No.1180358

満月と君

冬目さん

彼女は好奇心がとても強い子だった。よく近所のバカガキと混ざって裏山の禁足地まで飛んで行って親父さんに怒られていたもんだよ。それから数年たって成人の儀が終わったころ、彼女は親父さんと大喧嘩したんだ。よくある村を出て一旗揚げたいてのと許さんとの押し合いでなそのあと彼女は扉をけ破ってどっかに行っちまって・・・それからの親父さんは魂が抜けたようだったよ・・そりゃ手のかかる子ほどかわいいものはないってのもあるだろうが最近は何かと物騒だし、街のほうに出たって女ひとりじゃひどい目にもあるだろうてのは簡単に想像できる。親父さんは頭を抱えて何度か街に探しに出たけど見付からなかったんだ。でもその代わり旅の情報屋から新入りの女冒険家が大活躍した話を聞いたんだよ。もちろんそれがまさか彼女だとは思わなかったんだが、姿かたち、村から出た時期と冒険家の行動開始日が一致しててこりゃもしかしたらと親父さんと無言でうなずきあっていたよ。それからさらに郵年親父さんのもとに手紙が届くようになった。親父さんは字が読めないから村の牧師様に頼んで読んでもらったんだ、そしたらよ彼女からだったんだ。あの時の親父さんの驚きようと言ったら初めて見たぜ、手紙の内容は自分は冒険家として世界を回っているとか、うまい食い物や珍しい建物の話とか、あの時家を無理に飛び出してごめんなさいとかが書かれていた。そして最後に近いうちに村に帰るって書いてあったんだ。この手紙に村の聞耳を立てていた村の衆は喜んで歓迎会の準備をしようと祭り気分になって大はしゃぎだった。とうの親父さんはあのバカ娘がと悪態をついていたけど、目に息災の安堵の涙を浮かべて、口元が緩んでた。すごくうれしかったんだろうなあれは・・それから1週間後、村に娘さんの部下というちっさい子供が来てまもなく来ますと伝えてくれた。みん一旗揚げた村のバカ娘を見ようとわらわらと村の柵に集まっていた。親父さんと俺は物見やぐらから一番に見ようと目を凝らしていた。人影が見えた!日の暮れ、陽炎がゆらゆら揺れる中に彼女はいた。来たぞ来たぞと声を上げていると、親父さんはピタッと体を硬直させていた、娘の立派な姿に驚いているんだな。そう思っていると親父さんは俺の肩をがっちりつかんで聞いてきた。
                                                                        「アレは誰だ?」

2026-01-11 00:45:41 投稿 / 2322×2757ピクセル

 
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