No.168737

お話を百倍面白くする作劇手法④【実用記事】

うーたんさん

なんか、新しい講座でも書こうかと思ったら、書きかけの四番が未投稿でのこってたので、これ幸いと投稿。
議題は「テーマの2」

2010-08-28 16:04:50 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:972   閲覧ユーザー数:936

 

お話を百倍面白くする作劇手法④【実用記事】

 

これを読めば物語を百倍面白くする事が出来ます。読めばたちどころにお話が面白くなります。

パチンコをすれば連チャン。競馬をすれば万馬券です。可愛い彼女だって出来ます。

……すいません、言い過ぎました。

 

 

俺「この実用記事は、売れない同人者の俺が、古今東西のシナリオ本を読みたおし、いろいろ実作を作って編み出した、オリジナルな物語ノウハウを語る所であります」

 

犬子「アシスタントの犬子でーす」

 

俺「第四回目でーす。引き続き「テーマ」です」

 

犬子「またテーマかよ」

 

俺「テーマは『問題解決』や『ドラマ』と違って、影響範囲が大きいんでなあ。一口で語りにくい」

 

犬子「売れない癖に、難しいテーマに挑むなよ。身の程知らず」

 

俺「超黙れ」

 

犬子「で、今回は?」

 

俺「テーマの具体的な設置方法を、例を交えてだな」

 

犬子「実践的だな」

 

俺「まず、短編の場合「なにか言いたいこと一つ」を決めておくと作りやすい」

 

犬子「詳しく」

 

俺「たとえば、『馬鹿は限定的だが無敵』というテーマを取るとする。その場合、馬鹿が大活躍するエピソードラインを考えるわけ。その短編の中に「お母さんを大切にするといいよ」というエピソードを混ぜると、テーマがぶれる」

 

犬子「ほう」

 

俺「『馬鹿は限定的だが無敵』というテーマに沿わないエピソードは乗せちゃ駄目という事だね。短編は全てのエピソードをテーマに向けないと、まとまりが悪いんだ」

 

犬子「どっちのテーマが言いたいのか解らなくなるのか」

 

俺「結構テーマに向けて書いていても、エピソードでぶれる時があるのな」

 

犬子「そういうときは?」

 

俺「要らないエピソードなら削るし、それを足すと新しいテーマが発生するようなら、書いた先の部分に手を入れる感じだね」

 

犬子「最初のテーマ守らなくてもいいのか?」

 

俺「頼まれて、「このテーマで」と言われて書くなら、守るね。だけど、趣味の創作の場合、守っても守らなくても良いのだ。できあがりがちゃんとしてれば良いんだから」

 

 

犬子「じゃあ長編は?」

 

俺「大きなテーマをまず決める。たとえば『戦争反対』とか。で、それに付随する一話ごとの小テーマを決める。『無理な命令のうざさ』とか『馬鹿な上官は迷惑』とか『民間人に被害が出たときの悲しさ』とかね」

 

犬子「『戦闘の高揚』とか、『戦士の勇ましさ、かっこよさ』とか、入れないの、読んでる人に受けるし、書いていておもろいよ」

 

俺「大テーマが『戦争反対』なので、入れない、テーマがぶれるんだ」

 

犬子「なんだよ、言いたいことの都合の良い事ばかり入れるのはずるいぞ」

 

俺「物語は現実ではないので、テーマに沿ってない余計なエピソードは入れません。これがテーマを置く理由なんだよ。たとえば大テーマが『良いも悪いもある戦争』だと良いことと悪いことを両方等分に入れるし、『戦争はカコイイ』という大テーマなら、悪いこと方向のエピソードはいれません」

 

犬子「なんか、ずるいし、そ、そんな意見がすぐ変わるのは良くないっ! お前には作家としての自分が無いのかっ!」

 

俺「物語って、エピソードを重ねる事によって、言葉では語れない『何か』を伝えるもんだしな。思想とか考え方じゃあ無いのだ」

 

犬子「そうやって、配線図みたいにして物語を作っておもろい物ができるのかっ!」

 

俺「まあ、やらないよりは、やったほうが、おもろい物が出来る確率は高くなるよ」

 

