No.1099206

英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~

soranoさん

第144話

2022-08-03 00:34:22 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1073   閲覧ユーザー数:637

 

 

 

 

~”モルテニア”・第1会議室~

 

「な……ちょ、ちょっと待ってください!既に俺と契約を交わしたベアトリースはともかく、”ドロテア先輩を除いた全員”という事は、俺やエーデルガルト達のようにゼムリア大陸出身の部隊長達もそうですが、フェルディナント先輩達ディル=リフィーナ出身の部隊長達、それにルシエルやデュバリィさんまで俺の”家臣”になる事を承諾したのですか……!?」

セシリアが口にした驚愕の答えを聞いて一瞬絶句したリィンは信じられない表情を浮かべて訊ねた。

「ええ。デュバリィ殿とルシエル殿は面談の場では即答しなかったけど、私が他の人達との面談をしている間にそれぞれ仲間や配下達と相談して決めたみたいでね。全ての人達との面談を終えて”モルテニア”に戻ろうとした時に二人とも私を呼び止めて”承諾”の返事をしたわ。……ちなみにドロテアは”歌姫”としての活動で、リィンを支えてくれるそうよ。」

(うふふ、これでルシエルがご主人様の守護天使になって、ご主人様の新たなハーレムメンバーになるのも目前のようなものね♪)

(あ、あの……ルシエル様はリィン様の”家臣”になる事を決めたのであって、守護天使になる件とはまた別の話になると思うのですが……)

(そういえばレジーニアはいつものように外に出て書物を読んでいるけど……もしかしてルシエルからルシエル達の将来について相談されたのかしら?)

(もしルシエル様がリィン様と”契約”なされば、わたしにも”後輩”ができるのですね……!)

(うぐぐぐぐぐ……っ!もし、ルシエルが我が主と守護天使契約をすれば、ルシエルの位階はこの身よりも上の”力天使”に……!)

セシリアの話をリィンの身体の中や剣の中で聞いていてからかいの表情を浮かべてある推測をしているベルフェゴールにメサイアは冷や汗をかいて指摘し、アイドスは考え込み、アンリエットは期待するような表情を浮かべ、ユリーシャは頭を抱えて唸り声を上げていた。

 

「そしてクロイツェン州統括領主に内定しているお前を”家臣”として支えてもらう為には当然”相応の地位”が必要だ。幸いにも灰獅子隊の部隊長達は今回の戦争での”灰獅子隊での活躍に対する褒美”という名目もあった為、元々実家が貴族の爵位を持つ者達は実家の爵位を上げ、平民だった者達には本人の意思を確認の上で爵位もそうだが希望する者達にはこの条約で我が国の領土として併合する事になる領土の一部の領主権限を与える事にした。……ちなみに条約には書いていない”鉄騎隊”の面々――――――”神速”には”子爵”、他二人には”準男爵”の爵位を与える事が既に決まっている。」

「それと本国――――――ディル=リフィーナ出身の平民であるシルヴァとベルグリーズにはそれぞれ男爵位を、貴族であるフェルディナント達には希望する者達にはエリゼの時のようにそれぞれ個人を初代の当主としたそれぞれの実家の”分家としての爵位”を与えたり、後は実家によるゼムリア大陸側の交易の優先権を与えたり等と言ったそれぞれの希望に応じた。――――――ああ、それとベアトリースが率いている魔族達もそうじゃが、ルシエルが率いている天使達も全員リィン。お主自身に仕える兵として、正式に我が国に所属する事になったとの事じゃ。」

「ベアトリースとルシエルの配下の魔族や天使達まで………それで話を第7条の件に戻しますが、何故エレボニアの皇族や貴族に対して自分達――――――ゼムリア大陸側のメンフィル帝国の貴族との婚姻に制限をかけているのでしょうか?」

リウイとリフィアの説明を聞いて納得した様子で答えたリィンは質問を続けた。

「簡潔に言えば、エレボニアが貴方達との婚姻を理由にして賠償金の一部の相殺といった戦後実行しなければならないこの条約の譲歩をさせない為ね。」

「後はお前達シュバルツァー家を含めた元エレボニア出身のメンフィル貴族達が情にほだされない為の”予防措置”でもある。」

「へ……それは一体どういう事なんでしょうか?」

セシリアとリウイの説明の意味がわからなかったリィンは呆けた声を出した後戸惑いの表情で訊ねた。

 

「単純な話よ。今回の戦争で我が国に対して様々な負債を背負う事になってしまった事もそうだけど、国民の信頼も地に堕ちたエレボニアが少しでも早く信頼を回復する為にも皇族、もしくは貴族――――――それも四大名門クラスの大貴族がメンフィル帝国の皇族か今回の戦争で大出世したリィン。貴方の実家であるシュバルツァー家から嫁か婿を迎える事で、シュバルツァー家の名声に縋る事もそうだけどシュバルツァー家を含めたメンフィル帝国の貴族達との縁戚関係を理由に賠償金等の条約の譲歩をさせない為よ。ちなみにシュバルツァー家以外のメンフィルの貴族――――――エーデルガルト達の実家を指名した理由はシュバルツァー家と同じゼムリア側のメンフィル貴族かつ元々はエレボニア人だからよ。」

