No.123312

華ノ守人第参話《死なせないよ》

この作品は、真 恋姫無双の二次創作作品です。

もちろん、たくさんの人に楽しんでもらえるように頑張っていますが、まだまだダメなところがたくさんあると思います。

ぜひ、アドバイスなど貰えるとうれしいです。

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2010-02-09 17:08:55 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:3230   閲覧ユーザー数:2633

第三章《死なせないよ》

 

 

「あんた何者だ?いったい何がしたい、なぜ俺たちの事を知っている。」

 

「アタシの名前は貂蝉。あなたに会いたいという人を連れてきたのよぉ。」

 

「兄さんに会いたい人ね・・・、誰?」

 

優理が怪訝な顔をすると同時に、疑問を口にした時。

 

「それは私です。」

 

突然の背後からの声に振り向いたさきには、どこか儚げな印象をかもし出す、女性の姿。

 

「・・・・・・あんたは?」

 

目の前の人物に話しかける。

 

「失礼しました、私の名は管轄。

あなた方の住む正史と異なる世界、外史とを繋ぐ者。

とでも申しましょうか。少しお話でもいかがでしょう?」

 

名乗りを聞いて、途端に優理が胡散臭そうな顔をする。

 

「外史だ正史だって・・・・。ねぇ、あんた何が言いたいわけ?」

 

この疑問も当然のものだろう。

突然、「今いる世界とは別の世界がある。」と言われて、

あなたは信じることが出来るだろうか?

もちろん信じる人もいるだろうが、

即答できるか。否。

 

「でもまぁ、そこの貂蝉だっけ?そいつと仲間なら捕まえるだけ。話なんか聞いてる暇は・・・」

 

「下がれ、優理。」

 

一刀が、冷たい声で優理の言葉を遮った。

 

「兄さん?」

 

「あらぁん。ご主人様は聞いてくださるのぉん?」

 

「誰がご主人様だっ!・・・・・で?魏のみんなに何かあったのか?」

 

管?同様、訳のわからない事を言い出す一刀に、優理は戸惑う。

 

(兄さんまで何言い出すんだ?)

 

「なぜ魏に何か起きたとお思いですか?」

 

「俺が関った外史は・・・、俺が本来の歴史から完全に外しきった外史は一つ。俺に話があるって言ったら、それ以外にないよ。まぁ”別の俺”はどうだったかは知らないけどね。」

 

一刀の気配が、肌を刺す針のような質のものに変わる。

久しぶりに感じた、戦に挑む前の一刀の気配と理解できない言葉に、

優理は動揺を隠せないでいた。

 

「ね、ねぇ兄さん。さっきから何言ってんだよ?外史とか魏とか・・・・・兄さんが歴史から外した、とか。なんなんだよ、訳わかんないよ!」

 

優理の怒鳴るような声を聞き、一刀がポツリと語り始めた。

 

「・・・・・・。四年前に俺は、三国志演義の世界を、いや、それに似た世界の歴史を変えた。」

 

「三国志演義に似たって・・・、三国志じゃないのか?」

 

「ああ。なんたってあの、曹操や関羽、呂布なんかの武将全員か女の子になってる世界だ。

そこで俺は、天の御使いとして魏に下り、曹操と共に戦っていた。」

 

 

 

 

 

先ほどから、一刀の口からこぼれる言葉に混乱する。

 

外史

 

三国志に似た世界

 

変わった歴史

 

女になった英雄

 

ごちゃごちゃになった考えを整理しようとしていた頭が、ある答えを導き出す。

 

「まって・・・。魏で戦っていた?そして兄さんが歴史を変えた。ってことは・・・・・。」

 

それはつまり・・・・・・

 

「そうだ。本来は赤壁で負けるはずの魏が勝った。俺が勝たせたなんて言えないが、これから起きるであろう出来事や敵の策なんかは伝えた。定軍山で夏候淵も死んでない。」

 

だがそれは、いくら外史とはいえやって良いことなのか。歴史を曲げてしまった一刀はどうなったのか。

 

「そんなことダメに決まってる。だけど、彼女たちに、華・・・いや、曹操に勝って欲しかった。

だから、歴史を曲げるようなことをしたんだ。ま、代償はでかかったけどな。」

 

「代償?」

 

優理の言葉で、とたんに一刀の顔に影が差し、自嘲的な笑みを浮かべた。

 

「曹操と、約束してたんだ。ずっと側にいるって。でも無理だったよ。」

 

「え・・・、なんで」

 

「消えたんだよ、彼女の前から俺は。満月が綺麗な夜にさ、彼女を泣かせながら俺は消えたんだ。」

 

(兄さん・・・、涙は出てないけど、泣いてるみたいだ。)

 

「そっか、兄さんは曹操さんのこと・・・。」

 

「ああ。愛していたよ、この世の誰よりも。」

 

「そろそろよろしいかしらぁん?」

 

二人の会話に貂蝉が割り込む。

 

「すまない。それで、管?よ。話とは?」

 

「それでは、単刀直入に言いましょう。北郷一刀様、曹孟徳の代わりに消えていただけませんか?」

 

優理は理解できないでいた。消えろと、確かに言ったのだ。自らの兄貴分に向かって。

 

「っつ!あんた!何を!!」

 

だが、

 

「わかった。」

 

兄は言った。自らの存在を消せと言われて、消えると、何の迷いもなく。

 

「兄さん!?何言ってるのかわかってるのか?死ねって言われてんだぞ!

