No.1131870

ゴロゴロしている親父

新人さん

「亭主元気で留守がいい」は、今は知らない人が多いし、ことわざだと思っている人さえいるようだ。これは1986年のコマーシャルに使われた言葉だ。思わず笑ってしまう天才的なキャッチコピーだが、あるリサーチの結果では70.2%の女性が本音で思っているようだ。以前の僕は収入を増やしたくて ダブルワークで殆ど家に居なかったから 理想的な亭主だったわけだ。そのかわりに睡眠時間を徐々に削っていき 毎日の睡眠が2~3時間になったところで倒れてしまった。そして 右半身が死んだ。その結果 一人で外出も出来なくなってしまい「 亭主半死で家に居る」事になったのだ。 妻は僕がずっと家に居るものだから目障りで仕方ないらしい。そのうち僕がただ車椅子に座ってテレビを見ているだけでも邪魔者扱いするようになった。だから僕は考えたあげくに留守中の状況をつくりだす事にしたんだ。彼女の視界から僕の存在が消えるような演出をするのだ。フフフ なんか陰の実力者みたいでカッコイイぞ。そして自分の痕跡をこの家から消すために 食事や掃除や洗濯は 僕が家に一人でいるうちに 全部自分の分だけを自分でやるようにした。彼女が在宅中は自分のベッドに居るようにして彼女の視界から消える。音も消している。残念ながら片腕ではゲームもできないから 静かにレゴを工作しているしかない。こうして僕は家庭内忍者となった。家庭円満とは きっと亭主が忍びになることだろうと悟ったのだ。亭主が留守だと平和になるのだ。

2023-10-25 15:34:44 投稿 / 978×734ピクセル

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