No.160023

真・恋姫無双呉ルート(無印関羽エンド後)第二十七話

海皇さん

 どうもみなさん、二十七話投稿完了しました。
 テスト期間なので更新遅れて申し訳ありません!
 今回は董卓救出編です!

2010-07-23 14:01:05 投稿 / 全12ページ    総閲覧数:8291   閲覧ユーザー数:6644

虎牢関から出発して一日、俺達はようやく洛陽に到着した。

 目の前に広がる巨大な城壁、長い年月を経たであろう城門、共に前の世界と全く同じだった。

 ・・・こうしてみると感慨深くなるな・・・。なにしろ三国統一した後、俺達の新しい都だったんだから。まあ、その期間はかなり短かったけど。

 ただかなり静かで城壁の上に兵士が一人もいない。

 

 「やけに静かだな。しかも兵士が一人もいないなんてな」

 

 「はい、おかしいですね。おい霞、本当に4万の兵がいるのか?」

 

 俺の言葉を聴いた愛紗は霞にそう質問を投げかけた。

 

 「う~ん、ようわからんけどもう月達は逃げたんちゃうか?

 もしくは宦官共に脅されて軍勢が出せへんとか・・・」

 

 「まあ後者は奴らにも不利だからありえないから多分前者だろう。

 無事に逃げ切れていればいいのだが・・・」

 

 霞と華雄はそう返事をする。

 確かに史実では董卓は長安に遷都、もとい逃げているけど・・・。

 

 「なあ雪蓮」

 

 「何?一刀」

 

 「ちょっと洛陽に偵察を出せないかな?」

 

 「董卓が気になるの?いいわよ別に。明命!」

 

 雪蓮が明命を呼ぶとすぐ傍に明命が片ひざをついて指示を待っていた。

 

 「ちょっと洛陽の偵察と董卓の調査をお願いできないかしら?」

 

 「承知しました!」

 

 雪蓮の指示を聞くや否や明命は洛陽偵察に向かった。

 「ところで冥琳、他の軍勢はどうしている?」

 

 「袁紹軍は焦って行軍している。どうやら虎牢関の手柄を劉表軍に横取りされたのが癪に障ったらしい。ついでにこのままでは洛陽に一番乗り出来ないとも考えたらしいな」

 

 「なるほど。でも劉表には恐れ入ったわ。まさか私達の作戦の裏をかいて虎牢関を落とすなんて」

 

 「おまけに袁紹軍を盾にしてな。・・・どこまでもしたたかな男だな、劉表は」

 

 「・・・ええ、これは袁術ごときに構っている場合じゃあ無いわね」

 

 そう呟いて雪蓮は険しい目をする。

 

何度も聞いているけど、劉表って何者なんだ?

 史実の劉表は相当な優柔不断で結局後継者すらも決められずに死んだ人物だけど、

 雪蓮達の話を聞いているとそんな優柔不断なイメージは出てこない。

・・史実のイメージは捨てるべきだな・・・。 

 

 「まあしかしあと一日は余裕がある。ここらで小休止しておくべきだろうな」

 

 「そうね、それじゃあここで休憩としますか」

 

 雪蓮の言葉で俺達は明命がもどるまで休憩することになった。

 劉表side

 

その頃劉表軍は孫策軍とは正反対の場所に陣を構えていた。

 

 「・・・なんとも静かなものだな。どうしたことか」

 

 「逃げちゃったんじゃないんですか~?あたしらに恐れをなして」

 

 「それならすでに連絡は来ているはずだ。おそらくまだ城にいるのだろうな。

 董卓も、十常侍共もな」

 

 劉表は杯に入った酒を煽りながら蒯良にそう言った。その姿はいかにも退屈そうだった。

 

 「退屈そうっすね。紅刃様」

 

 「ああ、退屈だ。まあその後の楽しみを思えば、これも我慢できるものよ」

 

 「そんなもんっすか?」

 

 「そんなものだ、っと、鏡花め、戻ってきたか」

 

 劉表の言葉に蒯良は前方に目をやると、いつの間にか黄祖が片膝をつき、跪いていた。

「紅刃様~!例の伝言を受け取ってまいりました~!」

 

 「ほう・・・、して何と?」

 

 「『準備は整いました。あとは主役に来ていただくだけです』とのことです~!」

 

 その言葉を聞いた劉表は笑みを浮かべた。

 

