No.1103695

呂北伝~真紅の旗に集う者~ 第044話

どうも皆さまこんにち"は"。
また約一年ぶりの投稿でございます。

現在リアルにて色々迷走中でございますが、日々一日の終わりには書こうが書くまいがワードを開いて思案はして、案が出れば書こうみたいな感じでした。

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2022-10-03 00:13:36 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:385   閲覧ユーザー数:354

呂北伝~真紅の旗に集う者~ 第044話「情緒」

扶風より長安を越え、洛陽のまでの道のりを行脚し、一刀率いる扶風軍2千が洛陽に進軍していた。

一刀に付き従う将は((愛華|メイファ)・恋・音々音であり、恋の副将に李鄒(りしゅう)こと魅耶(みや)。護衛で歩闇暗(ふぁんあん)が付き従う。

今回洛陽への召喚と長安の統治権を加味された一刀であったが、呂北軍はようやく人材が揃い始めた状態であり、突然の領地拡大となれば、再び人材不足であることは否めない。

なので、一刀が遠征の間は彼の代理である白華(パイファ)が長安に入ることとなる。そこに郷里も付き従い、残った扶風には楊奉(ようほう)が着任した。

「お兄ちゃん、お家、大丈夫?」

普段一刀の隣に付くのは白華であるが、彼女の代わりに恋が一刀に付く。

「なに、爺も若者を率いて叩きがいがあると言って扶風に来てくれたし、白華や郷里が長安にいるから大丈夫だろう」

そういって顎を掻きながら答える一刀だが、白華の名を出した瞬間、恋は不満気な表情を見せる。

「......なぁ、恋。まだ白華のことを受け入れることは出来ないか?」

一刀がそう言うと、恋が視線を下に背ける。

「白華はお兄ちゃんの奥さんなんだから、お前のお姉さんでもあるんだぞ?だかr「違う‼」――恋?」

恋が一つ声を張り上げると、一刀が彼女の名を呼ぶ。

「あの人なんか......お姉ちゃんじゃない――」

そう言いながら恋は自らが乗る馬の方向を変えて、「愛華お姉ちゃんが、お嫁さんだったらよかったのに」っという台詞を小さく呟いて軍の後方に下がっていく。

「あ~あ、若、嫌われちゃいましたね」

いなくなった恋の隣にブロンズの髪の洋風騎士が顔を覗かせる。

「夢音......いったい何の用だ?」

「いえいえ、可愛い妹に嫌われた傷心中の若を、僕が慰めようと」

「......いらん気づかいだ」

そういい一刀が口を閉じながら奥歯を少し噛み締めていると、そんな一刀が可笑しいのか、面白そうに夢音が笑ってみせる。

今回は夢音も軍に加わっている。扶風全土の統治権が一刀に移った為に、丁原の下から移ったのだ。

「お嬢様、未だに奥方様の事をお認めにならないのですか?」

「………」

「若、お嬢様はやはり奥方様のあの件w「いうな。夢音」――」

一刀は夢音の話を被せて主張するように話題を押し留めるが、その声の質量的にはどこか気力が少なめだったが、夢音はそれ以降その話題に触れることなく、一刀がモノにした女性の数を質問攻めにしていた。

何日かの行脚を終えて、一刀達が洛陽に到着する頃に、城門の前に多くの天幕が立ち並んでいた。

「若、あれは一体何でしょう?」

夢音の指さす方向には、兵一万はあろう程に居並ぶ天幕と、その中に『袁』の旗印が立てられており、中華大陸の河北一帯を治める袁家の物と理解する。今回選ばれた西園八校尉の中に袁家の名が入っていたことを思い出し、恐らくはその軍勢なのであろう。

