No.144569

真・恋姫†無双 董卓軍√ 第十五話

アボリアさん

投稿が遅れましたが董卓IF√十五話です
誤字脱字、おかしな表現等ありましたら報告いただけると有難いです

2010-05-21 22:50:59 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:17758   閲覧ユーザー数:13221

諸侯連合との戦いから二ヶ月ほどの月日が過ぎた

二ヶ月という期間は俺たちを含め、連合の戦に参加した諸侯の傷を癒すには十分だったようでまず袁紹が自国の近隣の小国や豪族らを取り込み始めたことにより、群雄割拠の時代が幕を開けた

袁紹が白蓮のいる幽州を除く河北三州を手中に収めると同時に、曹操が手隙になっていた洛陽付近を奪取

袁紹、曹操がお互い同士と俺たち董卓軍に宣戦布告をしてきた

それにより河北三州という広大な土地をもち、兵力も二十万以上と抜きん出ている袁紹

劉備が治める徐州を除くが洛陽より東の土地すべてを治め、兵力は袁紹に劣るが名将が多く兵の質も高い曹操

そして洛陽より西、河東および涼州を治め、曹操に並ぶ将兵を揃える俺たち董卓軍

三国がそれぞれを牽制しあい、中原の覇権をめぐる争いの火蓋が切って落とされたのだった

俺達は袁紹に対抗するために本拠長安に月、詠、華雄、俺、それに翠と蒲公英の涼州兵を置き、曹操の方は洛陽に近い拠点に恋、ねね、霞を置く事により対処する事にしていた

そんな三すくみにも似た状態で冬を迎えた俺達の元に、曹操が動いたという報が届くのだった…

 

 

 

「伝令!!曹操軍が三万の兵を率いて許昌を発ちました!!狙いは呂布将軍の守る城であると思われます!!」

 

「先に動いたのは曹操だったか…」

 

「でも恋達の守る城にも三万の兵がいるわ。今は袁紹も動きが怪しいから、様子を見るためにも恋達には篭城を指示してあるし、負けは無いでしょう。それよりこちらは袁紹に向かうため…」

 

詠がそういって今後の展開を話すのだが俺は曹操がそんな意味の無い行軍をするとは思えなかったしなにか釈然としない気持ちだった

 

(なんか、引っかかるんだよな。曹操、呂布、陳宮、張遼……。まさか!!?)

 

「詠!!恋達のいる城ってまさか、近くに大きな川が流れていないか!?」

 

突然大声を上げる俺に皆驚いていたが聞かれた詠はたじろぎながらも答える

 

「え?な、流れているわよ。でも、篭城の上では寧ろ有利で…」

 

「くっ!!月、詠!!急ぎ恋達の所へ援軍として俺たちを送ってくれ、頼む!!」

 

「待ってください一刀さん!いったいどうしたっていうんですか?恋ちゃんたちの所なら大丈夫だって詠ちゃんが…」

 

「そうじゃないんだ!曹操は恐らく、水攻めによる攻撃を仕掛けてくる!!篭城じゃ駄目なんだ!!」

 

「…それはまさか、あんたの知ってる歴史の出来事なの?」

 

詠が真剣な顔で聞いてくる

 

「ああ、歴史が変わってきているし、場所も違うけど恐らく間違いない」

 

俺の知っている歴史では董卓が死んだ後、呂布が下邳にいる時の出来事だから確実とはいえないが条件が揃い過ぎていた

 

「もし、俺の知っている通りなら篭城中に城に河の水が流し込まれて兵糧は全滅、加えて冬の寒さにやられた呂布と陳宮は曹操に殺され、張遼は曹操に降る結末になってるんだ。…だから頼む!援軍を出してくれ!!」

 

「わかったわ。それじゃあ華雄とあんたは直ぐ動ける兵五千を率いて先行して!!私と月は兵を揃え次第出発するわ!こっちの守りは翠と蒲公英に一任する、もし危なくなったときのために馬騰にも救援要請を出しておくから…それでいい?月」

 

「うん。…一刀さん、必ず三人を助けてくださいね」

 

「ああ!わかってるよ。急ごう、華雄!!」

 

「ああ、分かった!!」

 

