No.122553

bicycle

コタマさん

この話はもっとタイトめに書きたかったのに
なんだか内容も無いのにズルズルと会話しちゃって
間の抜けた感じになっちゃったなぁ。

これからもジレジレとした関係が続きますが

続きを表示

2010-02-05 17:17:23 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:540   閲覧ユーザー数:528

 

「ん~~…」

あたしは夢とフトンに包まれながら、まだ開かない目をこする。

「もう朝…か」

何時かな?携帯に手を伸ばす。

「7時15分…」

いつもなら、あと10分!とか言いながら

また目を閉じるところだけど

「今日は…土曜日、か~」

休みの日だからあと30分でも1時間でも

2度寝でも3度寝でも出来る、のに

「なんか目が覚めた!起きちゃおう!」

早々とベットから出た。早起きは三文の得って言うしね!

カーテンを開けると眩しい朝の光が部屋に差し込む。

「朝ご飯、どうしよっかな」

顔を洗いながら考える。

朝はやっぱコーヒーとパンかなぁ~。

「あ!あそこのパン食べたい!」

いつも学校帰りに寄るメチャメチャ美味しいパン屋さん。

次の日用に買って帰るんだけど朝って行ったことないなぁ。

「今から行けば焼きたてかも!」

急いで着替えて足取り軽く家を出た。

 

 

「ゲッ…」

店の前で立ち尽くす。

「土曜は午後からって…」

シャッターにはしっかりと「OPEN 12:00~」と書かれていた。

「知らなかった…」

どこが三文の得なの!超ガッカリだよ!!

こうなったらもっと美味しいもの食べてやる!

「なんかなかったかなぁ~」

この時間に開いてそうなお店で美味しいトコは…。

「あのタルトのお店はどうかな」

2~3駅先にあるタルトの専門店。あそこならやってるかな?

「まぁ、とりあえず行ってみよう」

駅に向かい歩き出す。今日はいい天気で気持ちがいなぁ~。

快晴ってこんな日の事を言うんだろうな。

「電車、乗るのやめよっかな」

空を眺めてたら何だか街を歩いてみたくなった。

多分歩けない距離じゃないでしょう。

 

 

「ココは…ドコ?」

だいぶ歩いて来たけど、目的のお店は見付からない。

って言うか線路沿いを歩いてたはずなのに電車の音も聞こえない。

「…また迷子か」

道に迷うのはもう何度目か。

さすがにもうあせらない。

「携帯で今の居場所もわかるし~」

ポケットを探る。

!?

思わず動きが止まる。

「け…携帯…忘れた…」

ポケットを、って言うかポケット付いてないじゃん!この服!!

え…って事は…!?

「サ…サイフすら…」

さすがに青ざめた。

何も持たずに家を出ちゃったよ!

しかも、ココドコ!?状態。

うわ~どうしよう…。

「とりあえず駅を探そう。んでまた線路沿いに帰れば…」

線路沿いを歩いててこうなったのに…まぁしょうがない。

とにかく駅を目指し歩いてみる。

「どっちに行こうかな…?」

ちょっと大きな通りに出た。

ここは右に行くべきか左に行くべきか。

「右のような気がするからココは自分の感とは逆の左!」

また歩く。どんどん歩く。

イヤな予感を振り切るように歩く。

でもどんなに歩いても駅の気配すらない。

「休みの日だから人通りも少ないし…いざとなったらコンビニか」

でも、ココどこですか?なんて店員に聞くのも恥ずかしいなぁ。

お茶とか買うお金もないしね…。

なんとか自力で辿り着きたい。

何か駅に繋がる手掛かりはないか。辺りを見回してみる。

この先には十字路。

バスとかいないかな?行き先でなんとか方向が分かるかも。

見るとバスはいなかったけど自転車に乗った人が…。

あれ?

なんか見たことあるシルエット…。

自転車は十字路を横切っていく。

「って、あれ十勝だ!!!」

間違いない、あのデカい男は十勝だ!地獄に仏!

 

「十勝!! とかちぃぃ~~~~~!!!!」

 

大きな声で叫んだのに十勝は建物の陰に消えて行った。

ちぇ~。気付かなかったか。

いつもいらん時にばっかり来て、肝心な時に来ないなんて…。

 

「十勝のバカーーーーーー!!!!」

 

更に大声で叫んでやった。聞こえもしないのに。

「はぁ…おなか空いた…」

そうだった。あたし朝ご飯を買いに出たんだった。

急に足取りが重くなった。

肩が落ちる。視線が落ちる。気分も落ちてきた。

なんでこんな事になっちゃったんだろう…?

