No.119122

アイアンハート

絶影さん

飛行機乗りの女性の話
彼女は木の声が聞こえる体質で乗っている飛行機は木製
身長170の長身仕事は主に遠くへの急行便と飛行機乗りの賞金稼ぎのようなこともたまにしている

鉄の声を聞ける男性

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2010-01-17 19:59:13 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:32790   閲覧ユーザー数:27456

 

空に一筋の飛行機雲・・・・・・・・・。

 

機体を紅に染めたプロペラ艇が一機、ゆっくりと進路をとり滑走港に下りていく。

 

飛行挺の大陸メディア大陸。

 

大陸の周りにはいくつもの小さな島や列島が点在しており、外の世界との交通手段は岩礁の多い海は舟に適さず

主に飛行挺を使い島々との連絡や交易を行っている。

 

「着陸の無線を確認、5番滑走港に空きを確認、着港許可をする。」

 

野太い声で無線から着港許可が下りる。

 

「了解、これより5番に運び屋[林檎の空き箱]着水します。」

 

私はこの大陸でポピュラーな運び屋の仕事をしている、わが社の名前は林檎の空き箱!

7人家族の末っ子で、私には家を継ぐ必要もないし自由に育ってきたが

さすがに16で親のすねかじりしてるわけもいかず祖父の好きだった飛行挺を譲り受け

この仕事を始めた、もともと女の私には貴族のメイドや食堂の看板娘なんて道もあったのかも

知れないが・・・・・

 

看板娘は言いすぎか、とにかく私は子供のころから祖父と乗る飛行挺で感じる空が大好きだった、そこからこの仕事を始めたのも当然のように感じる。

 

「よう、お嬢!今日はずいぶんと早い帰りだな。」

 

「うん、今日は一軒しか入ってなかったからね、毎日これだとこまっちゃうけどね。」

 

艇からおりて直に声をかけてきたのはここの港を管理しているミドリおじさんだ

本名は違うらしいのだけど皆なぜかミドリさんと呼ぶ、お酒を飲みすぎると緑色の顔になるとか

周りはいろいろと噂するが本当のところはわかっていない。

 

「さて、どうする?このまま港のドックに入るか?それとも?」

 

「今日も町に入るわ、羊と寝床社に行きたいから。」

 

「わかった、それじゃ町への水門を空けておくから手続きを済ませてくれ。」

 

この大陸は飛行挺での交通が多いため大陸内の町は水路が敷き詰められて、飛行挺での交通ができるようになっている。

 

もちろん飛行挺同士のすれ違いは危険だからすべての水路は一方通行になっているんだけど

駐艇所も各所に点在しているからちょっと水路むこうの服屋に寄りたいときも艇を置いて

簡単にいけるから不満はない。

 

 

 

「手続きは済ませたようだな、では良い空を。」

 

「ありがとう、おじさんも良い空を~。」

 

さて、私の目的地はここから少し内陸に入ったところの羊の寝床という飛行挺専門のドックである。

 

運び屋を始めたときからお世話になっているところで、あまり大きくはないのだけれども

私の古い艇を見られるのはここだけで贅沢はいえないし、社長はとってもよくしてくれる

それどころか運び屋を始めるのに心配してくれた社長が一室をくれて

 

「ちょっと汚いが、ここを自由につかっていい。その代わりその艇はうちで見させてもらうぞ。」

 

なんて言ってくれたのだ、私にははじめるためにためていたお金もすべて飛行挺に回すことができたので感謝しても仕切れないくらいである。

 

「お!見えてきた~、お~い!!ただいまぁ~って・・・・・・。」

 

「じゃじゃ馬が帰ってきた、今日は壊してねぇだろうなぁ?」

 

「なんだ、あんたか・・・・・いって損した。」

 

無愛想な顔で出迎えてくれたのはあたしの苦手なやつでこの会社の社員、名前はテツオ

社長は気に入ってるみたいだけどあたしはどうもそりが合わない、それも多分こいつの力のせいだと思う。

 

「フンっ、どうやらエンジンはどこも損傷してないな結合部も問題ない、機体は木だからお前の領分だ。」

 

「わかってるわよ、木は何も言わないし痛がってないから大丈夫、結合部も大丈夫。」

 

エンジンをばらさなくとも触れるだけで解かってしまう(鉄の声が聞ける)それがコイツだけの力

あたしも同じように機体を触れば状態がわかる(木の声が聞ける)それが私だけの力

こんな力がある人にあったことは無く初めて似た様な力のあるコイツに始めは共感したが

正反対のような力にコイツの性格が気に食わない!というわけで苦手な奴なのだ!!


 
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