 「そうか・・・紅華」

 

 「う、は、はい!」

 

 劉表の自分に向けた言葉に蒯良は思わず上ずった声を上げた。

 

 「直ちに白華、桜花に軍を洛陽に進軍させるよう伝えよ。

 そして、余は洛陽の王宮に向かう故、軍の指揮はまかせるとも伝えておけ」

 

 「うえ!?ちょっ、く、紅刃様!?御自らで宦官共を捕らえに行く気っすか!?」

 

 「そのつもりだが?なんだ、心配なのか?」

 

 「あ、あたりまえっすよ!!もし紅刃様に何かあったらあたしが白華に殺され・・「ならお前も来るか?」・・・ええ!?い、いいんすか!?」

 

 劉表の言葉に蒯良は驚いて目を見開く。

 

 「余が心配なのだろう?ならばお前も着いてくればよいではないか。

 道案内は鏡花、お前に任せるぞ」

 

 「は、はい~!!」

 

 劉表の言葉に黄祖は慌てて跪く。劉表は笑みを浮かべながら洛陽の王宮を眺める。

 

 「さて、祭りの始まりだ」

 

一刀side

 

小休止後、明命からの連絡があった。

それによると、王宮内で貴人と思える人物が、眼鏡をかけた人物と一緒にいたとのことだ。

まず間違いなく董卓と賈駆だろうな・・・。でもまだ王宮内にいたのか・・・。もう逃げたのかと思っていたけど・・・。でもそれならなぜ軍勢がいないんだ?

色々と疑問はあったけど、俺達は雪蓮の号令で洛陽に突入する。

 

洛陽の街中には全く人気が無かった。向こうの世界でもそうだったけど、外に出ている人は数えるほどしかいない。

雪蓮達に街の占領と人心の掌握を頼み、俺と愛紗は董卓軍の将達と明命の先導で王宮に向かった。

さすがに王宮には警護の兵が居たのだが愛紗と華雄達に一人残らず昏倒させられた。

 そして王宮に侵入した後、明命に着いていくと大きな広間に出た。

 確かここは軍議とかを行う場所だったな。俺の前居た世界の洛陽と同じなら。

 そして広間の柱の影に、二人の少女が隠れて震えていた。

 

 「月!詠!」

 

 華雄はそう叫んで二人の少女に駆け寄った。

 

 「え・・・華雄さん・・・なんですか?」

 

  「っちょ、華雄!?何であんたここに居るのよ!?」

 

 二人の少女はおどろいて顔を上げる。 その顔は、間違いなく月と詠だった。

 

  「月~!!賈駆っち~!!」「・・・月、詠」「月殿~!!詠殿~!!」

 

 董卓と賈駆の顔を見るや否や、霞、恋、ねねの三人は駆け出した。

 

 「やれやれ、二人とも無事だったか」

 「そのようですね。道案内ご苦労だった、明命」

 

 「はい!ありがとうございます!」

 

 董卓達が、捕虜になったはずの自軍の将達との再会に驚いているのを見ながら、俺達はそんな話をしていた。あとは彼女たちを説得するだけだけど。

 と、話が終わったのか董卓と賈駆が俺達に近づいてきた。

 

 「こんにちは、天の御使い様、天将様。華雄さん達からお話は聞きました。

 華雄さん達を助けてくれて、ありがとうございます」

 

 「彼女達を助けてくれたことは礼を言うわ。でもあんた達どうやってここまで来たのよ?

 洛陽には4万の兵が常駐しているから簡単に潜り込めないはずよ?」

 

 ?どういうことだ?賈駆は洛陽に軍がいないことを知らないのか?

 

 「いや、洛陽には城の守護兵以外には兵士は誰もいなかったけど」

 

 「はい、ここに来るまで一切の抵抗もありませんでしたし」

 

 「!?ちょ、華雄!今の話し本当!?」

 

 俺と愛紗の言葉に賈駆は驚いて、華雄に問いただす。

 これは本当に知らなさそうだな・・・。どうなってるんだ?

 

 「ん?あ、ああ、兵士など一人も居なかったぞ。なあ、霞、恋、音々音」

 

 「ああ、城門に弓兵ひとりおらんかったしな」

 

 「・・・みんな、いない・・・」

 

 「だからねね達は月殿達がもう逃げたのかと思ったのです!」

 

 華雄達は口々に洛陽に兵士達がいなかったことを主張した。

 このことに賈駆は動揺していた。

 

 「ど、どういうことよ!私は軍に洛陽を防衛するよう指示を出したはずよ!?

