No.178793

恋姫†無双 『蒼天已死 黄天當立』 六

今回は原作のをほぼ引用です。

それではどぞ↓

2010-10-17 14:57:35 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:2652   閲覧ユーザー数:2404

「なぁ、なんで俺達は戻ってきてるんだ?」

 

攅刀は一刀に不満を言う。

 

「仕方ないだろ?人がたくさんいるとこって言ったら都の近くしかないんだし」

 

そう、一刀達は益州から都の近くに再びやってきていた。

 

場所しては南陽付近。

 

さすがに何もせずに直接行くのはまずいだろう、と一刀が考え黄巾党の偽本隊を作り偽物の張角達も準備した。

 

これで一刀達が官軍に気づかれることはなかった。

 

「にしてもよぉ。なんだか俺達が益州に行ったのが無駄みてぇじゃんかよぉ」

 

「父さん、我が儘を言わない」

 

まるで子供に接する母親のように一刀は言う。

 

対する攅刀はまだグチグチと文句を言っていた。

 

「そんなに言うな天和に文句を言えばいいだろ?」

 

一刀は今回の行動の原因である天和に攅刀を押しつけようとする。

 

そもそも何で南陽の向かっているのか。

 

それは、天和のお願いだった。

 

天和達の目的はより多くの人に歌を聴いてもらうこと。

 

しかし、ここのところはあまり人が多いところに行っていなかったのだ。

 

一刀達が襲うのは暴政を行っている官僚。

 

つまり、そんな官僚のところでは人が多く集まることはないのだ。

 

それに民は日々を生きることに必死になり娯楽などに興味を持てるはずもない。

 

よって、天和達の歌を聴いてくれる人は少なくなるのだ。

 

逆に言えば善政を行っているところでは多くの人が集まる。

 

しかも、民は安心して暮らせるのでより多くの物事に興味をもつようになる。

 

娯楽やそれ以外のことに関してもだ。

 

天和のお願いとは簡単な単純なことだった。

 

つまるところ“たくさんの人の前で歌いたい”だった。

 

一刀としては別に反対する理由もなかった。

 

なので、近くで善政を行っているところを探した。

 

そこで遠く南陽を見つけたのだ。

 

それは南陽まで遠くに行かなければこの大陸に安定した土地はないということでもあった。

 

 

「いや、天和ちゃんは悪くねぇ」

 

「意味わからんわ」

 

ちなみにこのやり取りも何回目かは分からない。

 

攅刀が一刀に文句を言う→一刀が天和に押しつけようとする→攅刀が天和が悪くないと主張→攅刀は一刀が悪いと言い始める→攅刀が一刀に文句を言う→(略)

 

「もうすぐ南陽に着くんだから落ち着け。それに南陽に着いたら天和達の歌を聴けるだろ?」

 

「おっしゃ!!!お前ら、南陽まで全速力だ!!」

 

「「「「「「応っ!!!」」」」」」

 

「バカ、止めろ」

 

攅刀は完全に天和達の歌の虜になっていた。

 

だけど、娯楽が少ない今の世の中じゃ仕方ない、と一刀は諦めていた。

 

「張梁様に前方より伝令!」

 

「私に?」

 

人和は驚いた表情をする。

 

実質的な黄巾党の本隊の指揮は一刀が行っている。

 

しかし、あくまで実質はである。

 

形上は人和の方が偉い。

 

その人和に直接、伝令がきたということは―――。

 

最悪の可能性が人和の頭を過ぎる。

 

人和が一刀の方を向くと一刀は真剣な面持ちで人和を見ていた。

 

「はっ!前線の千人長よりご報告です!」

 

「報告・・・・・・官軍が迎撃に出たとか?その割には前線が静かね・・・・・・?」

 

一番に頭を過ぎった最悪の可能性。

 

偽の本隊に気づかれて官軍が人和達の方へ来ることだった。

 

しかし、伝令に来た男は言い淀む。

 

「はっ。官軍が迎撃、というか・・・・・・官軍なような、そうでないような・・・・・・」

 

「・・・・・・何それ?意味わかんないんだけど?」

 

地和が口を挟む。

 

「ですよね。千人長たちもどう判断して良いのか分からず・・・・・・張梁さまにお出ましになられたい、とのことなんです」

 

「・・・・・・どんな状況なの?」

 

訳の分からない伝令に人和は眉をひそめる。

 

