No.140741

愛しい人2-2 三羽烏の怒り

同人円文さん

前回秋蘭の一刀介抱(もとい独り占め)でした
今回はその間の凪、沙和、真桜の様子です。



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2010-05-04 11:37:37 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:7873   閲覧ユーザー数:6353

 

「凪!!話を聞いてくれ!お願いだから!」

 

凪の目の前で彼女の隊長である北郷一刀がひどく怯えた様子で謝罪しようとしている。

だが凪はもはや聞く耳を持っていなかった。

同僚で親友の二人も同様である。

 

「隊長の…バカー!!」

 

ボォグ!!

凪の気のこもった一撃が一刀に突き刺さる。

 

「げふぅ!!」

 

メキメキ!!

一刀は自分の体に響く嫌な音を耳にした。

 

(しっ死ぬぅ!!)

 

と思った瞬間

体は宙を浮き、警備隊の詰所の出入り口である扉に向かって飛んでいた。

一瞬の後、一刀の体は詰所からなくなり向かいの家の柱に激突した。

凪はハッとなった。

 

(今、私は…隊長を殴った?)

 

顔が真っ青になる。

 

(どっどしよう…)

 

今思えば拳には気がこもっていた。

思いっきり敵を殴る拳で。

下手をすれば…

 

(死…!)

 

もしかして殺してしまったのではと思ってしまった。

ますます顔が青くなる。

だがそれは杞憂に終わる。

 

「あらぁ隊長がわるいわ!」

「頭冷やして来やがれなの、このクソ虫やろーなの!」

 

外で隊長である一刀に怒りをぶつける二人がいる。

真桜と沙和が一刀を怒鳴りつけていた。

どうやら死んではいないようだ。

ひとまずほっとする凪。

そこに外で一刀を怒鳴っていた二人が戻って来た。

詰所へ入ると壊れた扉を無理やり直して締め切ってしまった。

外では一刀が弁解しようとしているがまったく聞こうとしない。

 

「隊長の種馬っぷりは知っとるけど今回はゆるさへん!」

「そうなの!今回はしっかり反省してもらうの!!」

 

二人の怒気は収まらない。

外を見てみると一刀の姿は無かった。

外では誰かが動けない一刀を見つけて運んで行ったらしい。

 

 

「真桜…沙和…」

「なんや!」

「どうしたの!」

「どうしよう…わ、私…隊長を…殴って…」

「凪は悪ぅない!あかんのは隊長や!!」

「そーなの!そーなの!」

「二人とも…」

 

二人は怒りを収めるつもりは全くないようだ。

 

(でも…私は隊長を)

 

殴ってしまっている。

死んではいないが間違いなく怪我をさせてしまっただろう。

そう思うとますます申し訳なくなって…。

ぺたっ、っと床に座り込んでしまった。

 

そして

 

「うぅ…」

「凪ちゃん?」

「な、凪?」

 

凪は自分のしでかしたことに顔を真っ赤にして…

 

「うわあぁぁぁぁぁん!!」

「「凪(ちゃん)!?」」

 

凪は泣き出してしまった。

 

 

凪はそれからしばらくして泣きやんだ。

めったに泣かない凪が泣くものだから二人は大慌てだった。

 

「凪ちゃん、落ち着いた?」

「ぐす…うん」

「あれは隊長が悪いんや、凪が泣くことあらへん」

「でも…」

 

凪は詰所の机で申し訳なさに小さくなっている。

上官の一刀に手を挙げてしまったことに責任を感じているようだ。

そんな時来客があった。

 

「おーい!か~ず~と~おるかー?」

 

外から真桜と同じ口調の声が聞こえる。

 

「この声は~…」

「姐さんか」

「…霞様?」

「一刀?開けるで~」

 

霞が元気よく思いっきり扉を開けた。

バキ!

