No.133411

真恋姫無双~風の行くまま雲は流れて~第23話

第23話です。

展開遅くてすみませぬ

2010-03-31 12:46:45 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:8484   閲覧ユーザー数:7706

はじめに

 

この作品はオリジナルキャラが主役の恋姫もどきな作品です

 

原作重視、歴史改変反対の方

 

ご注意下さい

 

 

 

華琳は俺を天の遣いだと言った

 

天の遣いがこの乱世を治めると

 

だが果たしてそんな大役が勤まるのかと俺は疑っていた

 

何が出来るのだろう

 

刀の扱いに覚えがあっても此処は三国志の世界

 

俺の腕など全く通用しない

 

しかし是といって取り柄も無い

 

あるのは知識だけ

 

天の知識と囃し立てられる

 

この世界ではイカサマに等しい知識だけ

 

でも

 

俺は

 

 

「衛生兵!」

 

曹操の陣営が見えて来た頃、一刀は必死に叫んでいた

人一人を抱えて走り続けた脚はブルブルと震え、限界を物語っている

人一人を抱き抱え続けた腕がブルブルと震え、限界を物語っている

人一人を抱き抱え走り続けた彼の鼓動が嘗て無いほど早鐘を打ち、限界を物語っている

 

それでもゆっくりと前に、陣営に向かう

脚を引き吊り、ぜぇぜぇと息を吐き

進みながら声を張り上げる

 

「来てくれ衛生兵!」

 

腕の中の凪は既にぐったりとしている

 

彼女の呼吸音がおかしい

吹き飛ばされた衝撃で胸を強く打っている、胸骨が折れているのかもしれない

 

両腕の骨にも異常があるかもしれない

だらんと力無く垂れ下がるそれは青黒く腫れている

 

既に意識は無く熱に魘されている…だが

 

「…ま…お……う…」

 

それでも尚、自身が親友の名前を呼び続ける凪

その姿に一刀は悲痛な表情を浮かべ

 

「頼む衛生兵!此処に怪我人がいるんだあぁ!!」

 

必死に助けを叫び続けた

 

やがてその姿に気づき、担架を抱えた二人の兵が走りだす

近付くに連れ、助けを求める相手が天の遣いであり、自身が部隊の創案者であることに気づき

 

「隊長!?」

「よくぞ御無事で!」

 

凪を抱える一刀が限界を超え膝を突く直前

駆け寄った二人の衛生兵が一刀と凪を抱きとめる

 

「頼む…彼女を…救ってくれ」

「「はっ!」」

 

一刀の懇願に素早く反応し、凪を担架に乗せて陣へと走り出す

 

一刀の提案で戦場で兵の生存率を上げるために設立されたメディカル部隊

一刀は戦場に対する改革案として各地から医療の知識がある者を集め、一部の兵にその知識を浸透させ医療専門の部隊を創りあげた

彼らの活躍は数度の討伐戦、並びに先の黄巾党の乱でその重要性が証明され、今回の遠征にも同行していた

 

 

「凪ちゃんっ!?」

 

担架で運ばれてくる親友の姿に沙和が駆け寄る

 

「凪ちゃん!凪ちゃんっ!?」

「落ち着いて下さい…大声を出しては折れた骨に響きます」

 

衛生兵の声にその場にペタンと座り込み

 

「御願い…助けて…凪ちゃんを助けて」

 

ポロポロと大粒の涙を流し懇願する

必ずやと彼女に跪いていた兵は立ち上がり凪を天幕の中へと運んでいく

 

一人残された沙和に

 

「沙和…馬を貸してくれ」

「…隊長?」

 

満身創痍の状態でありながらも一刀が沙和の肩に手を当てる

 

「真桜を迎えに行かなくちゃならないんだ」

「え?」

「約束したんだ…必ず行くと」

「…隊長」

 

一刀に頷きかけたその時

 

「一刀、貴方は此処にいなさい」

「…華琳?」

 

背後からかけられた声に振り向くと

華琳が二人を見下ろしていた

 

 

 

「既に劉備に援軍を要請したわ、前線部隊を纏めた春蘭にも反撃を命じている…貴方は此処で休んでいなさい」

「それは出来ない!」

 

立ち上がり華琳に寄り詰める一刀

 

「貴方が戻ったところで何になるというの?」

「だけどっ!」

「見なさい」

 

華琳に促され虎牢関の方角に目を向ければ各隊が中央に集結しつつある様が見える

 

「後は将の仕事よ、春蘭達に任せて貴方は此処にいなさい」

「だけどあの先には呂布がいる」

「だからと言って貴方が出る理由にはならない…むしろ足手纏いだわ」

「解っている…けど」

 

俯きながら物有り気な一刀の視線に

 

「何よ?」

「…俺は知っていたんだ呂布の事」

「…そう」

「この戦いの結末も…連合が勝つという歴史を」

 

一刀の身体が震えている

 

「勝つと知ってて…大丈夫だと思って…凪にあんな怪我を」

「貴方の知識が欲しいと言ったのは私、でも勝つ負けるの…そんなつまらない事を教えろと言った覚えは無いわ」

 

華琳の目が真直ぐに此方を見据えている

 

「凪の事にしてもそう…仮に呂布の事を貴方が喋ったところで、一人の敵将にそんな警戒はしてなったはずよ…麗羽の言うとおり、この戦いは数で押し切れるものだから」

「……」

「春蘭に任せなさい」

「だとしたら…尚更だよ」

「一刀?」

 

華琳の視線を真直ぐに受け…そして返す

 

「聞いてくれ華琳、このままじゃ春蘭の身にも危険が迫るんだ」

「っな!?…何ですって?」

 

途端、視界がぼやける

 

足元が抜けたような浮遊感に襲われる

 

「春蘭…は…」

 

華琳の顔が歪んでいく

 

ぐにゃぐにゃと

 

「めに…や……を」

 

意識が朦朧として踏鞴を踏み

 

そして

 

―プツンっ

 

操り人形の糸が切れたように

 

一刀が膝から崩れ落ちる

 

「一刀!?」

 

倒れこむ一刀を支えようと

延ばした彼女の腕を

 

一刀の身体はすり抜ける

 

「…え?」

 

地面に伏せる直前

 

 

 

 

 

霧のように

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀は消えた

 

 

「…うそ」

 

 

あとがき

 

ねこじゃらしです

 

 

今日飲み会なんで昼休みを使って投稿!

 

それでは次の講釈で


 
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