No.170050

真。恋姫無双~幸せな時間…素顔の私~

秋華さん

ども秋華です。
今回の作品なのですが、なんというか思いつきです。
ふっと情景が浮かんだと思ったら、一気に書き上げてしまったものです。

皆さんがどんな感想をもつか分かりませんが、せっかくなので投稿させていただきました。

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2010-09-03 11:45:44 投稿 / 全14ページ    総閲覧数:9414   閲覧ユーザー数:7488

最初に……

 

このお話は一刀がずっと華琳の傍にいることを前提としたお話です。

 

一刀が消えたあとに戻ってきたりとかは各々の判断にお任せします。

 

あと、意外にも一刀が頭がよかったり、料理が出来たりしますが、そこは見逃してください。

 

ただし…

 

一刀の種馬ぱわーは前面に出して、華琳のデレが結構多いです。

 

そのことを踏まえて読んで下さい。

 

 

 

ちなみに、私は思春ファンクラブ会員ですが、華琳も好きです。

 

 

コンコン……

 

華琳「あら…一刀かしら?入っていいわよ」

 

魏の中でも最初に”のっく”をして入ってくる人は一人しかいない。

それは天の御遣いであり、私の心を揺さぶることが出来るただ一人の男…

北郷一刀しかいなかった。

 

一刀「失礼します…。」

 

華琳「それで?今日はいきなりどうしたの?」

 

一刀「いや…今日華琳暇かなって…」

 

ちょっと申し訳なさそうに聞いてくるのはいつものこと。

それに一刀も実は私が暇なのはわかっているはず…

だって、私が忙しい時などはぜったいにこう言った聞き方はしない。

私が今日暇だからこそ聞いてきたのは分かっていた。

でも素直に暇とは言えない、私は憮然とした態度で答えてしまう。

本当は暇な日に一刀が来てくれて嬉しいはずなのに…

 

華琳「今日?そうね…早急に片付けなくちゃいけない仕事もないから暇と言えば暇だけど?」

 

一刀「そっか…それは良かった。」

 

そう言ってほっとした顔をする一刀はとてもかわいい。

たまに見せる凛々しい顔も、もちろん素敵だとは思うが、私はこういったやさしい感じの表情の方が好きだった。

理由?…そうね。その顔を見ていると、私を暖かい風が包み込んでくれているようなやさしい気持ちになるし…なにより”ほっと”できる。

その表情のおかげで私は”覇王”としての仮面を外して、”女の子”としての私を出すことができるのだから…

 

華琳「よかった?何?今日は一刀が私をもてなしてくれるのかしら?」

 

一刀「まぁ…そうなるかな。どうしても華琳に食べてもらいたい料理があってさ、できれば二人で食べたいなと思ってね。」

 

これだ…。こんなことを言うから”魏の種馬”と呼ばれることに気付いてないのだろうか?

そんな抱きしめたくなるような笑顔を見せてそんなことを言われたら、誰だって心を許してしまう。

その証拠に……ほら、私の顔はもう熱を持っているわ。

それがちょっと悔しいから絶対に一刀には見せないけど…

華琳「/////へ…へ~一刀が料理ね。一体どんな料理なのかしら?私に食べさせるということはよっぽど美味しいものなんでしょうね?」

 

一刀「う゛…それを言われるとちょっと心配だけど…。損はさせないと思う。今日食べてもらいたいのは日本…俺が住んでいた国特有の料理だから。」

 

華琳「一刀の国?あぁ…天の国の料理ね。たしかにそれは興味があるわ。でも…それなら流琉や秋蘭たちも呼ばなくいいの?あの子達絶対に怒るわよ?」

 

ほんとは二人っきりで食べたいのについそんなことを言ってしまう。

せっかく二人でって言ってくれたのにこういうところで素直になれない私の性格がたまに嫌になる。

まぁ…どうせ一刀だし私のこんな気持ち分かってはくれてないんだろうけど…

 

