彩ちゃんと香織ちゃんのお話が終わって、今回で三回目です。
そういうわけで今回はわたし小夜子のお話をしたいと思います。
うん。大丈夫。わたしの初音お姉ちゃんが最高だから……
「ふふ……っ。初音お姉ちゃんおはよう」
未だにぐっすりと眠っている初音お姉ちゃんに、小声で朝の挨拶をする。
ちゃんと聞こえる声で挨拶をするのはまだ後の話。
今は可愛い寝顔で眠っている初音お姉ちゃんの姿を堪能するのが先だから……
「すぅ……ぐぅ……」
ああ。何で初音お姉ちゃんはこんなにも素敵なんだろうか?
ただ眠っているだけなのに、それだけなのに可愛い。
本当に初音お姉ちゃんの可愛さは犯罪級だと思う。
だからかな? 初音お姉ちゃんの寝顔を見ていると、ある一つの欲求が湧いてくるのは。
「……キスしたい」
穢れを知らない初音お姉ちゃんの唇を奪いたい。
そう思ってしまう。
ゆっくりと、だけど確実に初音お姉ちゃんの唇に近づいていく。
五十センチ、三十センチ、十センチ……
あともう一息で初音お姉ちゃんにキスをする事が出来る。そんな距離まで近づいたのに――
「……ん? 小夜……子?」
初音お姉ちゃんが目を覚ましてしまった。
本当に触れられそうな距離で固まっているわたし。
「あ、はは……っ。初音お姉ちゃんおはよう……」
気まずい思いをしながら挨拶をする。
うぅ~どうして初音お姉ちゃんは、こんな変なタイミングで起きるのかな?
もう少し、あとほんの少しでキスをする事が出来たのに。
「ん。おはよう小夜子。ところで、何で小夜子はそんなに顔を近づけてるの?」
核心をつく質問。だけど、本当の事なんて言えるはずがない。
「えっと、その……」
こういう時何を言えばいいのか分からない。何か適当な言い訳でも思いつけばいいんだけど、
残念ながら何も思いつかない。
どうしてこんな事になってしまったのだろうか?
わたしが初音お姉ちゃんにキスをしようとしたから? 初音お姉ちゃんが変なタイミングで
起きるから?
……考えるまでもないよね。悪いのは全部わたしだ。
実の姉にキスをしようとしてる妹なんて気持ち悪いだけだよね。
うん。きっと初音お姉ちゃんもわたしの事気持ち悪いって思ってるよね。
どうしよう。初音お姉ちゃんに嫌われる。
それだけは絶対に嫌! 初音お姉ちゃんに嫌われるのだけは嫌だ。
だけど、いくらわたしが嫌がっても――
思考がどんどん悪い方へと流れていく。
嫌な光景が、ぐるぐると巡っている。
そのことに心が締め付けられて、今にも崩れてしまいそうなのを止めたのは――
初音お姉ちゃんからのキスだった。
「初音……お姉……ちゃん?」
いきなりの出来ごとに思考が完全に止まる。
そして何故? どうして? と疑問ばかりが頭を埋め尽くす。
「あまり悲しそうな顔をしないで。大丈夫。小夜子の気持ちはちゃんと私に届いてるから」
え……? わたしの気持ち?
「小夜子が私を想ってくれてるように、私も小夜子の事ちゃんと想ってるわよ」
「あ……」
涙が出た。
初音お姉ちゃんの言葉が、気持ちが、とても嬉しかったから。
「好きよ。小夜子」
「うん……わたしも大好き」
わたしが大好きで、心から本当に愛している初音お姉ちゃん。
初音お姉ちゃんが居れば他になにもいらない。
そう思えるほど、わたしは初音お姉ちゃんを愛しています。
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三人目のお話。
少し重い気がしますが、そういう子なんです。