「それが、たった一人・・・・・・いえ、正確には武器を持った女が一人と子供が一人。あとは犬が二匹・・・・・・」

 

「ほえ~?何それー?・・・・・・あ、もしかして旅の人とかじゃないの?ダメだよ、関係無い人に迷惑をかけちゃ~」

 

天和が伝令の言葉に反応を示す。

 

「・・・・・・姉さん、ちょっと黙ってて。・・・・・・で、その女性ってどんな様子で立ってる?」

 

人和は何か本能的な言い表せない不安が心の奥底から来のを感じていた。

 

「はっ。かなり大きい得物を持ち、ぼんやりとした表情で立ち尽くしている感じで・・・・・・」

 

 

「・・・・・・ちぃ姉さんはどう思う?」

 

人和は本当のところ、一刀に意見を求めたかったが伝令の前である。

 

ここで一刀に意見を求めたりしたら一刀が他の人に羨ましがられるのはすぐに分かる。

 

それだけならまだいいが、親衛隊の隊長に意見を求めるなどしたら人和達の威厳がなくなることは明白だった。

 

人和達はある程度に威厳を持っておかなければ“本当に”黄巾党の人たち以外の賊にやられてしまう可能性もあるのだ。

 

「んー・・・・・・何だか良く分かんないわねー。天和姉さんの言うとおり、旅の人が自衛のために武器を持ってる、とかじゃないの?」

 

「・・・・・・否定は出来ないけど」

 

人和は言い淀む。

 

不安感は強くなるばかり。

 

「何が気になってるのか知らないけど・・・・・・。いまさら進路を変えるってこと出来ないんだし、そのお姉さんに理由を説明して、道を空けてってお願いしてみれば良いんじゃない?」

 

「お姉ちゃんもそれにさんせー♪」

 

天和は地和の意見を元気よく肯定する。

 

「・・・・・・それで済むかな」

 

人和はぽつりと呟く。

 

「どういうこと?」

 

「何かイヤな予感がするの・・・・・・」

 

先ほどから心の中にあった不安を人和は口にする。

 

「考えてもみて。各地で黄巾党と官軍の戦いが勃発してるなか、わざわざ旅に出ようとする人って、居るのかな?」

 

「だから自衛のために武器を持って旅をしてるんじゃないの?」

 

「そうかもしれないけど。・・・・・・でも普通の人なら、黄巾党が行軍している姿を見れば、厄介ごとに巻き込まれないように、逃げようとするはずよ?」

 

人和の不安が消えることはない。

 

「それは・・・・・・そうだね。確かに」

 

人和の言葉に地和は納得する。

 

「なのに、私たちの姿を見ても、ぼんやりとした表情で立ち尽くしてるなんて。・・・・・・そんなのおかしいと思わない?」

 

「天和姉さんみたいに、ちょっとおつむの足りない子じゃないの?もしくは頭の中の大切な部品が一個欠けてたりとか」

 

地和は巫山戯たように言う。

 

「ちょっとちぃちゃん、どういうことそれー!」

 

「あ、あはは、一つの例としてってだけで、他意は無いんだけど」

 

「ぶーーーーっ」

 

地和の言葉に天和は頬を膨らませる。

 

「・・・・・・そういう人だとしても、危険なところ、危険な空間に近づいたりはしないよ。本能で」

 

「・・・・・・そうね。野生の本能って言うのかな。天和姉さんもそうだもんね」

 

またもや天和をからかうようなことを地和は言う。

 

「だから、お姉ちゃんはおつむの弱い子でも、野性的でも無いってばー!」

 

「はいはい。天和姉さんは優しく綺麗なお姉さんだよ♪・・・・・・んで、どうする人和。その女性の正体、ここで考えてても答えは出ないと思うけど」

 

天和の言葉を軽くながしながら地和は話を進める。

 

「・・・・・・一度、見に行ってみよう」

 

「危険じゃない?」

 

「充分気をつけるけど。この目で見ないことには判断できないから・・・・・・」

 

「分かった。じゃあちぃも付き合うわ。・・・・・・天和姉さんはここで―――」

 

地和の言葉を遮るように天和が意見を言う。

 

「お姉ちゃんも行くよ。私たちはいつも三人一緒じゃないと♪」

 

「・・・・・・ありがと姉さん。けど、何かあった場合は私やちぃ姉さんの指示に従うこと。・・・・・約束してね」

 

「はーい♪じゃあいこっ♪」

 