一刀「う~ん。それも考えたんだけどさ…流琉や秋蘭…あと風と稟あたりならいいんだろうけどさ他の面子はちょっとな…」

 

華琳「?どういうことかしら?」

 

一刀「詳しくは華琳を楽しんでもらいたいこともあって言えないんだけど、今回の料理はそんなに量があるわけでもないし、何より我慢できるかが心配なんだよ。」

 

華琳「へ~そんなに時間が掛かるものなの?食べて欲しいと言うわりには一刀は私を待たせるというのね?」

 

一刀「ちがうって…。う~んでもこれを言ったら意味が無いしな…とにかく俺を信じてついてきてくれないか?」

 

華琳「はぁ…わかったわよ。それで私をどこに連れて行ってくれるのかしら?」

 

一刀「そうだな…。前華琳と一緒に行った水辺なんてどうだ?丁度今ごろなら紅葉が綺麗だろうから。」

 

華琳「そうね…。久しく景色なんて見ることも無かったし…いいでしょう。そこに行きましょう。」

 

一刀「よし。それじゃ華琳は身支度を整えて中庭に行ってくれるか?俺はその間に準備をしてくるから。…あ、そうそう。華琳が前作った日本酒があっただろ?それも持っていっていいか?」

 

華琳「日本酒?…あぁ貴方の国のお酒ね。いいわよ。そんなに量があるわけじゃないけど、二人で飲むには十分だわ。」

 

一刀「ありがとう。じゃ、準備があるからまた後でね。」

 

華琳「ええ…。」

そう言い残した後、一刀は勢い良く私の部屋から出て行く。

その後姿を見送った後、私は急いで身支度をする。

 

華琳「まったくもう…。こういうことをするなら前もって言ってくれればいいのにやっぱり一刀は気がきかないわね…/////」

 

そう悪態をつきながらも、鏡に映る私の顔は笑顔で、ちょっと赤みがさしていた。

 

華琳(で…でも、一刀から誘ってくれるなんてそうないことだわ。…とくに二人きりなんて…/////って私は何を期待しているの?しっかりしなさい華琳!)

 

そう心に言い聞かせても、この嬉しい気持ちは治まってくれない。

むしろ悪化しているような気がする…

本当に一刀っていう男は…どこまで私の仮面を外せば気が済むのだろう…

このままじゃもう一刀無しじゃいられないじゃない…//////

 

華琳「/////と…とにかく早く準備しましょう。え~と髪型はこれで良し♪あとすこしお化粧もしましょう。それに服は…そうね前に一刀が趣向を考えて作ったこの服にしましょう。たしか着物って言ったかしら…着るのは少し大変だけどかわいいからそこは大目に見ましょう。あとは…下着どうしようかしら…やっぱり一刀が選んでくれた物を履いていきましょうか♪…ね、念のためよ//////。そう…念のためなんだから…//////」

 

誰に言っているのか分からない独り言を言いながら、はやる気持ちを抑えていそいそと着替えていく…。

今日は良い一日になりそう…そんな気がしていた。

着替え終わった私は他の皆に見つからないように注意をして中庭に向かう。

とくに春蘭や桂花に見つかったら大変なことになってしまうし、最悪…というか絶対に今日の日を台無しにしてくれるだろう…。

そんなことは絶対に嫌!!

 

そう思いながら中庭に着くとそこにはまだ一刀の姿は見当たらなかった。

 

華琳(当然か…いろいろ準備しないといけないことがあるだろうし、料理の下拵えも大変でしょうしね…)

 

そんなことを思いながら一刀を待つ。

そしてしばらくして一刀が中庭にやってきた。

 

華琳「ちょっと!遅いわよ。私を待たせるなんてほんといい度胸しているわね?」

 

一刀「ごめん…ごめん。ちょっと皆の目を気にしてたら、時間がかか…て……」

 

私の姿を見て驚いたのだろう…。

さっきまであせっていた顔から、一瞬にして呆けた顔になる。

 

華琳「なによ?」

 