遠目から判る感じで判断すると、一刀率いる扶風より倍以上の軍勢である。

「高順‼高順を呼べ‼」

呂北は軍の指揮官らしく高順を呼びつけると、彼女に命を下す。

「高順、俺は前方の指揮官と話をしてくる。ここは任せた」

「畏まりました。しかし万が一のこt「わかっている。共には成廉(せいれん)も連れていく。それとお前の選抜で十人程護衛を見立てろ」――御意に」

高順が何かを言う前に呂北は彼女の心配の種を消し去り、その命を了承する。

「それと、陳宮を呼べ」

「はい?ねn......陳宮......を?」

「そうだ。何事も経験だ。ただしあくまで供の一人としてだ。不用意な発言を控える様にも含んでおけ」

「畏まりました」

高順は一つ馬を蹴ると、そのまま軍の後方へ走り出した。

「若、たしか袁家の現当主は?」

「そうだ。名門としての家訓や英才教育を施されただけの世間知らずのお嬢さんというのが土竜からの報告だが...まぁ沮授や田豊が主君と仰ぐ者なのだから、一門の人物ではあるのだろう。英傑であればそれはそれで。愚者であればそれなりの対応法をあの娘に教えてやるさ」

そう言って彼は右口角をあげる。

 

 「一体いつになったら入れるのですの?この名門袁家の頭首たる、この わ・た・く・し を待たせるなんてどういう了見なのかしら⁉」

腰元まで伸びる、金髪縦ロールロングヘア―の女性が、腕を組み城門前で門番相手にいきり立っていた。

脹脛まで伸びた刺繍入りレディースソックスに白皮ロングブーツ。白のフレアミニスカートにボタンではなく、布を腰に巻いて前を止める赤い服。腰に巻いた布は藍色であり、その上から金色に光る鎧を身に纏い、腰には如何にも宝剣といった感じの絢爛な獲物を差していた。

「もう。麗羽様、そういって門番さんを困らせても仕方ありませんよ。私たちが洛陽に着くのが早すぎたこともありますし、流石に準備も整っていませんよ」

麗羽と呼ばれた女性は同じような恰好をしたお河童頭の黒髪の女性に制止させられる。また、彼女の恰好は麗羽と呼ばれた者と違い、藍色の服で腰元を止める布はエメラルドグリーンであり、首には腰元まで届くであろうマフラー?の様な物を巻いている。

「でもよ斗詩。折角皇帝陛下に呼び出しを貰ったんだぜ。急いで駆け付けなきゃ臣下の名折れじゃん」

「よく言いましたわ猪々子(いいしぇ)さん。ほら、そこの貴方。私達は直ぐに帝の下に駆け付けなければならいのですの。早く通しなさい」

「あ、あの、いえ、その......」

猪々子と呼ばれた頭に藍色のバンダナを巻いた女性の言葉に、金髪の女性は便乗するが、門番は相手が格式のある家の人間であるのか、しどろもどろと狼狽し断る言葉を選んでいた様子であった。

また猪々子と呼ばれていた女性の風貌は、ブルーのショートヘア―で上の服は白みがかったグリーン。また、腰元の服止めは赤色で、首元のマフラー?は青色であった。

「どうかなさいましたか?」

「こ、ここ、これは呂北将軍」

呂北達が近づくと、門番は垂直立ちにて頭を下げ畏まり、彼らに気付いた麗羽と呼ばれた女性は燻しげに呂北達に首を向ける。

「いや失礼。そちらの下界に降り立った天女の如き見麗しき御仁が何かお困りのご様子であったので声をかけさせていただきましたが...。私は扶風の呂北と申します。よろしければ貴女様のお名前をお伺いいただけないであろうか?」

呂北の背中が痒くなるような歯に着せた冗句を聞き、対する女性は上機嫌となり、頬を赤らめて胸を張って答える。

「呂北?聞かない名ですわね。しかし貴方の身分を弁えた目利きの礼として特別に名乗ってあげますわ。私......そう、ワ・タ・ク・シこそが、名門袁家の当主であり、この度皇帝直属、西園八校尉『時期筆頭』に任じられた袁本初ですわ。おーほっほっほっほっ」

