No.125269

『舞い踊る季節の中で』 第12話

うたまるさん

『真・恋姫無双』の二次創作のSSです。

明命√の作品となります。
自分に刃を向けた一刀、雪蓮はそんな一刀に対してどう思ったのか
拙い文ですが温かく見守ってください

2010-02-19 09:19:33 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:30432   閲覧ユーザー数:21074

真・恋姫無双 二次創作小説 明命√

『 舞い踊る季節の中で 』

  第12話 ~ 雪の舞う寒に耐える蓮は、いずれ美しき華を咲かす ~

 

 

(はじめに)

 

 キャラ崩壊やセリフ間違いや設定の違い、誤字脱字があると思いますが、温かい目で読んで下さると助かります。

 この話の一刀はチート性能です。 オリキャラがあります。 どうぞよろしくお願いします。

 

北郷一刀:

     姓 :北郷    名 :一刀   字 :なし    真名:なし(敢えて言うなら"一刀")

     武器:鉄扇(二つの鉄扇には、それぞれ"虚空"、"無風"と書かれている) & 普通の扇

        :●●●●

     得意:家事全般、舞踊(裏舞踊含む)、意匠を凝らした服の制作、天使の微笑み(ただし本人は無自覚)

         気配り(乙女心以外)、超鈍感(乙女心に対してのみ)

 最近の悩み:明命駄目っ、そんな強く抱きしめたら、柔らかな丘がっ、うぉぉぉ、その先の固いものがっ!

         こんな生殺し、辛過ぎるっ(涙  ・・・翡翠、これは何の拷問ですかっ!? 

  (今後順序公開)

 

★オリキャラ紹介:

諸葛瑾:

  姓 :諸葛    名 :瑾    字 :子瑜    真名:翡翠

  武器:"双天" 対の双剣

  武力:52(平均的な将を60とした場合)

  智力:81

  政治:89

  家事:92

  魅力:想像にお任せします(w

  焦った時の口癖:『 あうあう 』又は 『 ぁぅぁぅ 』等の類語です

  性格:基本的に温厚で、外見に反して大人の女性

     だが、焦ると地が出てしまう。(朱里と違って、自分を律しています)

     警戒心が強い性格だが、一度心を許されると、親身になってくれる。

     妹がいるため、基本的には面倒見が良く、放っておくと、食事を取るのを忘れる明命を心配してよく食事

     を差し入れていた。

     やはり、妹がいるためなのか、時折人をからかって、その反応を楽しんだり、とんでもない悪戯を仕掛け

     る悪癖もある、だが性質の悪い事に普段が完璧なだけに、周りは怒るに怒れないでいる。

     家事全般は人並み以上に出来、そこらのお店以上と自負していたが、丹陽で知り合った男性の腕を見て

     自信を喪失。 以降こっそり腕を磨いているが、全然敵わないと嘆く毎日を送っている。

     武術は好きではないが、妹達を変態共から守るため、必要最低限身に付けたもの。

     姉妹揃っての発育の悪さをコンプレックスに思いつつも、それを武器にする強かさを持っている。

     自分を子供扱いしない男性が好みだが、言い寄ってくるのは変な趣味の持ち主ばかりで、17の時、現実

     の男(変態の多さ)に愛想が付いた時に『八百一』と出会う。 以降のめり込み、妹達を洗脳するも、

     基本的には周りには秘密にしている。 そのうち執筆も行うようになり、掲載されるようになる。

     数年たった現在では、定期的な愛読者もつき『八百一』の主要作家の一人となっている。

     黄巾の乱後、作品が益々洗練され、世に愛読者を急増させる要因となった。

雪蓮(孫策)視点:

 

「はぁー・・・・」

寝台の中で、行為の後の心地良い気だるさが残る体に反して、一向に優れない気分を、追い出すかのように息を吐く。

 

「・・・どうした?」

 

隣から、同じく気だるいだろう体を、やや起こして、親友が心配げに聞いてくる。

いや、あれは、こちらの考えている事に気が付いていて、その上で見守っている時の目だ。

付き合いが長い分、お互いの事がよく分かると言うのは、良い事ばかりではない。

だけど、今はどちらかと言うと、良い時だ。

冥琳は、こうして、私の考えを纏めてくれる。

 

「彼の事をちょっとね」

「良かったのか? 三人をあのまま返して」

「しかたないわよ、冥琳だって分かっているでしょ・・・」

「たしかにな。

 雪蓮にしても、あの三人にしても、少し頭を冷やした方が良かったのは確かだ」

「私は何時だって冷静・・・とは、言えないわね、あんな様じゃ・・・・」

「雪蓮、分かっていると思うが・」

「判っているわよ。

 過去を何時まで思っていても、仕方ないって事くらいわね。

 それに、反省もしている。

 でも、私が考えていたことは別よ」

「・・・・それは?」

 