犬子「かくりつ? 百倍おもしろくなるって」

 

俺「やってないひとは0だから、やれば百倍どころか一万倍とも、一兆倍とも言える」

 

犬子「詭弁だっ!! この駄法螺ふきめっ!!」

 

俺「超黙れっ!」

 

犬子「確率なのっ! この講座を実行したら、ラノベの賞も取り放題、ベストセラーでアニメ化じゃあないのかよっ!!」

 

俺「ばっかじゃねえの、そんな秘訣があったら俺が知りたいわ、実行したいわっ」

 

犬子「う、まあ、そりゃそうか、お前馬鹿の上に人気ないしな」

 

俺「おお黙れっ!!」

 

――おしまい――

 

 

 

犬子「世の中には小説の教本いっぱいあるじゃんよ、お前よりももっと偉い先生が書いたやつ。そういう所に確実なノウハウ乗ってないのかっ」

 

俺「良いことを教えてやろう。本当に偉い先生は物語のノウハウとか書かない」

 

犬子「な、なにいいいいっ!!」

 

俺「あんまり才能が無くて、売れてない先生方が良い教本を書くんだよ」

 

犬子「な、なんで、才能無い先生方が」

 

俺「馬鹿だな、才能ない先生こそ、法則とかノウハウとか、異様に考えるわけよ。売れてて偉い先生は、適当に小説を書いて、売れるから教本とか書かない。ノウハウ持ってないから」

 

犬子「そういう、ものなの……?」

 

俺「ノウハウというのは、凡人が天才と戦うために編み出す物で、才能ある奴にはいらないのだよ」

 

犬子「しかも、確実でないノウハウ……」

 

俺「馬鹿め、物語に確実なんざないわ。プログラマーや配線技師じゃあ無いんだ、正解なんか無いよ」

 

犬子「そんな事はない、物語に奥義はあって、それさえ知ればきっと大名作が書けて、作品は大ヒット、アニメ化映画化、田園調布に家が建つような、そんな事がどこかにあるんだよっ!」

 

俺「ねーよ。良い実例を教えよう。宮崎駿大先生だ」

 

犬子「パヤオは、その、調子が最近悪いんだよ。察してやれよ」

 

俺「宮崎駿大先生は、安定してないんだな。コナン、ナウシカ、トトロ、魔女宅と超一流コンテンツを発していたが、もののけ姫あたりから、ぶれはじめてる」

 

犬子「老いたんだよ。責めちゃだめだよ」

 

俺「奥義があるなら、どんなに老いても一線級を出せるはずだが、出せない。なぜだか解るか」

 

犬子「奥義ないのかー?」

 

俺「宮崎巨匠が、大巨匠だからこそ、あの乱高下なんだよ」

 

犬子「はい?」

 

俺「物語コンテンツは一度出したパターンは使いにくい。読んだ人に飽きられるからね」

 

犬子「あ、そういや、同じ話を再生産する作家さんは多いね」

 

俺「そういうこと、同じような話を再生産すれば、作品の品質は乱高下しなくてすむ。だが、宮崎さんは巨匠だから、新しいパターンを掘り出そうと挑戦しつづけてるわけだな」

 

犬子「だからババアや金魚をヒロインにしたりするのか……」

 

俺「おとなしく、クラリス系のロリをヒロインにした冒険コンテンツを再生産していれば、ここまでの乱高下はなかったはずだけど。巨匠だから」

 

犬子「うむむう」

 

俺「巨匠の挑戦が上手くいくと、千と千尋みたいに、綺麗にまとまるし、上手く行かないと、とっちらかるわけさ」

 

犬子「上手く行くパターンばっかり使って大もうけすればいいじゃんよう」

 

俺「それをしないから宮崎さんは尊敬されてるし、俺も凄いなあと思うんだ」

 

犬子「お前は馬鹿の上に才能ないんだから、パヤオのマネとかしてないで、安打ねらいで凡庸な話作って、小銭を稼げばいいんだっ!!」

 

俺「黙れ凡愚めっ!」

 

――おしまい――


 
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