一刀「////い…いや…その…。凄く似合ってるよ。ビックリした…」

 

華琳「当然でしょ♪」

 

私の姿をみて、顔を真っ赤にしてくれているところを見ると苦労して着たかいがあったわね。

真っ赤な一刀の顔を見れただけでも、この私を待たせた罪は消えるわ。

本当にかわいい…////

貴方のその表情を見るのは私のこの上ない楽しみになっているわ。

 

華琳「それじゃ、一刀の驚いた顔も見れたことだし…早速連れて行ってくれるかしら?」

 

一刀「わかった。それじゃいこっか?」

 

私達は二人でその場をあとにした。

私が歩いていると、歩きにくいのを察してくれるのか手をつないでくれた////

私も口では”し…仕方が無いわね…”って言っても絶対にこの手を離すもんかって思った。

つないだ手は私より大きくて、そして暖かかったわ。

何度も体を重ねて一刀の体の大きさを知っていたはずなのに、手をつなぐだけでまるで初めてそれを知ったかのようにうれしかった。

 

その後は馬に乗って向かったのだが、もちろん馬は一頭。

私が前に乗って、その後ろに一刀が乗る。

この前の席は誰にも譲りたくない。

だってそこは、とても居心地がよく…なによりも一刀の近くにいると感じれる場所だったから…

馬を走らせてしばらくたった後、私達は目的地である水辺についた。

そこで私は言葉を失う…。

いえ…この景色を言葉で表すことはとても無粋に思えたからだった…。

 

私の目の前には視界のすべてを塗りつぶすような赤。

その赤に混じって黄色、茶色があり、さらに赤色を際立たせている。

そして目線を下に向ければ、小さな滝と川があり見事に周りと調和していた。

水面に映る赤を見てまた綺麗だと思い…

水にながされて行く、赤く染まった葉を見てまた美しいと感じる。

 

まさにそれは絶景と言う言葉意外見つからない。

 

どんなに鮮明に書で書き表しても…

どんなに正確に絵で表したりしても…

どんなに詳しく人に話を聞かされても…

 

この景色は伝わらないだろう…

 

だってこれはすでに完成され、けして真似が出来ないものなのだから…

 

私が景色に見惚れていると、後ろから一刀が話しかけてくる。

 

一刀「本当に綺麗だな…きて良かったって思うよ。」

 

華琳「ええ…そうね。部屋にいてはこんな素晴らしいものを見る機会なんてなかったわ。」

 

二人で思い思いの感想を言うと、一刀はそっと私の傍を離れて、本来の目的である料理の準備をし始めた。

私はそれを近くにあった石の上に座り、景色を視界に入れつつも一刀を眺めていた。

 

一刀「…これで良しっと。華琳、準備できたぞ?」

 

華琳「へ…?/////そ…そう分かったわ。」

 

一刀「?」

 

言えない…。

私が一刀の準備する姿を見て幸せを感じていたなんて…

私が一刀と夫婦になったらこんな毎日が続くのかしらって想像してたなんて…

絶対に言える筈が無い!!

華琳「な…なんでもないわ/////。それより…これは一体何かしら?これは多分鍋よね…でもそれにしては小さすぎるし…何かを煮込むにしては火が小さすぎるわ…。一体何を食べるの?」

 

一刀「それはこれから分かるよ。…さてそろそろ煮え始めた頃かな?ふたを取るよ~」

 

そう言って一刀が鍋のふたを取ると、中には白に近い黄色をした液体が入っており、ふたを開けた瞬間。周りに甘い匂いがした。

 

華琳「いい匂いね…。これは豆乳かしら?たしか豆腐を作る材料よね?」

 

一刀「さすが華琳だな。見た目と匂いで分かったか…」

 

華琳「あたりまえよ。でも豆乳なんて温めてどうするつもり?まさか飲むってわけじゃないでしょ?」

 

一刀「さすがに飲まないよ。まぁ…飲んでも美味しいと思うけど、今回はそれじゃない」

 

