No.169794

恋姫Homework!

k.nさん

夏休みと言えば、「花火」「海」「スイカ割り」など楽しみなイベントがありますね~。どれもこれも良い思い出になります。

…しかし、結局最後に頭に残るのは…

「Homework(宿題)」のこと。

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2010-09-02 01:21:50 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:4310   閲覧ユーザー数:3866

 

 

「……。」

 

俺は木に背を預けて、青空を見上げていた。

時折ため息をつきながら、遠くを眺め、感慨にふけていた。

 

すると一人の少女が近づいてきて心配そうに尋ねてきた。

 

「…どうかしたのですか?ご主人様…」

 

背を浮かせ黒髪少女の方を顧視した。

 

「夏休み…。」

 

と一言だけ呟く。

 

「…?夏休みとは、暑い日が続く時に長期休暇が取れるという天界の制度でしたよね?

それがどうかしたのですか…。」

 

そうだ。愛紗達には前にこう説明したけど、内容についてはまだあまり触れて無かったな…。

夏休みと言えば、「花火」「スイカ割り」「海」とかいろいろあるけど、なんか大事なことを忘れているんだよなぁ。こう…これをしなきゃ夏休みした気にならない…何かが。

 

「…。それはそうと、ご主人様にはあまり休まれては困ります。

貴方には夏休みの間やらなければならない仕事が山ほどあるんですから…。」

 

「はいはい。わかってるよ。今戻るかr…っ!」

 

愛紗。今君は“仕事”と言った。夏休みの間の“仕事”と…。

…そうかそうだったんだ。…仕事…か。…ふふ。

君の何気無い言葉は、この先後悔という二文字の言葉で帰ってくることだろうよ。

君はパンドラの箱を開けてしまったんだ。怨むなら自らを怨んでくれ。

そして俺は君たちに、夏の恐ろしさを体験させたい。

楽しい楽しい夏休みに潜む真、夏休みを…。くくく…あーっはっはっは―。

 

俺のオーバーなアクションに引き気味だった愛紗は「暑い日が過ぎれば大丈夫になりますよ」とかなり同情されたが、同情するのは俺の方になるだろう…くく。夏休み補完計画スタートだ。

 

 

俺の“夏休みの三カ条”は多くの人に広まった。

1、食べ過ぎ飲みすぎには注意

2、規則正しい生活を 「ご主人様の場合、性活ですね。」

3、宿題(自由研究とか)の提出 ※提出しなかった者には罰を与える。

 

3は義務化し、期限の日に各地域の領主に提出させることになった。

もちろん武将たちは俺に直接提出する事になる。

果たしてどんな自由研究になるのだろうか。それよりも、その過程の方が楽しみかな。

主に優等生派(宿題を早めに終わらす)、一般派(宿題を後半に終わらす又は一夜漬け)、言い訳派(宿題をやっていないのに、今日忘れたとか言ってその場をしのぐ)に分かれるだろう。

誰が何処に入るかは結構予想はつくけど…。

 

「お兄ちゃ~ん。自由研究ってそこら辺にいる生き物を捕まえて提出するのはだめ~?」

 

意外と鈴々が真面目に質問しに来た。昆虫採集の部類だから許可。

 

「北郷。夏休みの間、日々の出来事を纏めた物を書き留めたものを宿題とするのは…」

 

続いては優等生派候補の秋蘭が質問。日記系だから宿題かな?

 

「なぁ北郷。私って存在薄いだろう。だからどうしたら私はもっと輝けるのか研究してきていいか?」

 

聞くこと!?ってかそれ自分探し!?自分研究!?白蓮は何派なんだろう…。

続いては朱里雛里コンビか。

 

「八百一本ていしゅ」「却下」

 

 

「一刀ぉ~。夜伽してあげるから、宿題免除は~?」

 

八百長だ。俺がそんな手に乗るとでも?

※雪蓮には酒の美味しい飲み方(10文字以上50文字以下)で妥協した。

 

「ご主人様ぁぁ~~ん。宿題やったら夜伽させてくれるぅ~」

 

※追加 4、オカマは宿題免除

 

 

一刀の部屋。

 

「っふぅ~。何だかんだで皆気にしてるんだなぁ~。

結構優等生が多い感じか。良いことだけど、なんか、物足りないっていうか…。

一人か二人くらい手のかかる娘がいても、いい気もする。

これが、先生の言葉に出せない気持ちなのかもなぁ。」

 

と自分なりの教師論を論じていた俺であった―――――――――――……

 

 

――期限日。

 

まず始めに元気よく飛びこんで来たのが鈴々だ。

 

「鈴々は昆虫採集だったよね?どんな虫を捕まえてきたのかな…。」

 

「愛紗にすっごい褒められたのだ!自信満々なのだ。」

 

鈴々の事だからきっとかなり多くの虫を捕まえてきたんだろうな。愛紗に褒められるくらいだし。

この時代の昆虫って結構レアなのがたくさんいたりして…。

 

「鈴々が捕まえてきたのはーーこいつらなのだーーーっ」

 

こいつ…ら…?

