No.152635

真・恋姫†無双 董卓軍√ 第二十八話

アボリアさん

董卓IF√二十八話です
誤字脱字、おかしな表現等ありましたら報告頂けると有難いです

2010-06-23 01:33:30 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:18860   閲覧ユーザー数:13288

 

 

 

それは、一瞬の出来事だった

 

 

 

「これが蜀王からの土産だ!!董卓、覚悟!!」

 

 

 

和平の、これから手を取り合っていけると信じていた国の使者の、突然の凶刃が自分に向かってくる

 

 

 

「やめろぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

 

だけど、その凶刃は自分には届く事は無かった

 

 

 

けれども、自分の代わりに

 

 

 

「一刀さん!!一刀さん!!!」

 

 

 

 

 

 

 

自分の、掛け替えの無い、大切な人を傷つけていった

 

 

 

 

 

 

 

 

「一刀さん!!しっかりしてください、一刀さん!!」

 

私は目の前でぐったりと横たわっている一刀さんへと必死に呼びかける

 

「しっかりしなさいよ!!一刀!!」

 

「おい!!目え開けんかい!!一刀!!」

 

詠ちゃんを始め、皆が一刀さんに呼びかける

中でも一番動揺していたのは恋さんだった

 

「一刀!!一刀!!!」

 

そういって恋さんは一刀さんの肩を掴んで揺り動かす

 

「止めろ恋!!あまり動かすんじゃない!!」

 

冥琳さんが恋さんを止めようとするのだが、それでも恋さんは一刀さんを離そうとはしなかった

 

「一刀!!目、開けて一刀!!」

 

「止めなさい恋!!そのままじゃ本当に死ぬわよ!!一刀を殺す気!?」

 

「「「「「!!」」」」」

 

そんな恋さんを見かねて雪蓮さんが叫ぶ

死、という言葉を聞いて、私達は目の前の出来事…一刀さんが刺されたという現実を改めて突きつけられ、皆動けなくなってしまった

 

冥琳さんと雪蓮さんは、そんな私達を押しのけ一刀さんの容態を看てくれていた

 

「どう?冥琳」

 

「…運良く、というべきか。急所は外れている…ただ」

 

「ただ?」

 

含みのある言い方に雪蓮さんが聞く

その問いに、冥琳さんが沈痛な面持ちで答える

「傷があまりにも深い。出血を抑えてもこれでは傷口から腐敗してしまう。このままでは危険すぎる…!!」

 

「それなら、お医者様を呼べば…!!」

 

私がそう言うと、冥琳さんは首を振って答える

 

「普通の医者程度ではどうにもなるまい。どうすれば…!!」

 

そういって歯噛みする冥琳さん…そんな時だった

 

「…ねえ、冥琳。彼ならどうにかなるんじゃないかしら」

 

「っ!!そうか、奴ならば!!…だが、奴は今何処にいるか分かるのか?」

 

「今なら、華琳の頭痛を治療する為に許昌に来ているはずよ。この間華琳から貰った手紙に書いてあったわ」

 

雪蓮さんの言葉に希望を見出したのか、冥琳さんの顔が明るくなる

 

「そうと決まれば急ごう!!雪蓮は早馬で許昌へ向かってくれ!!私は傷に響かぬよう、馬車で一刀を連れて向かう!!」

 

「分かったわ!!…誰か!!手を貸しなさい!!」

 

雪蓮さんは衛兵の人たちを呼び寄せると、そのまま一刀さんを運び出していく

 

「ま、待ってください!!私も一緒に…!!」

 

そういって私は雪蓮さん達について行こうとするのだが二人に押し留められてしまう

 

「一刀の事は私に任せなさい。貴女は…」

 

そういいつつ、未だ動けずにいる皆の方を見る雪蓮さん

 

「あの子達についていてあげなさい。それと、くれぐれも早まった真似はしちゃ駄目よ」

 

「雪蓮の言う通りだ。蜀は今、暗殺などという手に出る理由が無い。この一件きな臭すぎる。…雪蓮、急ぐぞ!!」

 

「あ…ま、待ってください!!」

 

二人になおも追いすがろうとする私だったが、二人はもう部屋を出て行ってしまっていた

 

残された私達は、ただ呆然とその場に立ち尽くすのだった…

その後、このままでは話すらままならないということで一旦解散となり、次の日、月達は軍議の間に集まっていた

 

「奴等許せへん!!今すぐ蜀に乗り込んで一刀の仇討ったる!!」

 

「落ち着きなさい霞!雪蓮たちも早まるなって行ってたでしょ!?」

 

言い合いをする霞と詠

 

「……」

 

華雄は腕を組んで憮然と、しかしはっきりと怒気を放ちつつ座っていた

 

「れ、恋殿~!一刀はきっと無事です、だから元気を出してくだされ~」

 

「……」

 

華雄の座る席とは反対側の席では、昨日から落ち込んで一言も喋らない恋をねねが必死に宥めていた

 

「ほんなら詠は、一刀が刺されてなんとも思わへんいうんか!?」

 

「そんなわけなんでしょう!?私だって蜀の奴等は許せないわよ!!でも、だからって今すぐどうこうできることじゃないでしょ!!」

 

「せやかて…「黙れ霞!!詠!!」なっ!!」

 

なおも言い合いを続けようとする二人に華雄が怒鳴る

 

 

