No.126367

真・恋姫✝無双 仙人で御遣い 27話

虎子さん

あとがきにお知らせがあります。

拙い文章ですが、よろしくお願いします。

2010-02-24 03:31:58 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:4431   閲覧ユーザー数:3520

 

             豪臣たちが、義勇軍白虎を結成して3ヶ月がたった。

 

~長沙~

 

会議の間で朝議が始まっていた。

集まっているのは孫家当主の青蓮(しょうれん)。次期当主の雪蓮。軍師の冥琳と穏。宿将の祭。

今、丁度穏の報告が終わった。

「それでは、注視する必要のある諸侯の情勢と黄巾党と呼ばれる賊の動きについて報告させて頂きます」

冥琳が立ち上がって言う。

「まずは、袁術。兵力は十二万。武器、兵糧共に充実しております。が、知が足りていません。張勲(チョウクン)を筆頭に、袁術軍最強の武を持つ紀霊(キレイ)などがおりますが、知略政略に長けた者が居りません。間諜なども穴だらけ。今は放って置くのが最善かと。

 次に曹操。兵力は二万。我が軍と大して差はありません。が、武は夏候姉妹を筆頭に、豪傑という情報のある許褚と典韋。知は筆頭の荀彧と共に鍾繇(ショウヨウ)と言う老軍師が居ります。徴兵も進んでいる様で、今後、頭角を現すことは必至です。

 次に袁紹。兵力は十五万。将・軍師共に優秀。間違い無く大陸最強でしょう。ただし、袁紹自身が、まぁ、何と言いましょうか・・・莫迦であるので、そこまで脅威では無いかと。

 最後は劉表。兵力は六万。武は文聘(ブンペイ)と黄祖。知は蒯良(カイリョウ)・蒯越(カイエツ)の兄弟。優秀な者が居りますが、兵の割に将の人数が足りません。さらに、劉表自身の優柔不断が原因で、軍の強化も政治も滞っております。黄巾賊討伐も重なっているため、攻められる心配は無いかと思います

諸侯の報告は以上です」

「そう言えばさ~、冥琳。何で黄祖が戦ってるの?豪臣に腕を斬り落とされたんじゃなかった?」

「そ~ですね~。雪蓮様の言う通り、おかしいですね~」

雪蓮と穏が、冥琳に尋ねる。

しかし、それに答えたのは祭だった。

「あやつは『隻腕将軍』などと呼ばれておりますぞ。噂では、今まで劉表軍最強じゃった文聘に、一対一で勝ったとか。紫堂にやられてから強くなった様じゃ」

「片腕になってから強く?それが本当なら、あのおじさんもやるわね」

「事実だ、雪蓮。その情報は私の方にも、噂ではなく事実として報告があった」

「黄祖もやりますね。まぁ、今は良いでしょう。それで、冥琳ちゃん。黄巾賊の動きは?」

青蓮は、次の報告を促す。

「はい。何進大将軍の命により、諸侯が討伐を行っておりますが、確実に増えています。現在、確認出来ているだけで四十五万です」

「四十五万!?何じゃ、その数は!」

「落ち着いて下さい、祭殿。全てが戦える者ではありません。ただの浮浪者も混じっています」

そう言って冥琳は祭を宥める。

「それにしても、多いわね。いくら戦えない者が居ると言っても・・・」

「雪蓮様。その心配には及びませんよ~」

「そうだな、穏」

「冥琳。何のこと?」

穏と冥琳の言葉に、首を傾げる雪蓮。

「なーに。数ヶ月の辛抱だ。現時点で武器となっている“拠点を持たない”ということが仇になるのさ。そんなことよりも、面白い情報が入ってきたぞ、雪蓮」

フッ、と笑って言う冥琳。

「なになに?」

「旗揚げして数ヶ月の義勇軍の情報だ」

「む?先日言っておった、劉備、とか言う者のことか?」

祭が訊く。

「いえ、違います。義勇軍白虎と名乗り、その軍を率いる者の名は“紫堂”」

「「「 !!! 」」」

冥琳の発言に、穏以外が目を丸くする。

「豪臣さんのことですか?」

「え!?豪臣のこと!?」

「紫堂か・・・面白いのぉ」

「ああ。詳細を話そう」

 

~建業~

 

揚州の建業には、袁術に半軟禁状態にされている孫権こと蓮華と思春が居た。

そして今、周泰こと明命が、二人に諸侯の状況を報告していた。

 

