No.154288

真・恋姫†無双 ~軍神の終端、そして始端~

futureさん

本編、「新生する外史」とは一切関係ない話です。
ただ、この作品はある程度史実に沿った恋姫になるので原作中心の方には、あまりお勧めできません。

誤字・脱字などがありましたら、ご報告よろしくお願いします。

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2010-06-30 03:23:44 投稿 / 全19ページ    総閲覧数:4598   閲覧ユーザー数:3936

 

 

この作品は、史実の「三国志」を元に作った、作者の妄想作品です。

 

恋姫の原作が好きという方には見るのを遠慮なさっても構いません。

 

ついでに、愛紗ファンの方々もちょっと・・・・・・・。

 

それでも構わない場合は<次へ>を押してください。

 

次のページから物語は始まります。

 

 

 

 

 

 

作られた外史――――。

 

 

それは新しい物語の始まり。

 

 

終端を迎えた物語も、望まれれば再び突端が開かれ新生する。

 

 

物語は己の世界の中では無限大――――――。

 

 

そして閉じられた外史の行く先は、ひとえに貴方の心次第――――。

 

 

さあ。

 

 

外史の突端を開きましょう――――――――――。

 

 

 

 

愛紗side

 

 

愛紗「何!? 荊州城は孫権の手に落ちたと!?」

 

使者の報せは、とても信じ難いものだった。

 

使者「はい。そればかりか、公安の傅士仁、南郡の糜芳もすでに呉に降っておりまする」

 

愛紗「な、なんと! 傅士仁、糜芳も呉に降っただと!?」

 

あの二人・・・!! 桃香様へのご恩を忘れたとでも言うのか!?

しかしこの二人が居なくなった原因は私にもあるはず・・・・・・・。

 

愛紗「くっ・・・・・桃香様に合わせる顔が無い」

 

桃香様から預かった荊州の地を、みすみす呉の手に渡してしまうとは・・・・・。

 

蜀軍武将「将軍、これからどうなさいます。前には呉軍、後には魏の大軍。これでは身動きが取れませぬ」

 

・・・・そうだな。いつまでも立ち止まっている訳にはいかないか。

 

愛紗「こうなれば成都に加勢を求め、荊州を奪え返すしか手は無い・・・・馬良、伊籍」

 

馬良・伊籍「はっ」

 

愛紗「そなた達、直ちに成都に行って援軍を乞うてきてくれ」

 

馬良・伊籍「はっ」

 

頼んだぞ、二人とも・・・・・・!!

 

 

夏候惇side

 

 

夏候惇「ふむ・・・関羽は襄陽に留まっているか」

 

典韋「はい。多くの手傷を負った兵士を抱え、行動を決めかねているみたいです」

 

ふっ、今が好機だな。

 

夏候惇「よし、すぐに追撃をしよう」

 

程昱「お待ちください、春蘭様~」

 

今すぐにでも出陣をしようとした私を、風が止める。

 

夏候惇「なんだ風。私は今すぐにでも・・・・」

 

程昱「えっとですね~~。ここで窮鼠に陥った関羽を追撃すれば、「窮鼠猫を噛む」の例えどおり、我が軍も大きな被害を覚悟しなければならないのですよ~」

 

夏候惇「はあ!? つまり追撃をするなという事か!?」

 

断じて拒否だ!! 関羽の頸は私が・・・・!!

 

程昱「関羽さんをこのままにしておけば、きっと荊州を奪い返す事を考えると思うのですよ~」

 

夏候惇「あ・・・・・・・・」

 

成る程、関羽をそのままにしておくことは、孫策にとって大きな脅威になるということか・・・。

 

夏候惇「だがそれでは・・・・」

 

程昱「春蘭様としては関羽と戦いたいという気持ちもあると思いますけど、ここは華琳様の為に、どうか抑えてください~」

 

夏候惇「むむむ・・・・・・たしかにそれが最善か・・・」

 

程昱「お分かり頂けたでしょうか~?」

 

夏候惇「後味は残るが・・・仕方が無い。これ以上の追撃は止め、引き返そう」

 

程昱「分かりました~~では~」

 

 

そう言い、風は皆にこの事を伝えに行く。

 

 