「お前等の気持ちは分かる。私とて、今すぐにでも奴等を切り伏せてやりたいと思っている。…だが、今、誰が一番傷ついているかを考えろ!!」

 

 

「「!!」」

 

 

二人はその言葉にハッとして自分達の主君を見る

二人の視線の先には…軍議が始まってから一言も発することなく、俯いたままの月がいた

 

「悪い月、それと詠も…。頭に血が上ってもうてた」

 

「僕こそ御免、霞」

 

二人はお互いにあやまりつつ、自分の席に座る

華雄はそれを見届けると月に向き直って言った

「月様。私は霞と同意見です。やはり蜀の行いは許せる事ではありません」

 

「…恋、も」

 

月と同じく、一言も発しなかった恋もその意見に賛同する

 

「一刀を傷つけた…。許せない…!!」

 

「ねねも二人と一緒なのです!!友がやられたのに、黙っているなんてできないのです」

 

そういって全員の視線が月へと集まる

それから暫く沈黙が続いたが、ついに月は口を開いた

 

「…雪蓮さん、冥琳さんの言う通り今回の件は不自然すぎます。王としては、民の為、天下の平和の為に蜀とは交渉を重ねるべきだと思います」

 

「月までそんなこと…「でも!!」っ!!」

 

霞が異論を呈しようと口を開くのだが、それより大きな声を上げ、月が続ける

 

 

 

「王である以前に…私個人として、一人の人間として、一刀さんが刺されたことを、許す事はできません。たとえ蜀にどんな事情があったとしても、今回も、いえどんな時だって私を、私達を助けてきてくれた一刀さんを傷つけたことだけは許せないんです!!」

 

 

 

そこまで言って一度間を空け、皆を見渡して月が告げる

 

 

 

「私は、蜀に戦いを挑みます」

 

 

 

月の宣告を受け、詠が言う

 

「…わかった。月がそういうなら、僕は反対しない。僕だって蜀の奴等は許せないもの。…それじゃあ、華琳や翠達にも連絡を…「駄目だよ、詠ちゃん」…え?」

 

そういって伝令を呼ぼうとする詠だったのだが、それを月が止めた

 

「今回の戦は、平和の為の…大義のある戦じゃない、ただの私達のわがまま。…そんな戦いで、華琳さん達の手を借りるわけにはいかないよ」

 

「月…」

 

更に月は霞たちに向かって言う

 

「各部隊の兵の皆さんに今回の戦いについて伝達してください。それを聞いて、それでも付いてきてくれる人達だけで蜀との戦に赴きます」

 

「ま、待ってよ月!!それはいくらなんでも…!!」

 

「そうなのです!!無茶なのですぞ!!」

 

月の発言を聞き詠とねねが必死に止めに入る

だが、月は頑なに答える

 

「さっきも言ったでしょ?これは私達のわがままなんだから…。詠ちゃん、お願い」

 

そういって詠の目を見つめる月…その眼差しに、とうとう詠は折れてしまう

 

「…はあ。月がその目をしたら、何言っても無駄よね…。分かった、私達だけで、私達に付いてきてくれる兵達だけで向かいましょ」

 

「ありがとう、詠ちゃん…では、各隊に伝達してください。そして、準備ができ次第蜀へと攻め込みます。各自準備を始めてください!!」

 

「「「「応!!!」」」」

 

 

 

蜀では、簡雍の捜索及び、張任の捕縛が言い渡されてから数日の時が経っていた

簡雍は捜索が始まってまもなく物言わぬ屍となって発見されたのだが、張任の捕縛については既に董卓軍の領内へと入ってしまっていた事などの理由で難航していた

 

「…簡雍さんが亡くなって発見された事により、張任さんへの疑いがほぼ間違いないものとなりました」

 

諸葛亮が暗い口調で話す

 

「今回の件は、張任を推挙した私の責任。桃香様、いかようにもご処断を」

 

そういって厳顔が頭を垂れる…対する劉備は首を振って答えた

 

「ううん。今回は私がしっかりと確認しなかったがいけなかったんだよ。…朱里ちゃん、董卓さんのところには、伝令の人は送ってくれた?」

 

「はい。…ただ、間に合うかどうか…」

 

そういって話していると、軍議の間に伝令が駆け込んでくる

 

 

 

「た、大変でございます!!董卓軍の大軍が宣戦布告もなく、荊州へと向かっておるとの報告がありました!!その数二十万ほどでございます!!」

 

 

 

「え…!!」

 

 

 

その報告にどよめく一同…だが、伝令は更に続ける

 

「董卓軍の行軍速度はかなりの速度だということです!!急ぎ軍を出さねば、荊州が…!!」

 

「桃香様!!こうなってしまっては話し合いなどといってはいられません!!急ぎ迎え撃ちましょう!!」

 

関羽を始め、武官達はそういっていきり立つ

 

「で、でも…!!」

 

それでも食い下がろうとする劉備…だが、そんな劉備に諸葛亮が告げる

 

「…愛紗さんの言う通り、こうなってしまっては軍を出さないわけにはいきません。荊州の民を守る為にも、ご決断を…!!」

 

「…分かった。皆、準備して!!」

 

 

「「「「「はっ!!」」」」」

 

 

そうして劉備軍は、董卓軍とぶつかるであろう、荊州の夷稜へと軍を進めるのだった…


 
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