歩くのですらイヤになって来た。

立ち止まり、またため息をつく。

「三文の得なんて…バカバカしい」

「誰がバカだって?」

え!?

声に驚いて顔を上げる。

目の前に自転車に乗った十勝が居た。

「うわっ!びっくりした!」

「それはコッチのセリフだ!人のコト名指しでバカ呼ばわりしやがって」

怒ってる。そりゃ怒るか。急にバカ扱いだもんね。

聞こえてたのか。

「だって呼んだのに気付かないから~」

「って言うか…なんでお前こんなトコいんの?」

あれ?あんま怒ってないのかな?

「何でって…散歩…?」

「散歩?」

すごい不思議そうな顔してる。

「わざわざこんなトコロをか?」

「ん~実は、駅に行きたいんだよね~」

「駅ぃ!?」

あぁ、そのけげんそうな顔。次の言葉は聞かなくても分かる。

「お前、駅って真逆の方向だぞ?」

やっぱりぃ~~~!

「さっき右の気がしたから左に来たのにやっぱ逆なのか~!」

「なんだそりゃ~!」

意味分かんね~!と大笑いしてる。あたし的にはこれでも必至なのに!

「ま、お前が方向音痴なのは分かった。乗れ!」

「え?」

「駅まで乗せてってやるよ」

「でも何か用事とかあるんじゃないの?」

「ないよ」

「じゃ何で自転車乗ってたの?」

「なんでって散歩だよ」

うぐっ

さっきのあたしのセリフを。

ニヤニヤ笑うな!

返す言葉が無いあたしは素直に自転車の後ろにまたがった。

 

 

「怖い!」

亀のように体をすくめ、肩を掴む手に力を入れる。

「このくらいでか~?そんなにスピード出てねーぞ?」

「だって…後ろ初めて…!」

自転車の後ろってこんなに怖いのか!?

いつもはあたしがリクや七子を後ろに乗せる役だから。

「自分で運転出来ないって結構怖い!」

「前を見ろって!目ぇつぶるな!よけー怖いぞ?」

うぅ、そう言われても…。

この後輪に付いてるステップに立って乗ってるのがまた怖い。

でも確かに目をつぶってるのも怖い。

恐る恐る顔を上げる。

 

青い空が見えた。

 

顔をなでる風が気持ちいい。

さっき一人で歩いてた時の重い気分がウソのように晴れて行く。

「うわ~!目線が高くて気持ちいい!」

「お?慣れて来たか?」

「うん!」

「おっし!んじゃ飛ばすぞ!」

「ええっ!?」

十勝はちょっと前傾姿勢になると勢いよくペダルを踏み込む。

「うわっ!ちょっと待ってよ!!」

そんなにスピード出したら怖いよ!

必死に十勝の背中にしがみつく。

いつもなら叩いて止めるけど今は手を離すのが怖い。

十勝はどんどん自転車を走らせて行く。

 

 

「スピード、出てないよ?」

さっきの速さは何処へやら。のったり進む自転車。

もうしがみつかなくても余裕で乗っていられる。

「って言うか進んでる?コレ」

「お、お前、なぁ…」

息も絶え絶えに返事をする十勝。スゴク苦しそう。

「さすがにこの坂道は無理だよ~」

結構急だよ?、二人乗りで坂道は無謀でしょう。

「やっぱ降りよっか?」

「イヤ、待って」

十勝は足を付くと、はぁはぁと肩で息をする。

「うっしゃ~~~~~~~~~~!!」

気合いと共にまた勢いよく自転車をこぎ出した。

さっき程のスピードはさすがに無いけどグングン坂道を登って行く。

何でこんな無茶するかな~。

ぐぅおぉ~!とか言いながら超必死だし。

十勝って変な奴だよね~。

いつもバカな事を言っては人を笑わせて。

あたしの事、好きとかクチをすべらすし。

でもその後で具体的な、こう…

付き合ってくれ

とかみたいな事は言って来ないよね。

 

からかわれてるだけなのかな?

 

 

「も…も少し…で…」

その声に顔を上げる。

坂を登りきったそこは街を一望できる開けた場所だった。

「わ~~!凄い眺め!こんな所あるんだー!」

ちょっと感動!

「だ、ろ?」

自転車を降りてもまだ息が乱れてる。

ふらふらと自販機に飲み物を買いに行く。

バカだなぁ~。そんなになるまで頑張らなくても…。

スポーツドリンクを手に戻って来た。

「見てみ?アレ学校だぜ」

「あ、本当だ!」

こんな所から見えるんだ~。

「じゃ、あれがいつも降りる駅?」

「いつもの駅はコッチだよ」

十勝は駅を指差したあたしの腕をグイっと右の方へ押した。

「え?左の方じゃないの?」

「左って言うか駅は南だろ?」

「南…?」

「あぁスマン、スマン。お前は方向音痴だったけ」

なんだよ!笑うな!!どっちが南とか分かんないよ普通!