こうして俺達は恋達の元へと急ぐのだった…

「…くっ!!失策やったわ…」

 

ウチ等は曹操軍の水攻めに遭い、劣勢を余儀なくされていた

 

「…お腹、へった…」

 

「恋殿、もう暫らく我慢ください」

 

恋が言うように水攻めの結果、兵糧の殆どが河の汚れた水に漬かってしまいここ二日間の防衛では全く食料が無い状態だった

 

「…すまん、ウチがあん時打って出るのに反対せんけりゃこんなことには…」

 

攻めてきた曹操軍の様子がおかしいからと恋は打って出ることを主張したのだが詠達からの方針に逸れるとウチが反対したのだ

 

「霞、悪くない。こんな事、想定外だった…」

 

「そうなのです。そんな事よりこの事態をどうやって切り抜けるかの方が重要ですぞ!」

 

恋とねねがそういってくれるが、今この城は曹操軍に包囲されていて救援の伝令も送れない状況だった

その上空腹と冬の寒さから来る水の冷たさによる兵への被害が大きく、戦える兵は千人にも満たない状態だった

そして頼みの綱である恋も戦えない事は無いが空腹による被害は誰よりも大きく、いつもの力は出せそうに無い

 

「…しゃあない、ウチが動ける奴等率いて突破口開いたる。そこから撤退するで」

 

「そ、そんな無茶ですぞ霞!!お前だって疲労が相当溜まって…」

 

心配そうにこちらを見るねねと恋に言い聞かせる

 

「無茶でもやらなあかんねん。…ウチが必ず逃がしたるから安心せい、ほなな!!」

 

なおも食い下がろうとするねねと恋を置いてウチは城門へと急ぐのだった

 

 

 

 

 

 

 

「華琳さま!!敵の部隊が城門より出てまいりました!!紺碧の張旗、張遼です!!」

 

「出てきたわね。大方、中の将兵を逃がすための決死隊でしょうけど…春蘭!張遼には貴女が当たりなさい。秋蘭は反対に向かい、もし呂布がでても包囲を破られないように。他は包囲を継続。必ずここで呂布と張遼、陳宮を捕らえるわ…いきなさい、二人共!!」

 

「「はっ!!」」

 

そういって兵を率いて出て行く二人を見つめ、曹操は勝利を確信する

 

「ふふっ、あの三人を引き込めば董卓軍は恐るるに足りないわ…。私の覇業のためにも必ず降ってもらうわよ…!!」

「張遼!!あの時果たせなかった勝負、今度こそ受けてもらうぞ」

「くっ!!よりにもよってあんたかい!!」

 

ウチが打って出ると読んでいたかのように虎牢関の時の将…夏候惇が待ち構えていた

だからといって退く事もできず、ウチは夏候惇に挑みかかっていく

 

「ふんっ!!弱ったお前を打ち倒しても何も嬉しくは無いが…華琳さまの命だからな。おとなしく降ってもらうぞ張遼!!」

 

「ウチは恋達逃がしたらんとあかんねん!!黙ってそこ通したらんかい!!」

 

そうして打ち合いになるのだが、やはり疲労と空腹で全く歯が立たない

 

「どうした張遼!!そんなものか!!」

 

決死隊となって出てきた兵たちも夏候惇の部隊に囲まれ、包囲を破れずにいた

 

「張遼よ!!これ以上やっても無駄だ!!大人しく降れ!!」

 

「アホいえ、ウチは、恋達逃がしたらんとあかんねん」

 

最早満身創痍だったが、気力で飛龍堰月刀を構える

 

恋とねねは…あいつらはやっと幸せを見つけたところだったのだ

 

そんなやっとの事で見つけた幸せををこんな所で無くしてしまっては今までつらくても頑張ってきた二人が報われなさ過ぎるではないか

 

「ウチが、命がけでも逃がしたらなあかんねん!!」

 

そうやって夏候惇に捨て身でかかろうとした時、敵の伝令が叫ぶ声が響く

 

「夏候惇将軍!!後方に砂塵、敵の増援かと思われます!!」

 

「な、なにぃ!!なぜこんなに早く…!!」

 

「あれ…は」

 

そこには…華の旗と十文字の牙門旗が見えたのだった…


 
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