「明命!それは本当か!?」

思春が明命の襟首を締め上げる様に掴んで詰問・・・では無く、質問する。

「は゛い゛!じ、事実、です゛!」

明命は、ペチペチ、と思春の腕を叩きながら言う。

「し、思春。そ、その・・・明命が危ない、ぞ?」

蓮華は、思春の気迫にビクビクしながらいう。

「はっ!も、申し訳ありません、蓮華様」

「げほっ、げほっ!」

「明命も、すまん」

「い、いえいえ。だいじょうぶぃですがら」

頭を下げる思春に、明命は、ブンブン、と首を振るが、舌が回っていない。

蓮華は、此処まで慌てる思春を見たことが無かったので

「どうしたの、思春・?」

と、訊いてみた。

訊かれた思春は、一瞬悩む様な表情をした後

「・・・豪臣様は、師匠なのです」

と、答えた。流石に“愛している人物”です、とは言えなかった。

「え!?思春が長沙(あっち)に行っている間に身に付けた技を教授したという?」

「はい。紫堂豪臣様です」

「そ、その方が、天の御遣いなのですね!?」

明命も訊いてくる。

「いや、そんなことは一言も言っていなかった」

(ただ、心当たりが有り過ぎるが・・・)

「御遣いかどうかはともかく、思春が“様”を付けて呼ぶのだから、きっと人格者か実力者か・・・何かしらの優秀な才を持った者なんでしょうね」

蓮華は笑顔で、そう言った。

「い、いえ!私にそんな人物眼は持ち合わせておりません」

「あら、その紫堂という人物は大した人では無い、と言うの?」

「豪臣様は、素晴らしい方です!」

即答する思春。それを見た蓮華は

「ふふ。思春がそこまで言うんだもの。一度会ってみたいわね」

と、優しく笑った。

 

因みに、思春は自分の言ったことに、暫く赤面していた。

 

~天水~

 

「か、賈駆様!」

バンッ、という大きな音と共に、勢い良く李傕が部屋に入って来る。

此処は、政務室だ。

「り、李傕隊長。いきなり入って来ないでよ。ビックリするじゃない」

少し驚いた後、詠は溜息を吐く。詠の隣の机で、月が苦笑いする。

「も、申し訳ありません!しかし、至急お知らせしたい情報がありまして」

「何かありましたか、李傕さん?」

月が、コテン、と首を傾げて訊く。

「はいっ!これです!」

そう言って李傕は木簡を詠に渡す。

「「 !! 」」

二人は、驚いて李傕を見る。李傕は、そんな二人に優しく微笑む。

「そこに書かれてあることは、事実でございますよ」

「そ、そう、ですか。豪臣さんが“天の御遣い”だったんですか」

「で、朔夜が“白き獣”ってことね。参ったわね。ボクたち本当にとんでもない大物を逃がしちゃった」

「そうだね。でも、豪臣さんも頑張ってるみたい。ね、詠ちゃん?」

月が笑顔で言う。

「そうよね。あいつはボクたちに、二人で頑張れる様に導いてくれた。そして、あいつは今も、皆のために動いている」

「うん。私たちも頑張ろうね、詠ちゃん!」

にっこり笑う月。詠は、力強く頷いた。

 

~陳留~

 

