No.1172369

【呪海決戦編】少女の決意

2025-08-17 22:50:47 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:130   閲覧ユーザー数:130

 

 

 

「終わりだああああぁぁぁ!」

 

「駄目だ……終わりダ……

全部呑まれて……全員、殺されてしまう……!」

 

「街が……呪海に……呑み込まれる……!」

 

「諦めちゃ駄目!」

 

少女の声が強く響く。しかしその芯には温かさがあった。

冷え切った絶望の空気に、ひとすじの光を差し込むように。

 

(――私は、あの日……“希望の風”を見た)

 

百万の大軍が押し寄せ、日本中が絶望に覆われたあの日。

全てが終わったと思ったあの日。

私を救ったのは――あの風。

絶望を薙ぎ払うようなだ――

 

――神風。

 

(今度は、私の番……!)

 

神風に救われた命を、今度は自分が守る。

少女は震える指を強く握り、両腕を広げた。

 

「私達が守る!

この街を……呪海なんかに沈めさせたりはしない!」

 

声は震えていた。

恐怖で足はすくみ、心臓は耳が裂けそうなほど打ち付ける。

もし法装でなければ、膝から崩れ落ち、恐怖のあまり失禁していたかもしれない。

それでも、彼女は一歩も退かない。

 

「わ、私にできる事は……」

「お、おらも……まだ……」

 

勇気は伝染する。

恐怖が蔓延するように、火花のように勇気も広がっていくのだ。

少女の言葉は、絶望に沈みかけた仲間たちを奮い立たせた。

 

「反撃しましょう……まだ、負けてはいません!」

 

恵春の生徒たちが再び立ち上がる。

その光景は確かに“希望”だった。

 


 
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