って言うかどこが駅でもいいよ。もうこの際。

ん?駅…?

 

「あたし達、駅に向かってたんじゃないの!?」

 

そうだ思い出した!

駅に乗せてってもらってる途中だったんじゃん?

線路なんかすごい遠いじゃん!?

「何でこんなトコいんの?」

「なんでって…」

「あ、分かった!」

「ん?」

ニヤリと十勝の顔を見てやった。

「十勝も道に迷ったんだ!」

「ンなわきゃね~だろ!!」

ナンダ違うのか。迷子仲間かと思ったのに。

「じゃ何でよぉ~」

「オレが、」

ちらっとあたしを見ると残りのスポドリを一気に飲み干した。

「オレがお前と二人でいて、素直に駅に行くわけね~じゃん!」

今度は十勝がニヤリと笑った。

またそんな事を言って…。

何て答えたらいいか分かんないよ。

「バーカ。素直に駅に連れてけ!」

「でも来て損は無かっただろ?」

「…うん、まぁね」

確かにこの景色は一見の価値ありだね。

もう一度街を眺める。

「あの、さ一条…」

「ん?」

十勝の方に振り向いた瞬間、大きな音が響いた。

 

ぐうぅぅぅ~

 

二人とも目がテンになった。

それは明らかにあたしのお腹の音だった。

「うそ!聞こえた!?」

さすがに顔が真っ赤になった。これは恥ずかしい!!

返事の代わりにお腹を抱えて笑ってる。

あれだけの大きな音、聞こえて無いわけ、ないよね。

「なんだ腹減ってるのか?」

涙を拭きながら尋ねる。泣くほど笑うなよぉ~。

「ん~実はね…」

朝から何も食べずに歩いてて携帯もサイフも忘れた話をした。

「なんだ、なら早く言えばいいのに」

「だってまさかこんな所に連れてこられるとは」

「悪ぃ悪ぃ!」

ペットボトルをごみ箱に捨てると十勝は自転車にまたがった。

「乗れよ。なんか喰い行こうぜ」

「でも…」

お金持って無いし…。

「安心しろって!今日のオレは珍しく金持ってっから。おごってやるよ」

「昼飯になっちまったな」

「ホントだね」

目の前に念願のコーヒーとタルトが置かれた。

このお店、テイクアウトだけかと思ってたら

店内でも食べれるんだね。知らなかった。

「十勝は本当に食べないの?」

アイスコーヒーの氷をガリガリいわしてる。

「ん~オレ甘いの苦手だし」

「あたしのを二個も頼んじゃったからお金足りなくなっちゃう?」

「違うって。心配すんな」

ベリーのタルトと洋ナシのタルト。

迷ってたら、両方喰えばいいじゃん。と勝手に注文してしまった。

「なんか悪いなぁ…」

「気にすんなって」

 

ピリリリリ

 

どこかで携帯の着信が鳴った。

一瞬自分かと思ったけど、そっか今日は持ってないんだっけ。

まだ鳴ってる。

って言うか、この音が聞こえる距離って…。

「十勝の携帯じゃないの?」

バレたか。そんな顔をしてる。

「出ていいよ?」

「イヤ、いいよ」

なんで出ないんだ?

「さては…誰か女子から掛って来てるんだ!」

「ちげーよ!」

疑われて仕方なく立ち上がり、店の外に出て話しだした。

その間にあたしはタルトを堪能する。

やっぱりココの美味しい!この店の生地が好きなんだよね~。

しばらくして十勝が戻って来た。

ちらっと時計を見て座ったのが気になった。

「時間…大丈夫?」

「あぁ大丈夫大丈夫!Qからだったから」

「九梨江?会う約束とかしてた?もしかして」

「や、一条と一緒って言ったから大丈夫」

何であたしと一緒だと大丈夫なんだ?

「って言うかやっぱり会う約束だったんじゃないの?」

「いいんだよ。もう」

ちょっと面倒くさそうにアイスコーヒーを飲んだ。

ふ~ん。ま、いいけどね。

 

 

「ごちそーさま」

コーヒーも飲み終わったことだし

あたし達は店を出ることにした。

十勝がレジでお金を払う。

そう言えば人におごってもらうってあんま無いなぁ。

「ん?」

お金を出した時に財布から何かが落ちた。

拾い上げるとそれは1枚の紙だった。

「何か落ちたよ。これは…チケット…?」

「うわっ!」

慌ててあたしの手からチケットを奪い取る。

「ちょっと…十勝ソレって」

「何でもない!何でもない!」

チケットを財布に押し込むと逃げるように店を出る。

「何でもなく無いじゃん!!そのライブチケット日付今日でしょ!!」

追いかけると、もう十勝は自転車にまたがっていた。

「もしかしてさっきの九梨江からの電話って…」

「だから、い~んだってば!」

こいつまさかあたしと会ったからってライブ蹴るつもりか!?