関羽・・・最後に戦っておきたかったが・・・・。

 

 

それも、これまでか・・・・・・・。

 

 

さらばだ関羽。来世で再び・・・・・・・・・・な。

 

 

 

 

 

 

 

かくして魏軍は、曹操の中陣にことごとく集まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

愛紗side

 

 

愛紗たちは馬良と伊籍の連絡を待ち、荊州街道に野営していた。

 

だが、いつまでも野営はしていられない場所であった。大雨が降ると、たちまち沼と変わる地形であった。

 

そこで愛紗は昔、陸口に呂蒙が居た時、常々劉備に書面を寄せ、同盟を結び共に曹操を征伐しようと言っていたのを思い出す。

 

だが、今は曹操に味方し我らを攻めるのは信義に背く仕業ではないか。愛紗はそう考える。

 

そこで愛紗は呂蒙に詰問の書を送り、その出方次第でこちらも行動を決めることを決意。直ちに、荊州にいる呂蒙に使者を送ることにした。

 

 

 

 

 

 

そして、数刻後・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

愛紗「なに? 呂蒙はそれしか言わぬのか」

 

 

使者が帰ってき、事情を聞くと、予想していたのとは違う答えが返ってきた。

 

 

使者「はい。私語ではない、国家の命令だ。自分の本心ではないと申すばかりでございます。それに将軍の一族も、諸将のご家族も、皆ご安泰で何事も心配無用と」

 

 

――――――――――――!!

 

 

愛紗「・・・・・わかった。下がってよい」

 

使者「はっ」

 

使者を下げ、天幕の外に出る。外には、使者が持ち帰ってきた、荊州の家族からの手紙を必死に読んでいる兵士たちが居た。

 

 

その時愛紗は気づいた。これも呂蒙の遠謀だという事が・・・。

 

 

愛紗「これもすべて呂蒙の遠謀・・・・。病気と偽り、陸口を若い将に譲って私を油断させ・・・・・今や荊州の民をそこまで帰服させた・・・・」

 

完全に・・・・・私の失態だ。

 

愛紗「そこまで私は読みきれなかった・・・・・・呂蒙、恐ろしい人物だ」

 

だが・・・・このまま終わるわけにはいかない。

 

愛紗「このままでは済ませぬ・・。呂蒙が君命ならば、私とて君命で荊州を預かっているのだ。あとは、呂蒙と決戦あるのみ」

 

私は・・・・・戦う。蜀のため、桃香様のため、ご主人様のためにも・・・・・。

 

 

 

 

 

 

その翌日の朝、事は起きた。

 

 

 

 

 

 

兵士「申し上げます!!」

 

慌てた様子で兵が駆け込んでくる。

 

愛紗「どうした?」

 

兵士「はっ。兵の半数が、昨夜のうちに脱走いたしました。」

 

愛紗「なにっ!!??」

 

すぐに天幕から出て、外の様子を見に行こうとする。

 

 

そこには、昨日までいたはずの兵がほとんどおらず、あるのは、主を失った荷物だけであった。

 

 

この様子を見、唇を噛み締める。

 

兵士「どういたしましょう」

 

兵士が尋ねてくる・・・・・・今は、将としての役目を果たさねば。

 

愛紗「去るものを追っても仕方あるまい。だが、荊州は我が領土。残りの兵だけでも奪い返す・・・!!」

 

兵士「では・・・・・!」

 

愛紗「進撃だ!! 出陣太鼓を鳴らせ!!」

 

兵士「はっ!!」

 

太鼓の音が、陣中に響き渡る。

 

武器を取るために一旦自分の天幕まで戻る。その時、部下の周倉(真耶)が声をかけてきた。

 

真耶「愛紗様!! 成都からの援軍を待たれては・・・!!」

 

それは最もな意見だろう。だが、それでは遅いのだ。

 

愛紗「なあに、まだこれだけの兵が残っていれば、荊州で神出鬼没の戦いをしてみせる。そのうち、援軍も到着するのであろう」

 

真耶「しかし・・・!!」

 

愛紗「大丈夫だ。安心しろ・・・・・・・・・・・さあ! みんなの士気を鼓舞して出陣だ!」

 