華琳「じゃ一体なんなのよ?」

 

一刀「まま…。もう少し待って。…お?出来てきた、出来てきた。」

 

一刀が鍋の中を覗き込んでそっと息を吹きかけると、普通なら波が立つだけなのに鍋の中央には皺ができていた。どうやら膜みたいなものが張っているようね…

 

華琳「これは一体何?まさかこの膜みたいなものを食べるって言うの?」

 

一刀「正解!まぁ…なんで膜なんてって思うかも知れないけど、百聞は一見にしかず…とにかく食べてみてよ。文句は後で受け付けるから…ね?あ…でも注意が一つ。この膜破れやすいからやさしく箸でとって食べてね?」

 

そう言いながら笑顔で箸を渡してくる一刀。

私はそれを受け取って、恐る恐るその膜をつまむ。

 

華琳(たしかに破けやすそうだけど…思っていたよりはしっかりしているわね。それにしてもきいたこと無い食べ物ね…。まぁ…たとえこれがあまり美味しくないものだとしても、文句を言えばいいだけ出し…とにかく食べてみましょ♪)

 

そう思ってつまんだ膜をそのまま口に入れる。

そして私は本日二度目の言葉を失う経験をした。

本当なら文句を言うはずだった。

だって考えてもみなさい。

今までどんな食べ物を食べてきても、膜を食べるなんて初めての体験だったし、そんなに美味しいものだとは思えないわ。

たしかに美味しそうな匂いもしてたし、美味しい豆腐は美味しい豆乳で作られることも知っている。

だからと言って、正直これは無い。

 

そう思っていたはずなのに…

 

私はそんな言葉をすっかり忘れて口の中に広がる味わいを楽しんでいた。

 

華琳「あ…」

 

口の中に入れるとまず広がるのは豆乳の甘み。

それはとてもやさしい甘みでいつまでも味わっていたくなる味だった。

そして口当たり…これもやさしい。

つるっとした感じで、やわらかいのにけしてその存在がなくなるわけでもなく…

噛んでしまうのが惜しくなるくらい気持ちい。

そして噛もうと思ったときにはそれはもう口の中から無くなっていて…口の中には甘い匂いしか残らなかった…。

 

一刀「どうかな?俺は初めてこれを食べた時とても感動したんだけど…」

 

華琳「…美味しいわ。でもこんなのは初めて食べたわね。これなんて料理?」

 

一刀「これは”引き上げ湯葉”って料理だよ。さっき膜みたいなのが出来たでしょ?あれのことを”湯葉”っていうんだけど、これはその出来立てを食べることが出来る料理さ。」

 

華琳「”湯葉”ね…。ねぇ…もう無いのかしら?」

 

一刀「ちょっと待てばまた出来てくるよ。」

 

華琳「なるほど…。これは美味しいけど、時間が掛かるのが良くないわね。」

 

一刀「そうだね…。だけどその待つ時間の価値はあるでしょ?」

 

華琳「ええ…。でもこんな料理どうやって思いついたのかしら?」

 

一刀「俺も本当のことは知らないけど、こうだろうな…てのはあるよ?」

 

華琳「へぇ…教えなさいよ。」

 

一刀「俺の国…日本って国はさ、今まわりにある景色のように自然に囲まれた国だったんだ。まぁ今は違うけどね…。で、昔の人はこの景色とかを眺めながら食事や仕事をしていたからいつの間にか出来ていて、それを食べたら美味しかったのが由来じゃないかな?」

 

華琳「つまり貴方は偶然にこの料理が出来たと思うの?」

 

一刀「俺はね。でもその気持ち分からない?」

 

そう言って一刀が手を広げると、先ほど見ていた景色がまた目に入ってきた。

そして私も案外そうかもしれない…と思ってしまった。

華琳「なるほど…分かるような気がするわ。景色を見て心を奪われているといつの間にか出来ている料理、それを食べてその美味しさに舌鼓して、また景色を見る…。これはとても贅沢な料理かもしれないわね。」