袁本初と名乗る女性は左手を腰に置き、背をしならせ右手の甲で口に添えて高笑いをする。

「袁本初?......もしや、三公を排した袁家の袁紹様であらせられたか⁉これは大変失礼を‼」

呂北は咄嗟に地に膝をつき頭を下げる。側に控えている成廉を含めた側付きもその行動に習って膝をつき、陳宮だけはほんの少し遅れて同じ行動を取る。

その様な行動に袁紹を含め両隣で控えていた将と思われる女性達も目を丸くして、袁紹は気を持ち直し上機嫌ながら彼女は頭を上げるように催促する。

「ま、......まぁまぁまぁ、お顔をお上げなさいな。折角の高貴なお姿が汚れてしまいますわ」

「「え!?」」

袁紹のその言葉に両隣の将は素っ頓狂な声を出してしまう。

「......斗詩さん、猪々子さん。ワタクシが何かおかしなことでも?」

「い、いや、だって姫よぅ」

「いつも自分以外の高貴な存在は皇帝陛下以外存在しないって――」

その二人の言葉に、袁紹は腕を組んで一つため息を吐いて答える。

「貴女達は判っていないですわね。出自に関係なく、高貴な魂は高貴な存在に惹かれる者。我が袁家に仕える将兵は貴女達を含め全て高貴な魂の持ち主。この方もワタクシの偉大さを瞬時に理解されましたわ。っということはこの方も高貴な魂をお持ちの方。何の間違いはありませんわ。おーほっほっほっほっ」

両手を広げて持論を上機嫌で述べる袁紹はまた高笑いを飛ばす。

呂北としてはほんのヨイショのつもりで彼女を持ち上げたのだが、彼女にとってはこれ以上ない位に好印象だったようだ。

「なるほど。西園八校尉筆頭であらされますか。たしかに袁紹様の様なお方であれば納得のゆくところ。私も此度西園八校尉の末席として召喚された身です。常時の際は是非とも袁紹様の指揮下で働きたいものです」

「あら、貴方もですの?わかりましたわ。その時が来ましたら私の下で励みなさい」

「ありがとうございます。さて改めまして袁紹様、何かお困りの様ですが?」

「ええ。陛下の命により洛陽まで来たのですけれども、未だ入れずにいますの」

「なるほど。袁紹様はこうおっしゃられているが、何故入れないのだ?」

袁紹の言を聞くと、呂北は門番に尋ねる。

「えぇ。確かに袁紹様が来られることに関しては間違い無いのですが。予定より早く参られたのでこちらも駐屯の準備が――」

「......一体何時が来訪日だったのだ?」

「......二月後だったのですけれども…」

兵士が言い淀んでいると、そっと尋ねる呂北に対し、袁紹の隣に控える先程斗詩と呼ばれた将が助け舟を出す。

「まぁ、兵は神速を何とかって言うしな」

「その通りですわ」

思わず涙目とため息を同時に吐き出してしまった彼女に対し、袁紹と猪々子と呼ばれていた将は何故か自信満々に胸を張っていた。

「そんな自慢気に喋る事じゃないですよぉ。そんな事だから今真直(まぁち)が洛陽中を駆け巡って宿屋の確保に奔走しているんですかぁ」

「真直?ひょっとしてその者は田豊ではありませんか?」

涙目で申し訳なさげにそういう斗詩という真名の女性に呂北が反応する。

「えぇそうですわ。貴方、真直さんをご存じですの?」

「彼女と彼女の師である沮授の爺様とはちょっとした知り合いでして。真直が奔っているのであれば問題は無いでしょう。袁紹様、洛陽に私の別邸がありますので是非お招きしたいのですがどうでしょうか?」

「え?そ、そうですわねぇ...し、しかしワタクシにも軍の管理が――」

呂北の提案に袁紹はまんざらでも無さそうな反応を示す。

彼女自身いつまでも野外にて待たされることも好きではなかったのだから。

「いやぁ、真直がいるので大丈夫でしょう。彼女であれば手筈も上手く整ってくれる筈です」

「そうですわね。それではお言葉に甘えようかしら」

「ちょ、ちょちょ、ちょっと麗羽様、軍の管理はどうするのですか?」

乗り気となった袁紹を斗詩と呼ばれた将が制止する。

「張郃さんや高覧さん、朱霊さんもいますし大丈夫でしょう」

「さっすが姫。じゃあ行こうぜ」

「それでは、こちらへどうぞ」

袁紹に便乗して、猪々子と呼ばれた将も付いてゆく。

「ちょ、ちょっと。麗羽様ぁ、文ちゃ~ん」

 

