む。 ……ほら離れたぞ。早く返事をくれ」

 

そういうと確かに顔は離れたのだが今度は俺の背中に抱きついてきた。

 

「悠樹にくっついてると安心するんだなこれが」

 

「そうなんですか?」

 

そんなの初耳だよ。

 

返事……か… 俺、澪先輩のこと…

 

 

 

 

 

 

「わかりました、じゃ、いいますから」

 

「あぁ、聞かせて欲しい」

 

澪先輩が俺の背中に顔をうずめてきた。

 

「澪先輩が望むようなことは言えないかも」

 

「そのときは一緒に落ちて死ぬから平気だ」

 

シャレになってないし、怖いんでやめてください。

 

「まず結論から言うと…返事を言うの保留にさせてくれませんか?」

 

「ぶー。なんで即決しないんだよー?こんなに素晴らしい女が告白してくるなんて機会、後にも先にもあるかわからないんだぞー?」

 

そうだよな、文句あるよな。まったくそのとおりだし。

 

恭一も聞いたらそんな感じのことを言うだろうな。

 

 

「ま、だが俺はいくら澪サンから告られようが返事は」

 

 

わかった。お前の言いたいことはわかってる。だから早く俺の想像から退出しなさい。

 

「澪先輩が好きだって言ってくれたのは嬉しいんです。でも俺と澪先輩が付き合うことで、皆との関係が壊れそうで。

俺が臆病なせいかもしれないんですけど怖いんです。だからすいません。だからもう少し考えさせてください」

 

我ながらチキンすぎるし自分勝手だ。

 

「…そうか。だが、私はお前の気持ちを知りたいんだ。私のことを…どう思ってる?」

 

「俺…ですか。俺は…」

 

どう…なんだろうか。

 

 

「…多分俺は……あ、待った。あの、今のやっぱりなしで。後で言います、考えがまとまったら言いますから」

 

「な! それはないだろうが…」

 

拗ねたような、それでいてどことなくほっとしたような澪先輩の表情に俺は、

 

「う、すいません。でも今はこれしか言えません。返事、ちゃんと返しますから」

 

「本当か?待てなくなったら襲ってやるから覚悟しておけよ?」

 

「襲うのは勘弁してくださいね。まぁ今も襲われてるようなもんですけど」

 

「冗談だ。待つさ。さっきは返事を急かせてしまったが、やっぱり悠樹が納得いくまで考えて欲しい」

 

俺は今、答えをはっきり出すことをやめた。

 

澪先輩にも言ったが、五人のあの空間が居心地が良くそれが失われるのを俺は恐れているのだ。

 

ちゃんと考えて答えを出したい。その場の流れで返事をして後悔するのは嫌だ。

 

そうしてその場はうやむやのまま終わらせた。

 

そして澪先輩が入院。意識を取り戻し今に至る。

 

 

 

 

 

 

「なぁ、テストも終わったしパーッと遊びに行かねぇか?」

 

恭一が澪先輩のいる病院に向かう途中で提案する。

昨日と同じくあっけなくテストが終わった気がする。

澪先輩マジ澪先輩。後は結果待ちだ。

 

「うん、その提案乗ったッ!!」

 

一番に美樹が名乗りを挙げる。

 

「どこに行くのかとっても楽しみです」

 

みんなノリノリだな。

 

「でも恭一、ここら辺で行くとこって言ったらなんかあるか?」

 

俺らの街で遊ぶとなると駅前か、ゲーセンしかない。

 

「ゲーセンや駅前はいつも行ってるから却下だろ。となるとだ、ここは一つ最近出来たとかいう遊園地に行くってのはどうだ?」

 

少し前に隣街に遊園地が出来たのだが、なかなかに好評らしい。

 

恭一はそこのことを指しているのである。

 

「あ、あたしそこ行ってみたかったんだよね。友達が面白いって言っててさ-」

 

美樹の友達の話によるとそこの名物がジェットコースターだという。

 

世界一最恐という謳い文句で有名なんだとか。

 

「なら、明々後日の休みの日に行くことでいいか?」

 

「部活も休みだから異議なーし」

「ジェットコースター…あ、わ、私も賛成ですっ!!」

 

 

あれ……茉莉子大丈夫だったっけ……

 

「なら決まりだな。明々後日は駅前集合だな」

 

とんとん拍子に決まったけどまぁテストも終わったしいいか。

 

勉強ばかりで大変だったし息抜きもたまには…

 

まぁたまにはというかいつもだが、必要なことではあると思う。

 

「だんまりだったけど悠樹も行くよな?」

 

「悪い。もちろん行くさ」

 

恭一に行く意思を示す。

 

俺もあまり絶叫マシーンはあまり得意ではないが、なるようになるだろう。

 

澪先輩は行けない……とは思うが退院したらまた皆で行くのもアリだと思う。

 

五人でいけたらきっと楽しいだろうになと、そんな想像を抱きつつ病院に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

悲しいけど作者、凡人なのよね。

はい、そういうわけでなんかぶっちぎりまくった末の投稿です。

何がって、定期的に更新しようとしてたのにもうボロボロすぎる(汗

完結しますとも、ええ。

あ、それはそうと、もしかしたらも一個のほうも読んでいただいた方がいましたら

ありがとうございます。なんか友達に触発されてつい……

あっちはとりあえずこっちが終わるまで本格的に書く気力がないかもですが、

ちびちび書いてきます。

では、次回話にて


 
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