 

俺が見たのは多くの昆虫ではなく大きい昆虫でもなければ…

「そこら辺にいる生き物」=「イノシシ軍団」だった。

 

「一番目が文太で、二番目が剛力丸で、こっちの大きい三番目の~」

 

「いや、もういいから…、合格だよ…。」

 

そうだった。誤解していた。この国の常識を。

そうとなれば、これから来る人たちも…。お、悪寒が…。

 

「すごいな張飛は。それができるのはお前くらいなものだ。」

 

秋蘭か…。確か、日記的なものだった気が。……秋蘭の日記…。

 

「これだ。実はあまり渡したくは無かったのだが、法を犯しては魏の名が汚れるのでな。

やるからには、私なりの最高傑作を渡したかったから…。…どうだ?」

 

うん。姉者だらけだ。

 

 

これは、悪い予感しかない。

でも、今と昔とではまったく風習が異なるし、これが一般的なのかもしれない。

途中で投げ出すわけにもいかないし。そもそもやってくることに意味があるのだから。

ポジティブ!アイムポジティブシンギング!

 

「たのもー。」

 

これはこの時代の常識的な入室の際の言葉なのだろうか…いかん頭が…落ち着け俺!

 

春蘭の「華琳様銅像」、風の「凛ちゃん鼻血総決算」、亜莎の「ごま団子五百本」

蒲公英の「上手な落とし穴の作り方入門編~達人編」、沙和の「罵倒大全」

など色々あったが、優等生中の優等生、華琳の陶芸にはど肝を抜かれた。

そして蓮華の手作り執事服や、桃花と愛紗の共同料理などの優秀な作品が飛び出した。

 

「…へぇ、やるわね蓮華(それで一刀の気を引くつもりでしょうけどね。見え見えよ)。」

 

「華琳には敵わないわよ(冷静ぶってるけどどれだけそれに時間を費やしたか知ってるわよ)。」

 

「すごーい二人とも(でも、一番男の子を引き付けるのは手作り料理なんだよ?)!」

 

最早三国大戦!

つか黒いのすごい見えるんですけど…。

 

「主!完成しましたぞ!この日のために付けに付け丹精込めて作った最高のメンマがっ」

 

予想通り過ぎるわっ。

 

「悔しいけど、百枚程度しか書けなかったわ。アンタへの恨み綴り。」

 

「敵の殺し方全千個。」

 

不良組決定だよ君達!それでも温いと感じるのは疲れだろうか…。

 

「やっと俺の宿題が視えた!!元気になぁーーれっ!!」

 

アッーーーーーーーーー…。

 

 

 

結果。

まとめると、宿題は質でもなく量でもなく、やってくることに意味がある。

それに皆楽しんでたようだし、やって意味があったな。良かった。

 

「これも宿題の事を思い出させてくれた愛紗。君のおかげだよ。」

 

「そ、そんなこと。私はただご主人様に…」

 

照れくさそうに下を向きながらウジウジしている愛紗を愛おしくなり、不意に抱きしめたくなった。普段は厳しいけど、だからこそこうしてる愛紗は本当に可愛い。

 

「愛紗…。」

 

俺の宿題は、君を―――

 

「お仕事をして欲しかっただけで。そんな大それたことなど…。」

 

………ぁ。

 

夏の夜 楽しい時間は すぐ過ぎて 愛しい君に 二度気づかされる    By一刀

 

 

 

――その頃の白蓮。(実は城にいた)

 

「見つけたぞ。私が輝ける唯一の手段。宿題を。

城にいても誰も見つけてくれる事はなかった。これだ。影の薄いキャラで輝こう!」

 

私はたとえ困難な道であろうと、自分の選んだ道を進むと。心に深く刻み込んだ。痛い。

これで私の宿題は完了だ北郷。

 

??「いや、お前の宿題は完了していない。」

 

「!だ、誰だ。」「華雄だ」

 

か、華雄だと…!?い、いたのか…いったいどこに。

 

「お前は誤解しているな。自分が影の薄いキャラで行く…?笑止千万!!!!!

私がいる限りお前はこの方法では輝けない。永久にだ。」

 

「くぅ…。またしても、私は……すまない、北郷。」

 

地団駄を踏む。最後の手段を失った私は、もう。

 

「あきらめるのか?公孫賛。」

 

「…ぅぅ。…嫌だ。」

 

私は言葉を何とか絞って出した。これが私の想い。自分の輝き。それが欲しいという。

情けないな。本当に。白馬仮面の名が汚れてしまう。

 

「それに、お前にはもう輝ける場所があるんじゃないか?」

 

「え?」

 

 

「お~い、白蓮!今日皆で夕食会開くことになったから是非来てくれ!華雄も!」

 

北郷…。お前ってやつは…。

 

「そうだな。ふ。何を血迷ったことをしていたんだ私は。もう私には仲間がいる。それでいい。

ありがとう華雄。大事なものを気づかせてくれて。…さぁ行こう。皆が待ってる。」

 

「…いや。遠慮しておこう。」

 

「ん?具合でも悪いのか?」

 

華雄は遠くを眺めるような視線で青空を見た。

 

「私の宿題はまだ完了していないからな。」

 

「宿題…。何だ。お前の、華雄の宿題は…!」

 

そして私に背を向けて、そして私の名を呼んだ。

 

「真名を見つけることさ。“白蓮”」

 

 

~fin~

 

 

 


 
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