「終わりだああああぁぁぁ!」
「駄目だ……終わりダ……
全部呑まれて……全員、殺されてしまう……!」
「街が……呪海に……呑み込まれる……!」
「諦めちゃ駄目!」
少女の声が強く響く。しかしその芯には温かさがあった。
冷え切った絶望の空気に、ひとすじの光を差し込むように。
(――私は、あの日……“希望の風”を見た)
百万の大軍が押し寄せ、日本中が絶望に覆われたあの日。
全てが終わったと思ったあの日。
私を救ったのは――あの風。
絶望を薙ぎ払うようなだ――
――神風。
(今度は、私の番……!)
神風に救われた命を、今度は自分が守る。
少女は震える指を強く握り、両腕を広げた。
「私達が守る!
この街を……呪海なんかに沈めさせたりはしない!」
声は震えていた。
恐怖で足はすくみ、心臓は耳が裂けそうなほど打ち付ける。
もし法装でなければ、膝から崩れ落ち、恐怖のあまり失禁していたかもしれない。
それでも、彼女は一歩も退かない。
「わ、私にできる事は……」
「お、おらも……まだ……」
勇気は伝染する。
恐怖が蔓延するように、火花のように勇気も広がっていくのだ。
少女の言葉は、絶望に沈みかけた仲間たちを奮い立たせた。
「反撃しましょう……まだ、負けてはいません!」
恵春の生徒たちが再び立ち上がる。
その光景は確かに“希望”だった。
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