親友は、少しだけ間をおいて聞いてくる。

どうやら、私の考えてた事が、冥琳の思っていた事と、ずれが合ったらしい。

いつもなら、此処で少し勝ち誇るのだけど、今日はそんな気には、とてもなれない。

 

「彼の、心の傷の深さってやつ」

「・・・・」

「翡翠が言ってたわよね、彼の住む国、天の国では戦が無く、人が人を殺す事がまず無かったと、そんな夢見たい

 な国が、本当にあるなんて、とても信じられないけど、そんな世界に住んでいた彼が、この世界で翡翠を守るた

 めに、20人近くの賊を、翡翠の命で殺したって。

 そしてその事で、深く傷つき苦しんでいるって」

「・・・・そうだな、確かにこの大陸でも、賊とは言え、人を殺す事に罪を感じ、潰れる者もいる。

 そして、北郷がそんな国に住んでいたなら、その苦しみは、この大陸の人間の比ではなかろう」

「そう、そこなのよ。

 正直、私には、彼の苦しみを、想像する事ができない。

 たぶん、解るなんて、軽がるしく言っては、いけない事だと思う」

「そうだ、その者の苦しみは、その者しか知る事はできない。

 たとえ、身近の者でもな。

 他者が、苦しむ者の苦しみを解かったとしたら、それは苦しむ者の姿を見て、苦しんでいるだけに過ぎない」

「・・・・冷たいのね」

「本当の事だ。

 だが、苦しむ者の考えを、想いを、理解していれば、その者の苦しみを、共感する事は出来る」

「それだけあの二人が、彼を理解し想っている、と言う事ぐらいは分かるわ。

 あの男嫌いの翡翠が、あれだけ過保護にする子だもん。

 それだけの想いが無ければ、あんなに取り乱す事なんて無いわ。

 問題は、彼がこれから先潰されずにいけるのかなぁ、と思って、

 もしもの時、あの二人が、どれだけ悲しむのかと思うとね」

「だが雪蓮よ」

「判っているわよ、あの二人を傷つけてでも引き込んだんですもの、もう後には引けないわ。

 それに、今の私達には、選んでいる余裕はあまり無いのは本当だもの、彼には役に立ってもらわなければ困るわ。

 でも、もう焦って行動を起すのも、懲り懲りと思ってもいる」

 

私の言葉に、親友は少しだけ優しい目になり

 

「それが判っているなら、大丈夫だろう。

 翡翠は、時間がかかったとは言え、ほぼ立ち直った、と言っていた。

 なら、後は少しずつ慣らしていけば、問題はなくなるだろう。

 あとは、覚悟の問題だが・・・まぁ、これはすぐに、身に付くだろう。

 何せ二人の為に、王を殺す覚悟が出来る程なのだからな」

 

そう言って、私の手を、安心させるように、勇気付けるように握ってくる。

まぁ、最後の言葉だけは、かなり苦笑気味に言ってはいたが・・・・

私も、流石にその言葉には苦笑せざるをえない。

脳裏に、つい数刻前のその時の情景が浮かぶ。

 

「たしかにね。

 それにしても、あんなに強いなんて、思いもしなかったわ」

「そうだな、だが北郷を武官として、使うわけには行かぬぞ」

「そうね、彼の心がもたない可能性があるもの、そうなれば二人が悲しむ事になるわ。

 それに、翡翠が驚嘆するぐらいの才があるなら、武官として使うのは勿体無いわ」

「そうだ。

 だが、それでも問題が残っているぞ。

 北郷は、翡翠と明命がいる限り、我等を裏切ることは無いだろう。

 だが、それは二人を手伝っているだけに過ぎない。

 翡翠が保護する程の才があるのなら、それだけに留まらせるのは、あまりにも惜しいし、

 雪蓮おまえの風評にも、響きかねない。

 とにかく北郷には、我等の本当の臣下になってもらい、

 心から尽力を尽くしてもらわねば、口五月蝿い者も出てくるだろう。

 そのためには、何か策を考えねばな・」

「そんな物、どうでもいいわ」

「なっ、雪蓮っ」

 

親友の言葉を遮り、考えを否定する私に、親友は眉を顰める。

だが、私は考えを変える気はない。

だって・・・

 