 「いやいやそうですか。袁将軍は黄巾の折にはそれほどの成果を――」

袁紹一行は洛陽裏歓楽街にある呂北の別荘にて接待を受けていた。部屋の内装は現代日本の料亭を思わせるそれであったが、所々に名品そうな皿や模造刀などが飾られている。呂北自らが袁紹の機嫌を取り、街から芸者などを呼び寄せて賑やかにしては、袁紹達をもてなしていた。

ちなみに、恋は歩闇暗と共に別室にて夕食を共にし、愛華は厨房で鍋を振るっているので不在である。

「さぁ顔良様、文醜様。こちらの料理も大変美味でございますので是非舌鼓下さいませ。陳宮さん、次の料理を持って来て下さいな」

斗詩は顔良といい、猪々子は文醜というのがそれぞれの将の名らしい。成廉はこの二人の相手をし、陳宮も忙しなく彼らの補佐をしていた。

「姫、ここ料理美味いぜ。酒も上物でツマミもすすむ」

「す、凄く豪華な料理の数々を、これ以上いただいても......?」

上機嫌に料理と酒を楽しむ文醜に対し、顔良は貧乏性なのか料理を摘まむ箸も震えている。

「なんだよ斗詩。いらないならあたいが貰うぜ」

戸惑う顔良の料理に対し、文醜がその料理を盗み食いし、二人の喧嘩が始まる。

「ふふふ、まだまだ料理はございますのでドンドン食べて下さいね」

成廉は酌が空になるとすかさず二人の酌に酒を注いでは対応する。

「そういえば姉ちゃん、あんた五胡の生まれか?」

「ちょ、ちょっと文ちゃん」

気さくにそう質問する文醜に対し、デリケートな話題と思った顔良はすかさず彼女の口を防ごうとする。

「かまいませんよ顔良様。えぇそうです。母は五胡の遊牧民だと」

「へぇ、それじゃあ”穢れた血”ってやつだ」

酒が周って上機嫌になった文醜の一言で場の空気は凍り出し、袁紹に酌をしていた一刀の持つ徳利も彼の握力によって砕き割れる。

 

~おまけ~

「(モキュモキュモキュモキュモキュモキュ)ん。美味しい。歩闇暗も食べる?」

点心をリスの様に頬張る恋は、歩闇暗に自信の物を分けようとするが――。

「お、お嬢様⁉そ、それ、は......」

ちょうど彼女は食べかけを渡して来る。

一般的な感覚であれば無礼で汚らしい行為であるが、敬愛する主の妹に加え、軍のマスコット的な可愛さを持つ恋に催促されるその様な行為は、麻薬の中毒ぐらいに甘美な誘惑であった。

清楚・清潔・冷徹で通っている?彼女はその催促を跳ねのけようと抵抗を示そうとするが......。

「......恋の......いらない?」

彼女なりの日頃のお礼の意味も込めての提案だったのであろう。

余計な気遣いをしたと思い、恋は涙目で俯きそうになるが、そうなる寸前に歩闇暗は恋の案を受け入れてこの世の極楽に登るのかと思わせるかの様な、晴れやかな笑顔でそのまま気絶した。

 

嬉しさのあまり上と下それぞれの口から洪水起こり、後に残った跡は、さながら殺人が起こったの様な水分を床に残していたと、後に愛華は語る。

 

 

没ストーリー 半年以上前に書いて、納得が出来なかったストーリーです。

本編とは一切関係ない44話です。

折角書いた文でポイするのも勿体ないのでおまけ掲載です。

何処かで使う予定も......多分ないかな(*’▽’)

誤字が合っても、下記の文章の修正はするつもりもないので、適当な感じでお読みください(^^フヒヒ

 

呂北伝~真紅の旗に集う者~ 第044話(仮)

 

 一刀は扶風に郷里、隴、留梨に夜桜などを残して愛華(メイファ)白華(パイファ)を連れて洛陽に向けて軍を行脚させていた。ちなみに、軍師である郷里を残してきたのは、以前の大戦の恩賞である長安に政治の拠点を移すので、引っ越しの前準備をさせる為であった。

