No.169469

真・恋姫無双 刀香譚 ~双天王記~ 拠点・一刀、修行するのこと

狭乃 狼さん

刀香譚の拠点、荊州編のその一です。

まずは一刀の様子から見てみましょう。

多分、あいも変わらずだと思いますが^^。

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2010-08-31 15:15:41 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:13401   閲覧ユーザー数:11482

 「たりゃーっ!」

 

 どがっ!

 

 「はぐっ!」

 

 張飛の繰り出した棍をまともに腹にうけ、その場に倒れこむ一刀。

 

 「にゃ!お義兄ちゃん、大丈夫なのか!?」

 

 「だ、大丈夫。さ、続けるぞ、鈴々」

 

 見るからつらそうな表情をしたまま、棍を杖代わりにして立ちあがる一刀。

 

 「……やはり無茶が過ぎませんか、義兄上。われわれ三人を相手に、そのような状態で修練など」

 

 そんな一刀の様子を見て、不安げな顔で言う関羽。

 

 「……愛紗が心配してくれるのは嬉しいけどね。基礎から鍛えなおすには、この方法が一番効率がいいんだ」

 

 玉のような汗をかきながらも、笑顔で関羽に答える一刀。

 

 「……でも、二百斤は重過ぎると思う」

 

 「それでもだよ、恋。それに、いずれは倍くらいまで、重りを増やしたいしね」

 

 実は、今一刀が着ている稽古着には、一つ十斤(約2㌔)の重りが、全部で二十個、主に腕と脚の部分に縫い付けられていた。

 

 一刀はそんな状態で、関羽、張飛、呂布の三人を相手に、限りなく実戦に近い稽古をしていたのである。

 

 「……そこまでしなければ、勝てない相手というのですか、あの項羽は」

 

 「……正直、これでも足りるか判らないってところかな?」

 

 「そんな……」

 

 そう。一刀がそこまで無茶な修行をしている理由。それは、あの項羽と名乗った女性の力量に、少しでも近づくためだった。

 

 「さ、続きといこうか、三人とも。遠慮なんていらないから、どんどん来てくれ!」

 

 再び棍を構える一刀。

 

 「……じゃあ、思いっきりいくのだ」

 

 「……では、参ります!」

 

 「……いく」

 

 「来い!」

 

 

 「いててててっ!と、桃香!もちょっと優しく!」

 

 「自業自得でしょ?本当に無茶ばっかりして」

 

 その日の夜。

 

 一刀は自室で、昼間の怪我の手当てを、劉備から受けていた。

 

 「修行の役には立てないから、これくらいはさせて」

 

 と。半ば強引に劉備に押し切られ、不承不承、従っている一刀だった。

 

 「……基礎から体力をつけないと、”あれ”は使いこなせないからな」

 

 「その前に体を壊したら意味ないでしょ?全くもう!」

 

 ぱちん!

 

 「いてっ!」

 

 「はい、これで終わり。……当分続けるんでしょ?止めても聞かないだろうけど」

 

 治療の最後に、一刀の背中を叩き、半ば呆れながら言う劉備。

 

 「ああ。大丈夫。政務の方もちゃんとやるし、桃香に負担はかけないからさ」

 

 (……そんなこと心配してるんじゃないのに)

 

 「この朴念仁(ぼそ)」

 

 「ん?何か言った?」

 

 「なーんにも!それじゃ、私はもう部屋に戻るね。……ゆっくり寝ててよ?」

 

 そう言って立ち上がる劉備。

 

 「桃香」

 

 「?何?」

 

 劉備を呼び止める一刀。

 

 「……ありがとな」

 

 「どーいたしまして。じゃね、お兄ちゃん。おやすみ」

 

 「ああ。おやすみ」

 

 ぱたん、と。扉を閉めて劉備が部屋を出る。

 

 

 

 「……は~、やばかった。何とか堪えられた。……桃香って、いい香りするんだよな。……いつからだったかな。桃香を妹として見なくなったのって」

 

 寝台にうつぶせになり、枕に顔をうずめてつぶやく一刀。

 

 「……頭じゃ判ってるさ。俺と桃香は兄妹だってことは。でも、でも」

 

 ほわん、と。頭の中に劉備の姿(主に胸)を思い浮かべる一刀。

 

 「……大きくなったよな~。うん。それに、あのフトモモ。真っ白で、ほんのり紅く染まって、すごく色っぽいんだよな~。……何より、かわいいよ、な。やっぱり。うん」

 

 そんなことをつぶやきながら、果てしなく鼻の下を伸ばす一刀。

 

 「……あの時はわれながら、、よく理性を保てたもんだ」

 

 あの時、というのは、いつぞやかの洞窟でのことである。

 

 「あの時は本気でやばかったもんな~。素っ裸の桃香に抱きつかれて、もう、心の臓がばくばくいってたもんな~」

 

 ごろん、と。仰向けになる一刀。

 

 「……あの時桃香が言ってたよな。何で兄妹なんだろうって。……本当にそうだよな。兄妹じゃなかったら今頃は……」

 

 にへ。と、思わずだらしない顔になる一刀。

 

 「……はぁ。も、やめやめ。考えたってどうにもなりゃしないっての」

 

 (そうさ。どうにもならないんんだ。どうにも)

 

 そのまま眠りにつく、一刀であった。

 

 

 

 それから一月ほど経った、ある日の練武場。

 

 「ふぅ。……まずは、内気」

 

 すぅ~、と。息を深く吸い込み、自身の体内に気を巡らせる一刀。

 

 「……それから、外気と、自然の気と、同調する」

 

 ざわざわと。周囲の大気がざわつき始める。

 

 「……そして、”合気(ごうき)”……!!」

 

 その瞬間、

 

 どうっっっ!!