「クク、”かつての故郷であるエレボニアが苦境に陥っているから、かつてのエレボニア人としてのよしみで助けてくれ”みたいな理由で縁談を頼んでくるのは目に見えているものなぁ?」

「そうですね。しかも既に内戦でアルフィン皇女を匿った件もそうだけど、今回の戦争でエレボニアを救う為にメンフィル帝国軍側で手柄を挙げ続けた”シュバルツァー家という前例”もあるのですから、その”前例”を”悪用”してくる可能性は十分に考えられるますものね。」

「……それは………」

セシリアの説明、不敵な笑みを浮かべたギュランドロスと困った表情を浮かべて答えたルイーネの推測を聞いたリィンは複雑そうな表情を浮かべて答えを濁し

「それと第5条の件でお主達シュバルツァー家に”謝罪”を名目にしたエリゼとエリスにとっては”怒り”を抱くような提案をしてくる可能性もあるの。」

「!?何故そこで第5条もそうですが、エリゼとエリスが関係してくるのですか……!?」

不愉快そうな表情を浮かべて呟いたリフィアの推測を聞いたリィンは血相を変えて訊ねた。

「第5条にも書いている通り、ユーゲント三世自身にお主達シュバルツァー家に内戦の件での謝罪金並びに賠償金を支払わせる事じゃが……その謝罪金並びに賠償金の代わりとして、エリゼかエリスをセドリック皇太子、もしくはオリヴァルト皇子の”正妃”として迎える縁談の提案をしてくる可能性が考えられるという事じゃ。」

「衰退が決定しているとはいえ、他国の皇家の”正妃”として嫁げる事は貴族としては名誉な事だものね。」

「しかもシュバルツァー家は元々はエレボニアの貴族で、おまけにアルノール皇家とも縁ある貴族だったんだから、姉妹の内のどっちかを皇太子か放蕩皇子の正妃として迎えるべきだと馬鹿な事をほざくエレボニアの貴族達は間違いなく現れるだろうな。」

「……ッ!待ってください……!殿下達もご存じのように、二人は既に自分と婚約の関係であり、その事実は皇太子殿下達――――――アルノール皇家もご存じですから、そんな道理に反する事は殿下達アルノール皇家が許さないと思われます……!」

リフィアの説明とルイーネとギュランドロスの推測を聞いたリィンは唇を噛み締めた後真剣な表情で反論した。

「リィン将軍閣下も仰る通り、確かにリィン将軍閣下とエリス先輩たちの関係もご存じの皇太子殿下達でしたらそのような道理に反する事は絶対に許さないでしょうが、ギュランドロス陛下も仰る通り第7条の件がなければ――――――いえ、あったとしてもエレボニアの信頼回復や賠償金の減額等の為にエリス先輩かエリゼさんを皇太子殿下達の妃として迎える等と言ったあまりにも愚かな提案をする貴族達が一定数現れる事は確実でしょうし、ユーゲント皇帝陛下に対して不敬を承知で発言させて頂きますが、”あのオズボーン宰相を重用したユーゲント皇帝陛下ならばエレボニアの為にそのような愚かな提案を承諾する事もあり得る”可能性も考えられますわ………――――――それこそ、”ユーゲント皇帝陛下を含めてシュバルツァー家ならばアルノール皇家やエレボニアの為に承諾してくれると自分勝手な希望を抱く者達”も現れると思われますわ。」

「それにエリゼとエリスを諦めたとしても、次代――――――つまり、リィンとエリゼかエリスの間に子供が生まれれば、その子供をアルノール皇家に嫁がせる縁談の提案の声も挙がるじゃろうな。」

「……………………………その、教官達は婚姻による縁戚関係を利用して賠償金の減額等をさせない為と仰いましたが、アルフィンの件はどうお考えなのでしょうか?」

それぞれ真剣な表情で意見したミルディーヌ公女とリフィアの意見を聞いて複雑そうな表情で黙り込んでいたリィンは新たな質問をした。

 

「”アルフィン卿”に関しては特に問題ないわよ。”アルフィン卿”は元々戦争勃発前の条約の実行――――――アルノール皇家から出奔している上、貴方も知っているように”第三機甲師団”を寝返らせた功績で我が国から”男爵位”を与えられている――――――つまり、メンフィル帝国に所属する一貴族の一員よ。現に第7条にもアルフィン卿の”メンフィル帝国貴族としての名前であるレンハイム”の名も挙がっているでしょう?」

「そういえばそうでしたね………(というかよく見たらアルフィンもそうだが、セレーネの爵位まで上がっているな……)えっと、第7条の件についてミュゼはよかったのか?この条約内容通りだと当然ミュゼも対象者の一人になると思うんだが……」