 

「よ く な い !!」

 

思いっきり十勝を睨みつける。

「あたしのせいでライブ行けなくなるなんて嫌だ!」

「お前のせいとかそ~ゆ~んじゃ…」

困った顔でため息をつく。

「今日はさ、お前と…」

「ダメ!九梨江と約束してたんでしょ?大事な約束じゃん!」

「オレはライブよりお前の方が大事だよ」

いや、約束の方が大事でしょ。またそんな事を言って、呆れた奴だな。

しょうがないなぁココはひとつ…

「行ってきなよ。あたしは十分楽しませてもらったし」

怒るのはやめてなだめてみる。

ぱっと十勝の顔が明るくなった。

「マジで?楽しかった?」

「うん。いい景色も眺められたしね!」

そかそか、とちょっと満足そうだ。単純な奴め。

「だから今度は九梨江と楽しんでおいでよ」

「ん~…」

「じゃ今度こそ駅に連れて行って!」

まだちょっと悩んでるみたいだったけど

あたしが後ろに乗ると渋々自転車を走らせ始めた。

 

 

「ありがと!」

今度は無事に駅に着いた。

「気ぃ付けて帰れよ」

「うん、じぁゃね~!」

自転車を降りて階段に向かう。

なんか今日は色々あったな。

朝からの事を思い出しながら一段一段ゆっくりと上る。

パン買いに出て、道に迷って、十勝に会って…。

んで携帯もサイフも忘れたって言ったらおごってくれて…。

あれ?

階段の一番上の段に足を掛けて気付く。

「サイフ!」

大慌てで階段を駆け降りる。

お金持ってないから電車に乗れないじゃん!!

下を見るとさっき別れた所に十勝は居た。

ちょっとニヤニヤしてる。

うわ、気付いてるよ。微妙な顔になる。

「ほらよ」

何も聞かずに五百円玉をくれた。

「あ、でもこんなにいらないよ。スグだし」

「いいよ。持ってけ。余ったらそれで家でも建ててくれ!」

「なんだそれ!!」

オヤジギャグ!?ホントに可笑しな奴!

「でも小銭を手で持って帰る訳にもいかないし。ポケット無いんだ」

笑いながらお金を返す。

「だから十勝が切符を買ってくんない?」

お安い御用と自転車を降りた。

今度は二人で階段を上る。

「お前の駅ってそこなんだ~」

切符を取り出しながら十勝がニヤリとした。

「…待ち伏せとかすんなよ?」

「オレをストーカー扱いすんじゃね~よ!」

切符を受け取ると改札をくぐる。

「じゃ今度こそ」

振り返って手を振った。

十勝も軽く手を上げた。

こんなに十勝に面倒みてもらうハメになるとは…。

また今日の事を思いながら電車に乗り込んだ。

 

 

「もう寝ちゃおうかなぁ~」

なんだかもう眠い。朝が早かったせいかな。

それとも帰って来てから珍しく一生懸命掃除とかしたからかな。

早々とシャワーを浴びて寝巻に着替えた。

冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出してふと思う。

「そう言えば…あいつ超グロッキーになってスポドリ一気してたな」

つい思い出し笑いをしてしまった。

「そう言えば今日はお世話になった事だし、メールで書いとくか」

 

[今日は色々と

おごってくれて

ありがとう(^^)

助かったよ☆

んじゃ、

また学校で!

   Itsumi]

 

「こんな感じか。送信、っと」

じゃ寝る支度でもするか。

歯磨きに洗面所に向かう。

戻って来ると、返信が来てた。

「早いな」

 

[おー

腹減ってたのに

連れまわして

悪かったなー

でも楽しかったぜー

またなー]

 

なんか間の抜けた文章!ちょっと笑った。

メールでは変な事、言わないんだな。

って言うか、こいつあんまメール自体しないよね。

今どきメール慣れしてない奴って珍しいなぁ。

「ふぁああぁ」

ダメだ。本格的に眠くなって来た。

携帯を充電器に戻すとベットに潜り込む。

やっぱ早起きしたから眠いのかなぁ。

早起きか。三文の得って言うけど…。

 

「今日は三文以上の得をしたかもな」

 

でも三文って今の価値でどのくらいだっけ…?

そんな事を思いながらあたしは眠りについた。

 

 

 


 
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