 何がどうなって・・・」

 

 「詠ちゃん、まさか、韓嵩さんの仕業じゃあ・・・」

 

 「それこそ有り得ないわよ!もし洛陽が落とされたら、十常侍の連中と共倒れする可能性だって有り得るのよ!?そんなこと、する理由がないわ!」

 

 そう、確かに内側で宦官と繋がっている人物がいたとしても、もし洛陽を落とされたら、自滅もいい所だ。賈駆が指示したんじゃないなら一体誰が・・・。

 まあそれは後で考えるとして・・・

「董卓、賈駆」

 俺が二人に声をかけると二人とも俺の方を向く。

 

 「あの四人から聞いたかもしれないけど、俺達は君達を助けるために来たんだ」

 

 「助けるっていったって、今からじゃあもう逃げるのは無理よ!?」

 

 「ああ、そのことなら・・・「ほう・・・ようやく董卓を見つけたと思ったら先客がいたか」・・・!?」

 

 賈駆の質問に答えようとしたとき、突如後ろから声が聞こえた。

 驚いて後ろを振り返ると、そこには頭以外を漆黒の鎧で覆った男と銀髪に赤い軍服っぽい服を着た女性と迷彩服のような服を着た水色の髪の毛の女の子が立っていた。

  男はまるでギリシャの彫像のような整った顔つきをしており、腰まである長髪は闇夜のような黒、そして瞳は血のように赤かった。

 

 「な、何者だ貴様!?」

 

 いきなり現れた三人組に華雄が戦斧を構えて威嚇する。

 

 「無礼者!!この方は荊州の州牧であらせられる劉景升様であらせられるぞ!!」

 

 と、軍服姿の女性は鎧姿の男を示しながらそう怒鳴った。

 この人が劉表か・・・。てっきり女性だと思っていたけど・・・。

 いちおう史実どおり男の武将もいるって事かな?

 

 「落ち着け紅華、あまり他人を威嚇するでない」

 

 劉表はそういって軍服姿の女性を宥める。軍服姿の女性はまだ不満そうにしていたけどしぶしぶと引き下がった。

 女性が引き下がったのを見た劉表は、俺達に目を向けた。

 「ふむ・・・、その服装、主等が天の御使いと天将か。なるほど珍妙な格好をしている」

 

 そう呟きながら劉表は俺と愛紗を興味深げに眺める。が、すぐに視線を董卓達に戻した。

 

 「そしてそなたらが董卓と賈駆か・・・。なるほど、とてもではないが暴政など行えそうに無い娘だな」

 

 劉表は二人を見てそう評した。ん?まてよ・・・。

 

 「あの・・・、劉表さん」

 

 「何だ、天の御使い殿よ」

 

 俺が劉表に質問をすると劉表はこちら側に向き直った。

 

 「もしかして、董卓達が暴政を行っていないことを知っていたんですか?」

 

 「ふむ、まあ大体知っていたな。我が軍には優秀な間諜がおる上に、洛陽にも密偵を忍び込ませているからな。洛陽の情報はかなり入ってきている。まあ知っていても、あの阿呆の袁紹に言ったところで聞く耳を持たなかっただろうがな」

 

・ ・・なるほど、確かに袁紹が前の世界と同じ袁紹じゃあいっても無駄そうだ。

 

 「じゃあ劉表さんはなぜ董卓達を探しに来たんですか?捕らえたり、殺すんじゃあなさそうですけど」

 

 「確かに余はこやつ等を殺す気は無い。大体何の罪も無い人間を殺すほど余は腐ってはおらぬ故にな。余はこやつに聞きたいことがあってな。それで探していたわけだ」

 

 「聞きたいこと、ですか・・・?」

 

 董卓が劉表に聞き返して、劉表がそれに対して口を開こうとすると、突然広間に兵士達がなだれ込んで来た。

 「なっ!?こいつらは十常侍の私兵!?」

 

 「ようやく見つけたぞ!董卓!賈駆!」

 

 賈駆が驚いて目を見開いていると、兵士達の中からでっぷりと肥えた老人が前に出てきた。その後ろにも老人と同じ姿の人物が4人居た。

 

 「くっ、張譲、趙忠、段珪・・・」

 

