No.153216

真・恋姫†無双 ~天の錬金術師~ 第一話

ハジメさん

真・恋姫無双と鋼の錬金術師のクロス物の二次創作です。
と言っても、一刀が錬金術を使えたらという妄想で生まれた外史なので鋼の錬金術師のキャラクターは本格参戦ません。
また例によって、一刀の性格が違ったり、私の力量不足でキャラの性格が違ったりする場合があるかもしれません。ご了承をよろしくお願いします。

2010-06-25 21:02:17 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:10580   閲覧ユーザー数:9697

 

そこは、限りなく広大な空間に血の海と暗闇が広がっていた。無数の瓦礫の中にポツンと、大きな影が一つ、小さな影が三つ存在していた。

 

「扉をくぐるには通行料が必要なんだろ。使えよ」

 

大きな影は、口の向こうから、赤い石を見せた。

 

「賢者の石・・・」

 

「あぁ、その通りだよカズト・ホンドゥー」

 

黒髪の少年、カズトと呼ばれた少年の答えに、大きな影・・・否、巨大なトカゲに似た化け物、エンヴィーは答えた。

 

「もう、この人たちに体はないのか」

 

金髪の少年、エドワード・エルリックはエンヴィーに祈るかのごとく確認をした。

 

「答えは、分かっているだろう、鋼の錬金術師?とうの昔に精神も肉体も朽ちた。あとは、使い捨てされるエネルギーだけだ。なぁ、感情じゃなく理論で線を引けよ、錬金術師。こいつらは、人間じゃない。ただのエネルギーだ」

 

しかし、その答えは余りにも無情なものであった。だが、彼はその答えから逃げない。まっすぐに向き合い、その石を使うことを決意する。

 

「エド、片腕折れてるだろ?俺が・・・」

 

「いや、俺は一度真理の扉を開いている。俺のほうが適任だ・・・それに・・・」

 

「そいつはいい、お前も人柱候補だ。ここで扉を開いて、人柱として確定になってくれるとこちらも助かるよ」

 

「・・・・・これでもやるか、カズト?」

 

「・・・・・止めとく・・・・・」

 

「そう言うこった、お前は自分の怪我でも心配してろ」

 

そして、数刻が過ぎ、全ての準備が整った。

 

「すみません。使わせてもらえます」 

 

エドワードと呼ばれた少年は、 両の掌を胸の前で叩き、練成陣の描いてある床を叩いた。

 

そして・・・扉は開いた。

 

「っ!これが・・・真理の扉・・・!!」

 

話だけを聞いていたカズトは、その存在のなんともいえない感触に戸惑いを感じていた。

 

「飛び込め!!」

 

「信用しているぞ! 錬金術師」

 

彼等と行動を共にしていたシンと呼ばれる国の皇子、リン・ヤオは足を踏み出す。すると瞬く間に分解されるように消えていった。

 

「行くか、俺も!!」

 

それに続くかの如く、カズトも消えていった。

 

それから数分後、その空間に瓦礫のみが残っていた。

 

 

とある荒野。夜にもかかわらず二人の女性が歩いていた。

 

「ふむ・・・もう春じゃと言うのに肌寒いのぅ」

 

銀髪の女性は言う、彼女の名は黄蓋。

 

「気候が狂っているのかもね。・・・世の中の動きに呼応して」

 

そして、もう一人は桃色の髪の女性。名は孫策。

 

「・・・確かに、最近の世の中の動きは、少々狂ってきておりますからな」

 

彼女達は、そんな会話をしているとあるきっかけから、とある話題へと移った。

 

「・・・そういえば策殿。こんな噂があるのを知っておるか?」

 

「どんな噂よ?」

 

「うむ・・・「世界」であり「宇宙」であり「神」であり「真理」であり「全」であり「一」である扉の彼方より、天の御遣いが現れる。その者、この地にて真紅の衣を纏いて、円の力を駆使し乱世を鎮静す。・・・管輅と言う占い師の占いじゃな」

 

「え・・・えん~?」

 

孫策が嫌な顔をしながら思い浮かべたのは、自分の嫌いとする袁術であった。袁術は、彼女が自分の客将である事をいいことに好き放題に彼女に無理難題を押し付ける我侭小娘である。

 

「袁ではなく、円じゃな。丸い方の」

 

「あぁ、そっちのか~」

 

とりあえず、納得したようである。

 

「それにしても何?その・・・世界であり・・・」

 