 

 「くっ!」

 

 「にゃっ!」

 

 「……っ!」

 

 一刀の体から、凄まじい気の奔流が起こる。

 

 近くにいた関羽、張飛、呂布の三人が、思わず吹き飛ばされそうになり、必死に堪える。

 

 「……これ、あの時と一緒」

 

 「これが、義兄上のいう『合気法』……!!」

 

 「た、立ってるのがやっとなのだ……!!」

 

 「……ふぅ」

 

 一刀が集中を止め、気の奔流が収まる。

 

 その瞬間、関羽たちはその場にへたり込む。

 

 「……大丈夫かい?三人とも」

 

 「は、はい。何とか」

 

 「鈴々もへーきなのだ。……はにゃ」

 

 座り込んだまま答える関羽と、立ち上がろうとしてふらつく張飛。

 

 「……でも、今のはまだ、あいつほどじゃなかった」

 

 「なんだと?」

 

 呂布の言葉に驚く関羽。

 

 「……ああ。多分、まだあいつの半分くらいだと思う。それに、”昇化”するまで時間がかかり過ぎてる。……当分、実戦で使うのは無理だな」

 

 そう言って座り込む一刀。

 

 「はい、お兄ちゃん。お水」

 

 「ありがと。んっ、んっ……はぁ」

 

 劉備から渡された水筒の水を、一気にのどへと注ぎ込む一刀。

 

 「それにしても合気法(ごうきほう)ですか。すごいものですね」

 

 「正式には、”合気昇化の法”って言うんだけどね。師匠からはやり方だけ教わってたんだけど、かなり負担がかかるから、相当に体を鍛えないと、体のほうが壊れてしまうんだ。これを平気で使っていた師匠は、やっぱり化け物だったんだなって、つくづく思うよ」

 

 そんなことを言いながら、何か懐かしそうな表情になる一刀。

 

 と、そこへ。

 

 

 「主様、こちらでしたか」

 

 竹簡の束を抱えた馬良が、一刀達のところにやってきた。

 

 「舞さん。どうしたんですか?」

 

 「財政の書類でお聞きしたいことがあるんですが、よろしいでしょうか?」

 

 座り込んでいる一刀の手前で、立ち止まる馬良。

 

 「……」

 

 「あの、主様?」

 

 (きれいな脚だな~。こう、スラッとしていて、色白で。桃香や愛紗とは、また違った色気が……)

 

 「……義兄上。どこを見ておいでか?」

 

 「へ?」

 

 「……鼻の下、すんごい伸びてるよ?」

 

 「……一刀、目がやらしい」

 

 「にゃはは。やっぱりお義兄ちゃんは、助平なのだ」

 

 「あ、いや、これは、その」

 

 桃香たちににらまれ、しどろもどろの一刀」

 

 「御噂どおり、主様は仕方のない方ですね。……ところで私、今日は何も”穿いておりません”のよ?」

 

 「ホントデスカ?!」

 

 思わず身を乗り出す一刀。

 

 「……ホントニ、ショウゴリモナグー!!」

 

 「ア・ニ・ヴ・エー!!」

 

 「アッーーーーーーーーーー!!」

 

 

 ……今日も荊州は平和でした(マル)

 

 

 

 さて、前回に続いてあとがきのコーナーです。

 

 「久々の拠点イベントね。はーい、みんなのアイドル、由ちゃんでーす」

 

 「誰がアイドルよ、だれが。輝里ですよー。忘れないでくださいねー」

 

 

 さて、今回は一刀の修行編、って感じですが、いかがだったでしょうか?

 

 「修行はいいけど、カズくんのあれ、何?ちょっと引くじゃない」

 

 そう?健康な男子なんてあんなモンデスヨ?一刀はよく抑えてるほうです。

 

 「そーねー。好きな人のこと考えて、いろいろ妄想するのは仕方ないか」

 

 そういうことです。

 

 

 で、次の拠点なんですが、いくつかネタは出来てはいるんですが、投稿する順番で悩んでます。

 

 なので、ご意見をお聞かせ願えたらと思います。

 

 1、美羽と七乃ネタ。

 

 2、ハム姉妹。

 

 3、命と雛里。

 

 さーて、どれがいいですかね?

 

 あ、あくまでも順番だけですので、この三つはすべて書きますので。

 

 ・・・・・・全部同時、ってのだけは勘弁してください。

 

 諸事情により、無理なもので^^。

 

 ではそういうことで。

 

 「コメントおまちしてま~す」

 

 「支援も気が向いたらしてやってくださいね~」

 

 ではまた次回まで、

 

 『再見~』

 


 
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