No.146130

真・恋姫†無双 董卓軍√ 幕間第五話前編

アボリアさん

董卓IF√幕間第五話前編です
今回は月様と詠さんです
誤字脱字、おかしな表現等ありましたら報告頂けると有難いです
追記 第十九話で初の王冠をいただきました
これもひとえに皆様のお陰でございます ありがとうございます

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2010-05-28 20:52:23 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:17520   閲覧ユーザー数:12771

計略により戦わずして袁紹を追い出す事に成功した俺達は袁紹の元居城で今回の作戦に協力してもらった白蓮さんと面会していた

 

 

 

「白蓮さん、今回はご協力ありがとうございました。お陰で被害も無く袁紹さん達を追い出す事に成功しました」

 

そういって感謝の意をこめ頭を下げる月

そんな月を見ながら苦笑しつつ白蓮さんが言う

 

「全く、大国の主になったって言うのに相変わらずだよな、月は…。いつも言ってるけど礼を言われるような事じゃないんだぞ?こっちだって麗羽の奴に攻められて困ってたんだから寧ろこっちが助かったってのに」

 

「それでも、こちらの兵の皆さんも袁紹さんの圧政に苦しんでいた民の皆さんも傷つけずに戦いを終わらせる事ができたのは白蓮さんの協力があってこそです。礼を言うのは当然ですよ」

 

にこやかに笑いながら言う月

 

「だから礼を…いや、もういい。これ以上は同じことの繰り返しだ」

 

やれやれといったふうに肩をすくめる白蓮さんだったが、呆れるというより親愛の気持ちがこもった様な仕草だった

 

「…なあ。月たちはこれからどうするんだ?」

 

「これから、ですか?」

 

「ああ、麗羽が居なくなったんだし河北一帯を治めていくんだろう?元の領土に曹操の領地も合わせれば大陸の半分ぐらいは手に入れたってことだ。今後はどうするのか、って思ってな」

 

今、大陸に残っている勢力の中で大きなものといえばあの後袁術を追い出す形で黄河より南の支配権を得た孫策、前太守より荊州の一部を受け継いだ劉備、蜀の劉璋、そして幽州の白蓮さんの四勢力となっていたのだった

その勢力の一つとして今後の月の動向が気になったのだろう

 

「劉備さんや劉璋さんはともかく、孫策さんはこちらより領土は小さくとも先の戦いで袁術さんをほぼ被害無く圧倒したため兵力も大きく、投降兵を含めると無視できる規模ではありません。できる事なら戦いたくはありませんが相手の出方次第ですね」

 

「そうか…。それなら、私も傘下に入れてくれないか?」

 

え?、と聞き返す俺達、だが白蓮さんは続ける

 

「いや、最近北方が騒がしくなってきていてな。烏丸たち異民族の対処で私は手一杯だし、天下獲りに名乗り出る気もさらさら無い。それに月達ならいい国にしてくれるって信じられるからな」

 

そう笑顔で言う白蓮さん

 

「はい、分かりました。では幽州も私達の領土に入ってもらいます。でも、だからといって白蓮さんは臣下ではなく私達の仲間になってもらいます。よろしくお願いしますね」

 

「…そういうところはホント変わらないんだな。わかった、仲間としてよろしく頼むよ」

 

そうして白蓮さんが仲間になってくれた事により、俺達は大陸の北半分を治める事になったのだった…

月 幕間

 

「ん~、疲れたぁ。…ん?」

 

領土が一気に増えた事により仕事が倍増した俺は、息抜きもかねて散歩をしていた

そのまま中庭の方へ向かっているとなにやら楽しげな声が聞こえてきたのでそちらを伺ってみる

 

「あれ?月と…華琳?」

 

そこに居たのはお茶をしながら談笑している月と華琳だった

 

「あら、お邪魔してるわよ一刀」

 

「一刀さん、こんな所でどうしたんですか?」

 

「俺は息抜きに散歩をね。華琳こそどうしたんだ?」

 

俺達との戦いの後、元の魏の領土を任された華琳はそちらで政務をしていると思っていたので驚いたのだ

 