兄さんが消える理由がどこに・・・」

 

「理由はあるさ。華琳の”代わり”に消えろってことは、華琳が死ぬ運命にあるんだろ?」

 

どうなんだ、と管轄に問う。

 

「ええ。彼女は、不治の病を抱えています。

今すぐにとは言いませんが、いずれその身に巣食う病魔が暴れだすでしょう。」

 

「今、再び動き出した五胡の軍勢と三国同盟は戦っているわ。その中心である曹操ちゃんが倒れたら?」

 

「三国同盟は決定的な打撃を被る。だったら俺が身代わりになれば・・・・・・。」

 

「円く収まるわねぇ。」

 

「収まんねぇよ!」

 

自らがおいて行かれたまま勝手に進んでゆく話。ついに堪えかねて、優理が爆発する。

 

「決定的な打撃?兄さんが身代わり?ふざけんな、なんで兄さんがそんなことする必要があんだよ!兄さんが消える理由なんてどこにも・・・・・。」

 

「俺にはあるんだよ、優理。」

 

突き放すような冷たい言葉を突きつける。

 

「なんだよそれは!」

 

「「「歴史を捻じ曲げた。」」」

 

まったく同時。三人の声が重なる。

 

「え・・・?」

 

それは禁忌。未来を、人をすべて変えてしまう。生まれいずる子は生まれてこず、これから起こるであろう出来事が起こることが無くなってしまう。

 

「魏は負けるはずだった。たとえば蜀の劉備ちゃんに孔明ちゃん、

呉の孫策ちゃんに周喩ちゃんなんかも死ぬはずだったのよぉ。」

 

「そのしわ寄せが、一刀様の一番近くにいた曹孟徳様に来てしまっている。」

 

「だったら、俺が全てを背負うのがあたりまえだろ?」

 

無論、彼女がそれを望むはずが無い。だがそれが、泣かせてしまった彼女に、今、俺に出来る唯一の償いだと彼の目は言っていた。

 

「兄さん・・・・・・。」

 

「そんな顔するなよ。」

 

泣き顔の優理と口元に笑みをたたえた一刀。

 

「ただ、いつ彼女の病魔が暴れだすかはわからないのです。」

 

「そこでなんだけど、ご主人様。あなたの魂を別の物体として構築しなおすわぁん。」

 

そういうと、一刀の胸に手をあてる。刹那、眩い光を発した。

 

「ぐっ!」

 

光が止むと貂蝉の手には、ビー玉くらいの大きさの、

 

「・・・水晶の、首飾り?」

 

「ええ。ですが、こう見えてこれは貴方の魂。万が一割れたり、壊れたりすれば・・・。わかっていますね?」

 

一刀に首飾りを手渡す。

 

「死ぬか・・・。それで、俺はどうすればいい?」

 

「基本的には、向こうでなにをしてもかまいません。

ただ、曹操様に異変が起きたら、その水晶を渡してください。」

 

「すぐに渡してはいけないのか?」

 

「犬死したいのならば、お好きに。」

 

フフッと、管轄が妖艶に微笑む。

 

「気をつけるよ。」

 

「じゃあご主人様。門は開いておいたわぁん。」

 

指差す先には、光。

 

「バイクは持っていってもいいわよぅ。」

 

「ありがたい。じゃあ・・・」

 

「僕も行く。」

 

優理が一刀の言葉を遮る。

 

 

 

 

 

 

 

「なに?」

 

「僕も行く。んで、曹操さんも助けて、兄さんも死なせない!」

 

先ほどまでとは打って変わり、優理は子供のように澄んだ目で言った。

 

「僕には、兄さんたちが何言ってるのかわかんない。

どうやっていいのかすらわかんない。バカだから。ただ、難しいって事ははわかる。」

 

そこで一端言葉を切り、大きく息を吸う。

 

「それでも、諦めたくない!だからつれてけ!!」

 

そして。思いっきり叫んだ。

 

「・・・・・・ったく。」

 

「ふふふ。」

 

「むふぅん。か・わ・い・い。」

 

ひぃ!

 

「失礼ねっ!あんたの穴、掘るわよ!」

 

「やめてぇぇぇぇっ!」

 

あらら、泣いちゃったよ。これから北郷君死ににいくかもなのに・・・グダグダだよ(笑)

 

「ほれ、優理。後ろ乗れ。」

 

「おー!」

 

「北郷様、ご武運を。」

 

「おっしゃ、・・・・・・逝くぞ!」

 

そして、霧の向こうに消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「っつ!」

 

一刀の顔が引きつる。

 

「ぎゃあぁぁぁぁああああ!」

 

今日何度目かわからない優理の叫び声。

 

なぜ?

 

それはね・・・・・・

 

霧を抜けた瞬間、かなり高い崖から飛び降りてたんだ、空を飛んでたんだ(泣)

 

バイバイ。みんな!

 

 

 

 

To be continue...


 
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