No.146752

真恋姫無双~風の行くまま雲は流れて~第36話

第36話です

新キャラ~♪

2010-05-31 02:19:09 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:6423   閲覧ユーザー数:5903

はじめに

 

この作品はオリジナルキャラが主役の恋姫もどきな作品です

 

原作重視、歴史改変反対の方

 

御注意ください

 

「残党狩りですか?」

 

いつもの朝

 

いつもの場所

 

いつもの面子に新たな顔ぶれが加わった朝議

 

目の前の少年の直言に悠は眉を顰めて問い返す

 

「その通りです田豊参謀殿、未だに我等袁家に与さず立て篭もる者共を一掃し、新領の民に見せ示す必要があるかと」

 

逢紀、真名を英心(えいしん)

先の董卓の乱後に袁家に仕官した齢一三の少年、それまで桂花の最年少記録だった歳よりさらに一年若く名門の門戸を開いて見せた秀才である

元は大将軍、何進に仕えていたため袁家とも面識があり、乱の後に袁紹自身の薦めもあり迎え入れられた形で袁家の軍師の一員となった

 

尤も

 

(選ばれた理由は明白ですがね)

 

美少年というのは彼のような存在を言うのだろう

整った目元、口元、鼻元、よくもまあこんな造形顔が世に出てきたもんだと関心させられる

加えて育ちのよさと頭のよさがこれほどに滲み出ていれば黙っていても人目には付くものだ

 

「我等はこれより南の曹操との決着を付けねばならない、ともあれば後顧の憂いは絶っておくべきでしょう?」

 

目をキラキラと輝かせ得意げに言い放ってみせる

壇上の主もうんうんと頷いているあたり新しい玩具がえらく気に入っているようだ

 

とはいえ

 

「今は内政を整えるのが先でしょう、領地を広げた事で民の混乱が少ないとはいえ情勢が不安定ではそれこそ曹操に付け入る隙を与える事になります」

 

悠の発言に英心はキョトンとした目を見せる

少年の表情に

 

(言葉が足りませんか…)

 

ふうっと溜息を吐き「いいですか」と前置きをして

 

「報告によると残党の数は三千、その程度の数に一々相手をしてやる必要はないということですよ、内地の情勢を安定させた上で降伏勧告をすれば済むことです」

「そんな悠長な!?」

 

身を乗り出しかける少年に向けて掌を開き押し止め

 

「内政というものは時間をかけるべき…というよりも時間がかかるものなのですよ逢紀殿、領主が変わることで民の生活が変わるか、まあぶっっちゃけて言うと大して変わらないのですけどね。少なくとも新しい領主様は自分達に害意はないと時間をかけて刷り込ませなければいけません。民を不安がらせ情勢が荒れればそれこそ沈静に兵を動かす事態を招く事になります」

 

ゆっくりと一言一言を刷り込むように言葉を並べる悠

 

「なればこそ早急に反乱分子を叩くべきです!曹操が付込むのは正にその点では無いですか!?」

 

一度座りかけた腰を再度浮かせて英心が噛み付いてくる

そんな少年の様相にも悠はいつもと変わらずに湯呑を手の中で回し

 

「たかが三千の反乱分子に曹操が一々乗っかかっては来ませんよ、それこそ浪費というものです」

 

ずずずと茶を啜る音に少年はカチンと来たようだ

 

「それではこの度の戦を早急に終わらせた意味が無い!」

 

ドンと机を叩いて此方を威嚇してくる

 

周りの人間は対称的な二人に様子見を決めているのか交互に見比べてはうんうんと唸っていた

 

「戦闘を短期で終わらせたのは情勢安定に時間を割くためです、残党が出ることも元から承知です、それが脅威であるならば討伐も是非ではありますがたかが三千じゃねえ…」

「その三千が我等に弓を引けばどうするのです!?」

 

一度頭に血が上れば治まらない性格なのだろう、拳を振って声を荒げている

 

(というか何故これが判りませんかねえ)

 

自分の思惑に気づいてくれない少年に悠は正直なところうんざりしていた

 