「あら、私がいたらなにか悪いかしら?」

 

「いや、そんなことは…」

 

相変わらずの覇気でこちらを見つつニヤッと笑う華琳に気圧されつつ答える

 

「華琳さん。そのぐらいにしてあげてください。」

 

そういって宥めてくれる月

 

月が言うには華琳は今、魏領の他に新に任された元袁紹領の政務の相談をするためこちらに来ているらしかった

ただ、その会議まで時間が空いてしまったらしく、こうして月とお茶を楽しんでいたらしい

 

「そうだったのか。…あ、もし良かったら俺もお茶会に参加してもいいかな」

 

「私はかまいませんけど…。華琳さん、いいですか?」

 

「ええ、かまわないわ。私も一度、天の御使いだという貴方と話してみたいと思っていたところだもの。寧ろ好都合だわ」

 

こうして俺は月と華琳の茶会に参加させてもらう事になったのだった…

「へぇ、天の国とやらの話は興味深いわね」

 

「そうかな。まあ、こっちの大陸とは根本から違うような時代だからね」

 

「私もこうやって落ち着いて聞く機会は中々無いんで面白いです」

 

俺が茶会に参加して暫くの時が流れた

その間の話といえばもっぱら俺の話ばかりで退屈ではないかと思って心配していたのだが二人とも楽しんでくれていたようで何よりだった

 

「ふふ、本当に興味深いわ。…ねえ、一刀。私の部下にならないかしら。」

 

「え!?」

 

「!!」

 

驚く俺と月

だがそんな俺達に構わず華琳は続ける

 

「天の知識だけではないわ。連合での軍の指揮、袁紹への計略…それらを考えても貴方という人材は面白いわ」

 

「い、いや、でも…」

 

華琳は狼狽する俺をからかうようにさらに続ける

 

「あら、何ならここよりも厚遇…」

 

 

 

 

 

 

「華琳さん?なにを、いってるんですか?」

 

 

 

 

 

 

ビシィィ!!!…と言う音が鳴り響いたと思うほどのプレッシャーが迸る

周りの空気が一気に氷点下になった…そういわれても納得してしまうほどの寒気が俺の体を駆け巡ていた

そんな威圧感の放たれる方を振り向くと

 

「えーっ、と、どうし…ひぃ!!」

そこには…凶悪なオーラを迸らせながら満面の笑みで微笑む月が居た

 

(こ、これは…!!この笑みは、危険だ!!!)

 

いつもは温厚な月だがなぜか分からないが偶にこうなる事があった

この状態の月様は危険だと判断した俺は華琳にそのことを伝えようと会話に割ってはいる

 

「な、なに冗談いってんだよ、かり…」

 

「なにって優秀な人材を欲しいと思うのは普通の事でしょう?」

 

「華琳さん!?」

 

俺の発言など無かったかのようにスルーしつつ言い放つ華琳

最初こそ月様の変貌に驚いていた華琳だったが流石は王とでも言ったところか、寧ろ挑発するような態度ですらあった

 

 

「一刀さんは私達の仲間なんですよ。欲しいといえば手に入ると思ってる子供じゃないんですから」

 

 

イラッ

 

 

「だからといって誰に仕えるかは彼が決める事でしょう?選択肢も与えず独占しようなんて器の小さい者の考えね」

 

 

プチッ

 

 

「一刀さんは私達の立ち上げのときからの仲なんですよ?いまさらぽっと出の貴女にしゃしゃり出られても困りますよ」

 

 

ブチッ!

 

 

「別に期間なんて関係ないわ。それに私が臣となったとき、遠慮はいらないと言い出したのは貴女でしょう?自分の発言に責任がもてないようじゃ王としての器が知れるわね」

 

 

ブチブチッ!!

 

 

「遠慮はいらないといっても物の分別くらいつきますよね?子供でも分かりますよ、その位」

 

 

ブッチーーン!!!

「月?どうやら貴女とは一度、とことん話をしないといけないわね」

 

「そうですね。私も今そう思ってたところです」

 

 

「うふふふふふ」

 

 

「ふふふふふふ」

 

 

そういって暗い笑いを続ける董卓様と曹操様

 

(これ以上ここに居たら危険すぎる…!!三十六計逃げるにしかず!!)