「彼に、そんなもの関係ないわ。

 私の勘がそう言っているの、彼にそんな小細工なんて意味が無いってね。

 なら、私は私として、孫呉のために、民の為に、力を尽くすだけ。

 あの二人の君主として、あの二人の君主に相応しい態度を見せるだけ。

 たぶん、それが一番の方法だと思う。

 孫呉にとっても、私達にとっても。

 時間はかかるでしょうけどね」

 

そんな私の言葉に、親友は

 

「雪蓮、お前がそこまで言うのなら、もう私から言うことはあるまい」

 

そう、嬉しそうに微笑む。

親友のそんな態度に、私は嬉しく思う。

王である私の決意は、簡単に揺らいで良い物ではない。

だが王であっても、親友の賛同は、嬉しい事に違いはないのだから。

そう決意が決まると、不思議なもので、心に余裕が生まれるのが分かる。

ならば、せめて三人のこれからを考える事にしようと、そう思ったら、

つい数刻前の出来事を思い出してしまった。

 

 

 

 

 

翡翠の事情を聞き終え、明命も落ち着きを取り戻し、いつもの調子に戻った頃、

 

「そう言えば翡翠様、一刀さんが、私と翡翠様を想って騒ぎを起こした、

 と言うのは理解できたのですが、何故そのような事になったんですか?」

「「「「「「・・・・・」」」」」」」

 

・・・・はぁー、この娘、根本的な所で、理解してなかったのね・・・・

明るくて、いい娘何だけど、任務以外では、ときどき惚けをかましてくれる。

どうやら、他の皆も同じように思ったようだ。

あっ、一刀もさすがに頭痛いのか、額に手を当てている。

結構、余裕戻ってきたみたいね。

そう思っていると

 

「あ、あのね明命ちゃん、一刀さんは・」

「貴女達とまぐわって、子を孕ませなさいって言ったのが、頭にきたのよ」

 

私の言葉に、意味が理解できたのか、顔を赤くして、おろおろしだす。

可愛いわねぇ、初々しいわ。

 

「つまり、一刀に明命とやっちゃいなさい、と言ったのよ」

 

ぼっ!

 

「あ、あ、わ・私とか・一刀さんが・・・・うにゃぅ~~~~~・・・・」

 

私の追い討ちの言葉に、明命は音を立てて、これ以上ないぐらい赤くなった、と思ったら、

そのまま、あっさりと、一刀の背中に崩れ落ち気絶してしまった。

 

「あらら、意味を理解したとたん気絶するなんて、・・・さすがに思わなかったわ。

 翡翠、この娘の情操教育どうなっているのよ?」

「すみません、どうやら、自分の事となると駄目なようです」

「しょうがないわねぇ」

 

 

 

 

 

「ふふふふっ」

 

突然、面白そうに微笑む私に、親友は、怪訝な表情で眉を顰める

 

「別に大したことではないわ、さっきの明命を思い出してしまっただけ」

 

私の言いたい事を、理解してくれた親友は

 

「気持ちは判るが、そう笑うものではない。

 あれは、小さい頃より、密偵としての任務を行ってきたのだ。

 その厳しさゆえ、感情と任務を切り離す事に特化してしまい。

 任務以外では、その反動もあって、本来の自分に戻って・・・いや、それ以上に子供に還ってしまっている。

 それゆえ、自分の知識や経験が、感情に結びつかない、と言う歪な形を、生み出してしまったのだろう。

 ・・・・私達が明命を、ああしてしまったのだ」

「そんなの言われなくても、わかっているわ・・・

 そうなってまで、私達に仕えてくれる娘だもの、大切にもしている。

 でも、あの娘の事を、可愛いと、愛しいと思うのは、それとは別よ

 私にとって、あの二人は、蓮華達同様、妹であり、娘でもあるんだから。

 それにあの娘だって、何時までもあのままじゃない、心が成長をしていけば、きっと歪みも治っていくわ。

 それに、それも思ったより早くなりそうだし」

「・・・・北郷か」

「そう、恋は人を大きく成長させるわ。

 あの様子だと、あの娘は気がついていないみたいだけど、気がついた時、どう変わるか楽しみよ」

「・・・・信用しているのだな、彼を」

「もちろんよ。

 あいにく、彼には嫌われちゃったけど、私は気に入ったわ。

 なにより、あの優しい目と笑顔、翡翠じゃないけど、大切にしたいと思えるもの」

 

そう言って、私は気絶した明命を、慈しむ様に優しい目で背中に担ぐ姿を、彼の店で微笑む彼の笑顔を、思い出す。

あっ、やばっ

 

「・・・・雪蓮、顔が赤いぞ」

 

う・うるさいっ。

親友の突っ込みに、昼間の出来事を無理やり追い出し

 

