No.173840

コードギアス 反逆の狂奏愛歌~少女 の 決意~

ゆーたんさん

アニメを元にしたIF話です。

STAGE04と同じ時間軸で、ミレイやナナリー達の話です。

2010-09-21 02:54:35 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2498   閲覧ユーザー数:2427

 ゆうれいロボット――

 

 EUや中華連邦の各所で空を高速で飛行している姿や、空中で静止している姿が目撃され徐々にネットやゴシップ紙などで取り上げられている。ネット上では実際に見たと言う者や、あくまでも合成と言う者…完全に意見が真っ二つに分かれている。

 高速で縦横無尽に飛行し、いつの間にか赤い光を残して姿を消す。消えるときにはいつも赤く光…、それが目撃した人の共通のものであった。

 各国の航空偵察機を出動させているが、目撃地に到着するまでには完全に姿を消していた。レーダーには熱源の反応もあり、軍内部でもやはり意見が分かれいていた。

 

 

 

 そんなゆうれいロボットの記事が書かれた週刊誌を読みながら、ミレイは自室の椅子に腰を掛けて携帯の向こう側の相手へ向けて笑い声を送る。電話の向こうの相手も、その話を笑いながら聞いていた。

 

「ゆうれいロボットなんて…、ボキャブラリー少ないわね」

 

 数種類ある週刊誌も似たり寄ったりな単語や内容に、すっかり飽きてしまったミレイは週刊誌を閉じてテーブルの上に積まれている雑誌の上にその雑誌を置いた。

 

「あんたとナナリーの反応が良すぎるからさぁ、こっちも耐えられるように強化しているんだけどねぇ」

「ごめんなさいね。でもラクシャータさんならいつも何とかしてくれるから、こっちも本気で応えなくちゃって思ってね♪」

「アッシュフォード家には世話になってるし、あんたのわがままに付き合おうとは思ったけど……、まさかここまでいい素質とは思ってなかったよ。あんた達のデータは、こっちでは貴重だしぃ♪」

「あら、喜んでもらえてよかった。まぁ、早くゆうれい(・・・・)じゃなくて、本当の名前披露したいわぁ」

 

 その後、電話の向こうのラクシャータという人物と30分以上綿密な打ち合わせをして電話を切った。ミレイは少しだけぼーっと窓から外眺め、「よし」と自らに言い聞かせ立ち上がった。雑誌をゴミ箱へと放り込み、本棚から分厚いバインダーを1つ取り出す。『新造KMF 第13世代ガニメデ』とバインダーの表に書かれてあり、中のページにゆっくり目を通す。ラクシャータの開発グループより送られたこの資料は、現在のKMFには採用されなかった、ガニメデと呼ばれるアシュフォード財団主導で開発が行われたKMFを極秘に試作と改良を行っていた。アッシュフォード家とラクシャータのグループのみしか知られて居ない、新構想のKMFである。

 ラクシャータのグループが製作に関わった純日本製KMFにも、ガニメデの構造や特性が受け継がれていた。ミレイとナナリー専用に作られてきたこのKMFのノウハウを生かし、かねてからのラクシャータの理論を組み合わせてできたのが、烈火の如き赤いKMFである。

 

 

 

 

 

 クロヴィス殺害の報道の2日後――

 

 その夕刻、夜の境界線が夕方の終わりを告げかけた頃、枢木スザクの軍事法廷への移送が行われた。政庁から伸びる大通りの沿道に大勢のブリタニア人が壁のように並んでいる。テレビでは移送のニュースが流されており、どのチャンネルもこの沿道の映像が映されている。

 ルルーシュとナナリーが住むクラブハウス、大きい液晶テレビが置かれているパーティールームにはナナリーとミレイ、そしてシーツーが椅子に座ってその映像を見ている。咲世子がお茶の入ったポットとティーカップを載せたワゴンを押しながら、三人の近くへ寄っていく。

 

「ミレイ様」

「ありがとう」

 

 咲世子の差し出したティーカップを受け取り、ミレイは一口入れる。同じようにナナリーとシーツーにも渡し、4人でその映像に注目していた。

 心配でそわそわしているナナリー以外の三人は、この場にルルーシュがいない時点でこれから起こる事をなんとなく予想できていた。ミレイがシーツーへ視線を向けるとそれに気づいたシーツーは、少しだけ口の端を上げる。それでシーツーが何が言いたいのか理解したミレイは、同じように「ふふ」と笑みを浮かべる。その姿を見た咲世子は、心の中でこの二人は似たもの同士なのかという思いを馳せていた。

 

 しばらくすると映像にスザクを移送する車と、それを囲むサザーランド4機が映る。沿道のブリタニア人からスザクへ向けて罵声が飛び交う。すざくは護送車の荷台の上に乗せられ、軍人が左右に立ち銃口をスザクへ向けている。

 この先頭を走るサザーランドに乗っているのは、クロヴィス殺害の容疑者を特定した功績から代理執政官となっている、ジェレミア辺境伯がコックピットから体を晒している。他のサザーランドも同じようにパイロットが外へ出ている。KMF事態は決められたコースを走るオートランモードにしているため、手放しでも問題なく動かすことができ、停止と発進は手元で簡単に操作できる。

 テレビからは、アナウンサーがいろいろとブリタニア人の怒りをあらわす様に、言葉を並べていく。

 

「スザクさん……」

 