 

俺はそのプレッシャーに耐え切れず、その場を後にしようと…

 

 

「一刀さん?何処に行くんですか?」

 

「ひぃ!!…い、いや仕事が残っていますんで…」

 

「一刀。貴方が参加したいと言い出したのでしょう?最後まで付き合いなさい」

 

「は、はい、わかりました…」

 

おれが今の二人に逆らう事などできようはずも無くその場に戻る俺

 

そんな魔王様と奸雄様の茶会は会議の時間になり詠が呼びに来るまで続いたのだった…

詠 幕間

 

今、大陸を席捲する勢いのはずである董卓軍は壊滅の危機に瀕していた

 

 

「詠ちゃん!!やめて!!」

 

 

「詠、落ち着くんだ!!」

 

 

「月、一刀…。駄目、僕の意思じゃあどうにもならないのよ…!!」

 

 

(クソッ!何でこんな事に!!)

 

 

何故このような事態に陥ったのか

この事件の発端は今朝にまで遡るのだった…

 

 

 

 

 

 

 

「ふう、今日もいい天気だな」

 

「そうだな、今日も頑張るとしよう」

 

今朝、俺と華雄は兵の調練具合を見るために練兵場へと向かっていた

すると、兵が大急ぎでこちらに向かってきた

 

「か、華雄様!!大変でございます!!賈詡様の発作が!!」

 

「なにい!!まだ例の日まで二日もあるであろう!!」

 

「それが、なぜか今日出てしまったようです!!早くも一部では被害が出ております!!早く賈詡様を!!」

 

「…なあ、詠になんかあったのか?もしかして大事なのか?」

 

華雄のただならぬ気配に不安になった俺は聞いてみる

 

「悪いが今は説明している暇は無い!!悪いが私は詠の下へ向かわねばならぬ。非常事態だ、お前は戻って月様と共にいろ!もし詠をみつけたら凝視せずに逃げろ、わかったな!!」

 

そういって走り出す華雄…そのまま姿が見えなくなってしまう

 

「何なんだ?一体」

華雄たちの会話を思い出し、そういえば月に一度ぐらいのペースで、華雄と詠の両方を一日見ない日があるがその周期が今頃だったな、と思い出す

だからといって何が起こっているのかさっぱりわからない俺は、とりあえず言う通りにしておこうと来た道を引き返すのだった

「一刀さん!!無事でしたか!?」

 

王の間に戻ると月が心配そうにしながらこちらに向かってくる

 

「無事って…。一体何が起こってるんだ?詠に何かあったのか?」

 

華雄に聞けなかった疑問を聞いてみる

 

「それは…」

 

心底申し訳なさそうな顔をした月が何か言おうとしたその瞬間

 

「大変です!!呂布様が、呂布様が!!」

 

「どうした!?恋に何かあったのか!?」

 

 

「呂布様が…腐った食べ物を誤って口にし、激しい腹痛に襲われています!!」

 

 

 

 

 

 

「…は?」

 

「伝令!!張遼様の秘蔵の酒の入った壷が謎の原因により割れました!!怒り狂った張遼様が犯人探しと称し暴れまわっております!!」

 

「今朝、仕事のため机に向かった陳宮様でしたがいきなり墨の入った硯が割れ、机の上にあった重

要書類が全滅したとのことです!!数日分の仕事がすべて水の泡になった陳宮様はそのまま寝込まれてしまいました!!」

 

「馬超様、馬岱様は馬の訓練のため牧場に向かっていたのですが柵が壊れ馬百頭が脱走!!今は両名が逃げた馬達を追っております!!」

 

「賈詡様を見つけた華雄将軍でしたが捕らえようとした所、以前馬岱様が掘ったと思われる落とし穴に嵌ってしまいました!!それを抜け出し賈詡様を捕らえようとした所、何処からとも無く現れた鳥の大軍に襲撃を受け、それを逃れようと走り出した所視界が遮られていたため柱に気付かず激突!!今は昏睡状態に陥っております!!」