「とにかく、明命の事はあの三人に任せましょう

 ・・・・もっとも、三人は三人で、問題も抱えているみたいだけどね」

「翡翠の事か」

「そうよ。

 本人は隠しているつもりでしょうけど、あんな態度見せられたら、ばればれよ。

 きっと、あの娘の事だもの、義妹のためにーとか、馬鹿な事考えてるんでしょ・・・・・・本当馬鹿な娘」

「・・・そうだな。 だが、雪蓮」

「手を出す気はないわ。

 そう約束しちゃったしね。

 それに、下手に手を出せば、壊れかねないもの。

 どんな結果であれ、あの二人が幸せになれば、私は文句無いわ。

 でも、もし彼が、本気であの二人を泣かした時は、斬るわ」

「!」

 

私の言葉に、親友は驚く。

でも本気だ。

彼、天の御遣いは、たしかに、これ以上無いと言うぐらい逸材だと思うし、気にいってもいる。

焦りもあって、あの二人を悲しませてしまったけど、あの二人を犠牲にしてまで、手に入れたいとは思わない。

あれだけ、あの二人に想われながら、その想いを裏切るような真似は許せるものではない。

それならまだ、あの娘達の納得行くような相手と、政略結婚させた方がましよ。

私は、家族をそこまで蔑ろにされて、黙っていられるほどお人よしじゃないつもりだ。

ふふふっ、彼の事言えないわね。

でも、正直、その心配はしていない。

あれだけ、二人を大切にしているんですもの、好きでないはずがないわ。

なら、あの三人については見守るだけ。

私は、環境を整えてやるだけで良い。

そのために、思春に動いてもらっているわけだし。

・・・・そういえば、思春には悪い事したわね。

 

 

 

 

明命が気絶してしまった事もあって、三人にはこのまま帰ってもらう事にした。

明命を背負って、帰ろうとする三人の前に祭が立塞がり、

 

「悪いが、このまま帰すわけには、いかん」

「祭、何のつもりよ」

「うむ、策殿べつに、この者をどうこうと言うわけではない。

 ただ、さすがにあのままでは、思春が不憫でな」

「「「「あ」」」」

 

・・・・忘れてた。

だって、しょうがないじゃないっ。

あの状況じゃあ、思春の事を言い出せる雰囲気ではなかったし、

そのまま、記憶の彼方に飛んでしまっていたわ。

冥琳だって、自分は覚えていたって言う顔しているけど、きっちり額に大粒の汗を流している。

でも確かに、思春をこのままにしておくわけには、いかないわね。

 

「帰る前に悪いけど、思春を直していってくれるかしら」

 

私の言葉に、一刀は、自嘲気味に笑うと、思春の首筋を軽く撫でる。

正直、何かをやったとは思えない程ほんとに軽くだ。

傍から見たら、一刀が腰を屈めて、すぐ立ち上がっただけのように、見えたかもしれない

やがて思春が、体の感覚を確かめるように、ゆっくりと立ち上がると、私と一刀の間に立つ。

・・・・生真面目なんだから

 

「思春、忘れてたのは悪かったけど、そんな警戒しなくても、もう一刀に敵意は無いわ」

「雪蓮様が、赦すと決められた以上、私はそれに従うだけです。

 ですが、雪蓮様の命を一度狙った者を、簡単に信用する事などできません」

 

・・・・本当、堅い娘なんだから、誰に似たのかしら

 

「じゃあ命令、彼が裏切らない限り、彼を警戒しない事。

 いらぬ警戒心を与えたくないもの。

 だいたい、彼がその気になったら、幾ら警戒しても無駄な事なのは、さっきので分かったでしょ」

「・・・くっ・・・ご命令ならば」

「ありがとう。

 それとも、やはり一刀を赦すのは反対?」

「・・・もう決められた事に、何を言っても無駄になります。

 それに、先程からの話し・・・私から言わせれば、この男は軟弱すぎて、もはや怒る価値もありません」

 

相変わらず、きつい言い方しか出来ないわね。

あっ、一刀、思春の言葉に凹んでる。

結構、面白い反応するわね。

 

「じゃあ、孫伯符さん、今度こそ俺達はこれで」

「雪蓮よ、貴方に真名を預けるわ、次からはそう呼びなさい」

 

帰り際の私の言葉に、一刀は一瞬驚いた顔をすると、首を横に振り

 

