No.162672

真/恋姫無双 萌将伝 『扇風機』

アインさん

数に規定はないので投降させてもらいました。

2010-08-02 08:40:29 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:4512   閲覧ユーザー数:4070

 どの世界でも夏の暑さをどうやって乗り切ろうか考えてしまう。

 北郷にとってもそれは例外ではない。もちろんこの暑さで周りの乙女達がより可愛く見えることは嬉しいが男の場合は別。

「真桜にだいたいしか言ってないんだけど、それを再現しちゃうなんて……すげーな」

 カラクリ天才乙女真桜に『扇風機』を作ってもらった。これで暑さを乗り切れるはずだ。北郷は自身の知識とそれを再現できる真桜に心から感謝した。

「ふ―ん。これが”センプウキ”ね? それでどうやったら涼しくなるのかしら」

 天の国の知識を元に新しく作ったカラクリに興味があるのか華琳はジロジロを『扇風機』を見る。

「それじゃ、動かすよ」

「どうやって?」

「どうやって……こうスイッチ一つで……」

 北郷は”この世界に電気ないじゃん”と気付く。……となると自身の力でハンドルを付けて回すしかない。

「あの――」

「なんで、私がそんなことをしなくちゃいけないの?」

「はい……」

 結局北郷は『華琳のために』扇風機を回してあげた。

「ふ―ん……涼しいわね。考え方次第ではかなり使える物ね」

「そ、……です……か」

 涼む華琳。汗だくの北郷。しかしそんな光景をしばらく見ていると華琳自身も少しだけ罪悪感を感じたらしく。

「少し貸しなさい。私だけ涼んでいるが馬鹿みたいじゃない」

 無理矢理北郷からハンドルを奪うと北郷のために回してあげた。

「あ―――――。ありがとう華琳っ!!」

「か、感謝しなさい。この私自らが動いていることに」

 よほど疲れていたのか北郷は涙を浮かべつつ華琳にお礼を言った。

「それにしても……これ見るとやりたくなるんだよな―」

 そう言うと北郷は回転を続ける扇風機のプロペラに顔を近づけた。

「わ゛ーれ゛ーわ゛ーれ゛ーばー、う゛ぢゅーじんだー」(訳:我々は、宇宙人だ)

「……!?」

 突然声が変わった華琳は驚いた。

「なんで声が……?」

「これはね。扇風機の前に顔を近づけて声を出すと、回転する羽根のせいで声が震えるんだよ。もっとも、こんな子供じみた真似普通はしないけどね」

 確かに子供じみているが恐らくあまりの懐かしさについしてしまったのだろう。

「ふーん………」

 華琳は不思議そうに納得した。

――あくる日。

 

 とりあえず扇風機は自身でも回すことはできる仕組みになっている。

「………」

 誰もいないことを確認し、扇風機を入れる。プロペラが回転を始め、涼しい風が流れた。

 そして……。

「あ゛~~」

「わ゛~れ゛~わ゛~れ゛~ヴぁ~、う゛でゅ~じんだ~」(訳:我々は、宇宙人だ)

 北郷のあれを見て以来どうしても試したくなったらい。しかも試せばこれは不思議でたまらなく、そして面白すぎに気付いた。

 だが、こんな恥ずかしとこを誰かに見られたら、一巻の終わりだ。

「……華琳?」

「……!!」

 気がつくとそこには、北郷が立ち、必死に笑いを堪えていた。見られてしまったのだ。

「あ、ああああああああああ!」

 華琳は絶望感に襲われ、頭を抱えてうずくまってしまう。

「ぷっ、うくく・・・。だ、大丈夫、小さい頃、俺もよく・・・ぷっ、あはははは!」

 とうとう堪え切れず、北郷は噴き出した。

 

プチン

 

 そして、なにかが切れる音が聞こえた。


 
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