 ナナリーが映像に映るスザクを見て、小さく声を漏らす。胸の前で手をぎゅっと握り締めて…。

 ふいに先頭にいるジェレミアが手を上げ、後方へ顔を向けた。直後に全KMFと車がその場に停止した。驚くアナウンサーに沿道のブリタニア人にナナリー。テレビのカメラがスザクとは反対方向に向きを変えると、そこにはクロヴィスの遺体を運んだ御料車と同じ外見の車が1台、スザクの方へとゆっくりと向かってきている。アナウンサーもその外見に驚きの声を漏らしながら、さすがプロと言わんばかりに言葉を溢れさせていく。 ある程度までスザクの車まで近づき停止させた。

 

「出て来い!!殿下の御料車を汚す不届き者が!!」

 

 ジェレミアが声を荒げて叫ぶ。それを聞き車の上部のブリタニアの国旗が燃え上がり、中から仮面をつけた人が現れた。チューリップのような形をした仮面に黒に金色のラインが入ったマント。首元には白のスカーフに黒く丸いアクセサリが付けられ居る。紺色のジャケットにパンツスタイルのその人物は、世界に向けて言葉を発する。

 

「私は……ゼロ」

 

 

 

「ミレイさん」

 

 視線はテレビに向けたまま、少しだけ叫ぶようにナナリーはミレイを呼んだ。

 

「ね?言ったでしょ」

 

 ミレイはゾクゾクと体を震わせ恍惚の表情を浮かべる。口からは熱のこもった息を吐き、テレビに映るゼロを見つめる。

 

 

 

「もういいだろゼロ。君のショータイムはおしまいだ」

 

 1発手にした銃を空に向けて放つと、KMFを航空輸送するための輸送機からKMFはゼロの車を囲むように降下し、着地したKMFは銃口をゼロへ向けた。

 ゼロは上に手を伸ばしパチンと指を鳴らすと、車の後部の外見が壊れ何かの入れ物が露わになった。

 それを見て顔を強張らせたのは2名。ジェレミアと移送車の後ろを走るKMFに乗る褐色に銀髪の女性、ヴィレッタ・ヌゥの2名。明らかに動揺を見せるジェレミアは、唐突に手にしている銃をゼロへ向けた。

 

「撃ってみるか?わかるはずだお前なら……」

 

 少し考えたジェレミアは銃口を降ろし、ゼロの要求を確認する。

 

「わかった…要求は?」

「交換だ。こいつと枢木スザクを」

「笑止!!この男はクロヴィス殿下を殺めた大逆の徒。引き渡せるわけがない」

「違うな…間違っているぞジェレミア……。犯人はそいつじゃぁない」

 

 その発言と同時に金髪の男がテレビカメラを担ぎ、ジェレミアとゼロの会話の音を拾おうと飛び出す。

 

「クロヴィスを殺したのは……」

 

 金髪の男がカメラをゼロに向けズームし、それに気づいているゼロもそのカメラの方へ顔を向ける。

 

「この私だ!!」

 

 予想だにしなかったこの言葉に、テレビも現場も慌てふためく。理解が難しくジェレミア達の言葉と矛盾も生まれている。その後もゼロがジェレミアに向けいくつもの言葉を向ける。まさかの真犯人の登場の事に動揺を隠せないジェレミアは、徐に銃口をゼロへ向けた。

 

「こやつは狂っている…、殿下の御料車を偽装し愚弄した罪……贖うがいい」

「いいのか?公表するぞ、オレンジを…」

「な、なにを言っている?」

 

 ゼロは足元を2回踵でコツコツと鳴らすと、車がゆっくりと前進する。

 

「私が死んだら、公表されるようになっている。そうされたくなければ…」

「何の事だ?何を言っている」

 

 戸惑うジェレミアをよそに、ゼロの乗る車はどんどんスザクの所へと近づく。

 

「私達を全力で見逃せ!!そっちの男もだ」

 

 ほんの一瞬の間…。

 

「ふん、わかった。その男を全力でくれてやれ」

 

 ジェレミアのその言葉に回りの兵達もブリタニア人も、そしてアナウンサーすらも驚きの声を上げる。すぐさま沿道からは疑問の声があがるも、ジェレミアは意見を一向に曲げない。そしてゼロを見逃すため部下の行動を妨害し、さらには銃口を向けた。

 

 これが後にジェレミアを苦しめる事になる裏切りのオレンジ事件である。

 

 

 

 

「よかった」

 

 スザクが救出された事で安堵の表情を浮かべたナナリーは、ミレイ達の方へ振り向いた。

 

「ね?だから大丈夫って言ったでしょ?」

「はい」

 

 ナナリーは笑みを浮かべて頷いた。

 

「でも、彼…ブリタニア軍人なのよねぇ」

「ナナリーはどうなんだ?もしあいつの…、ルルーシュの敵になったとしたら」

「え…」

 

 シーツーの言葉を受けて、ナナリーはまたその表情に影を落とす。このタイミングではなくてもとミレイと咲世子は思ったが、シーツーがこのタイミングと思ったのには理由があるのだろうと思い、二人はそのままナナリーの返事を待った。しばらく俯き黙っていたナナリーだったが、顔を上げ瞳に強い意思を込めシーツーを見つめた。

 

「もし、スザクさんがお兄様の敵となるなら……、私は…スザクさんを……討ちます」

「……できるのか?おまえに」

 

 表情を変えないシーツーの問いに、ナナリーはゆっくり頷く。

 

「お兄様と共に生きることが、私の望みですから」

 

 その返答に満足したシーツーは、にやりと笑みを浮かべティーカップに口を付けた。


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