 

一刀「ははっ…俺もそう思うよ。ほらこう話している間にまた出来た。今度は俺が貰うね?」

 

華琳「まぁ…いいでしょう。この景色を眺めて、貴方と話していればまた出来ているだろうしね。」

 

一刀「そういうこと。ほら、この料理には日本酒が合うんだ。どうそ一献」

 

華琳「ええ…いただくわ。」

 

杯を渡されてそこにお酒を注がれる。

それを飲みながら景色を眺める…

なんだかとても幸せな気分だわ…

天の国にはこういった時間も料理の一部として考えるのね…

これははまりそうだわ…

 

そう思っていると、なんとなく今日一刀が二人で食べたいと言う言葉の意味が分かった。

 

華琳「一刀?今日二人で食べたいといった理由はこれね?」

 

一刀「そうだよ。のんびり景色を見ながら食べるのはやっぱり二人じゃないと…。特に季衣や春蘭、桂花あたりが一緒だと絶対無理だと思うし…」

 

華琳「酷いこと言うのね…でもそれは正しいと思うわ。」

 

一刀「だろ?季衣はいくら美味しくても量が少ないと思うし、春蘭は我慢できなくて暴れるだろうし…桂花は文句ばっかり言うだろ?多分」

 

華琳「ああいう所がかわいいのだけど…今日の料理に限ってはそれはダメね。雰囲気を壊されたくないわ。…あらもう次が出来たわね。こんどは私が貰うわよ?」

 

一刀「どうぞ。あ、今度はこのタレにつけて食べてみてよ。そのままでも美味しいけど、このタレを点けて食べても美味しいと思うよ?」

 

華琳「そう?なら食べてみましょう。……へぇそのままで食べる時とは違ってまた深い味わいがあるわ。あっさりしたタレをつけて食べるのもいけるわね。これならさらに日本酒だったかしら?それと合いそうだわ。」

 

一刀「満足していただけたかな?」

 

華琳「ええ…あなたにしては素晴らしいわ。ふぅ…お酒がおいしい。」

 

タレをつけて食べた後、お酒を含み吐息を漏らす。

こんな落ち着いて食事をするなんて久しくなかった。

言葉ではうまくいえないけど、一刀には感謝しないといけないわね。

ありがとう…一刀////

 

その後私達はあまり言葉を交わすことなかった。

言葉を交わさなくても楽しい。

二人でこうしてのんびりとしているだけで、幸せになれるのならこんなに素晴らしい料理は無い。

ただただ今は、この料理とこの景色…そしてこの機会をつくってくれた一刀に感謝を……

日が暮れ始め、辺りが少し肌寒くなった頃。

いつの間にか料理も食べ終わり、私達は木を背もたれにしながら座っていた。

私は木ではなく、一刀を背もたれにしていたが…そこは当然でしょ♪

私達の手には杯。

お酒を飲みながら、日が暮れていくのを眺めていた。

 

華琳「綺麗ね…」

 

一刀「そうだな…」

 

私達はそれ以上喋らない。

喋らなくても気持ちは伝わっているような感じがした。

 

一刀「そういえばさ…俺が住んでた国も景色が綺麗っていったよな?」

 

華琳「ええ…言っていたわね。それがどうかしたの?」

 

一刀「いやな…。それで思い出したんだけど、俺の国では昔こういった景色を見て歌を詠んでたらしいんだ。」

 

華琳「へぇ…いい趣味しているわね。」

 

私もこういった景色を見ると詠いたくなる気持ちは良く分かる。

でもそれが国をあげてとなると、私はそれが素晴らしいと思い、そして羨ましいとも思った。

こういった歌は心を豊かにしてくれるし、その人がどう思ったのか教えてくれるとても素晴らしいものだと私は思っているからだった。

 

一刀「まぁ…実際は暇だったからって言うのが本当らしいんだけど…。でもこの景色を見ていると詠みたくなるのわかるよ。」

 

華琳「ぷっ…なにそれ。でも貴方に詠めるの?詩を…」

 