セシリアの答えを聞いたリィンは安堵の溜息を吐いた後アルフィンとセレーネの爵位まで上がっている事に気づくと冷や汗をかき、そして気を取り直してミルディーヌ公女を見つめてある疑問を訊ね

「フフ、その点はご安心くださいませ♪私の場合は、私がリィン将軍閣下と縁談を結ぶ事は既にリウイ陛下達――――――つまり、”マーシルン皇家からの許可は下りています”から、私がリィン将軍閣下の伴侶の一人になる事には何の問題もございませんわ♪」

「ミルディーヌ公女はリィンも知っての通り、ヴァイスラント新生軍の総主宰として、そして灰獅子隊の一員として今まで我が国に貢献し続けた件があるから、ミルディーヌ公女に関しては”例外”なのよ。」

「まあ、そもそも条約にも書いてある通り、あくまで”シュバルツァー家を含めたメンフィルの貴族の関係者達がエレボニアの皇家、貴族に嫁ぐ事を制限している”のであって、その逆――――――エレボニアの皇族、貴族の関係者がメンフィルの貴族に嫁ぐ事は制限していないのじゃから、リィンをカイエン公爵家の婿として迎えるのではなく、あくまでリィンの伴侶の一人―――――つまり、シュバルツァー家の一員になる事が目的のミルディーヌ公女は余達の許可がなくても、大丈夫じゃがな。」

「?メンフィルの貴族の関係者がエレボニアの皇家や貴族に嫁ぐ事は制限して、その逆は制限していないとの事ですが、一体何が違うのでしょうか?」

微笑みながら答えたミルディーヌ公女の答えにリィンが冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中セシリアは苦笑しながらミルディーヌ公女の説明を捕捉し、呆れた表情で答えたリフィアの話が気になったリィンは不思議そうな表情で訊ねた。

「エレボニアの皇家や貴族に嫁げば、当然その嫁いだ家の一員になって、今回の戦争による敗戦で到来することになる”冬の時代”が訪れたエレボニアの苦難を一緒に背負う事になるだろうけど、その逆――――――エレボニアの皇家、貴族の関係者がメンフィルの貴族に嫁いだ所で、その嫁いだ人物がメンフィルの貴族の一員になるから、エレボニアの苦難を一緒に背負う必要はない――――――いえ、むしろその嫁いだ人物はエレボニアの苦難から解放されることになるからよ。」

「ま、要するにお前達シュバルツァー家を含めたメンフィルの貴族の関係者達をエレボニアの苦難に巻き込ませない為でもあるんだろうぜ。」

「……………………第7条の件も理解しました。次は自分も関係している第8条の保護の件について伺いたいのですが……”メンフィルが指定する保護期間”と書いてありますが、この”保護期間”とは具体的にはどれ程の年数なんでしょうか?」

ルイーネとギュランドロスの説明を聞いて複雑そうな表情で黙り込んでいたリィンは気を取り直して新たな質問をした。

 

「今の所はセドリック皇太子の年齢が21歳になれば、その時、もしくはその年度末を持って”保護期間の終了”を予定している。」

「皇太子殿下が21歳になればという事は今から約5年後ですか……何故、皇太子殿下の年齢……それも、成人を迎える20歳ではなく21歳という中途半端な年齢が関係しているのでしょうか?」

リウイの説明を聞いて考え込んだ後に出て来た新たな疑問をリィンは訊ねた。

「それは皇太子が成人を迎えた時に即位する事を仮定し、即位後の皇太子への引継ぎ等で1年は必要と判断し、皇太子の年齢が21歳になれば、”保護期間”の終了を決めたとの事じゃ。」

「なるほど………ただ、皇太子殿下の即位が20歳よりも遅くなる、もしくはその逆の可能性もありえますが、その際は皇太子殿下が即位してから1年後が”保護期間”の終了になるのでしょうか?」

リフィアの説明を聞いてある事に気づいたリィンはリフィアに訊ねた。

「うむ。それと様々な理由で皇太子の即位が遅れても、最長10年で”保護期間”の終了をするとの事じゃ。”保護期間”があまりも長いと、今度は他国からメンフィルはエレボニアを”保護”という名目で隷属させているのではないかと邪推されてしまう可能性が考えられるからの。」

「……第8条の件も理解しました。次は第10条のエレボニアに設立予定の我が国の大使館にメンフィル軍を駐留させる理由もそうですが、駐留軍の費用の半分をエレボニアの政府が負担しなければならない理由を伺いたいのですが……」

「まず、大使館にメンフィル帝国軍を駐留させる理由は単純な話、”メンフィルがエレボニアを信用できないからだ。”」

「……その”信用できない理由”はやはり、今回の戦争の件でしょうか?」

リフィアの答えを聞いた後に問いかけた自分の質問に答えたリウイの説明を聞いてある事を察したリィンは複雑そうな表情で訊ねた。

 

