No.128290

真恋姫無双~風の行くまま雲は流れて~第6話

第六話です

今回も桂花がメイン
第7話も今日中にいけるかチャレンジしてみます

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2010-03-05 22:35:18 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:12950   閲覧ユーザー数:11662

はじめに

 

この作品の題名の紛らわしさに騙された人…

 

風と趙雲さんの話ではないのでご注意下さい

 

原作からも歴史からもかけ離れております

 

重ね重ねご注意下さい

 

一刀さんの予定はぼちぼち固まってきたかな

 

 

物乞いみたいであれですが

叱咤激励のご感想いただけるとありがたいです(涙)

 

 

「黄巾党?」

 

文官が詰め掛ける執務室の中、墨を磨りながら桂花は後ろの人物に問いかける

 

文官の朝は早い、日の出とともに執務室に出向き、その日の朝議の議題に上がる案件、書類に目を通し纏めなければならない、朝議が終われば今度はそれぞれに抱える案件の始末、期限までの提出書の整理。

その仕事に終わりはなく、日が暮れようが月が昇ろうが目の前の竹簡が消えないことには寝ることも許されない。

尤も、その為に文官はある程度の人数が登用され、まして袁家の狭き門を潜る者に己の仕事をこなせない人間がいるわけもなかった。

 

「昨今、巷を騒がせている連中の事ですよ」

 

桂花に背を向ける悠もまた、墨をカリカリと滑らせていた

文官達に宛がわれた部屋には常時数人の文官が交代でおり、今も八人の文官達が、がやがやと世間話をしながら己

の仕事をこなしていた

袁家に仕官した当初、周りの話し声に仕事に集中できずにいた桂花だったが今では悠と雑談しながらの仕事にすっかり慣れていた

 

「朝廷に不満を持つ市民、元盗賊が集まり黄の巾を頭に暴れまわる、自ら名乗ったのか呼ばれるようになったのか黄巾党、不満があるなら不満の元で暴れて欲しいものですねぇ…関係ないのに襲われる側としてはたまったものではないですよ」

 

蒼天已死 黄天當立 歳在甲子 天下大吉

 

掲げるものは立派だがその矛先はもっぱら自分達よりも弱者な存在達だ、彼ら黄巾の徒に義はない

 

「それにしても黄色の頭巾の黄巾党ねえ、何かイマイチな名前ね」

 

もっとマシな名前ないのかしら…墨を磨る手を止め、ふと考えに耽る桂花だったが特に思いつかずガシガシとまた墨を磨り始める

そんな桂花の様子など後ろから判る筈もなく悠は至ってマイペースに竹間に目を通しだす

 

「確かに、黄巾党という名前については俺も賛同しかねますねぇ…まあ重要かつ問題なのはその黄色軍団の存在が少々面倒くさいところまで来ている点でしょう。朝廷お抱えの禁軍も手を焼いているみたいですし」

 

これを、と悠が振り向き渡してくる竹簡は朝廷より命を受けた何進将軍からの物だった

 

「なんで朝廷の御達しが一般の竹簡に紛れているのよ…各諸侯へ通達ぅ?」

「本格的に黄巾さん達を討伐するようですね」

 

さっきから呼び名がいちいち定まらない黄巾党だったが今やその数は侮れず、つい最近も討伐に出た禁軍が逆に追い散らされる事件まで起きていた

 

この事件は既に朝廷に嘗ての力は無い事を示し、各諸侯へ討伐の命を走らせることで事態の沈静化を図るものの、世に出る機を伺っていた諸侯にとっては又も無いチャンスといえる

 

 

「どうやら既に動き出している御方もいらっしゃるようですし」

 

そう言ってまた一つの竹簡を桂花に渡す、そこには各地に散らばった間者から各諸侯の最近の様子が書かれていた

 

徴兵、人材の引き抜き、家臣の募集…

我先に優秀な人材を確保せんと各諸侯は動き出している

 

「これでは益々今回の徴兵の改善案が通りにくくなりますねぇ」

 

いっそ見なかったことにしますかそれ?茶を啜りながら笑ってくる悠に馬鹿いわないでと桂花は睨む、悪戯に民を苦しめてはそれこそ黄巾党の数は増えるばかりだ、徴兵をただ繰り返しても何の意味も無い

だからこそ戦略を立て戦術をもって自軍を戦場で優位に導く存在は必要なのだと桂花は考える

 

 

ただ毎日墨をするためにこんなところに居るわけじゃないわ

 

 

と悠から渡された各諸侯についての報告書の中にある一つの名前に桂花は目を止める、そこにはとある一人の少女が治める街の報告が書かれていた

 