一刀「馬鹿にするなよ…。でもこっちの詩とはちょっと違うかな。」

 

華琳「違う?」

 

一刀「うん。俺の国だといろいろ決まりがあるんだけど、一般的には短歌と俳句かな。」

華琳「どう違うのよ。」

 

一刀「短歌っていうのは五・七・五・七・七っていう五句体の歌でその文字の中で景色とか人の気持ちを表すんだ。たしか俺の世界での曹操がつくっていた漢詩の影響も受けていたはずだよ。」

 

華琳「へぇ…たしかに私も歌を詠むことがあるけど、それが貴方の国に影響を与えていたなんてね…」

 

一刀「まぁ…そんな感じで古くから親しまれてきたんだ。有名な所で言うと”万葉集”てのが有名だね。」

 

華琳「万葉集?」

 

一刀「”万葉集”っていうのはその短歌を集めた本だよ。いろんな人の短歌をあつめてそれを一つの作品としてまとめたんだ。その中で今の風景に当てはまるのは…」

 

         秋の露は移しけりなり水鳥の青葉の山の色づく見れば

 

華琳「どういう意味?」

 

一刀「これを約すと…”秋の露は移し染めの材料だったのでしょうか。水鳥のように青い羽根の色をしていた山も黄葉して行くのを見ておりますと”って意味になるんだ。まぁ…この景色に近いものを見て歌ったんだと思うよ。」

 

華琳「なるほど…。不思議な言葉の並びね。でも意味を聞いてさっきの歌を思い出してみると、その風景が浮かぶようだわ…。」

 

一刀「だろ?あっちでこの歌を詠んでも何も感じなかったけど、この景色を見ているとなんとなくわかるような気がするよ。」

 

華琳「クスクス…本当にそう思っているの?」

 

一刀「お…思っているとも。」

 

華琳「ならそういうことにしておきましょう。それで”俳句”って言うのは?」

 

ちょっと苦笑いを浮かべたところを見ると、実際は思ってなかったのかと勘ぐってしまうが、そこからさらに突っ込むことはしない。本来歌というのは楽しむものであって、頭を捻って考えるものではない。

ただ、感じたことをそのまま感じるままにすればいい…

私はそう思っているからだった。

 

一刀「”俳句”っていうのは、さっきより短く五・七・五で作る詩で、どっちかっていうとこっちのほうが親しみがあるかなぁ…。」

 

華琳「ずいぶん短いのね。」

 

一刀「まぁね。でもその短い文字の中でいろいろあらわしたりするから有名っていうか、うまい人の詩を詠むと思わず拍手を送りたくなるぐらいだよ。よくこんな言葉おもいつくなぁ…って」

 

華琳「そうなの…。俳句には決まりごとは無いの?」

 

一刀「そうだな…特には無いかも。ただ…テーマっていっても分からないから、その詩の元になるものをその中に入れないといけない決まりだね。簡単なところで言えば、四季とか」

 

華琳「四季…季節のこと?」

 

一刀「そう。こっちにも四季はあるけど、俺の国だとそれがはっきりと分かるぐらいにかわるんだよ。だからよくその題材が使われる。」

 

華琳「つまり、”夏”なら”夏”、”秋”なら”秋”を入れないといけないわけね。」

 

一刀「別に”秋”って言葉を入れなくてもいいんだ。秋を想像できるものでもそれは守ったことになる。たとえば”秋”なら、紅葉とか、稲穂…”冬”なら雪とか霜柱なんかもいいかもしれない。」

 

華琳「かなり自由にできるのね。これならあまり詩を知らなくても出来るかも…いえむしろ知らないほうがいいものが出来るかしら?」

 