「ええ。先程ルイーネ皇妃も仰っていましたが、”代替わり”が起これば、その代替わりした王によってはその国の方針が大きく変化する事もあるわ。そしてその方針が”メンフィルとの和解から、メンフィルとの対立――――――いえ、メンフィルへの報復”に変われば、当然大使館の関係者達の身も危なくなるわ。……ここまで言えば、メンフィル軍を大使館に駐留させる理由もわかるでしょう?」

「……もし、代替わりしたエレボニアの皇帝の方針によって大使館の関係者達に危機が訪れた場合、彼らを護る――――――いえ、逃がす時間を稼ぐための駐留軍ですか。」

セシリアは説明した後リィンに問いかけ、問いかけられたリィンは複雑そうな表情でセシリアの問いかけに答えた。

「ああ。そしてメンフィルの戦争相手かつ今までの経緯によってメンフィルの信用が地の底まで堕ちた国に大使館を設立して我が国の貴重な人材を派遣し、その者達を護る為にメンフィル軍も派遣するのだから、メンフィルにそこまでさせたエレボニアには駐留軍の軍費の半分は負担させるべきだという考えだ。」

「ちなみにクロスベルにもメンフィルの大使館を設立予定だが、当然エレボニアみたいに駐留軍を派遣する予定はないぜ。」

「それは………――――――そういえばエレボニアに設立予定の我が国の大使館はエレボニアのどこに設立するつもりなのでしょうか?やはり他国の大使館も設立されている帝都(ヘイムダル)ですか?」

リウイの説明とリウイの説明を捕捉したギュランドロスの話を聞いて複雑そうな表情を浮かべたリィンはある疑問を抱き、それを訊ねた。

「いえ、オルディスよ。」

「へ……帝都(ヘイムダル)ではなく、オルディスですか!?何故オルディスに……」

セシリアが口にした意外な答えに一瞬呆けた声を出したリィンは驚きの表情を浮かべた後ミルディーヌ公女を気にしながら困惑の表情で呟いた。

 

「大使館をオルディスに設立する理由は3つ。一つはオルディスがクロスベル帝国領となったフォートガードに隣接している事で、エレボニアの方針がメンフィルへの報復へと変わった時に大使館の関係者達や駐留軍をメンフィルの”盟友”であるクロスベル帝国領へと撤退させることもできるからよ。」

「当然、”万が一”があった際は撤退してきたメンフィルの連中を受け入れて庇う事はオレ様達クロスベルも了承済みだぜ?」

「フフ、その”万が一”は少なくても即位した皇太子殿下が現役の間はありえないとは思いますが、もしその”万が一”が起こってしまえばラマール領邦軍にも撤退の為の時間稼ぎをさせますわ。――――――何せ、私は衰退したエレボニアを復興させる為にはメンフィルとの外交関係を回復させる事を最優先と考えている”親メンフィル派エレボニア貴族の筆頭”ですので。」

「……大使館をオルディスに設立する二つ目の理由はもしかして、オルディス――――――いえ、カイエン公爵家がメンフィル帝国政府・皇家にとっては信用できるからですか?」

セシリアの説明の後に答えたギュランドロスとミルディーヌ公女の説明を聞いて少しの間考え込んだリィンはある推測をセシリアに確認した。

「ええ。リィンも知っているように前カイエン公の愚行によって我が国のカイエン公爵家の印象はアルバレア公爵家同様”最悪”まで堕ちたけど、メンフィルの盟友であるクロスベルでのユーディット皇妃・キュア公女姉妹の働き、そしてこの戦争でのミルディーヌ公女のメンフィルへの貢献を考慮した結果、”少なくてもミルディーヌ公女とその跡継ぎが現役の間はカイエン公爵家の方がアルノール皇家よりは信用できる”と政府・皇家共に判断した事で大使館の設立場所はオルディスを選択したとの事よ。」

「そして最後の理由は………これに関してはリィン。”お主自身次第”と言った所かの。」

「へ……”俺自身次第”?それは一体どういう事でしょうか?」

セシリアの説明の後に気まずそうな表情を浮かべて答えたリフィアの答えが気になったリィンは戸惑いの表情で訊ね

「クスクス、もしリィン君がミルディーヌ公女とも結婚すれば、当然ミルディーヌ公女が納めている領土――――――つまり、オルディスを含めたラマール東部は”元戦争相手の国であるエレボニアに所属している領土でありながらリィン君の身内が納めている領土でもある”のだから、大使館の関係者達の安全度はメンフィルと同盟関係を結んでいるリベールやクロスベル並みに跳ね上がるでしょう♪」

「そ、それは…………」

可笑しそうに笑った後からかいの表情を浮かべて指摘したルイーネの指摘を聞いたリィンは冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「ふふっ、”3つ目の理由”を現実化する為にも、そろそろ私もエリス先輩や姫様と共に”娶って頂く確約”が欲しいのですが♪」

