「蜀よ、私は帰って来た!」
そう叫ぶのは、大陸を平和に導いたと言われている北郷一刀くん。
一刀は三国のすべての将を孕ませてしまったのでこうして定期的に呉以外の二国を訪れているのである。しかし最近はそれに限界を感じていた。なぜなら、他の国に行っている間、将たちはもちろんのこと子供たちが寂しさに耐えきれないのである。特に雪蓮の娘の孫紹は子供たちの中でも甘えん坊で初めて一刀が長期的に他国を訪問していた時は一刀が帰ってくるまで毎晩泣いていたという。長女である孫紹が泣き始めると、他の子供たちまで泣き始めるという連鎖反応で母親たちは大いに苦労したと語っていた。
こうしたことから三国の中央に一刀の城を作ろうという話まででているのである。
この話が実現するのは遠い話ではなかった。
なにはともわれ蜀の妻、及び娘たちに会いに来たのである。
「妹ちゃんたちに会えるにょ~♪」
今回特別について来てしまった孫紹。
荷物に紛れているのに気付いた時にはすでに呉国を離れた時だった。一刀はここまでしてついてきてくれた娘を邪険に扱うことも出来ず護衛の一人に呉への伝令を頼み、孫紹を連れて行くことにしたのである。
ちなみに今回は将は一人もついてきていない。喧嘩になるので一刀が止めたのである。
「ちゃんとみんな挨拶するんだよ?」
「は~い」
満面の笑みで手をあげる孫紹。こんなふにゃふにゃした子だが実はそういうことはしっかりしているのである。さすがは王族と言ったところか。
成都の城門にたどりつくと迎えの者が来ていた。
「一刀くん!」
「愛紗お姉ちゃん久しぶり!」
関雲長こと愛紗であった。
妻となった今でもこの姿の時はお姉ちゃんを忘れない一刀である。
愛紗は一刀パワーを充電するかのように胸に抱きしめる。誰が一刀を迎えに行くかのじゃんけんで勝ちとった権利を存分に利用するのだった。
その光景を見ていた孫紹が、むぅっとなる。
「こんにちは! しょんしゃくのむしゅめのしょん紹でしゅ!」
大声で挨拶をする孫紹にハッと我に返った愛紗は一刀くんを降ろして孫紹に向き直る。
「これはご丁寧すまない。私は関羽。雪蓮殿の娘ならぜひ真名の愛紗と呼んでくれ」
「は~い! よろしくお願いしましゅ愛紗しゃん」
しっかりと礼儀正しくする孫紹を見て微笑む愛紗。
「これはなんとも礼儀正しく可愛らしい子だ。流石一刀くんと雪蓮殿の子であるな。是非とも私の娘とも仲良くしてくれ」
「うん! 妹ちゃんの面倒は紹が見てあげりゅの!」
世間話もほどほどに城に向かうことにした。
玉座の間で皆に挨拶をすると、一刀は子供たちに連れて行かれた。
妻たちとの時間は夜なのだ。
「みんにゃのお姉ちゃんのしょん紹なにょ! よろしくね♪」
孫紹は何人かの妹を連れてどこかに遊びに行ってしまった。基本的に面倒見のいい子なので一刀は安心して任せることにした。
「ぱぱー、なにかして遊ぼー?」
赤銅色の髪のぽやっとした女の子、劉禅は久しぶりに父親と遊ぶのを楽しみにしていたのだ。
他の子供たちと何をして遊ぶか考えていると、袖をクイクイと引っ張られた。そちらの方を向くと、小さな壺を抱えた青髪の女の子がいた。
「どうしたの統?」
星の娘である趙統だった。
「めんま…………たべりゅ?」
母親と同じくメンマが大好きな女の子である。しかし性格はあまり似ず、恥ずかしがりやな性格だった。
「ありがとう。それじゃあ一つもらうね」
差し出された壺からメンマをひとつ取り出して食べる一刀。ご丁寧に箸まで用意してあったのである。
「うん。すごい美味しいよ!」
「えへへ……よかった♪」
めずらしく表情豊かに笑う趙統だった。
追いかけっこをすることになったのだが、相手は一騎当千の娘たちもいるのでなかなか捕まえることができなかった。
少し休憩をすることにした一刀はあずまやで机に突っ伏していた。
「へぅ……お父様」
そこにお茶を持って現れたのは赤壁の戦いで活躍した月の娘、董白だった。
「白、お茶淹れてくれたんだ。ありがとう」
「へぅ……」
「白? はくぅーーーー!?」
董白は一刀に頭を撫でられた嬉しさと恥ずかしさで気絶してしまったのである。
「…………回収する」
そこに現れたのは赤毛の少女。恋の娘、呂玲綺である。
「は、白は大丈夫なの?」
「ん。いつものこと」
どうやら頻繁に倒れるらしい。
呂玲綺はひょいっと董白を抱えるとあっという間に去っていった。
一刀はお茶を飲み干して再び追いかけっこに身を投じた。
「やっと全員捕まえたよ~」
一刀が皆を捕まえた時にはすでに日が暮れようとしていた。
「お父さん、大丈夫なのだ?」
肩で息をする一刀を心配する赤毛の少女、鈴々の娘の張苞である。
「お前がなかなか捕まらないからだぞ」
「そういう平も最後まで残っていたのだ!」
張苞と言い争うのは愛紗の娘関平である。二人とも親に似たのかよく言い争いをするようだ。
「ほらほら喧嘩しないの。俺も楽しかったら気持ちいい疲れだよ」
一刀の言うことは大人しく聞くのである。
「それじゃあ夕餉をいただきに行こうか」
孫紹たちもいるだろうと思い食堂に向かった。
「ふぇぇ~~~~ん。おとーしゃまー!」
一刀を発見するや否や、孫紹が飛びついて来た。
「はあ。今回はどうして泣いてるんだ?」
もう慣れたと言わんばかりの一刀は優しく抱きしめて頭を撫でる。
それを羨ましく見ている子供たち。
「ぐしゅっ、えっとにぇ……」
本当にこの子が長女なのかと思ってしまう一刀だった。
「あにょにぇ、みんにゃでにぇ、街にいったにょ」
城で遊びなさいと言っても雪蓮の娘だからと思いあきらめている一刀。
「しょしたらにぇ、みんにゃとはぐれちゃったにょ」
バカな子ほど可愛いとはこのことなのかと一刀は孫紹が愛おしくなる。
「初めてにょ街だから道に迷ったにょにぇ。そしたらにぇ、蝶々のかみぇんをつけたお姉ちゃんがたしゅけてくりぇたにょ!」
その時のことを思い出して少し興奮気味に話しだす。
一刀は華蝶仮面心当たりがあったのか、後で星にお礼を言いに行こうと思った。
結局のところ何故泣いてたのかというといろいろと疲れていたところに一刀が現れたので安心して涙腺が崩壊したということだった。一刀は泣き虫の孫紹らしいとすっかり笑顔になった孫紹を見ながら思った。
しかし、感情豊かに育ってくれて嬉しい一刀だった。
「ぱーぱ、早くご飯食べよ~! 私お腹すいた~」
「そうだね、ほら紹も行くよ~」
「は~い! 紹はおとーしゃまの隣~♪」
誰が一刀の隣に座るかでもめたのだが、孫紹は自分の国の時に隣に座れるので皆に反対された。
「ぶー、ぶー」
しかし、長女という自覚があるのかあっさり引き下がるのだった。
今日も一刀くんは元気です。
完。
娘の名前はネットで調べたらゲームのキャラだったwww
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メインヒロインは孫紹ちゃんです。