「「宇宙」であり「神」であり「真理」であり「全」であり「一」である扉・・・か?」

 

「そう、それ!意味分かんない!」

 

「さぁの。しかし、エセ占い師として名高い者の占いじゃから・・・それっぽい事を適当に言ったのやもしれんしの」

 

「そうよね~、胡散臭いわよね~?」

 

「しかし、そんな占いが広まってるとなると、これからは赤い服のものばかり現れるやもしれんぞ?」

 

「うっわ、それは困るわ。私も、冥琳も服は赤なのに」

 

「ははは、たまには違う服にでも替えたらどうじゃ?」

 

「ぶー、まるで四六時中この服着てるように言わないでよ!そこまで無頓着じゃないわよ!!」

 

そんな時である、二人の辺りが光に包まれた。

 

「ちょ、なに!?視界が!!」

 

「策殿ぉ!!」

 

咄嗟の事に、目を瞑る孫策・・・しかし、目を開いた先には・・・。

 

「な、なによ・・・どこなのここ!?」

 

あたり一面、どこまで何も無い、白い空間であった。いや・・・一つだけあった。

 

「なに・・・この門・・・」

 

彼女の目の前には、見たことも無いような大きな門が存在していた。

 

「っ!祭!?どこなの!!?」

 

彼女は、先ほどまで共にいた女性の名を呼んだ。けれども、どこにもその人物は見つからなかった。

 

「っ!今度は何!!」

 

その時である、大きな扉が徐々に開き、中から何かが出てきてきた。得体の知れない物に警戒の意思を見せ、剣を構えて言う。

 

「ッ! 妖でも何でも、来るなら来なさい。殺してあげるから・・・」

 

だが、その先から現れたのは・・・。

 

「・・・・・人?」

 

一人の傷だらけの人間であった。高い位置から現れたため、彼女に向かって落ちてくるその人間を、彼女は避けることなく受け止めた。

 

「っと、なに、この子?」

 

警戒を続けてるものの、眠っているその人物を見て大分警戒を薄めているようである。

 

「男の子・・・よね?歳は、蓮華と同じくらいかしら?それに・・・」

 

ちらりと、その姿を見た。

 

「この辺じゃ、余り見かけない服よね?」

 

もっとも、傷だらけで、もう使えそうに無いけど・・・。

 

そんな、疑問に次ぐ疑問に、思考を重ねていると・・・。

 

「策殿!!」

 

「わひゃ!?って、祭!!?」

 

いつの間にか、場所は先ほどまでいた夜の荒野であった。

 

「へ? ・・・ちょ、ちょっと祭!私、今までどうしてたの!!?」

 

「?何の話じゃ?」

 

「え?」

 

その言葉に、彼女は一時的な思考停止をした。

 

「な、何言ってるの?私は、変な場所で、変な扉を見て・・・それから・・・」

 

「何の話じゃ?一瞬、光が広がっただけで特に何も起こらなかったではないか」

 

その言葉に、ある事を思い浮かべる。

 

「夢?・・・だけど、じゃぁ・・・」

 

今、自分が抱えている少年は何? そう考えていた。

 

「む、策殿!?その、孺子は!!?」

 

その黄蓋、否、祭の言葉に答えずに、孫策は先ほどの会話を思い出していた。

 

 

―「世界」であり「宇宙」であり「神」であり「真理」であり「全」であり「一」である扉の彼方より、天の御遣いが現れる。その者、この地にて真紅の衣を纏いて、円の力を駆使し乱世を鎮静す―

 

 

自分だけが見たという扉・・・そして、この少年・・・そして自分の勘がある決断をさせた。

 

「ねぇ、祭」

 

「む、どうしたのじゃ?」

 

自分の質問に答えない孫策に、苛立ちと不安を感じながらも、彼女は答える。

 

「さっきの占いって・・・本当の事かも・・・」

 

「・・・なんじゃと?」

 

 

<カズトside>

 

俺はどうなった・・・・・?

 

エドによって開かれた扉に飛び込んで・・・それから・・・。

 

・・・・・二つの門を見た・・・・・?

 

そして・・・・・。

 

―コレは珍しい、二つ扉があるなんて―

 

・・・誰だ・・・この声・・・。

 

―真理の扉は全ての人間の内側に在る・・・が、基本は一つ。何故なら、いるべき世界の数が扉の数だ―

 

何・・・言ってる・・・

 

―さぁ、くぐれよ、どちらの世界に出るかは・・・お前が決めろ―

 

それから・・・俺は・・・。

 

どうなった?