真耶「・・・・・・はっ! どこまでもついて参ります!」

 

 

 

こうして私は荊州に向かって進撃を開始した。

 

 

 

今思えば、私はこの時焦っていたのかもしれない・・・・・・・・・。

 

 

 

 

荊州への道中・・・・・。

 

先へ進むと、呉軍が道を塞いでいるのが見えた。

 

 

 

呉随一の将といわれる呂蒙は、関羽の行動を読み取り、蒋欽・周泰・韓当の三将に、三方から出陣を命じていたのである。

 

三軍は手ぐすね引いて、関羽の現れるのを待ち構えていた。

 

 

 

蒋欽「関羽よ、いずこへ参る。もはやお前の行くところは無い。おとなしく降参せよ」

 

呉の将軍――蒋欽とやらが私に声をかけてくる。

 

降参?冗談ではない。

 

 

愛紗「黙れっ! よくも私の留守中に荊州を盗んだな。この関羽がおとなしく引き下がると思うなよ・・・・・・・・・かかれ!!」

 

 

私の合図と共に、全軍が突撃を開始する。

 

それに対応し、呉軍も突撃を開始した。

 

私は蒋欽に狙いを定め、切りかかる。流石に一軍を任されているだけあり、それ相応の腕の持ち主であったが・・・・・・。

 

愛紗「私の相手では無いっ!!」

 

五合目程で、相手の得物を弾き飛ばす。

 

蒋欽「くっ!! ひ、ひけっ!!」

 

呉軍は撤退を開始した。勿論その隙を見逃すほど馬鹿ではない。

 

愛紗「敵は算を乱したぞ!! 追えっ!!」

 

命令を出し、追撃を開始するが・・・・・・

 

 

 

「「「「「「「「ワァァァァァァァァァァァァァ!!!」」」」」」」」

 

 

 

愛紗「っ!! な!?」

 

気がつくと、道の両側から伏兵が出てきていた。

 

ただ、その者達は呉の旗ではなく、荊州の旗を持っていた。

 

 

荊州兵士「おーい。息子はいるか」

 

荊州兵士「おとう、いるか?家族はみんな荊州で幸せに暮らしているぞ」

 

荊州兵士「荊州はお前等の土地だぞ。家族で殺し合うのか?」

 

荊州兵士「みんなはよう帰ってこーい。お前等は荊州人じゃないか」

 

 

くっ・・・・心理的にこちらの兵を攻めようというのか・・・!!

 

 

蜀兵士「あ、あれは親父だ・・・・・」

 

蜀兵士「あれは弟だ・・・・・・」

 

 

いかん、このままでは・・・・・!!

 

愛紗「ええい、かかれ! かかれ!」

 

だが、兵たちは私の呼びかけに答えず黙っているだけである。

 

愛紗「どうした、かかれ!!」

 

再度、呼びかけるが・・・・・・

 

 

蜀兵士「・・・・・・いやだ!!」

 

愛紗「!!??」

 

 

一人の兵が逃げ出す。それに続いて多くの兵が、逃走を始める。

 

蜀兵士「いやだ。親父や弟と戦うのはいやだ」

 

蜀兵士「荊州には母さんがいるだ」

 

 

そ・・・・・・んな・・・・・。

 

 

真耶「愛紗様!!」

 

愛紗「・・・・・もうよい。離散した兵を再び軍旗のもとに呼び戻すなど、どのような名将でもできぬのだ」

 

今は・・・・・・・落ち着かねば・・・・。

 

愛紗「残ったものは?」

 

真耶「四、五百にございます」

 

愛紗「まずいな・・・このまま両側から攻められれば、全滅することは目に見えている。なんとか血路を開かなければ」

 

そこにもう一人の部下、王甫(黎)が声をかけてくる。

 

黎「愛紗様。この近くに昔造られ、今は無人の麦城がございまする。そこまで落ち延びましょう」

 

愛紗「・・・よし。麦城へ向かおう」

 

 

そして私たちは麦城へ撤退した。

 

 

後ろからは、私達の撤退を喜ぶ荊州軍の声が、いつまでも聞こえた・・・・・。

 

 

 

麦城

 

 

