No.160742

はらぺここまりん

掘江弘己さん

朝寝坊しちゃった小毬。サイフもお菓子も部屋に忘れてきて、屋上でお腹を空かせていると、鈴がサンドイッチを持ってきてくれた。

2010-07-25 23:27:00 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1969   閲覧ユーザー数:1944

 

「うぅぅ~、お腹へったよぉ~……」

 小毬は今日、とんでもない寝坊をしてしまった。起

きたらもうそれだけで遅刻寸前。寮を出たらパジャマ

のまんまということに気づき、慌てて戻って着替えた

ら、今度は財布やらお菓子やら全部玄関に置いてきて

しまった。

 もちろん、朝ごはんなんて食べてる暇はなかった。

「ドジっ娘ですネ!」

「ふええぇぇん」

 おなかはペコペコ、ぐーぐーと鳴りっぱなし。いつ

もと同じように屋上に来てみたものの、そこには誰

もいなかった。

「あ、こまりちゃん。やっぱりここにいたか」

 鈴がそこにやってきて、フェンスにくいっと寄りか

かった。お菓子を広げてないのを見て、ため息をつく。

「あたしでも誰でも、言えば食べ物くらいなんとでも

なったぞ。特にはるかなんか、こまりちゃんが落ち込

んでるのをみてはんせーしてたぞ」

 鈴が差し出してくれたのは、いくつかのチョコ。それとサンドイッチが二つ。ピーナッ

ツバターのとチョコクリームのだ。多分真人の趣味だろう、カツサンドとコロッケパンも。

「あ、ありがとうーりんちゃん!!」

「にゃっ、抱きつくなっ……にゃー!」

 購買からのパンを、みんなでちょこちょこ買ってきてくれたらしい。何もなくてそわそ

わしていたのに、みんな気づいていたのだ。

「くるがやが言ってた、『残念だが小毬君が満足する量のお菓子は集まりきらなかったな

……』って。だからごめん、こまりちゃん」

「うんうん、そんなことないよ! ありがとう!」

 小毬は嬉しくて、これ以上ない笑顔でサンドイッチにぱくついた。甘くておいしくて、

朝ごはんも食べられなかったお腹にはすっごく効いた。

 慌てて食べたせいで、ちょっとむせる。スッと差し出してくれたレモンティーを受け取

って、ごくごく飲む。一息ついて、今度はカツサンドをかじる。いつもは甘いパンばかり

だったから、今日はちょっと新鮮。

 全部食べ終ると、もうお腹いっぱい。携帯を確認すると、まだお昼休みの半分も過ぎて

いなかった。

「あれ、鈴ちゃん、お昼ごはんは?」

「食べてない。でも、こまりちゃんは朝も食べてないんだから、こまりちゃんが先だ。そ

れに、まだ時間はある」

 包み紙を全部片付けると、鈴が学食に行きたそうな顔をしていたから、一緒に行くこと

にした。途中、唯湖に会って、小毬はぺこりと頭を下げた。

「ありがとう~、ゆいちゃん! お陰で助かったよ」

「ふむ。だが元々この話題を振ったのは鈴君だし、お金を出し合ったのは全員だ。私はそ

の一翼を担ったに過ぎないさ。それに、大した金額でもないしな」

「うんうん、そんなことないよ!」

 唯湖と別れ、学食に着くと、リトルバスターズの面々が揃いも揃って大騒ぎしていた。

その光景を見て、小毬の心に一つの決意が浮かんだ。

「よぅし!」

「……どうしたんだ、こまりちゃん?」

「ううん、あとのお楽しみだよ、鈴ちゃん」

「んんー……?」

 ちょっとしたパーティーを開くのだ。女子寮に男の子は入ってこれないから、理樹の部

屋辺りがちょうどいいかもしれない。

 おかしとジュース、それに美味しいクッキーなんかを焼いて持っていこう。

 ルンルン気分で学食の椅子に座ると、理樹や葉留佳、恭介に囲まれながら、わいのわい

のと残りのお昼休みを過ごしたのだった。

 

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