会議の間では、華琳(曹操)、春蘭(夏候惇)、秋蘭(夏候淵)、桂花(荀彧)の四人が居た。

「そう。各地でかなりの被害が出ているのね」

「はい。特に北方の并州、冀州、西方の益州の被害が甚大です」

華琳の言葉に、桂花がすぐに答える。

「冀州もなの?麗羽は、何をやってるのかしら・・・ハァ」

華琳は、抜けているアホな昔馴染みの高笑いを思い出し、溜息を吐く。

「桂花。報告は以上か?」

秋蘭が訊く。

「いいえ。もう一つあるわ」

「あら。他に気になる諸侯でも居たかしら?」

「いえ、華琳様。この報告は3ヶ月程前に旗揚げした義勇軍のことです」

「義勇軍?劉備とか言う奴が率いているやつか?」

「あんた莫迦?劉備が旗揚げしたのは4ヶ月前よ!前にちゃんと報告したでしょ!もう忘れたの?この脳筋!」

「誰が脳筋だ!?ちょっと間違えただけだろう!」

「何が、ちょっと、よ!あんた何回目だと思っ「いい加減になさいっ!!」っ!」

「桂花。無駄話はいいから報告をしなさい」

「はい。華琳さ「しかし、華琳様!」・・・#」

「姉者。見苦しいぞ」

「しゅ、しゅ~ら~ん」

妹に窘められ、春蘭は項垂れる。

「・・・報告します」

桂花は、頬が若干引き攣りながらも報告を開始する。

「その義勇軍は、『白虎』と名乗っています。それを率いている者は紫堂豪臣。“天の御遣い”を自称しています」

「御遣い?管輅のか?」

「そうよ」

春蘭の質問に、吐き捨てる様に返す桂花。

「続けます。規模は実働兵三千と予備兵が千人。盾を使う防御専用の部隊や通常の槍よりも長い槍を使う部隊などがあります」

「ふむ。報告するくらいだ。凄い戦果でも挙げているのだろう?」

秋蘭が訊いてくる。

「そうね。間諜によれば、『白虎』三千人で約二万の賊を根絶やしにしたそうよ」

「二万!?義勇軍如きに、そんな力があるのか!?」

「煩いわね!そう報告されているんだから、仕様が無いでしょ!」

「桂花。もちろん、その義勇軍を率いている者の情報はあるわよね?」

華琳が、当然の様な顔で言う。

しかし、桂花の答えは予想とは違うものだった。

「申し訳ありません、華琳様。率いているのは紫堂を含め六名。しかし、その内二名の情報がありません」

「あら。どういうことかしら?」

頭を下げる桂花に、華琳の眼が冷たいものに変わる。

「はい。兵士に偽装し様とした者。予備兵による補給部隊にまぎれ様とした者。共に消されました。民に偽装した者や『白虎』と戦ったことのある賊からの情報だけが手に入りました」

「我が軍の間諜が消されただと!?」

「桂花。訓練を終えたばかりの者でも使ったのか?」

春蘭が怒鳴り、秋蘭が冷静に訊く。

すると、桂花は首を振った。

「いいえ。最初は義勇軍と侮って間諜になりたての者を使ったわ。だから、消されてからは熟練者を送り続けたわよ。けど、誰一人戻って来なかったわ」

「・・・一人も、なのね?」

「はい」

流石の華琳も、これには驚いた。たかが義勇軍に、自分の軍の優秀な間諜が“全員”消されるとは思っていなかった。

「理由はなにかしら?」

「はい。兵士を五人の組みに分け、組長と言う者を据えています。そして、組長の上に、五十人を纏める班長。百人を纏める団長。団長を纏める部隊長。そして、隊長の紫堂が居ます。それぞれが纏める者の顔や名前を把握しているので、一人でも紛れる者が居れば、即座に見つかってしまうのです。これは、予備兵にも当てはまるものです」

「・・・それは、本当に義勇軍なのか?」

秋蘭は目を丸くして訊く。

「ええ。錬度非常に高いそうよ」

 

 

場に沈黙が降りた。

 

 

 

静寂の後、華琳が口を開く。

「分かったわ。そう言うことなら仕方ないわ。桂花。掴んでいる情報だけで良いから報告してちょうだい」

「はい」

桂花は、気を取り直して報告の続きを始める。

「一人目は、義勇軍『白虎』の代表で総大将である紫堂豪臣。“天の御遣い”を自称しています。管路の占いの通り“白き獣”、21尺(約5m)を超える白い大虎を従えています。腕が立つようで、前線に出ることが多い様です。

 噂ではありますが、劉表軍の黄祖に一騎打ちで勝利した、と言うものがあります」

「黄祖・・・最近、隻腕将軍などと呼ばれている豪傑か」

「ええ。どうやら黄祖の腕を斬り落としたのが紫堂らしいのよ」

「そうか・・・ということは、かなりの豪の者と見て間違いないな」

秋蘭は、思案した後そう言った。

「次に行くわ。二人目は、騎兵を纏める趙雲子龍。使用武器は槍。“常山の登り竜”と自称。民の間では、目にも留まらぬ突きを繰り出す様から“神槍の趙雲”などと呼ばれています。