愛紗「今ここに残ったのは真の強者ばかり。だが、これだけではいつまでも守り通せぬ」

 

黎「愛紗様。ここからさして、上庸の地は遠くありませぬ。ここは上庸にいるもの達に援軍を求めてみてはどうでしょう」

 

確かに黎の言うとおりだろう。しかし・・・・・・

 

愛紗「・・・・・いや、残る策はそれしかあるまい」

 

真耶「そうです。援軍が来れば、魏軍を蹴散らすことも、荊州を取り戻すこともできまする」

 

愛紗「・・・分かった。外の様子を見てみよう」

 

 

そう言って城壁に上り、外を見てみる。しかしそこには・・・・・・。

 

 

真耶「おおっ」

 

黎「な、なんと・・・・・」

 

二人が驚くのも無理はない。そこには見渡す限り、呉軍で埋め尽くされていたからである。

 

愛紗「なんという事だ・・・・これではこの城を脱出することは不可能だ」

 

こうなれば、馬良たちの援軍を待つしかあるまい。

 

見れば、二人とも同じ考えのようだ。

 

愛紗「しかたない、篭城戦だ」

 

 

残存兵力 五百。もはや風前の灯火であった・・・・・。

 

 

~関羽 LastStand~

 

 

愛紗は戦いながら援軍を待った。

 

だが五百の兵士もいまや大半が負傷し、城内の食料もほとんど無くなっていた。

 

 

そんな中、呉の陣から一騎。麦城に向かうものがいた。

 

 

当然城兵たちは警戒し、矢を構える。

 

 

諸葛瑾「待って、矢を射らないでください。関羽将軍と話をしたいのです。私は孔明の姉の諸葛瑾です」

 

 

真耶「朱里様の・・・・よし! 通してやれ!」

 

真耶の声で門が開く。そのまま諸葛瑾は城の中に入り、関羽と対面した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛紗「お久しぶりです、諸葛瑾殿」

 

愛紗自身も彼女に面識はあった。なので少し警戒を解き、温和に話を始めた。

 

諸葛瑾「お久しぶりでございます。今日は呉の使者として参りました」

 

愛紗「やはりか・・・・よし、口上を述べてみせよ」

 

そう言うと、諸葛瑾は語り始める。

 

諸葛瑾「ただ今の形勢を論ずれば、荊州九郡はことごとく呉魏の手に落ち、残るはこの麦城のみにございます。外に援軍無く、内に食料無く。これではもはや戦になりません。将軍いかがでございましょう。孫策様に帰順なされ。再び荊州・襄陽の地をすべて治められましては」

 

愛紗「・・・・それが孫策の考えか。だが私は桃香様とは義姉妹。敵国に降る気はさらさらない。城が落ちたならば、死あるのみ」

 

諸葛瑾「孫策様は将軍と力を合わせて曹操を打ち破り、共々漢の皇帝を助け参らそうとのお考えです」

 

愛紗「もう何もいうな・・・!!」

 

諸葛瑾「将軍、よくお考えくださいませ」

 

黎「もう何も言うな!! 我らの覚悟は決まっている! 余計なことを言うと斬るぞ!!」

 

黎が剣を引き抜く。

 

愛紗「黎、やめよ。敵とはいえ、朱里の姉上だ・・・・・・諸葛瑾殿。我らを説き伏せることは無駄ゆえ、お引取りくだされ」

 

諸葛瑾「そうですか・・・・・・それではこれにて失礼いたします」

 

愛紗「お役目ご苦労であった」

 

そう言うと、諸葛瑾は去っていった。

 

 

愛紗「いよいよか・・・・・・・・・・・・・・ご主人様・・・私をお守りください」

 

 

運命の時が迫る。

 

 

 

~呉side~

 

孫策「そう、関羽は降らない。そう言ったのね」

 

諸葛瑾「はい。耳も貸しません」

 

・・・・・残念ね。

 

孫策「殺すには惜しいわ・・・・・なんとか捕まえられないかしら」

 

呂蒙「雪蓮様。捕らえる方法はあります」

 

孫策「おお、冴えてるわね亞莎。で、何?」

 

呂蒙「はい。諸葛瑾様。城内には負傷兵も多かったと申しましたよね」

 