「貴方。久しぶりの洛陽ですが、どうです?」

「はてさてどうだかな。今回は西園八校尉に任じられる面々の受勲式という名目だがな、きっとそれだけに終わらないことは確かであろうな」

白華の問いに、一刀は肩を少しだけ動かして返事をする。

「今回、恋ちゃんを連れて来たのは?」

「純粋に社会見学の一環さ。扶風は洛陽と長安の間に位置する土地だ。皆の尽力のお陰で最近徐々に都市に負けない程栄えてきたと言っても、まだまだ中央に比べれば片田舎みたいなものだ。そろそろ都会の街並みという物を体験させたくてな」

「......そうね。相変わらず私には懐いてくれないけどね」

白華は気落ちした様に肩を落として、そんな彼女の姿を見てどの様に励ましたものかと思い一刀は狼狽する。

因みに今恋は、音々音と歩暗闇と共に軍の後方にて馬の轡を並べている。因みに今回歩暗闇の姿は侍女長ではなく、黒い革のロングコートを纏った、恋を護衛する呂北軍最恐の兵曹性の姿である。その顔には郷里が白華から譲り受けた仮面に酷似した物を付けており、赤色の郷里に対し彼女は黒色をつけていた。普段の世話焼きな刃照碑と相まって、寡黙な曹性は常に周りを警戒している。また恋も普段は余り喋るのが得意な方では無いので、自らは話し出さず、そんな二人に対し、子供としての明るさ全開で音々音が歩暗闇に対して恋の凄さ・たくましさ・多少誇張した彼女の武勇伝を、胸を張って話している。恋は顔を赤らめ俯きながら黙って聞いており、歩暗闇も彼女なりに寡黙ながらも黙って首を動かして相槌を打って話を聞いていた。

「こういう時、音々音ちゃんの明るさに本当に救われるわ」

「.........本当に」

「あら、嫉妬しているのかしら。貴方が始めて人の見定めに失敗して、それを恋ちゃんに拾い直されたことへの」

「......そんなんじゃない」

「なによ、そんなに頬膨らましちゃって」

ムスッとする一刀に対し、白華は彼の頬を指で突いて茶化す。

「......二人とも、いちゃつくのはその辺にしろ。もう城門が見え始めているぞ」

二人の会話に割って入る様にして愛華は注意を促す。

「.........なんだ?あの軍団は?」

城門前には既に幾つかの天幕が張られており、旗印に『袁』の文字が掲げられていた。

「全く、いつになったら入城出来るのかしら⁉」

腰元まで伸びる、金髪縦ロールロングヘア―の女性が、腕を組み城門前で門番相手にいきり立っていた。

脹脛まで伸びた刺繍入りレディースソックスに白皮ロングブーツ。白のフレアミニスカートにボタンではなく、布を腰に巻いて前を止める赤い服。腰に巻いた布は藍色であり、その上から金色に光る鎧を身に纏い、腰には如何にも宝剣といった感じの絢爛な獲物を差していた。

「もう。麗羽様、そういって門番さんを困らせても仕方ありませんよ。私たちが洛陽に着くのが早すぎたこともありますし、流石に準備も整っていませんよ」

麗羽と呼ばれた女性は同じような恰好をしたお河童頭の黒髪の女性に制止させられる。また、彼女の恰好は麗羽と呼ばれた者と違い、藍色の服で腰元を止める布はエメラルドグリーンであり、首には腰元まで届くであろうマフラー?の様な物を巻いている。

「でもよ斗詩。折角皇帝陛下に呼び出しを貰ったんだぜ。急いで駆け付けなきゃ臣下の名折れじゃん」

「よく言いましたわ猪々子(いいしぇ)さん。ほら、そこの貴方。私達は直ぐに帝の下に駆け付けなければならいのですの。早く通しなさい」

「あ、あの、いえ、その......」

猪々子と呼ばれた頭に藍色のバンダナを巻いた女性の言葉に、金髪の女性は便乗するが、門番は相手が格式のある家の人間であるのか、しどろもどろと狼狽し断る言葉を選んでいた様子であった。