 

 

「・・・どこだ・・・ここ?」

 

辺りを軽く見回すと、見たこともない部屋にあるベットの上で寝ていた。いや・・・。

 

「リンの奴や爺ちゃんに聞いた、シンの国の部屋の特徴に似ている・・・?」

 

あくまで聞いただけで、実際に見たことはないのだが特徴が酷似しているのは確かであった。

 

「おっ? 目覚めたか、孺子」

 

「っ!誰だ!!?」

 

いきなり現れた人物に構えを取るが・・・。

 

「あ、でででででで!!!?」

 

全身に激痛が走って、ベットから転げ落ちた。

 

「な、なにをしておる!?急な事で、混乱してるのは分かるが、その怪我で無理に動こうとするでない!!」

 

俺は、その女性に抱きかかえられ、再びベットの上へと行く事になった。

 

「す、すみません・・・・・」

 

う・・・なんか情けねぇ・・・。

 

「まったく、以後気をつけろ」

 

「・・・・・はい・・・・・」

 

く、何とか話題を変えないと・・・つーか・・・。

 

「どちらさん?」

 

「ん?儂か?儂は黄蓋。字は公覆と言う。以後見知りおけ」

 

「アザナ・・・?」

 

何だ、それ?あだ名じゃないよな?

 

「えっと、じゃぁ、黄蓋さんでいいのかな?」

 

「うむ、その通りじゃ」

 

とりあえず、怪我の手当ての礼をしなくちゃな。何か手当てしてあるし。

 

「怪我の手当てとか、その・・・ありがとうございます」

 

「なぁに、気にするな。怪我人を目の前に見捨てるほど、儂は落ちぶれておらんよ」

 

後から聞いた話だと、上司に言われて渋々だったらしいが、この時俺はそんな事を知らない訳で・・・感謝をしていた。

 

しかし、同時に黄蓋さんの姿を見て思った。

 

「(アメストリス人じゃない・・・・・)」

 

どちらかといえば、シンの人間に近いと感じる。俺もシンの人に似てるけど、それは爺ちゃんがシンの人間だからだし・・・。

 

「あの、ここはどこなんですか?」

 

黙っていても仕方ない。まずは少しでも、情報を集めなくては・・・。

 

「ここは荊州南陽。我が主、孫策殿の館よ」

 

「は?けいしゅうなんよー?」

 

聞いた事のない地名。まさか・・・。

 

「ここ・・・アメストリスじゃないのか!?」

 

「あめ・・・なんじゃ、それは?」

 

どういうことだよ、これ!?まさか、扉を抜けるのは失敗したとか・・・。

 

「ふむ、まぁよい。どうやらおぬしも混乱しているようだし、じっくり考えるとよいが・・・一つ良いか?」

 

「・・・なんですか?」

 

「お主、名は?」

 

あれ?

 

「言ってませんでしたっけ?」

 

「言っとらんわ」

 

そう、何か呆れた顔をされて言われた。あちゃー、こっちは聞いておいて・・・。

 

「すみません、俺カズト・ホンドゥーって言います」

 

「か、かず?」

 

「カズト・ホンドゥーです」

 

「・・・かずと・ホンゴー?」

 

「ごーじゃなくて、ドゥーですって」

 

そんなに言いにくいか?

 

「か、かず・・・・・ええい!!言いにくい、かずとでよいな!!」

 

ぎゃ、逆ギレかい!?

 

「む、なんじゃ?何か問題でもあるのか?」

 

「い、いや・・・別に・・・いきなり名前で呼ばれたのは驚くけど・・・」

 

「何?"かずと"は、名なのか?」

 

「はい、カズトが名で、ホンドゥーが性」

 

「む?・・・字は?」

 

「アザナってのがいまいち分かんないけど、とりあえずそんなのはないよ」

 

「ふむ、そうなのか?」

 

なんか、珍妙な顔をされた。そんなに、変かよ?しかし、アザナなんてリンの奴に聞いた事もないし、シンですらないのか?

 

っと、まさか!!

 

「そうだ!!エドは、リンは!!?」

 

「む!何じゃいきなり?」

 

「俺の他に、誰かいませんでしたか!!?」

 

あいつらもここに!!

 

「良く分からんが、お主以外は、お主を見つけた場所にはおらなかったぞ?」

 

っ!そうか・・・ここにいるのは俺だけか・・・なら!

