No.160074

真・恋姫†無双 頑張れ一刀くん改 その3

萌将伝に満足した方も、がっかりした方もあれば嬉しい?ゼニガメの小説です(;^ω^)

2010-07-23 19:09:40 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:14323   閲覧ユーザー数:10933

 

 

「ええ!? 県令が兵を連れて逃げ出したって!?」

 

 

黄巾党襲来から一夜明けて入った情報に驚きの声をあげる一刀。

それもそのはず。民を守るための官軍が逃げ出してしまったのだから。

 

 

「おそらく再び攻めてくるであろう賊に恐れをなしたのかと」

「そうですねー。星ちゃんがいなければ負けていたでしょうし」

「やっかいなことをしてくれるな。これでは袁紹の器も知れたようなものだ」

 

 

自分の領内でこんなことが起こるようだと会うまでもなく袁紹という人物に見切りをつけた三人だった。

 

 

「じゃあこの街はどうなるの?」

 

 

半ば良くない未来が想像できる一刀。

 

 

「……おそらく壊滅になるでしょうね」

「そんなっ!」

 

 

稟の冷静な判断に思わず声をあげてしまう一刀。

 

 

「仕方のないことなのです」

「うむ。さすがに私一人ではどうにもならん」

 

 

風や星もどうにもならないと首を振る。

 

 

「……三人はどうするの?」

「早急にこの街を出た方がいいですね」

「心苦しいが仕方あるまい」

「風たちに出来ることは一刻も早くこの大陸を平和に導いてくれる英雄に仕えることだけなのです」

 

 

そう言った三人の表情は悔しさに溢れていた。

 

 

 

 

 

「ま、街のみんなで力を合わせればいけるんじゃないの!?」

 

 

人口も少なくない街なのでいけるんじゃないのかと一刀は考えた。

 

 

「それは難しいと思います」

「どうして?」

「戦闘訓練も受けたこともない庶人にいきなり戦えと言って戦えるでしょうか?」

「でもっ!」

「自分たちを守ってくれるはずの官軍に逃げられて精神的にも良くない状態にあります」

「………………」

「民に出来ることは一刻も早くこの街を逃げ出すことでしょう」

「………………」

 

 

稟の弁舌に何も言えなくなってしまう。

稟としてもなんとかしたいという気持ちはあるのだが、こればかりはどうにもならなかった。

 

 

「一つだけ。……一つだけ方法があるのですよ」

「本当っ!?」

「はい。ですがそれは一刀くんにとって辛いものになるかもしれないのですよ」

「俺が……?」

 

風が言いづらそうにしていると星と稟も風が何を言おうとしているのか気付く。

 

 

「そういうことか……」

「風……」

 

 

一方の一刀はどんなことになるのか想像がつかなかったのだがこの街を救えるのなら自分がどうなってもかまわないと思っていた。

 

 

「風お姉ちゃん………………その方法を教えて」

 

 

この世界に来ていろいろな場所を旅した一刀は、こんな時代でも必死に生きている人たちを見て来た。

だからこそ、そういった人たちが虐げられることに我慢ならなかった。

 

 

「わかりました。その方法は――――」

 

 

 

 

 

一刀の眼前には黄巾党と戦う街の人々の姿があった。

 

 

先頭に立って戦う星。

軍全体の指揮を執る風と稟。

そして一刀は本陣の最後方にいた。

 

 

一刀は戦場を苦い表情で見つめていた。

 

 

「俺は逃げちゃダメなんだ」

 

 

 

 

 

 

風が示した策とは、天の御遣いの名を利用すると言う事。

つまり、一刀を盟主として義勇軍を募ったのである。

 

 

それは一刀を表舞台に立たせるということ。

そして一度表に立てば逃げることが出来ないということ。

その事が風の心を痛めていた。

 

 

しかし一刀はそれに賛成した。

 

 

「俺がこの世界に来たのは何かしらの意味があるはず。それは多分予言の通りなんだと思う。…………だから俺は天の御遣いとしてやれることをやるだけだよ」

 

 

堂々と言い放つ一刀に三人も覚悟を決める。

 

 

「姓は趙、名は雲、字は子龍、真名は星。これより北郷一刀の矛となりましょう」

「姓は郭、名は嘉、字は奉孝、真名は稟。北郷一刀に一生の忠誠を誓います」

「姓は程、名は立、字は仲徳、真名は風。これより名を昱と改め、日輪である北郷一刀を支えるのですよ」

「…………ありがとうみんな。姓は北郷、名は一刀。君たちの主として精一杯頑張るからよろしくね」

 

 

上に立つ者らしからぬ一刀にそれぞれ笑みがこぼれた。

こうして一刀は乱世に身を投じたのである。

 

 

 

 

「くそっ! なんで前より強くなってるんだよ!」

 

 

黄巾党の頭は悪態を吐く。

装備や練度は官軍より劣るものの、星、によって数日間鍛えられた部隊はお粗末ながらも統率がとれており、軍師の風と稟の指示にも上手く対応出来ていた。

 

 

そして何より、天の御遣いという名に士気が高まっていた。

 

 

「仕えるべき主を見つけた我らにとって卑しき賊など相手になるわけがなかろうに」

 

 

星は次々と敵を倒していく。

まさにその姿は一騎当千の豪傑であった。

 

 

そして完全に旗色の悪くなった黄巾党は次々と逃げ出す。

 

 

「敵を逃がすなー! 情けをかけると自らの首を絞めると心得よ!」

 

 

星は敵の殲滅にかかる。

 

 

「回り込んで逃げ道を防いじゃいましょー」

「深追いし過ぎないようにしなさい」

 

 

風と稟もそれぞれ指示を出す。

 

 

約八千で攻めてきた黄巾党は約六千の天の御遣い率いる義勇軍に殲滅されることになった。

 

 

 

風と稟の策により被害を最小限に抑えることができ、一刀たちの初陣は大勝利と言えよう。

 

 

 

この戦いにより天の御遣いの名は大陸中に広がりさらに義勇兵が集まるようになった。

 

 

 

 

 

<おまけ>

 

 

「星お姉ちゃん! 無事でよかった!」

 

「やはり戦いの後は一刀くんの抱擁に限りますな」

 

「俺でよかったらいつでも抱きしめていいよ」

 

「ふふっ。ならばこれからもよろしく頼みますぞ」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

「まずは武器がいるのですよ」

 

「風! それは宝譿ですっ!」

 

「おおっ、風とした事がついうっかり」

 

「全く……ってそれは飴です!」

 

「むう。稟ちゃんはいちいち細かいのですよ」

 

「あなたがふざけるからです」

 

「そういう稟ちゃんはどんな武器にするのですか?」

 

「私は文字通り身を削る戦い方です」

 

「おおっ、それは期待できそうなのですよー」

 

「今ご覧にいれましょう。…………一刀くんに放置され、焦らされ、悶々する私。しかし最後には私の未開発の身体をその小さな一物が貫く…………プッハー!」

 

「きゃっ! な、なんだこの赤いものは!?」

 

「星お姉ちゃん真っ赤だよ!?」

 

「おお! すごい技なのですよ!」

 

 

 

 

完。

 

 

おまけはおまけです( ^,_ゝ^)

フィクションかノンフィクションかは推して知るべし( ゚∀゚)o彡°


 
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