「う”っ……そ、それよりも……ミュゼはよかったのか?カイエン公爵家の本拠地であるオルディスに他国の駐留軍付きの大使館の配備されることに。」

更に妖艶な笑みを浮かべたミルディーヌ公女に見つめられたリィンは冷や汗をかいて唸り声を上げた後気を取り直してある疑問をミルディーヌ公女に訊ねた。

 

「確かに領土内――――――それも州都であるオルディスに他国の軍を駐留させる事を認める事はバラッド大叔父様を含めた私をよく思わない貴族達から問題として突かれる可能性がある等いくつかの問題が浮上する可能性はありますが、それらを”些細な問題”で片づける事ができる程の”カイエン公爵家としてのメリット”が発生しますから、メンフィル帝国が駐留軍付きで大使館を配備する場所をオルディスに選んで頂いた事は私にとってはむしろありがたい話ですわ。」

「へ……”カイエン公爵家としてのメリット”ってどういうことだ?」

ミルディーヌ公女が口にした意外な答えに呆けた声を出したリィンはミルディーヌ公女に訊ねた。

「まず大使館をカイエン公爵家の本拠地であるオルディスに設置して頂く事で、皇家・政府もそうですが、他の”四大”を含めたエレボニアの貴族達がメンフィル帝国と何らかの交渉をする際にカイエン公爵家を交渉の際の仲介人、もしくは代理人という重要な役割を任せて頂ける事になるからですわ。」

「エレボニアはメンフィルに敗戦した事で当然”敗戦国”であるエレボニアにとってはメンフィルは国家間の関係で言えば上になるのだから、そんなメンフィルとの交渉は非常に重要なものになるでしょうから、交渉の際の仲介もそうだけど代理を任されることになるカイエン公爵家はエレボニアにとって非常に重要な立場になるでしょうね。」

「その件もあるが、エレボニアの中でメンフィルに関する情報を逸早く手にする事で皇家や政府の連中もそうだが他のエレボニアの貴族連中に対して優位に立てる上、万が一国内での公女の立場が不味くなって追い詰められた場合等の非常時にエレボニアの連中が手出しできない大使館に逃げ込んで迅速かつ安全に”亡命”する事もできるからだろう?」

「そうか……大使館の敷地内は”治外法権”になる為、エレボニア軍や憲兵達はメンフィルの許可なく大使館に踏み込む事はできませんね。」

リィンの問いかけにミルディーヌ公女が答えるとルイーネがミルディーヌ公女の説明を捕捉し、ギュランドロスは不敵な笑みを浮かべてミルディーヌ公女を見つめ、ギュランドロスの話を聞いてある事実を思い出したリィンはギュランドロスに続くようにミルディーヌ公女へと視線を向け

「ふふっ、”非常時”に取れる手段は多いに越した事はありませんので。話を戻しますが次に大使館の関係者達や駐留軍がオルディスに滞在している事で、彼らの生活向上の為にオルディスにメンフィル帝国の本国――――――つまり、ディル=リフィーナの商人達の誘致をしやすくなり、誘致に応じた商人達がオルディスで商売をすることでオルディスの統治者であるカイエン公爵家が外貨を得る手段を増やせる事もそうですが、オルディスをエレボニアで随一のディル=リフィーナ――――――異世界の商品が集まる”商業都市”へと発展させる事もできるからですわ。」

「な、なるほど……ちなみに今のミュゼの話について、陛下達はどうお考えなのでしょうか?自分の記憶が確かなら、現在の所我が国唯一の大使館が設置されているリベールのロレント市は”本国”から誘致した商人達によって発展している都市ではありませんでしたが……」

ミルディーヌ公女の説明を聞いて大使館や大使館に配備される予定の駐留軍の存在を逆手に取ってオルディスを発展させる事を考えているミルディーヌ公女の強かさに冷や汗をかいたリィンはリウイ達を見つめて訊ねた。

 

「ロレントの大使館は”本国”と繋がっている転位門の管理も兼ねている関係で普段の生活関係の物資はすぐに”本国”から取り寄せる事ができる為、わざわざ本国の商人達を誘致させる必要もなかったが、エレボニアもそうだがクロスベルに配備する大使館はロレントを経由して輸送する手間等を考えると商人達を誘致し、大使館の近郊で商売をさせた方が合理的な上既にクロスベルでの”前例”もある為、公女の申し出がなくてもいずれは本国の商人達を誘致させる予定だ。」

「”クロスベルでの前例”……―――――!”ラギール商会”ですか……それにしても、大使館や駐留軍がオルディスに配備されることを逆手に取ってオルディスを発展させる方法を考えているなんて、さすがミュゼだな……」

「フフ、お褒め頂き光栄ですわ♪そして最後の理由ですが、オルディスにメンフィル帝国の駐留軍が配備されることでオルディスを含めたエレボニア帝国領であるラマール東部に火事や地震等と言った”有事”が発生した際にそれらに巻き込まれた領民達を救う為の”災害派遣”もして頂けるからですわ。」

