魔法王国、王城内の謁見室。
王国警察署長がサイラス王と話をしている。
署長「申し訳ございません王様、また例の事件が起こってしまいました…」
サイラス「なんだと!? これで5人目だぞ! 警察は何をやってるんだ!!」
署長「も、申し訳ございません!」
サイラス「私に謝らなくてもいい! 次の事件だけは絶対に阻止するのだ、いいな!」
署長「はっ!」
ディア「お話聞かせていただきましたわ」
サイラス「ディア」
署長「ディア様」
ディア「華燭の典の式場、リトルマウンテンを舞台とした花嫁連続失踪事件、昨日で5人目」
署長「左様でございます。新郎や参列者が別室で休んでいる間に、花嫁だけが忽然と姿を消しているのでございます」
ディア「私が囮になりましょう」
署長、サイラス「えっ?」
ディア「リトルマウンテンで華燭の典を挙げる新婦になりすまし、必ずや犯人を挙げてご覧にいれますわ」
署長「しかし、ディア様の身にもしものことがあったら」
ディア「ウフフ、私を誰だと思ってるんです? 王国魔法騎士団の大佐ですわよw」
サイラス「面白い、やってみろ。新郎役や参列者役はこちらで手配しよう」
ディア「よろしくお願いします」
翌日、リトルマウンテン。
サイラスが用意した新郎役、参列者役と、ウェディングドレス姿の新婦役のディアとで偽の華燭の典が行われようとしていた。
新郎「犯人、本当に現れるのでしょうか大佐?」
ディア「シッ、聞こえるわよ! ねえあなた、新婚旅行楽しみね~」
新郎「……」
ディア「あなた?」
新郎「あ、ああ、そうだな;;;;」
「はいはいはーい、みなさーん!」
ガラガラガラガラ。
巨大な銀色の箱を台車に載せた、一人のチンパンジーの男が現れた。
ディア「あなたは?」
スモ・エポ「私はこの式場の撮影技師のスモ・エポと申します」
ディア「撮影技師の方でしたか。本日はよろしくお願いしますわ」
スモ・エポ「こちらこそ! 今から記念写真を撮りますので、新婦様は撮影室にどうぞ」
新郎「では一緒に行こうかディア」
スモ・エポ「おっと、当式場では撮影は新婦様だけになっておりますので、新郎様と参列者の皆様は、あちらの控室でお待ち下さい」
新郎「はあ」
スモ・エポ「では参りましょう、花嫁様」
ガラガラガラガラ。
ディア「それにしても大きな箱ですわね」
スモ・エポ「撮影機材も本格的なものになるとこれぐらいのサイズになりましてね、ヘヘッ。着きましたよ花嫁様。こちらが撮影室です」
10分後。
ガラガラガラガラ。
撮影室から、あの巨大な箱を台車に載せたチンパンジー男、スモ・エポが出てきた。
スモ・エポ「ヘッヘッヘ、今回も上手く行ったぜw」
「おい、ちょっと待て」
通路を塞ぐように、一人のアカギツネの男が現れた。
スモ・エポ「あぁん? なんだぁテメエは? そんなところに突っ立ってたら邪魔なんだよ、どけ!」
男「おっと、これは失礼した」
ジャキッ。男の腰の剣が冷たい光を放つ。
スモ・エポ「うっ、その紋章は王家ホワイト家の!?」
サイラス「いかにも、私は魔法王国国王、サイラス・ホワイト。知っておいてくれたとは光栄だ」
スモ・エポ「な、なぜ国王様がここに!?」
サイラス「ある事件を捜査しておってな。その大きな銀色の箱は何だ?」
スモ・エポ「こ、これには撮影用の機材が入っておりまして、はい;;;;」
サイラス「ほう。最近の撮影機材はこんなに大きいのか。実は私も写真が趣味でな、ひとつ見せてはもらえまいか?」
スモ・エポ「み、見てもつまらないものでございますよ;;;;」
サイラス「つまらないかどうかは私が決める。それとも、何か見られたら都合の悪いものでも入っているのかな?」
ジャキッ。
スモ・エポ「そ、そんなことは;;;;」
サイラス「でやあーっ!!」
スモ・エポ「ひいっ!?」
電光一閃、サイラスの剣が銀色の箱をぶった斬る!!
ディア「う…うーん…」
サイラス「ディア!!」
ディア「あ、王様…」
サイラス「何があったんだ!?」
ディア「スモ・エポが操るカメラのフラッシュを見たら、急に気を失って…」
サイラス「やはりそうか!」
スモ・エポ「クソッ!」
ダッ!
サイラス「あっ、待て!!」
スモ・エポ「誰が待つかよ! あばよー、間抜けな王様ー!wwwww」
署長「逃がしはせん! たあーっ!!」
スモ・エポ「!?」
スモ・エポは、隠れていた署長のタックルを後ろからまともに食らい、あえなく御用となった。
リトルマウンテンの外。
スモ・エポに結わい付けた腰縄を握った署長が立っている。
署長「もうすぐ警察の馬車がやって来る。署に着いたらたっぷりと話を聞かせてもらうからな」
スモ・エポ「チッ!」
署長「せいぜい正直に話すことだ。…ファ、ファークションッ!!」
スルリ。
署長「しまった! あっ、待て!」
スモ・エポ「誰が待つかよ! 俺にはまだ大事な仕事が残ってるんだ、バイバーイwwwww」
逃亡するスモ・エポ。
だが。
ガーッ!!
スモ・エポ「えっ? うわあああっ!!」
ドン!
グシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャアッッッ!!!!!!!
スモ・エポ「ぎゃああああああー!!!!!」
署長「!!」
飛び出し注意!!
全速力で走ってきた大型馬車・先駆け号に轢かれたスモ・エポの体が、眼球が飛び出し、腸の首輪をした状態で道路に飛び散った。
署長「なんてことだ、このような結末になるとは…。ん、この手帳は?」
スモ・エポのポケットから飛び出した血まみれの手帳を拾い上げる。
署長「『10日夜11時 グレート・ミューチュアル・フィールド港12番倉庫』? 今日は10日…」
・・・・・・
翌日、謁見室。
署長「腰縄を付けたまま逃亡を試み道路に飛び出したスモ・エポは、やって来た大型馬車に轢かれて即死いたしました」
サイラス「うむ」
署長「そして奴が所持していた手帳に書いてあった『10日夜11時 グレート・ミューチュアル・フィールド港12番倉庫』ですが、睨んだ通り、スモ・エポが攫った花嫁を買い取ろうとしていた人身売買組織との取引の予定でした。組織は警察で一網打尽にいたしました」
サイラス「でかしたぞ。して、消えた花嫁たちは?」
署長「スモ・エポの家の地下牢で5人全員無事に発見、保護いたしました。疲労はしておりましたが、全員健康状態に問題はありません」
サイラス「それはよかった」
ディア「お疲れ様でしたわ、署長さん」
署長「あっ、ディア様! この度は貴方様も危険な目に遭わせてしまい、申し訳ございませんでしたっ!!」
ディア「うふふふ、何をおっしゃいますやらw 王国民の生命を守る魔法騎士団として、当然のことですわ」
サイラス「だが無理はするなよ。お前にもしものことがあったら、悲しむ大切な人もいるだろうに」
ディア「そ、そんな人いませんわよ;;;;」
サイラス「本当か?w」
ディア「ほ、本当ですっ;;;; 余計な詮索はおやめ下さい王様っ!」
=END=
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