本来、歌というものはそれをつくるときにいくつかの決まりごとがある。

そのため、それを知らないまま作ってしまうとうまく出来るものではない。

だけど、今一刀が言ったように最低限のことさえ守れば後は自由ということならば、むしろ何もしらないで、思ったままを作ったほうがよっぽど人に伝わりやすくなる。

それがたとえつたない言葉でも、それは絶対人に伝わる。

私は俳句という歌にとても持った。

一刀「それは分からないよ。ただ…子供の頃に勢いで作った子なんか”はらへった・あーはらへった・はらへった”っていう俳句を作った子がいたっけなぁ…」

 

華琳「……訂正するわ。少しは学ないとダメね。」

 

一刀「俺もそう思うよ。」

 

そう言って私達は笑いあう。

それにしても、さっき一刀が言った俳句…なぜかしら季衣や春蘭の顔が浮かんだのは…

きっと気のせいよね。

………気のせいにしておきましょう。

 

華琳「なら…今度またここに来て俳句大会でもやろうかしら?きっと楽しくなりそうだわ。」

 

一刀「それはいいかもしれないけど…やりたくないってやつ必ず出ると思うぞ?」

 

華琳「そんなことはさせないわよ。賞品でもちらつかせれば、皆やるでしょう。……そうね例えば一刀を一日独占できる権利とか…」

 

一刀「俺はまた賞品扱いになるわけか…」

 

華琳「あら…いいじゃない。種馬冥利に尽きるでしょ?」

 

一刀「……今この場でその名は聞きたくない」

 

華琳「………だったら私だけを見なさいよ/////」

 

一刀「へ?」

 

華琳「/////なんでもないわよ!とにかくそうしましょ。にしてもそろそろ寒くなってきたわね…」

 

一刀「そうだな…そろそろ帰るか?」

 

華琳「ええ…そうね。…でも…」

 

一刀の言葉に賛同しては見たものの、私は言葉を濁す…

それを見て、何かを察したのか…一刀が私の体をやさしく抱きしめる。

 

ギュッ…

 

華琳「//////////か…か…かじゅと!?」

 

一刀「こうすれば少しは暖かくなるかな?」

 

華琳「///////////ば…ばかぁ…」

 

私はやっとの思い出その一言を言った。

どうしよう…私の体汗臭くないかしら…

それよりも私の鼓動聞こえてないわよね…こんなに早い鼓動なんて聞かせられないわ。

あ~…もう!///////一刀の種馬~…。どうしてこういうところは外さないの!?////

やられる私の身も考えてよ!!

こんな…

こんなことされたら…

 

前よりももっと一刀のこと好きになっちゃうじゃない~~~///////////!!!!

 

そんな心の叫びは一刀に届かないと分かっていても思わずにはいられなかった。

 

一刀「華琳……」

 

華琳「/////何よ…」

 

一刀「もう少しこのまま景色を眺めていないか?」

 

華琳「………ええ、そうね。そうしましょう……」

 

私達は辺りが暗くなるまでそのままでいた。

 

一刀のあたたかさと、一刀のやさしさに包まれた日

 

今日という日が来たことに感謝

 

私が一刀に出会えたことに感謝

 

そして…この幸せがいつまでも続きますように…

 

私と一刀の永久の幸せに…………

 

 

 

 

 

 

 

 

                                 乾杯!!!

 

 

 

 

いかがだったでしょうか?

 

最初は軽い気持ちで書き始めたんですが、気付いたら万葉集をネットで調べていました。

 

勢いってこわいね♪

 

それと、俳句の説明の時に一刀が言った俳句?ですが、これは実際に小学校のころ友達がいきなりそれを言い始めて大爆笑した素晴らしい作品です。

 

今でもその子は天才だなと思います。

 

ともかく、少しでも楽しんでもらえたならうれしいです。

 

今連載中の作品もこれからどんどん山場を迎えて面白くなるように頑張るつもりですので、これからも応援よろしくお願いします。

 

今日の思春ちゃんで思春が好きになった人は、私が大歓迎しますので…

 

これからも思春を愛でていきましょう!!!

 

えー最後ではっちゃけてしまいましたが…

 

この作品を呼んでくださってありがとうございました。

 

                                             秋華でした。


 
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