短編「大神の眷属の神になった」
死んだ。
それは唐突だった。
階段から落ちて死んだとか、トラックや車に突っ込まれて死んだとかではない。
くらがりに呑まれて死んだ。
そう、その死は唐突すぎて私は理解できなかった。だが、分かったのは死んだという事だけ。
その後、世界各国でくらがりに呑まれて死んだ人が相次いだという事件は、私が死んだ後の話になる。
※
私の人生、碌なことがない。まじで、碌なことがない。
分かりやすく言うと、虐待、暴言、暴力、虐め。社会に出れば言われもない事を言われ、いじめに発展。隣人とのトラブル。警察に行けば被害妄想の類だとされ、精神科に強制。わけの分からない薬を飲み続けて、人生も体も心もボロボロ。
そんな事があり、もう人間にも人生にも未来がないまま生きていた私に、突然くらがりに呑まれて死亡という、とんでもない人生終了だった。
生きたいとも思っていなかったから、ちょうど良かったけど。
あぁ、次の人生は普通に平穏無事にまともに生きたいな……。
もう、人間はうんざりだ。
※
ぱちりと目を開けると、そこは彼岸花が咲く河原だった。
私、死んだから今は中間地点に居るって事ね。
なんとなく察して辺りを見渡すと、他にも「何故ここに?」という顔をした人達が結構居た。
私は死んだら終わりかなと思っていたから、この中間地点のようなあの世に来た事が少しわくわくしていた。
人間はうんざりだけど、あの世に来たら「もう生まれ変わりたくないです」って言えるかな? と思っていると、一人の青年が、あちらこちらに散らばる人達の前に立ち止まった。
「これだけ、くらがりに呑まれたか。おい、お前ら。一列に並べ」
急にそんな事を言われてすぐに動けるわけはないんだが、皆、直ちに一列に並んだ。私もその一人。
青年はイライラしながら、一人一人に印をつけて札を渡していく。
模様も色々だけど、手は込んでいない。私は梅だった。札は狼である。
青年に「あんた、当たりだな。良かったな」と言われたけど、どういう事か分からないまま舟に乗せられ、次の場所へ向かった。
※
「くらがりで呑まれた人はこちらへ」という立札とともに並んでいる。場所は神社だ。
一時間くらい並んだ気がする。ようやく拝殿に入り、神主さんのような人に札を渡した。
「では、そのままこちらへ出て、階段を上がっていってください」
と言われ、裏手を示されて歩かされた。
かなり長い石階段を歩き、妙に気疲れした頃、開けた場所に出た。
そこに三メートルくらいあるデカい狼がいて、びっくりした。
うわ、カッコいい狼だ。
「なんだ。今回の人間は少ないどころか、この女以外適合者がいないんだな」
狼が喋る。
驚いたが、あの世なのでこんな事もあるのだろうと突っ込まないでおいた。
「今からお前はこちらの眷属の神にする」
「はい?」
「まずはそのボロボロの気を、まともになるまで静養場へ飛ばす。そこで静養してから、神の役割を与える」
「また生まれ変わるんですか?」
「どちらでも構わん。どうしたい? 見る限り其方の人生はぐちゃぐちゃだったが、生前の姿で居たいのか?」
「生まれ変わりでお願いします」
「生まれ変わるという定義になるかは分からんが、我らの眷属にふさわしい姿へ変わる。安心せよ。痛みはない」
私はそこで強烈な眠気に襲われた。
そのまま昏倒するように、意識は落ちた。
※
人間に転生する必要がなくなり、転生輪廻から外れて静養場で十年ほど過ごした。
回復したところで配属先が決まり、私の他に同期となる神様見習いが三人いるとの事だった。
その三人と会うことはないが、一応教えておくとの事で、眼帯少女、切れ長の目の男、怪力女らしい。
会わない事を願うよ。私人間でえらい目にあってるから、もう人間関係なんて構築しようとは思わんのよ。家族もいらん、友人も知人もいらん。誰もいらんから。
私が配属された先は、死神があの世で幅を利かせている世界だった。
なんか見たことある世界だなーとか思いながら、それなりの神社で暮らして五十年。
浦原喜助と名乗る幼児を神社で拾って世話してやった。
あれ。この世界、あの小洒落た事を口にする世界、BLEACHですか。
そうですか。
怖いです。
敵、クソ強いのばかりじゃないですか。
ある日、総領神様の大神の血族を引く女性がやってきた。
格が違うどころか、絶世の美女。
喜助は一瞬で惚れた。一目惚れだ。
私は喜助に「あの女性について行きな」と言った。
喜助は私を心配していたが、「総領神様から帰還命令が出たから、私はここからいなくなる。だから安心しな」と伝え、私は絶世の美女に連れられて神社を後にした。
寂しいけれど、基本その世界に居ればいいだけなので、なんの問題もない。
でも、ただ形として神社にいるだけなんで、どこにいてもいいのよ。
神様って意外と適当なもんだ。
下界にでも降りてみようか。
私はそう思って、怖い怖いと思っていたBLEACHの世界の下界へ降りた。
物見遊山気分で、私はBLEACHの世界を巡ることにした。
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BLEACHの二次創作です。
短編です。大神ってこんな感じという話です。