No.1162065

メスガキ・ラブ・メイク・チョコレート【メスガキバレンタイン】

2025-02-14 12:38:55 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:210   閲覧ユーザー数:209

蒼生大和の調理場。

そこに、夢依の小さな姿があった。普段は生意気でメスガキたっぷりに振る舞う彼女だが、今は表情がまるで別人のように引き締まっている。

 

「……絶対に成功させるんだから…」

凛とした声で、夢依は自分に言い聞かせるように呟いた。

 

目の前には材料がずらりと並んでいる。上質なカカオ、天然の蜂蜜、体に優しいナッツやドライフルーツ。それに、栄養価の高いスーパーフードまで揃えてある。

夢依は一つ一つを丁寧に見つめ、手に取り、香りを確かめた。目の奥には強い決意が宿っている。

 

「あるじさま、いつも激務だもんね。戦いに出て、みんなを守って……すごく疲れてるはず…」

 

普段、彼の前では見せない優しさが、今はその表情に浮かんでいる。

 

「……少しでも元気になってもらえるように、甘くて、でも栄養たっぷりのチョコレートを作らなくちゃ」

 

夢依はまず、カカオを細かく刻み始めた。

包丁を握る手はしっかりとしていて、リズミカルに刻む音が調理場に響く。普段のメスガキらしさは微塵もなく、その動きは実に手際が良い。まるで職人のようだ。

 

「これくらい細かくすれば、口当たりもなめらかになる……うん、悪くない!」

少しだけ満足そうに微笑むが、すぐに気を引き締め直し、次の作業に移る。

 

刻んだカカオをボウルに入れ、湯煎にかけてゆっくりと溶かす。

 

「焦らず、じっくり…温度が大事なんだから…」

 

カカオが滑らかな液体になるまで、夢依はひとときも目を離さずに慎重にかき混ぜた。

 

「手、抜けないね…」

 

自然と体に熱がともる。それでも集中を途切れさせることなく、彼女は一生懸命にチョコレートを作り続けた。

 

溶かしたカカオに、天然の蜂蜜を少しずつ加える。甘さ控えめで、でもほんのり優しい味わいになるように、分量を何度も調整する。

 

「……うん。これなら甘すぎない。体にも優しい…疲れた体に染み渡るはず」

次に、栄養価の高いナッツやドライフルーツを丁寧に刻み、チョコレートに混ぜ込んだ。

 

「……これで栄養もばっちり。いつも頑張ってるあるじさまに、元気を届けられる」

 

型に流し込んだチョコレートを、そっと冷蔵庫に入れて固める。

その瞬間、夢依は大きく息を吐き、肩の力を抜いた。

 

「ふぅ……」

いつもの生意気でやんちゃな姿はどこにもなく、そこには純粋に誰かを想い、一生懸命に努力する少女の姿があった。

 

「……喜んでくれるかな…」

ぽつりと呟きながら、夢依は小さく微笑んだ。

 

元気になってもらいたい。ただそれだけの気持ちが、夢依の心を温かくしていた。

 

「絶対に、元気にしてみせるんだから……」

 

彼女の決意は、誰にも負けないほど強いものだった。

そして、そのチョコレートには、夢依のまっすぐな想いがたっぷりと詰まっているのだった。

 


 
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