また猪々子と呼ばれていた女性の風貌は、ブルーのショートヘア―で上の服は白みがかったグリーン。また、腰元の服止めは赤色で、首元のマフラー?は青色であった。

「早速面倒なこと第一段かな」

「そうね。貴方、お供しますわ」

「頼む。愛華、軍を任せた」

一刀は軍を愛華に任せて、白華と共に数人の護衛を連れて城門前に馬を走らせた。

「どうもこんにちは。一体何の騒ぎですかな」

「こ、これは呂北様」

「呂北?」

門番が一刀に気付くと、金髪の女性は訝しげに一刀の顔を見た。一刀と白華は馬を降りて拱手の挨拶で挨拶をする。

「私は扶風の呂北。こちらは妻の王異と言います。その風貌、佇まいからするに、さぞかし名のある名家の方とお見受けしますが、そのご尊名拝借しても宜しいか」

一刀は褒めちぎり、あくまで相手をたてる佇まいで金髪の女性の名を尋ね、その振る舞いに気を良くしたのか、女性は尊大な態度で胸を張って名乗り出した。

「あら、なかなか話の分かる方ですわね。いいでしょう。聞かせてあげなくて。このワタクシが名門袁家の末裔・袁本初ですわ」

「袁家?かつてはその一門より三公を排し、河北に覇を唱えるあの袁家の現当主、袁紹殿か?お目にかかれて光栄でございます」

「おーほっほっほっ」

一刀の褒めちぎった文句に、袁本初上機嫌で高笑いを返す。

「将軍、城内に私の別荘があります。将軍の軍までとはいきませぬが、将軍を含め護衛の方々を私に接待させて頂きたいのですが」

「べ、別荘......」

その言葉を聞いて、袁紹の表情は張り付いたまま頬を糸で引っ張られた様に歪む。

「はい。金で買ったので大層な物ではありませぬが、将軍をもてなせればこれ以上ない喜び。是非に」

金という言葉を聞いた瞬間、袁紹の表情も崩れる。袁家は4代にわたって三公を輩出した名門中の名門。その地位を受け継いだ彼女の家の財と名の広さは、大陸でも群を抜いている為に、大抵の物は金銭で手に入るのだ。都に別荘と聞いて、袁紹は自分にあって、自分に持っていない物を所有する者の出現に内心戸惑ったが、金銭で手に入れたと聞いた瞬間「何時でも手に入れることが出来る」と思い込んだために、雰囲気が和らいだ。

「あら、それではお言葉に甘えようかしら。斗詩さん、猪々子さん行きますわよ」

「ちょ、ちょっと麗羽様、いいんですか軍をそのままにして」

真直(まぁち)さんに任せればよろしくてよ」

「なんと。その者、もしや田豊という策士家ではありませんか?」

「そうですわ。まぁ、貴方真直さんをご存じで?」

「えぇ、これでもあの者とはちょっとした顔見知りでしてね。そうですか、あの者が袁家に。昔から頭の切れる者であると思ってはいましたが、主君選びのほうも切れるとは」

「まぁまぁ、おーほっほっほっ」

そう言いながら一刀は袁紹とその配下2名を連れ、また自軍も連れて洛陽の門をくぐろうとする。

「あ、あの呂北様、起こしなられて申し訳ございませんが、兵はいかほど連れていかれるので?」

「2000程だが」

その言葉を聞き、門番の兵士は平汗を流して答える。

「実は、どうも軍の入れ違いがあったらしく、現在洛陽内に駐屯できる兵が逼迫している状況でして。呂北様の兵の寄宿先を用意できる余裕が......」

「それなら問題ない。洛陽内の私の土地に押し込めるから。それでは将軍、我が住処へと案内致しましょう」

先程の機嫌取りで上機嫌になり話を聞いていない袁紹は、そのまま一刀に連れられ洛陽内に入城していった。

洛陽に入城した瞬間、城内は絢爛な賑わいを見せていた。人が循環し、声が飛び交い、物を売る店が立ち並んでおり、その光景に袁紹は言葉を失った。

「こ、これは......」

袁紹が言葉を失ったのは、洛陽の賑わいであった。以前彼女が洛陽を訪れた際は、街は静まり、暗い空気が充満し、死臭とまではいかないまでも、町裏にまで行こう物であれば人でも死んでいるのではないかと思わせるほどであった。それでも、都市の中心である宮中まで進めば、幾らか栄えの様な物が垣間見えた為、毎回洛陽に入った瞬間に馬を走らせた記憶があったのだが、今の街にそんなものは皆無であった。