 

次から次へと伝令がはいってくるのだが…これって一体

 

「ここまで大事になってしまったからにはもう隠しておく事はできませんね…実は、一刀さん」

月が真剣な顔で俺を見つめつつ口を開く

 

「今日は、月に一度、詠ちゃんの不幸が周りに感染する日なんです」

 

 

 

 

 

「…は?」

 

俺は、今日何度目かの唖然とした返事しか返せなかった

「つまり、今日一日は詠を見た、もしくは見られた奴は不幸になるってことか」

 

あの後月が説明してくれた話によると、詠は慢性的な不幸体質らしい

といっても常時不幸というわけではなく、通常より少し運が悪い程度のことなのだが、月に一度、とんでもなく不幸に襲われる日があるらしかった

しかもあろうことかその不幸はその日に詠に近づいた者に降りかかるという

今まではその日に入る前に華雄によって拘束、次の日まで部屋で過ごしていたらしいのだがなぜか

今回は日にちがずれたらしい

そのためこんな大騒ぎになっているのだった

 

「ってことはさっきの報告は…」

 

「ええ、皆朝に詠ちゃんと会ったためだと思います」

 

「じゃあ華雄だけなんか酷かったのは?」

 

「恐らく詠ちゃんに触れたからだと思います。…それに華雄さんは昔から詠ちゃんの不幸を被りやすいみたいで…」

 

「なんてこった…」

 

その話を聞いている間にも、兵の一部で集団食中毒、調理場ではねずみが大量発生、書庫にある本がいきなり虫に食われるなど被害が深刻化していた

 

「くそ、どうすれば…」

 

予想外の事態に焦ってしまう俺

 

「賈詡様が見つかりました!!現在中庭にいるようです!!」

 

「…分かりました。私が何とかします」

 

伝令の言葉に月が答える

 

「月!?危険じゃないのか!?」

 

「大丈夫です。私は詠ちゃんの不幸に巻き込まれたことが無いんです。私が何とかしますから、一刀さんはここに…」

 

そういう月の手をとり俺はいう

 

「俺も行くよ。月一人を危険な目に合わせられない。…それに、詠だってきっと傷ついてるだろうからそばにいってやりたいんだ。頼む」

 

「一刀さん…。はい、一緒に詠ちゃんを迎えにいきましょう」

 

そうして俺達は詠を迎えに中庭へと向かうのだった

そうして冒頭の場面に戻るのだが

 

「詠!落ち着けって言ってるだろう!?」

 

「大丈夫よ、一刀。これは、夢なんですもの。アハハハハ」

 

そういって乾いた笑いをする詠…ありえないような事態に完全に現実逃避をしていた

 

「いいから、今は部屋に戻ろう?な?」

 

「うっさい!!こうなったら皆不幸になっちゃえばいいのよ!!」

 

「今度は逆切れかよ!!」

 

暴れる詠に最早手がつけられなくなっていた…のだが

 

「〈ゴンッ!!〉ギャッ…きゅう」

 

「はあ、何とかなったか」

 

「「華雄(さん)!!」」

 

後ろから現れた華雄が詠を殴り気絶させていた

 

「月様、一刀。私は詠を部屋に連れて行く。今日が終わるまでは誰も近寄るんじゃないぞ」

 

そういって詠を担ぐ華雄…ってそんなことしたら

 

「華雄!!そんなに密着したら…!!」

 

「なに、こいつのこれは昔から慣れっこだ。…一刀、もし私の身に万が一にことがあったら、この国が見渡せる丘の上に葬ってくれ。ではさらばだ!!」

 

そのまま華雄は詠を担いだまま走り去ってしまう

 

「か、華雄―――!!!…無茶しやがって…!」

 

「華雄さん!!…貴女の犠牲は無駄にはしません…!」

 

俺と月は華雄の走っていった方に向かって敬礼をするのだった…

 

 

 

後日、華雄と詠が謎の熱病に侵され、一週間寝込む事になったのだが、それはまた別の話である…

 


 
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