応急処置だった扉はまた壊れてしまった。

 

「…何で扉、もろくなってんねん」

「いやぁ…それは」

 

あははっと真桜が苦笑気味に答え再び修理に取り掛かった。

 

「ごめんな~って一刀はおらへんの?」

「隊長は…」

「おらへんならまぁええわ…って凪どないしたん!?」

「しっ霞様!?」

 

凪の泣きはらした顔を見て凪の肩をつかみながら心配げに聞いてくる。

 

「それが姐さん聞いてな~」

 

と真桜が事の経緯を説明する。

話を聞いた霞は真桜達と同じように怒り出した。

 

「そら一刀が悪い!」

「そうでしょう~姐さん」

「しかし…霞様…」

 

凪は自分が一刀を傷つけてしまったことを気にしているようだ。

そんなしゅんとしている凪を見て。

 

(ああぁもうホンマ凪はかわええなぁ…頭なでたいわぁ)

 

まるでお預けされた子犬のような様子だった。

と同時に一刀への怒りが湧き出す。

 

(こんなかわいい子を泣かして…一刀のアホ!!)

 

と考えた後、霞は行動を開始した。

 

 

「凪!!」

「はい…いぃ!?」

 

霞は凪に向かって手を伸ばし…

ぎゅう!!

 

「しっ霞様!な何を!!」

 

霞は凪を自分の胸に抱きしめたのだ。

さらに自分の頬を凪の頭にすりよせる。

 

「霞様、おやめください!は、恥ずかしいですから!!」

「あ~もぅ凪はかわいいわぁ!今日はウチに甘えてええよ~、あんな奴のこと気にせんといてええって!!忘れてしまい!」

 

 

それに同意するようにうんうんと沙和と真桜はうなずき

 

「たまにはぎゃふんと言わせなあかん!」と言う真桜。

「そうだそうだ~」と言う沙和。

「でも…」

 

むしろ毎度二人にはぎゃふんと、と言うか迷惑かけているような…と思う凪だった。

だが凪はまだ気にしているようだ。

そんな凪に霞は抱きついたままは言う。

 

「なら凪は素直に許せるんか?」

「それは…いやです」

 

凪は怒った理由を思い出してしまったのか、不機嫌気味に言う。

凪は殴ってしまったことは悪いと思っているが素直に許せないらしい。

 

「そんなに気にするなら隊長が謝ってきたら謝ればいいの~」

 

凪は沙和の言うことも確かだと思う。

 

(そうだ隊長だって悪いんだ…)

「沙和の言うとおり、隊長が先に謝りに来るのを待つ」

「そうするといいの~」

 

「よっしゃ!」と言って真桜が立つ。

 

「落ち着いたなら憂さ晴らしに飯食いに行こうや~ウチ腹へってんねん~」

「ウチもついてってええよな?」

「姐さんもちろんですって~」

「もちろん隊長につけるの~」

 

沙和はこの場にいない人間につけるつもりでいるようだ。

 

(隊長すみませんが…)

 

凪は悪いとは思いつつも三人に同意することにした。

 

「今日は一刀のアホのこと忘れて飲むで~!!」

「「おぉぉ~!!」」

(明日…仕事できるかな)

 

凪はうわばみの霞を見て明日の仕事の心配をした。

こうして一刀が秋蘭の膝の上で眠っている最中、北郷隊の三羽烏+霞は一刀のツケで憂さ晴らしへ繰り出していった。

 

 

 

今回は一刀が秋蘭の膝枕で夢の中、その頃の凪たちのお話でした。

 

上官である一刀を殴ってしまい冷静になってあわてる凪と怒り続ける二人+霞です。

 

当初は霞は出てこない流れだったんですが、へこむ凪を可愛くするために登場させました。

 

ちょうど原作の霞ルートのことを思い出しまして…それで霞+凪の絡みでした。

 

やっぱあわてる凪は可愛いです。

 

また話の中で凪のことを子犬と表現しましたがどうでしょうか?

 

自分は犬っぽいなあと思ってたりします。

 

さて今だ一刀が殴られた理由は明らかになっていませんがちゃんと考えてあります。

 

まだ出さないだけですよ。ええぇ本当です(笑)

 

さて何かキャラ違うくね?口調こうじゃないでしょ?とかありましたらどうぞ教えてください。

 

まだまだ稚拙な文章なのでがんばって勉強します。

 

それではここまで読んでくださった方々ありがとうございました。


 
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