「さて。将軍、本日は軍もおりますし宮廷に参上するのは明日に致しましょう。我らはこちらに」

そういって一刀が指さした先は、袁紹がかつて嫌悪した町裏の方向で会った。

「え、しかしそちらは?」

「あぁ、私の別荘はこちらなのですよ。さぁさぁ」

そういい一刀は先に歩を進めて行くが、袁紹はその先に行くことに戸惑いを生じた。その昔、先代である袁成に洛陽に連れられて教わったことは、「洛陽の裏町には人攫いが横行している。だから近づいてはならない」と言われたのだ。

その教えからか、袁紹は彼の者の後追うことを躊躇ったが、何故かとりあえず着いていってみることにしたのだ。

今の自らは力の無い無垢な子供ではない。側に侍らせているのは自らの軍最強の将二人。だがそれ以上に、興味が沸いて来たのだ。あの頃死臭がしてくる感じがした裏町からは、人の出入りが激しくなっており、そして自らの勘違いか、まるで洛陽の街の流れを、裏町が作っているかの様な、そんな錯覚を覚えた程であった。

 

 袁紹が裏町に入ると、先程街の入り口の賑わいとはまた違った賑わいを見せていた。先程以上に人が横行し、先程以上に街中に店が立ち並び、そして声が飛び交っていた。

「こ、これは!?」

「驚かれましたか?これが私の別荘です」

洛陽の裏町は全体的に歓楽街へと生まれ変わっており、そこにはかつての死臭の感じた街並みは存在せず表通り以上の賑わいを見せて、人と物が行き来していた。

「お、呂北様でねぇか!?」

「ホントだ、呂北様だ‼」

「呂北様ぁ」

住人の誰かが一刀に気付くと、街の住人の誰もが一刀に声をかける。

「お?おやっさん、腰の方はどうだ? 奥さん、旦那の浮気癖は治ったか? おい坊主、こんな場所じゃなくて向こうで遊べ‼」

一刀は問いかけられた声に全て答えながら先を進んでいき、声の多さに放心気味の袁紹は自ら声をかけて先導する。

「お前ら、幕舎は向こうにあるから、荷物を降ろして今日は好きにしていいぞ」

「はっ。呂北様の護衛は?」

「大丈夫だ。袁家最強の将が控えているだ。ほら、解散だ解散」

彼は両手をヒラつかせて自身の兵を散らばらせ、白華と袁紹一行を引き連れて歓楽街を突き進んでいく。

ちなみに恋と音々音、愛華は途中より別行動をとっておりこの場にはいなかった。

 

 日も沈んで夜となり、洛陽の街の朝の賑わいはすっかり冷めてしまったが、一刀達のいる歓楽街は未だに明るさを残し、至る場所にて油で灯された火の光が出ていた。

昼間の歓楽街は飯屋や玩具、道具屋が立ち並んでいたが、夜になると酒屋などは飲み屋に変わり、飯屋も昼の題目から夜の題目に変更し、店から香が焚かれた風俗店も立ち並び始めた。

「ささ、袁紹殿一献どうぞ」

袁紹の前に並べられた採食兼備な料理の一覧に、彼女は顔を引きつっていた。

彼女が案内された呂北邸の別荘では、特に煌びやかな装飾の家ではないが、無駄を省いた質素な彩。裏町においては他の建物より一線を越して大きな建物であった。邸内に入ってもそれは変わらず、季節にあった庭園や、廊下や壁際にかけられた装飾品は決して主張しない地味な物。

絢爛な色を好む袁紹は、始めこそ呂北邸を侮り内心鼻で笑っていたのだが、中に入って過ごしているうちに、何故か徐々に心が落ち着く感じがしていた。

派手な物を見れば心躍るものがあるが、地味で質素で無駄を省いた物の先での今の心境的に、自らの思考が静観していると分かった。

そんな環境の変化なのか、夜の歓迎会に呼び出された時の袁紹自身の姿は、肌に身に着けていた派手な金をちりばめた装飾品などは全て外して宴会に出席した。

始めこそ部下の顔料と文醜に泥棒にでもあったのかと心配されたが、そんな袁紹の心境の変化を知って、部下二人はまた違った意味で心配された。

 

 


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