「気持ちは有難く戴きます。でも俺はまだ貴女をそこまで信用していない。

 だから、まだ、真名で呼ぶ気はない。

 そのかわり、孫策と呼ばせてもらう事にするよ。

 その方が、そちらの都合にも良いだろうしね」

「なっ、貴様、雪蓮様の真名を無碍にする気かっ!」

「思春、黙りなさいっ。

 いいわ一刀、今はその言葉、有難く受け取っておくわ」

「なら北郷、私も真名を預けておこう。

 呼ぶ気にならなければ、周瑜と呼び捨てにしてくれば良い」

 

私の言葉の後に、冥琳も乗ってきてくれる。

さすが冥琳、彼女も気がついてくれたようだ。

彼は、自分を天の御遣いとして利用しても構わないと、そう言ってくれたのだ。

本音は、彼も言ったように、真名を呼ぶ程に、私を信用していないと言うのも事実でしょうけど。

真名ではなく、本人や臣下を前に、名を呼捨てにする。

つまり、王のお気に入りの誰かではなく、権力は無くても王と対等に話す存在。

そう思わせた方が、天の御遣いの信憑性を持たす事が出来る。

呼び方一つで、とっさにここまで頭が回るなんて・・・・明命の話しに、信憑性が出てきたわね。

そうして、一刀達が部屋を出て行くのを見届けてから、私は

 

「それにしても祭、思春の事気がついてたなら、もっとはやく言ってくれたら良いのに」

「流石のわしも、あの中で思春の事を言い出す程、無粋な真似はできぬ。

 それに、あの甘興覇が、敵に指一つ触れられずに、訳の判らぬまま地に転がされ、挙句に指一本動かせぬ姿。

 これは、めったに見れる代物ではないと、ゆっくり脳裏に刻み付けておったのだ。

 しばらく酒の肴には、事欠く事は無いじゃろうて、ふふふ」

 

と、冗談とも本気とも取れる事を言い出した。

 

「ぷっ、確かに、言われてみればそうね

 ほら、思春もそんな怖い目をしないで、ね

 思春なら、今回の事をきっかけに、更に腕を磨いてくれると信じているわ」

「・・・必ずや、あれを超えて見せましょう」

「そう、期待しているわ、

 それと一つ仕事をしてもらいたいんだけど・・・・・・・」

 

 

 

 

 

あれから五日、ようやく時間が取れ、

久しぶりに、彼に会う機会を設ける事が出来る。

今回は彼に、うちの娘達を紹介するのが主な目的、

彼の反応も楽しみだけど、蓮華と穏の反応が楽しみだわ。

穏は大丈夫だろうけど、蓮華は、きっと彼を否定すると思う。

でも、心配はしていない。

いろいろ一悶着はあるだろうが、彼の誠実さは本物、

蓮華も硬過ぎる所はあるけど、最後には気に入ってくれると思う。

そう思いに耽っていると、一刀が頼んだ通りの用意をして姿を現す。

五日ぶりの彼の顔は、私の顔を見るなり苦笑を浮かべるも、柔らかな表情を浮かべている。

笑顔でないのは残念だけど、その見守るような柔らかな表情は、彼なりの誠意なのだと分かる。

そして、私を信用はしていない、でも明命達の主君だから、信じる努力はすると、そう言っているのだ。

一刀の気持ちは判ったわ。

でも、私は媚を売る気はないし、一刀もそんなもの求めていないでしょう。

なら、私は、私らしくするだけよ。

そして、いつか一刀に、真名を呼ばれるだけの存在になって見せるわ。

だって、一刀はあの時こう言ったのだから、

 

『 まだ、真名で呼ぶ気はない 』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

あとがき、みたいなもの

 

こんにちは、うたまるです。

  第12話 ~雪の舞う厳寒に耐える蓮は、いずれ美しき華を咲かす~ を此処におおくりいたしました。

今回は、2回目の雪蓮視点となりました。

前話の後日談的な話となりましたが、お楽しみいただけたでしょうか。

今回は主に、雪蓮達側から見て、あの3人がどう目に映ったかを書いてみました。

今回の雪蓮の考え方が、今後の話しに、大きくかかわっていく予定です。

さて、作中明命の性格は歪みによるものと、二人が語っていますが、

私的には、原作での明命も同じ思いです。

密偵と言う暗部にいて、あの可愛さ、幾らなんでも、ありえなさ過ぎます。

でも、そうなる原因があるとしたら、と考えると、明命の優しさ、健気さが、見えてきました。

あの小さな体に、密偵と言う闇が圧し掛かりながらも健気に頑張る姿と思うと、もう涙が・・・・

とまぁ、私の妄想を垂れ流させていただきました。

さて、次回は、いつものどおり、三人のうち誰かの視点で、この続きを書いていく予定です。

 

では、頑張りますので、どうか最後までお付き合いの程お願いいたします。


 
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