リウイの話を聞いて心当たりを思い出したリィンは目を見開いた後苦笑しながらミルディーヌ公女を見つめ、リィンの言葉に微笑みながら答えたミルディーヌ公女は話を続けた。

「”有事の際の災害派遣”……?オーレリア将軍達――――――領邦軍がいるのに、何でわざわざメンフィル帝国軍にも頼る事を考えているんだ?」

「これはジュノー海上要塞を奪還する際に実際にその身で天馬(ペガサス)を駆った事で後で気づいたオーレリア将軍からの意見なのですが……天馬騎士(ペガサスナイト)や竜騎士(ドラゴンナイト)と言った飛行可能な騎獣を駆る騎士達ならば、領邦軍が保有している飛行艇やヘリでは不可能、もしくは厳しかった救助方法――――――例えば飛行艇やヘリでは着地不可能な場所での救助や着地場所や出入口が瓦礫等によって封鎖されてしまった建物に取り残された人々の救助も可能になると仰っていましたわ。」

「黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)の頃にも教えたけど、軍の役割は何も”戦い”だけじゃないわ。災害に巻き込まれた民達の救助もまた軍の役割の一つで、飛行騎士達も当然飛行騎士達だからこそ可能な救助方法を平時の訓練の一つである事も教えた事を覚えているかしら?」

リィンの疑問に対してミルディーヌ公女が答えた後セシリアはリィンに確認した。

「ええ、勿論その教えも覚えています。確かに小回りができる飛行騎士達だったら、飛行艇やヘリでは不可能な着地場所にも着地できる上、救助隊の突入が不可能な状況の建物への突入・救助も可能になるが………メンフィル帝国政府は駐留軍によるラマール東部――――――他国の民達を救う為の”災害派遣”は認めているのでしょうか?」

「うむ。他国の民達の救助の為の我が国の騎士達を”災害派遣”する事で、今回の戦争の件での他国の我が国に対する悪印象の緩和されるだろうし、半分とはいえ他国の駐留軍の軍費をエレボニアが負担するのだから、その件でメンフィルに対して反感や不満を抱くエレボニアの者達の不満もある程度抑えられるだろうからな。」

セシリアの確認に頷いた後訊ねたリィンの質問にリフィアは頷いて答えた。

「リィン将軍閣下もご存じのようにオルディス地方は海に面している事に加えて、ラクウェルは山脈地帯の中に位置していますから、天馬騎士等と言った飛行騎士達もそうですが、海や湖等と言った水上での戦闘を専門としている”水竜騎士”も派遣して頂けると海難事故等と言った”海”に関連する事故や災害が起こった際にも一人でも多くの民達を救う事ができますから、駐留軍には飛行騎士達だけでなく、水竜騎士達も派遣して頂きたいと思っておりますわ♪」

「………駐留軍の件で水竜騎士達も派遣する件での公女の希望や考えはシルヴァン達にも伝えておこう。」

「フフ、飛行騎士達はともかく、今回の戦争では投入しなかった”水竜騎士”の存在まで知っているとは、公女殿の灰獅子隊での我が国に関する情報収集も欠かさず行っていた証拠ですわね。」

説明をした後リウイ達に駐留軍に関する要求をするミルディーヌ公女の様子にリィンが冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中リウイは静かな口調で答え、セシリアは苦笑しながらミルディーヌ公女を見つめて感心していた。

 

「第10条の件も理解しました。それでこれが最後の質問なのですが……陛下は自分にこの条約の写しを見せる前に”仮の条約”と仰いましたが……具体的にはどの条約を変える事が可能なのでしょうか?」

「それは第2条の領土割譲の件で、第2条にはクロイツェン州に関しては”レグラムを除いた全土”と記されているが、ケルディックとバリアハートに関しては”条件次第”でエレボニアに返還しても構わないとの事だ。」

「ケルディックとバリアハートを……?条件次第とはいえクロイツェン州でも有数の交易町であるケルディックと州都のバリアハートを返還しても構わない理由を伺ってもよろしいでしょうか?」

リウイが答えた自身の質問に対する答えを聞いたリィンは困惑の表情で質問を続けた。

「ええ。理由は2つあってね。一つは国境に関する防衛上の問題よ。」

「今の条約通り領土割譲を行えばメンフィルが得るクロイツェン州の内ケルディックとバリアハートがエレボニアの領土であるトリスタ、レグラムと隣接する事でエレボニアとの間にできる国境が二ヵ所も増えてしまう事によって、もしエレボニアの方針がメンフィルへの報復へと変わり、それが最終的に戦争へと発展してしまえば、国境での迎撃の負担が増えてしまうからじゃ。」