諸葛瑾「はい、半数以上は・・・・・・」

 

呂蒙「その者にはもはや戦意は無いと思います。肉親を前面に出し、呼び戻させるのです。おそらくそれらの人たちは逃げ出すと思います」

 

孫策「うんうん。それで?」

 

呂蒙「食糧もなく、兵の数も減れば、関羽はおそらく城脱出を試みるはずです。脱出する場合、麦城の四方の門のは広い道が通じてますけど、おそらくそこは通りません。城の北の険しい小路を選ぶに違いありません。そこでわざと北門にはわずかの兵をおいて逃げやすいようにしておき、山かげに伏兵を置いておくのです。」

 

へえ・・・・やるわね。さすが、冥琳が推薦するだけの事はあるわね。

 

孫策「よし、その策でいきましょう。すぐに手配してちょうだい」

 

呂蒙「はっ!!」

 

 

 

呂蒙の計画は直ちに実行された。甘寧は五千の精兵を引き連れて・・・・・・・・

麦城の北二十里の山かげにひそませたのである・・・・・

 

そして呉軍による、蜀兵への呼びかけは毎日実行された・・・・・・

 

 

 

 

~愛紗side~

 

 

翌日――――――。

 

愛紗「なにっ!! 兵が脱走しただと!?」

 

黎「はい。昨夜のうちに逃亡したようです」

 

呉軍による呼びかけは毎日続いている。やはり効果が現れたか・・・・。

 

愛紗「それで残るは・・・?」

 

黎「三百かと」

 

少なすぎる・・・。援軍も届かない今の状況では・・・・。

 

愛紗「むぅ・・・・食糧も尽きた。これではどうやって戦えばいいのか・・・・」

 

真耶「愛紗様。私に考えが」

 

先が見えない状態。そんな中、真耶が声をあげる。

 

真耶「こうなればこの城を捨てて西川に逃れ、再び軍備を整えて、漢水一帯を取り戻されてはいかがでしょう」

 

愛紗「だがこの城が空になれば、呉軍はすぐに気づくだろう」

 

黎「百人も残していただければ、私が残ります」

 

――――――っ!! 一体何を・・・!!

 

真耶「愛紗様。私も残ります」

 

黎・・・・真耶・・・・・お前たち・・・・!!

 

愛紗「・・・分かった。お前たちの気持ち無駄にはせん。今夜にでもこの城を抜け出し、兵を整えて、再び攻め入ってみせる!」

 

 

覚悟は決めた。私は最後まで戦う・・・・・!!

 

 

仲間のために・・・・!!

 

 

 

~夜~

 

 

黎「愛紗様。我らこの城を命の限り守ります・・!!」

 

真耶「城は降るとも、身は降りません。すみやかな援軍を待ち望んでおります」

 

愛紗「分かった、必ずや引き連れて来る」

 

愛馬に乗り、城を出ようとする。

 

愛紗「黎・・・・・真耶・・・・・・私が来るまで生きておるのだぞ・・!!」

 

黎・真耶「「はっ!!」」

 

愛紗「・・・・・・・城門を開け」

 

 

ギィィィィィィィ・・・・・・・。

 

 

愛紗「それっ!!」

 

 

城の外に出る。外には勿論呉の兵。だが、一番兵が少ない北門を選んだので、難なく突破することができた。

 

しかしその先の道は谷間になっていて、道の両脇は草で茂っていた。

 

愛紗「危険だが・・・・今はここを通るしかあるまい」

 

 

後で思ったが、この時点で私は何らかの対応をとって置くべきだったのだ。

 

あまりにも事がうまく運んでいたので、警戒がおろそかになっていたのである。

 

 

道を歩いている途中だった。馬の足が何かにとられ、私は落馬してしまう。

 

それと同時に茂みの中から呉の兵士がでてくる。

 

愛紗「―――――――――ッ!! む、無念・・・・!!!」

 

全て罠だった事に、いまさら気づく。

 

だが、もう遅かった。

 

私と私について来た兵二百は捕縛。

 

 

私の運命は決まった―――――――――――。

 

 

 

~終端~

 

 

孫策「えっ!? 関羽を捕らえたの!?」

 