 「賈駆・・・!よくも兵達を撤退させたな!わし等共々道連れにしようとは・・・小癪な真似を!!」

 

 こいつらが十常侍か・・・。なるほど、いかにも悪役って感じだな。

 

 「何言ってるのよ!私は兵を撤退させるような指示を出した覚えはないわよ!」

 

 「そうかしら?私が兵士に聞いたらあなたの命令って言ってたけど?」

 

 賈駆が張譲に反論をした時、張譲達の後ろから黒い長髪の露出度の高い服装をした女性が出てきた。と、賈駆はその姿を見て顔をしかめた。

 

 「くっ、韓嵩・・・、まさかあんたが軍を引かせたの!?」

 

 「何を言っているの?私がそんな自殺行為をするわけないじゃない。それにさっき言ったじゃない。兵士があなたの命令だって。私はそのことを張譲様に伝えただけよ」

 

 「そんなことはどうでもいい!こうなったら董卓と貴様を連合軍に引き出して、我々だけでも生き延びるだけだ!」

 

 韓嵩の言葉を遮って張譲が口から泡を吐いて喚き散らす。あ、隣で韓嵩嫌そうな顔してる。でもかなり無理があると思うけどな、それ。

 

「ふん、たとえこの二人を引き渡したとて、袁紹が貴様らを生かしておくわけがあるまい。あの阿呆は大の宦官嫌いだからな。まあまず斬首になるだろうな」

 

 「だ、だまれええ!!まずは貴様らから始末してくれる!!やれ!」

 

 劉表の突っ込みに張譲は逆上して、兵士達に俺達を殺すよう命令を下す。

 俺は董卓と賈駆を後ろに隠す。

 

 「!?」「ちょっ、あんた、何を・・・」

 

 「おれの後ろに隠れて!大丈夫、必ず君たちを守るから」

 

 二人にそう呼びかけると俺は白光の柄を握り締める。隣では愛紗が冷艶鋸を構えている。

 相手の人数は約300以上・・・。外にはさらにいる。俺達の愛紗と恋の戦力差を考えても無傷で逃げるのは難しいか・・・。でも、この子達は絶対に守る。たとえ人を斬ることになったとしても・・・!

 目の前から剣を振りかざした兵士が襲ってくる。俺はそれに対して身構える、が、

 

 「大した覚悟だ、天の御使いよ。その性格、どこか余の知り合いに似ているな」

 

 その兵士の胴体が真っ二つになり、どさっと倒れる。とそこには剣を抜いた劉表が立っていた。

 

 「りゅ、劉表さ・・「ここは余らに任せて、お前達は早くここから逃げろ」・・・え!?」

 

 な!?無茶な!相手は300以上はいる。それに3人で挑むなんて、はっきり言って自殺行為だ。

 

 「案ずるな、こう見えても少しは剣術を嗜んでいてな、この程度なら問題はない。それに・・・」

 

 劉表は俺の方を向くと薄い笑みを見せた。

 

 「余はそいつ等に用があってな。向こうから来てくれるとは丁度いい」

 

 劉表は笑いながら目の前の敵を見ている。

・ ・・確かに死にそうにはないな。この人。

 

 「分かったらさっさと逃げろ。邪魔だ」

 

 「・・・分かりました。関平!華雄!霞!恋!ねね!

 逃げるぞ!」

 

 「させるかあああ!!!」

 

 と、俺達に兵士が三人襲ってくるが一瞬で劉表に斬られた。

 

 「貴様らは余が遊んでやろう。せっかくの祭りだ。余を楽しませよ」

 

 劉表は笑みを浮かべながら連中を挑発する。他の兵士達も劉表の配下(と思われる)

の軍服の女性と迷彩服の少女に蹴散らされていた。

 俺達はそれを横目に見ながら急いで広間を脱出した。

 

あとがき

 

 はい、だいぶ遅れましたが二十七話投稿いたしました。

 

 テストが始まったため最近更新する暇がなくって・・・。

 

 これから更新遅れ気味になると思いますがご了承下さい。

 

 さて、今回一刀が月と詠、そして劉表に遭遇する話です。

 

 なんか書いていて劉表が味方キャラっぽくなってきた・・・。敵キャラのはずなのに・・・。

 

 まあとにかくこれから更新遅れ気味になりますが、どうぞご了承下さい。

 

 それでは次回

 

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
90
8

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択