No.1180502

緊急! 超獣鋼猟 ウイークエンダー・ラビット 〜パーフェクト朱墨の山〜 31.スラッグヴォンズ

リューガさん

 かつて日本を襲った悲劇。
 その記録がはじまります。

2026-01-13 22:55:43 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:37   閲覧ユーザー数:37

 まず、アーリンくんがたのんだのは。

「レターセットを、もらっていいですか?」

 武志さんが「はい」と速答して、店のすみにあるテーブルへとりにいった。

 となりにはポストもあるよ。

 まったく使ったことないけど、この店のセットは達美さんこだわりの一式なの。

 持ってこられたのは、便せんと万年筆。

 便せんは白地に線の入っただけのシンプルなものだけど、インクが染みにくい。

 万年筆も書き心地バツグンの高級品らしいよ。

 本来は、ここに藤の花が書かれた封筒がつくの。

 暗号世界ではインターネットや電話がなくても、不思議じゃないの。

 にたようなのがあっても、規格が違ってつながらない。

 人の手から手へ運ばれる手紙が、一番確実にとどくんだよ。

 

 アーリンくんはお礼を言って受け取った。

 そして便せんを広げ、ペンを手にする。

「僕は、この世界の核兵器は大陸にしかないとにらんでいます」

 デリケートな問題きたな! 

 ・・・・・・こらえる。

 みんな、今度は無言だった。

「その根拠だと思うのは、スラッグヴォンズというハンターです」

 万年筆をはしらせる。

 そこに描かれたのは・・・・・・。

 なんだかわからないぐにゃぐにゃの線だった。

「201X年に太平洋の静岡県沖に出現したこれは、一目散に上陸。

 真っ先に原子力発電所を襲い、放射性物質を食べつくしました。

 その後、自衛隊の攻撃をものともせず東京へ向かいます」

 これ、地図なの?

 それとも、スラッグヴォンズ?

 どっちだか分からないや。

 他のみんなは、困惑の表情を浮かべてる。

 よかった。私だけじゃない。

「東京からは、列島を縦断しました。

 その後はーー」

『スラッグヴォンズは、201X年5月14日に太平洋側、福島県沖から出現した大型怪獣です』

 割り込んできた声は、デジタル緞帳だ。 

 そこに写されたのは、灰色のゆがんだ景色。

 嵐にさらされた、沿岸の町だった。

「あいまいなのは、嫌いなの」

 達美さんだ。

「達美ちゃん・・・・・・」

 恋人に心苦しそうに言われて、達美さんは。

「考えるののジャマはしないよ」

 まあ、よかったと思う。

 朱墨ちゃんは映像を見て、驚いていた。

 何の話をしてたかがわかったんだ。

 

 怪獣は、ハテノ市以外でも出現する。

 数は少ないけどね。

 そのときは、自然発生する大きな力がポルタの役割をすることがあるの。 

 嵐とか。

 

 沿岸部を写す監視カメラの映像に、海が盛り上がる。

 波しぶきをあげて、黒みがかった青い巨体が現れる。

 そそり立つ二本の塔のようなもの。

 あの先には、一つづつ目がある。

 西洋のヨロイ兜、クローズドヘルム、だったっけ?

 目の部分がはね上がる兜。

 それを思わせるマブタをもつ、目だよ。

 全身が、そんなヨロイを思わせるウロコでおおわれてる。

 その目をのせた胴体は、太く後ろに伸びている。

 その姿は確かにスラッグ(ナメクジ)を思わせる。

 だけど。

『ゴャオーン!!』

 目の下には、口がある。

『ゴオーン!!』

 鋭い牙がならび、上下に開く獣の口が。

 海から上がり、あわてて息を吸ったからかな。

『ゴャオーン!!』

 激しい叫びを続ける。

胴体を支えるのは、ゾウのような四本の足。

 たちまち、進行方向の家をなぎ払う!

 なぐさめがあるのは、この上陸が察知されていて、すでに避難が終わっていること。

 それだけ。

 胴体の後ろから、二本のしっぽが現れる。

 ヴォン、ヴォンと、激しく振り回されている。

 その音が複数あるから、ヴォンに複数なのを示すズをつけて、ヴォンズ。

 そのしっぽの先から、鋭く撒き散らされるものがあった。

 スラッグの意味は、ナメクジだけじゃないの。

 散弾、銃で撃つと、細かい弾がいくつも飛びだし、広範囲に破壊をもたらす。

 それもスラッグと言う。

 家が、町が、次々に打ち砕かれていく!

 全長89メートル。体重70000トン。

 それが悲劇の始まりだった。


 
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