「それは………その、自分の勝手な憶測になって申し訳ないのですが、少なくてもレグラム方面を心配する必要はないと思われるのですが……」

セシリアの説明の後に答えたリフィアの説明を聞いて複雑そうな表情を浮かべたリィンは反論した。

「確かに”光の剣匠”もそうだが、”Ⅶ組”の一員でもある”光の剣匠”の娘が領主の間はそのような心配は無用だとは俺達も理解している。――――――だが、遥か未来――――――ラウラ・S・アルゼイドの子孫達も”光の剣匠”やその娘のような者達になる保証はどこにもないし、そもそも”アルゼイド”もエレボニアの貴族である以上、代替わりしたエレボニアの皇帝からの勅命――――――エレボニアによる領土奪還の為にレグラムをバリアハートへ侵攻するエレボニア帝国軍の拠点にしろ等と言われてしまえば、従うしかあるまい。」

「……………………………だから、ケルディックとバリアハートを返還する事でクロイツェン州の国境を1ヵ所に絞り込んだ方がいいかもしれないと、メンフィル帝国政府は考えているのですか……」

リウイの推測を聞いたリィンは複雑そうな表情で少しの間黙り込んだ後、静かな表情で推測を口にした。

 

「ええ。そしてもう一つの理由はリィン、貴方よ。」

「へ……俺がケルディックとバリアハートを返還しても構わない理由とは一体どういう事でしょうか?」

セシリアが答えた予想外の答えに呆けたリィンは戸惑いの表情で訊ねた。

「その件を説明する前にリィン。この戦争が終結した後、アルノール皇家もそうだけど新政府は”アルバレア公爵家”に対してどのような”処罰”を下すと思うかしら?」

「アルノール皇家や新政府による”アルバレア公爵家に対する処罰”ですか………前アルバレア公が前カイエン公と並ぶ内戦の主犯である事に加えて、北の猟兵達によるユミル襲撃を指示した事によって今回の戦争勃発の元凶の一人でもあり、更に嫡男であるルーファスさんは貴族連合軍の”総参謀”にして鉄血の子供達(アイアンブリード)の筆頭であった事を考えると、幾ら現アルバレア公爵家当主であるユーシスが内戦終結の為の貢献もそうですが今回の戦争で皇太子殿下達の”紅き翼”としての活動への協力の件があったとしても、良くて”爵位降格”、最悪は”爵位剥奪”なのではないしょうか?」

セシリアの問いかけを聞いて考え込んだリィンはユーシスを思い浮かべた後複雑そうな表情で推測を口にした。

「確かにアルバレア公爵家が犯した罪を考えるとその処罰内容が妥当な所ね。」

「オレ様達の世界だと”爵位剥奪”どころか、”一族郎党処刑”になるがなぁ?」

「うむ。……まあ、放蕩皇子達の性格からして、”爵位剥奪”のような”皇子達にとっては惨い処罰”はできんじゃろう。ましてや内戦や今回の戦争での”紅き翼”の一員として皇子達と共に内戦終結や今回の戦争の解決の為に行動していたのだからな。」

「加えてアルバレア公爵家は”四大”の一角でもありますから、失墜したとはいえ”四大”の一角が皇家や政府に従順になる事は殿下達にとってもメリットがあるでしょうから、アルバレア公爵家を完全に潰す事は絶対にありえないかと。ですから、敗戦後の条約実行の為にも”爵位降格”と”領地取り上げ”、そして”クロイツェン州統括領主権限の剥奪”と言った所でしょうか。」

「…………それで、アルバレア公爵家の処罰の件がケルディックとバリアハートを返還する件に俺自身が関係している件にどう繋がるのでしょうか?」

リィンの推測を聞いたルイーネは頷き、不敵な笑みを浮かべて答えたギュランドロスの推測にリフィアは同意した後に呆れた表情で、ミルディーヌ公女は静かな表情でそれぞれ推測し、リフィアとミルディーヌ公女の推測を聞いたリィンは複雑そうな表情で黙り込んだ後質問を続けた。

 

「確かトールズ士官学院からヴァリマールを徴収した際のエリゼの話によると、ユーシス・アルバレアは1度目のユミル襲撃の件に関して随分と責任を感じている様子だったらしいな?」

「え、ええ。確かにエリゼからもその話は教えてもらいましたが……」

「1度目のユミル襲撃の件の責任を取る為に父親や兄の命、アルバレア公爵家の莫大な財産の全てだけではなく、自身の命もメンフィルに捧げる程メンフィルもそうだけど、リィン。貴方達シュバルツァー家に対して相当な罪悪感を抱いているのなら、”ケルディックと故郷にして州都であるバリアハートと引き換えにアルバレア家をアルノール皇家や政府の勅命に逆らってでもメンフィル帝国領と化するクロイツェン州の統括領主であるシュバルツァー家を護る盾”にするという事よ。」