甘寧「はっ。見事、罠にはまりましてございます」

 

孫策「わかったわ・・・すぐに連れてきて」

 

甘寧「はっ」

 

思春はそう言うと関羽を連れてくる為に天幕からでていく。

 

孫策「仲間にしたいんだけどなぁ・・・・・・」

 

諸葛瑾の話からして、きっとそれは不可能だろう。

 

孫策「頸を刎ねるしか・・・・無いのかな・・・・・・」

 

そう考えていると、腕を後ろで縛られた関羽が連れて来られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

孫策「久しぶりね、関羽」

 

愛紗「そうですね・・・・・・」

 

孫策「私はあなたの名声を慕い、よしみを通じたく思っていたの。なのに何で承知してくれなかったの?」

 

愛紗「決まっている。私は劉玄徳と桃園で義姉妹の誓いをし、漢の皇帝を守ろうと誓い合った者。貴様ごとき魏と組んで、漢に背く逆賊の仲間入りなどはけっしてせん!!」

 

孫策「・・・・・・・・・・」

 

愛紗「この度はうかと計略にかかった。あとは死あるのみだ」

 

・・・・・・・惜しすぎる。

 

孫策「・・・・・・もう一度聞くわ。生きて、仲間になるか。それともこの場で死ぬか・・・・どっち?」

 

まあ・・・・・答えはどうせ・・・・。

 

愛紗「私は! 無様な生より、誇り高き死を選ぶ!!」

 

分かってたんだけどね・・・・・・。

 

孫策「・・・・・・・頸を刎ねなさい」

 

呂蒙「はっ!」

 

関羽が刑場に連れて行かれる。

 

私はその後ろ姿を、黙って見ることしか出来なかった・・・・・。

 

 

 

建安二十四年十月

 

 

 

呂蒙「お覚悟を。」

 

 

愛紗「ふふっ、呂蒙。今度はお主に見事、してやられたな。流石、呉随一といわれただけの大将であった」

 

 

死ぬというのに、私の心は清々しく。

 

 

愛紗「さあ早く斬れ! 生かしておいては今度は私が呉を攻め滅ぼすぞ!!」

 

 

悔いなどは無かった。

 

 

長い、戦いの日々であった。

 

 

・・・・・・ご主人様。

 

 

また、いつか・・・・・どこかで会いましょう。

 

 

・・・・・・・・・・約束ですよ?

 

 

呂蒙「・・・・・・やれっ!」

 

 

さようなら。愛しい人――――――――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

関羽死す――――――――――。

 

 

 

 

 

 

その報せは大陸中に響き渡り――――――――。

 

 

 

 

 

 

人々は涙した――――――――――――。

 

 

 

 

 

 

 

~始端~

 

 

「貴様らごとき下郎が、この方に手を出すことはまかりならん! 匪賊風情がその身を弁えろ!!」

 

打ち鳴らされる剣戟の音。それが鳴り止んだ時、彼女の足下には苦悶の呻き声をあげる男たちの姿があった。

 

「このまま立ち去るのなら見逃してやろう。だが刃向かうというのなら、我が青龍偃月刀が相手をしてやろう!」

 

黄巾の男たちは、勝ち目がないと悟り、命からがら逃げていく。

 

ようやく安全になったと悟り、彼女は地面に座り込んだままの青年を見下ろした。

 

「ふぅ・・・・お怪我はございませんでしたか?」

 

彼女が手を差し出すと、太陽の光を受けて輝く白き衣を纏った青年は、砂を払って立ち上がった。

 

「キミは・・・・・?」

 

先程までの勇ましさが錯覚であったと思わせるような穏やかな微笑を浮かべ、彼女は自らの名を告げる。

 

「これは失礼。申し遅れましたね。・・・・・姓は関、名は羽。字は雲長。あなた様をお迎えにあがるため、幽州より参りました。」

 

関羽は涼やかに微笑む。青年はなにを言われているのかわからないという表情をしながらも、彼女から目を離しはしなかった。

 

故に関羽は、自らの思いをまっすぐ青年に伝える。

 

 

 

「我が主よ。天の御使いよ。『再び』我らと共にこの戦乱の世を鎮めましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

FIN

 

 

 
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