天和達が歩き出すのと同時に一刀、龍盟、蘭花は視線だけで頷き合い天和達の後を追っていく。

 

 

「こんにちわ~♪」

 

天和が脳天気なあいさつをする。

 

「・・・・・・こんにちわ」

 

相手の女性はきちんと返事をする。

 

女性は紅い髪に紅い瞳だ。

 

「お姉さん、こんなところで何してるの?」

 

地和が声を掛ける。

 

「・・・・・・待ってる」

 

女性はぼんやりとした表情のままで返事をする。

 

「待ってる?何を・・・・・・です?」

 

人和は若干、緊張している。

 

「・・・・・・雨を」

 

「雨ぇ?」

 

地和は女性の返事に思わず聞き返す。

 

「お天気も良いし、雨なんて降りそうにないと思うんだけど・・・・・・」

 

「・・・・・・(フルフルッ)」

 

女性は天和の言葉に首を振る。

 

「・・・・・・赫いのが降るよ。きっと」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

地和はあまりにも予想外れな答え口を閉ざした。

 

「(ちょっと人和。やっぱりこの人、おつむが弱い子なんじゃないの?)」

 

「(・・・・・・私もそうとしか思えなくなってきた。けど、なんでこんなところに子供と犬を連れて・・・・・・?)」

 

「(お散歩中なのかなぁ?旅行中なのかな?・・・・・・とにかく優しい子っぽいから、ちゃんとお願いすれば退いてくれると思うよ?)」

 

「(・・・・・・そうね。じゃあ、私が言ってみる)」

 

三人は小声の相談を終えるとまず地和が口を開く。

 

「あのね、お姉さん。この辺り、もしかしたら戦争になっちゃうかもしれないから、安全なところに避難しておいた方が良いと思うんだけど」

 

「私たちの行軍の妨げにもなりますし、道を空けて頂けると嬉しいんですが・・・・・・」

 

2人がやんわりとここから立ち去る旨を伝える。

 

「・・・・・・(フルフルッ)」

 

しかし、女性は首を横に振った。

 

「ええと・・・・・・首を横に振ってるってことは、どいてくれないってことー?」

 

「・・・・・・(コクッ)」

 

今度は首を縦に振った。

 

「いやいやいや!ここに居るとホントに危ないんだってばぁ!」

 

「・・・・・・危なくないよ」

 

女性は当たり前のことを答えるように平然と言う。

 

「だーかーらー!お姉さん、見て分からない?私たち、黄巾党だよ?兵隊連れて行軍中なのっ!」

 

一刀達がいる本隊は一刀達が合流してから村を襲ったりはしていない。

 

しかし、各地の黄巾党は別である。

 

どちらかというと悪行の方が目立ってしまっているのである。

 

地和はさすがに黄巾党だと分かればどいてくれと考えたのだ。

 

「分かる?私たちは危害を加えるつもりは無いけど、私たちの後ろには黄巾党のむっくつけき男たちがわんさかやって来てるんだってば!」

 

「みんな戦闘前で気が立ってるし、あなたがここに居ると、男たちがどうなるか・・・・・・残念だけど、身の安全は保証できません」

 

人和も地和の発言に乗っかり女性に立ち去るように言う。

 

「そうなる前に、出来ればどこかに行って欲しいんですけど・・・・・・?」

 

「・・・・・・(フルフルッ)」

 

女性は首を横に振る。

 

「はぁ~~~・・・・・・これだけ言っても聞いてくれないんじゃ、もう何を言っても無駄だよぉ」

 

とうとう天和が諦めたように言う。

 

「そうね。・・・・・・忠告はしましたから。何があっても責任は取れません。良いですね?」

 

「・・・・・・(コクッ)」

 

女性は首を縦に振る。

 

「頷いたってことは了解って意味だよね?・・・・・・じゃあ人和。この人は放っておいて、先に進もう」

 

 

「・・・・・・待って、ちぃ姉さん」

 

「なに。まだ何かあるの?」

 

人和はここで先ほどよりも強い不安感に襲われる。

 

ここで彼女を無視して果たしていいのだろうか。

 

人和は不安に耐えきれず女性に向かう。

 

「うん。・・・・・・ねぇ。あなたの名前を教えて」

 

「名前なんて聞いてどうすんのよ?そんなの聞いたって仕方が――――」

 

「ちぃ姉さんは黙ってて」

 

地和の言葉は人和の言葉によって遮られる。

 

「むぅ・・・・・・」

 

