一番「ほい、これで鯛のお刺身いっちょ上がりだ!」
ワーッ!!
雪天小学校体育館。
カメラが映し出す壇上の一番の包丁さばきに、子供たちは大歓声を上げ、万雷の拍手を贈った。
一番「以上、俺の特別授業はこれで終わりだ! あ、最後に一つだけ。みんな、ご飯の前にはちゃんと「いただきます」を言ってるかな? 「いただきます」は命を提供してくれたお魚さんや豚さんや牛さん鶏さんにその命をいただくことに対しての感謝の気持ち、それを用意してくれた漁師さんや畜産農家さん、運んでくれた人や売ってくれた人、調理してくれた人たちに感謝する為の言葉だ。ご飯の前にはちゃんと「いただきます」って言うんだぞ!」
子供たち『はーい!』
一番「じゃ、またな! 晴天おさかなセンターにも遊びに来てくれ!」
ワー、パチパチパチパチ!!
真由美「以上、魚崎鮮魚店店主、魚崎一番さんの出張特別授業でした。みなさん、一番さんにもう一度大きな拍手を!」
パチパチパチパチ!!
パチパチパチパチ!!
パチパチパチパチー!!
真由美「今日の授業はこれで終わりです。みなさん、車に気を付けて帰るのよ」
下校途中の歩道。
恋人繋ぎの怜桜美と雛明子が歩いている。
怜桜美「一番さんの特別授業面白かったねー!」
雛明子「うん! わたしお魚が食べたくなってきちゃった!」
怜桜美「わたしも!」
???「お嬢ちゃんたち」
怜桜美、雛明子「?」
二人が声がした方向を見ると、木の陰に隠れるように熊男と豚男が立っている。
怜桜美「おじさんたちは誰ですか?」
熊男「おじさんたちはプーチの店長さんの友達やで。店長さんが大至急君たちに会いたいって言ってるやで」
豚男「何か新しい仕事の話らしいよ。ウィ~ヒック!」
怜桜美「えっ、本当ですか?」
熊男「もちろん本当やで」
豚男「君たちを連れて来てくれって
雛明子「本当に
豚男「もちろん本当さ。
熊男「おじさんたちが送ってあげるから早くワシの車に乗るんやで」
熊男が示す先、そこには、まるで物陰に隠すように黒塗りのハイエイシターが停まっていた。
雛明子「ホントのホントに
熊男「さっきから本当だと言っとるやで!」
豚男「早くしないと
雛明子「ウソ! プーチの店長は
熊男、豚男「…ッ!!」
熊男「ええから来るんやで!」
豚男「このガキ共が! ウィーヒック!」
熊男と豚男は強引に怜桜美と雛明子の腕を掴んだ。
雛明子「キャーッ!!」
怜桜美「誰かあーっ!!」」
同時刻、雪天小学校校長室。
真由美「特別授業お疲れ様でした」
一番「どういたしまして! 最近の子供たちは、お魚はスーパーで切り身にして売ってるのしか知らないでしょうから、それがどうやってああいう形になるのか、そして「いただきます」という言葉の意味、そういった食育も大切ですからね!」
真由美「全くその通りだわ。それに、私は今夜は鯛のお刺身で一杯やれて一石二鳥w」
一番「ちょw それも目的ですかい校長w」
真由美「ウフフフフw」
一番「む、あの声は!!」
真由美「どうしたの?」
一番「あ、いえ。ちょっと失礼します!!」
=To be continued=
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