「では問いますが…貴方はがもしその立場であれば我等に対して弓を引くというのですか?」

「…!?」

 

怪訝な表情の少年

その表情に悠は既に彼に対しての見定めを終えていた

 

(種明かしといきますか)

 

「我が君、事の説明をさせて頂いても?」

 

英心と共に置いてきぼりを食らっていた麗羽は一瞬のポカンとした顔を見せた後

 

「ど、どうぞ。許可しますわ」

 

脚を組み直して発言を許可すると口を開いた

有難う御座いますと頭を下げた後、再び少年に向き直し

 

「何も残党を手放しに遊ばせておく心算はありません、一応ですがね。彼らには孤立してもらいます、城を一つくれてやると引き換えに完全に物量を絶ちます」

 

悠の説明にその場の誰もが息を飲み耳を傾ける

 

「さて、いずれ兵糧が尽きた彼等がとる行動とはなんでしょう?我等への攻撃?違いますよね…兵糧が尽き士気がどん底の彼等がそんな事をする訳がない…とくれば」

「…民への略奪?」

 

斗詩の呟きに誰もがハッとし悠は口の端を上げる

 

 

「戦が早々に終結し、且つ我等が自分達にとって害意がない者と判断したところに旧領の者による略奪が起これば?…そしてそこに我等が救いの手を差し伸べれば?」

 

ポンと手を叩き相槌を打つ面々

 

「今現在『侵略者』である我々には『実績』が必要なのですよ…少々回りくどいのは否めませんがね」

 

 

空になった湯呑を再び手の中で遊ばせ始める悠

そんな様子の悠に英心が再び噛み付く

 

「しかしその間に曹操との戦が始まっては我等は両面に気を配る必要が出る!」

 

もはや敬語なんてものは何処かに飛んでいったようだ

自分が新参者である立場も

 

尚も引き下がらない様子の英心にも悠は肩を竦めて見せ

 

「曹操はその間動けません、劉備がいますから」

「?」

 

またもや訳が判らないといった表情の英心

 

(世間で秀才と騒がれても所詮はこの程度…か)

 

悠は咳払いを一つ突き

その様子に英心もハッとなり腰を落とす

 

「何のために公孫瓚とその本隊をみすみす見逃したとでも?」

 

その一言で十分だった

ようやく少年にも事の顛末が理解できた

 

「まさか、そこまで…?」

 

見る見る青ざめる少年の顔色に悠は頬杖をついたまま溜息を吐いて見せ

 

「かの狭い領地にさらに一軍を抱えては劉備には領地換えの選択肢しかありません」

「…そして曹操がそれを見逃すはずがない」

 

空いた右手でくるくると筆を回し

 

「そう…現状では劉備陣営では曹操陣営には敵わないでしょう」

「…そして最終的に劉備は領地をも失う事になる」

 

どんどんと紐解かれる全容

 

「南で似たような事が過去にありましたねえ」

 

全員が思い浮かべるのは同じく袁の冠

 

「但し、袁術殿と違うのは我等は基盤を奪うのではないということ」

 

劉備の領地に踏み込む訳ではない、まして劉備は自分からその地を後にするのだ

 

「そして曹操に破れたかの陣営の軍師殿『二人』が取る手立ては一つ、我等に保護を求める事、再起を図るが故に曹操の元には降らないでしょう」

 

孫策という前例があるだけに曹操は劉備を引き入れたとしても気は抜かない

孫策という前例があるだけに袁家もまた慢心などはしない

が…稀代の天才軍師二人は両者を天秤に掛けた後、後者を選択する

 

「これで曹操との対決に向けて戦力増強も出来る」

 

呆けた表情を浮かべる英心に悠は首を斜めに傾げて軽く頷いてみせる

 

 

「と、いうことなのですよ…御理解頂けたでしょうか?」

 

 

あとがき

 

ここまでお読み頂き有難う御座います

 

ねこじゃらしです

 

やばい寝ないと明日の仕事が

 

本当はもうちょっと続くのですが一旦ここで

 

あと新キャラ登場!

 

…なのにこの扱い

 

それでは次の講釈で


 
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