そんな人和の態度が気に入らなかったのか地和はムスッとする。

 

「名前。・・・・・・それくらい教えてくれるでしょ?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

女性は無言で人和達を見ている。

 

「・・・・・・そっちの名前は?」

 

「えっ?」

 

「・・・・・・名前を聞いた方が先に名乗る」

 

女性のぼんやりとした表情が変わることはない。

 

「・・・・・・それが礼儀」

 

「あ、確かに~。えっとね、私は張角だよ♪」

 

「ちょ、姉さん!?不用意に名前を言わないでって普段から注意してるでしょ!」

 

天和が名前を言い出したことに人和は焦る。

 

人和が焦るのも無理はない。

 

張角、張宝、張梁は黄巾党の頭として既に知れ渡っているのだ。

 

「えー。でもこの子が言う通り、人にお名前を聞くときは、自分から名乗るのが礼儀だよー?」

 

しかし、天和は名前を言うことに危険性に気づいておらず普通に教える。

 

「それはそうだけど・・・・・・」

 

さすがに人前で“手配されてるんだから”とは注意できない。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・張角?」

 

女性が初めて反応を示す。

 

本当に些細な反応だ。

 

「うん♪それでね、こっちの子が張宝ちゃんで、メガネの子が張梁ちゃんだよ♪よろしくね♪」

 

女性の反応に天和が気づくこともなく更に紹介を続ける。

 

「・・・・・・よろしく」

 

「さぁこれで良いでしょ。次はあなたの番。・・・・・・名前教えなさい」

 

「・・・・・・呂」

 

女性はそれだけ言う。

 

「絽?それだけ?字は?」

 

「・・・・・・奉先」

 

「絽奉先か。ふーん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?」

 

地和は気の抜けた声をだす。

 

「あれー?りょほうせんって、お姉ちゃんどこかで聞いたことが――――」

 

「・・・・・・あっ!?呂奉先ってまさかっ!?」

 

天和の言葉を遮って人和が声を上げる。

 

 

呂奉先は太陽を背にして武器を取り出す。

 

「・・・・・・董卓軍所属」

 

淡々と言う。

 

「・・・・・・第一師団師団長、呂奉先」

 

あまりにも冷淡。

 

「・・・・・・目的」

 

ただ事実を述べる。

 

「・・・・・・北上してくる黄巾党の殲滅」

 

そこに一切の感情はない。

 

「・・・・・・だから」

 

一度だけ眼を伏せる。

 

「・・・・・・張角、張宝、張梁。三人とも」

 

次の瞬間に眼は三人を捉える。

 

「・・・・・・ここで死ね」

 

「――――――っ!?」

 

あまりの迫力に三人は動けなかった。

 

「・・・・・・ねね」

 

「はいですぞ!」

 

呂奉先の背後から一人の少女が現れる。

 

「・・・・・・旗を」

 

「御意ぃー!」

 

少女は旗を揚げる。

 

三万とい数の黄巾党の前に一本の旗が立つ。

 

「遠からん者は音にも聞け!近くば寄って眼にも見よーっ!」

 

少女は声を張り上げる。

 

「蒼天に翻るは、血で染め抜いた深紅の呂旗!」

 

少女自身に迫力は無い。

 

「天下にその名を轟かせる、董卓軍が一番槍!」

 

しかし、少女の持つ旗が

 

「悪鬼はひれ伏し、鬼神も逃げる、飛将軍呂奉先が旗なり!」

 

少女の前にいる呂奉先が三万もの人を震え上がらせる。

 

「天に唾する悪党どもよ!その目でとくと仰ぎ見るが良いのです!」

 

旗を確認した―――確認してしまった三人は完全に腰を抜かしていた。

 

「深紅の―――――」

 

「呂旗―――――っ!」

 

深紅の呂旗は蒼天に包まれその存在感を増してたなびく。

 

「・・・・・・我が使命は獣の屠殺」

 

深紅の鬼は武器を構える。

 

「・・・・・・遠慮はいらない」

 

殺気を全開にして天和達を睨む。

 

「・・・・・・かかってこい」

 

 

『懺悔室』

 

みなさん、ども!イタズラ小僧です。

 

原作をほぼ引用してます。

 

次回の投稿から戦闘に入りますね。

 

どうも苦手なんでいつもより大幅に時間がかかると思います。

 

気長に待って頂けると幸いです。

 

 

それではここまで読んで下さった皆様に多大なる感謝を!!

 


 
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