 三人目は、弓隊を纏める太史慈子義。使用する武器は弓と双鉄鞭。“豪弓の太史慈”や、馬や鎧ごと相手を粉砕する様から“砕破(サイハ)の太史慈”などと呼ばれています。

 四人目は、長い槍を使う、槍隊を纏める徐晃公明。6尺(約1.5m)程の身長にも拘らず、全長10尺(2.5m)にもなる大斧を軽々と操ります。その様から“小さな鬼”や“豪腕の小人(コビト)”、“大戦斧の徐晃”などと呼ばれています」

そう言って、桂花は華琳を見る。

「皆、大層な二つ名ね」

華琳は、若干呆れ顔で言う。

その言葉に

「華琳様!私なら、全員に勝利して見せましょう!」

春蘭が喰いつく。

「そうね。もし、相手をする様な状況になったら任せるわ」

「はい!お任せ下さい///!」

華琳に笑顔を向けられ、ご満悦な春蘭。

「ふふ、可愛いなぁ、姉者は///」

妹もご満悦だった。

 

 

華琳は、クスッ、と笑って桂花に続きを促し、桂花は頷いた。

「五人目ですが、細作や間諜の部隊を纏める者です。朔夜、と言われていますが、名なのか真名なのか、偽名なのかも分かりません。神出鬼没で、陣内や戦場で突然現れたり消えたりするそうです。戦闘では、武器は使わずに完全な素手で戦います。捉えた賊からの情報ですが、素手で鎧を砕き、身体を貫通させたことがあるそうです」

「貫通!?素手でか!?」

春蘭が目を丸くする。

「真偽は分からないわ。ただ、神出鬼没な様から“幻影の朔夜”。小柄で美しい容姿でありながら無表情で相手を屠る様から“殺人人形”などと忌避されています」

「“幻影”に“殺人人形”・・・本当に大層な名だな」

「そんなに、美しいのかしら?」

「はい。男女問わず見惚れてしまう美しさとか」

「そう・・・欲しいわね」

華琳は、ボソ、と呟く。

春蘭は、また病気が、などと言って頭を抱える。

「・・・最後です。六人目は、盾部隊を纏める『白虎』の軍師です。この人物は、性別、顔、名の全てが分かっていません」

「何もか?」

バッ、と顔を上げて問う春蘭。

「ええ。軍師、ということしか分かってないわ。部隊を率いているにも拘らず、一切の情報が無いのよ。分かっているのは二つ名だけ。“深淵の天才軍師”や“汚い顔”です」

「“深淵”に“汚い顔”?対極の、いや、全く関係の無いあだ名だな」

秋蘭が、苦笑して言う。

「ハァ、そうね。どうも、“汚い顔”は、不細工な容姿だから表に出て来られないのだろう、と言う意味らしいわ。妬みか何かじゃないの?」

桂花は溜息を吐いて、以上です、言って報告を終える。

桂花が座ると、華琳は秋蘭に目を向けた。

「・・・分かったわ。次、秋蘭。徴兵の進み具合について報告して」

「は!」

 

そして、報告は続いていく。

 

あとがき

 

どうも、虎子です。

※いきなりですが、お知らせです。

お気に入り登録が前回の時点で200人を突破しましたので、“3話以降”をお気に入り登録“限定”に変更しようと思います。

2月25日に日付が変わり次第、変更を開始します。

 

さ、作品の話しに行きましょう・・・

今回の話は、これまでに関わった、若しくはこれから関わりになる諸侯の様子でした。

あれ?流琉たちと劉備は? と思う方々。

流琉たちには、豪臣のことを華琳に言うのを避けるために、登場させませんでした。

で、劉備軍です。彼女らは義勇軍です。情報収集が遅いのです。仕方かないのですよ。と、言うことにしといて下さい。

 

それにしても、時間が飛びましたね~

義勇軍編は出来るだけ早く終わらせたいんで、あんまり話数がかさまない様にするつもりです。

今回も言っておきます。飽く迄も予定、予定なんです。大事なことですので2回言いました。

 

さて、今回とは関係ないのですが、読み返してみて思ったことがあるんです。

それは、『“ロリっ娘”が多くね?』です。

なんか、作者の趣味全開の作品ですね。なんか、すいません。

 

次回投稿は、未定です。

 

作品への要望・指摘・質問と共に、誤字脱字等ありましたら、どんどんコメント下さい。

 

最後に、ご支援、コメントを下さった皆様。お気に入りにご登録して下さった皆様。

本当にありがとうございました。

 

ではでは、虎子でした。

 


 
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