 

「・・・・・あいつ等は成功したな・・・・・」

 

証拠はない・・・だが、そう思える。

 

「さて、そろそろこちらの質問にも答えてもらっても良いか?」

 

「あ、はい」

 

何だろ?

 

「では、かず・・・いや、いきなり名も失礼か・・・では、ホンゴー」

 

は?

 

「いや、ホンゴーじゃなくて、ホンドゥー「言いにくいのじゃ、良いであろう!!」・・・ホンゴーでいいです」

 

こえぇ・・・。

 

「ゴホン。では、ホンゴーよ。昨日の夜、あんなところで何をしていた?」

 

「あんなところ?」

 

グラトニーの腹の中・・・じゃないよな?

 

「この街の外れ。最近、盗賊の出ると噂が出ている場所じゃ」

 

「は?」

 

多分、扉を通ったら、そこで倒れていたって事なんだろうけど・・・なんて言ったらいいのか・・・。

 

「えっと、不思議な扉を潜ると、そこは異世界でした・・・じゃ駄目?」

 

「なんじゃとぉ?」

 

やっぱ駄目だよな・・・と思ったら・・・。

 

「扉なぁ・・・」

 

あれ?

 

「えっと、理解できるんですか?」

 

「いや、できるわけではないのだが、何か引っかかる物があっての・・・」

 

そんな時だった、近くのドアが開き、そこから人が現れた。

 

「おっ、起きてる起きてる。おはよう少年。気分はどう?」

 

桃色の髪の褐色の女性が現れた。誰か聞きたい所だけど、質問に答えるのが先かな?

 

「ありえない事の連続で、混乱してるよ」

 

「へぇ~。その割には、はきはき答えるのね」

 

その言葉に、あるホムンクルスを思い浮かべながら言う。

 

「ある人曰く、ありえない事なんかありえないらしいからな。慣れっこなのさ」

 

「ふ~ん」

 

そう言うと、探るようにこちらを見る。

 

「それなりに出来るようね?」

 

「分かるのか?」

 

「えぇ」

 

む、確かに二人を見てみると、結構強そうだ。なんて言うか、雰囲気が・・・。

 

「気を悪くした?」

 

「いや、別に」

 

こっちは、聞く限り不審者だしな。

 

「でね?こっちも聞きたい事があるんだけどね?」

 

む、なんだろ。まいったよなぁ、何か異国みたいだし・・・うまく話がかみあわな・・・。その割には言葉通じるけどさ。

 

「貴方が出てきた扉って・・・何?」

 

な・・・に・・・?

 

「見たのか!?真理を!!?」

 

「へ?」

 

俺は痛む体で、無理やり立ち女性の肩を掴む。

 

「ちょ、ちょっと!?」

 

「お主何を!?」

 

「腕は!?足は!!?何も持っていかれてないのか!!?」

 

「な、何の話!?」

 

「いいから、その扉を見て何か不調は無いのか!!?」

 

「と、特に無いけど・・・」

 

「本当か!?なにか真理に持って<ゴチン!!>・・・ぐは!?」

 

突然、頭に衝撃が走り、俺の意識は遠のいていった。

 

「ちょ、祭!?」

 

「・・・すまん、何かつい・・・」

 

あ、どうやら黄蓋さんに殴られたみたい・・・。

 

・・・いくらなんでも動揺しすぎか・・・俺のアホ・・・。

 

 

それにしても・・・他の連中は大丈夫かな・・・・・?

 

 

 

 

あとがき

 

やっちまったぜ!!

 

と言う訳で、皆さん始めましてこんにちは。

 

ここのSSを読んでいたら、無性に自分も恋姫SSを書きたくなって、参加をさせてもらいました。

 

こんなSSを書いていますが、自分はハガレンコミックを持っていません(ガンガンは買ってますが)そのため、設定が違っていたりする場合があるかもしれません。

 

特に、第三者である雪蓮が扉を見るとか、なんかアニメ版要素っぽいのもありますが、そこら辺は目を瞑ってもらえたらうれしいなぁ、とか思います。

 

それでは、こんなSSですけど、面白いと感じていただけたら幸いです。

 

また次回お会い出たら幸いです。

 

ではでは・・・。

 

 

 

・・・・・それにしても、このサイト機能が色々ありすぎ・・・。なんか、どうすればどうなるのか良くわかんない・・・・・。

 

 
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