~軍師、文官採用に奔放も成果なし

 

陳留の刺史、ここ最近成長株だと専ら噂なところだ、精強な軍を持つと聞いていたがどうやら文官には恵まれていないらしい

 

「桂花、どうかしましたか?」

 

いつの間にか隣に顔を持ってきて彼女の手にある竹簡を覗き込む悠に桂花は驚いて、思わず手の中のそれを落としそうになる

 

「いきなり話しかけないでよっ!ていうか顔近いわよ!」

「いやいやすみません」

 

城に仕える女官であればイチコロであろう彼の破顔も桂花には全く通用していなかった

 

「なにはともあれ黄巾党もお終いね、本気で朝廷を怒らせたのだから」

 

尤も、尻拭いを頼み込んでくる朝廷にも同じことは言えるのかもしれない

 

「朝廷からの命となればうちも各諸侯も動かないわけにはいけませんしねぇ」

「…てゆうか悠?」

「なんですか?」

「どさくさに紛れて自分の分をこっちに押し付けていない?」

 

気づけば桂花の手元に新たな竹簡がふたつ…

 

「…すいません給使さん、お茶の御代わりをください」

「誤魔化すんじゃないわよ!」

 

呼び止められ顔を真っ赤にしながら只今と茶の御代わりに走る若い給使に手を振る悠に桂花は怒鳴りつける

が、当の悠は桂花の怒りを他所に先日比呂と交わした会話を思い出していた

 

「そういえば先日比呂達が討伐に出た相手も件の連中だったみたいですねぇ」

 

その言葉に桂花は我に帰り

 

「…っあああああああああああああ!!!あの馬鹿、報告書出していない!?」

 

カランっカラン~

 

定刻毎に鳴らされる鐘の音は、朝議の時間が迫っていることを告げていた

 

 

「昨夜は大層お盛んだったようねぇ?お勤めご苦労様だわっ(怒)!!」

 

部屋に入ってくるなりの嫌味の声に比呂の寝起きは最悪のものとなった

 

俺は城の改修工事の企画書を纏めなければならないので、と比呂から報告書を受け取ることを拒否された桂花は嫌々比呂の部屋に訪れる羽目になった

比呂の部屋に実に二年振りに入ってみれば部屋の主は起きたばかりだったらしく、ボサボサの髪も直さず疲労の色を顔に浮かべ水差しに直接口を付けているところだった

 

「…態々そんな事を言いに来たのか?」

 

トプンっと水の入った水差しを振って答える仕草は、乱れた長い髪とその整った顔に浮かべる疲労の色も手伝って男にしては無駄に妖絶なものだったが、向けられた桂花にとっては侮蔑の対象でしかない

 

「はっ?私が!態々!将軍様をお越しに来たとでも?」

 

ちなみに会話をするのも三ヵ月振りだ、前回は偶々悠の部屋で鉢合わせた結果比呂の存在に桂花は直に出て行ったわけだが…

 

「先日の報告書を取りに来ただけよ!朝議で報告しなきゃならないね!」

「それならそこだ」

 

顎で促す先には一つの竹簡、どうやら昨日のうちに書いていたらしい

 

「作ってたんならとっとと持ってきなさいよ!」

「…俺が行くとお前は逃げるじゃないか」

 

桂花のイライラは次第に比呂に伝染していき…

 

「逃げる?この私が?あんたみたいな奴から!?」

「そうだろう?昨日だってそうだ」

 

比呂の反論は桂花を激昂させる

 

「冗談いわないで!私は自分の仕事が残っていたから執務室に戻っただけよっ!」

「それを逃げたんだと言っている、仕事が残っている奴が悠の部屋で茶を飲んで時間を潰していたのか?」

 

比呂の言葉はいちいち的確に突いてくる

彼女に向けて

唯真直ぐに

 

「あんたみたいな奴には解らないでしょうね!?文官の仕事が如何に大変か!」

「解らんな、己の当主に進言一つ通せん文官の悩みなど」

「っ…!あんたなんて閨であの女の御機嫌取りしてるだけじゃないっ!!!!」

 

 

 

はっ!と気づいた時には既に遅く

 

 

 

「…報告書だ…持って行け」

 

 

 

ポンと投げられる竹簡

 

 

 

 

またあの顔だ

 

 

 

 

 

今にも泣き出しそうな

 

 

 

 

 

なんで

 

 

 

 

 

 

なんでそんな顔をするのよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

ねこじゃらしです

 

一旦ここで筆休み

一日会議で緊張の疲れから今日は此処までが限界…

続きはまた明日、いや~土日休み万歳!!!!

 

それでは次の講釈で

 

 

 

 


 
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