リウイの指摘にリィンが戸惑いの表情で肯定した後セシリアが説明を続けた。

「な―――――”アルバレア家を俺達――――――シュバルツァー家の盾にする”って一体どういう事なんですか……!?」

セシリアの説明を聞いて一瞬絶句したリィンは血相を変えて訊ねた。

「簡単に言えば、メンフィル帝国領と化したクロイツェン州に面しているエレボニア帝国領の領主を1度目のユミル襲撃の件でメンフィルやリィン達に何らかの”償い”をしなければならないと考えているアルバレアの次男にする事で、もし代替わり等でエレボニアの方針がメンフィルへの”報復”や”領土奪還”になった際にメンフィル帝国領のクロイツェン州に面しているバリアハートからの侵攻をアルバレアの次男やその子孫に防がせるって事だよ。」

「しかもメンフィル帝国領の統括領主であるリィン君はユーシス君にとっても”信頼できる級友”の一人でもあるのだから、平時でも商売や交流等も円滑になるとメンフィルは考えているのよ。」

「念の為に先に言っておくが、黒の工房の本拠地の捜索の件で一時的に”Ⅶ組”に協力していたレン達からの話によるとユーシス・アルバレアは兄であるルーファス・アルバレアがお主に討たれた事について、お主に対して思う所はない上ルーファス・アルバレアは討たれて当然の存在だと断言していたとの事じゃから、ルーファス・アルバレアを討った件でユーシス・アルバレアとお主の関係が壊れる心配は無用とだと思うぞ。」

「………それは………ですが、幾らユーシスでも、政府はともかくアルノール皇家の”勅命”には逆らえないと思うのですが……」

ギュランドロスとルイーネ、リフィアの説明を聞いて複雑そうな表情で答えを濁していたリィンはある疑問を口にした。

 

「先程も言ったように1度目のユミル襲撃の件に責任を感じているのだろう?――――――ならば、その責任を”皇家や政府に逆らってでもシュバルツァー家――――――メンフィル帝国領として併合されたクロイツェン州の領土を護る”という形で示すのであれば、その”対価”としてケルディックとバリアハートもエレボニアに返還するという事だ。――――――当然、変更する条約の条文にはユーシス・アルバレアをケルディックとバリアハートの領主に就かせる旨も追加しておく。」

「ふふっ、エレボニアは”敗戦国としてメンフィル帝国の要求に従わなければならない立場”なのですから、その要求の中に本来は領地を取り上げざるを得なかったアルバレア――――――ユーシス卿をケルディックとバリアハートの領主にせよという内容もあれば、当然ユーシス卿をケルディックとバリアハートの領主に就かせなければなりませし、慈悲深く、そして仲間想いな殿下達の事ですから、”好都合”と感じられるかもしれませんわね。」

「…………………………」

リウイとミルディーヌ公女の説明や推測を聞いたリィンは複雑そうな表情で黙り込んでいた。

「……その様子だと、幾らかつての級友に故郷を返してあげられるとはいえ、場合によってはアルノール皇家に逆らわせる事に思う所があるようだけど、逆に考えればエレボニアが領土奪還やメンフィルへの報復を行う事を考えなければ、エレボニアはケルディックとバリアハートも返還してもらえる上、エレボニアの貴族達の中で最も先行きが不安なユーシス・アルバレアも領主に返り咲く事ができるのよ。」

「ちなみにですが、皇太子殿下がエレボニア皇帝として現役の間はそのような”盤面”は今の所1度も見えた事がありませんから、少なくてもユーシス卿が現役の間はリィン将軍閣下が心配しているような未来は訪れないかと。」

「ハハ、”盤面が見える”異能を持つミュゼが言うと説得力があるな。――――――話を戻しますが、ケルディックとバリアハートの返還の件に関しては既に”返還の対価”の案も出ているにも関わらずまだ決定していないとの事ですが、それは何故でしょうか?」

セシリアとミルディーヌ公女の説明を聞いて苦笑したリィンは気を取り直してリウイを見つめて訊ねた。

「その理由はリィン。ケルディックとバリアハートの返還の件はお前に委ねるべきではないかとセシリアから意見があった為、その意見をシルヴァン達が採用したからだ。」

「へ……お、俺に!?教官は何故陛下達にそのような意見を……」

リウイの答えを聞いたリィンは驚いた後戸惑いの表情でセシリアを見つめて訊ねた。

 

「――――――顔には出さないように隠しているようだけど今回の戦争で貴方がユーシス・アルバレアの”全て”――――――家族、故郷、領地、そして名誉を奪った事でユーシス・アルバレアに対して罪悪感を抱いている事に気づいていないと思っていたのかしら?これでも私は貴方の元”担当教官”でもあるのよ?」

「あ……………………」

静かな笑みを浮かべて指摘したセシリアの言葉を聞いたリィンはセシリアが自分の為にユーシスにせめて故郷を返す事を考えていた事に気づくと呆けた声を出した。

「……陛下は先程ケルディックとバリアハート返還の件を委ねるとの事ですが、本当に自分の判断で決めていいのでしょうか?」

「うむ、余やリウイは当然として、父上も既に了承済みだから、余達に気にすることなく決めてよいぞ。」

そして少しの間考え込んだリィンは質問し、リィンの質問に対してリフィアは力強く頷いて答えた。

「……わかりました。そういう事でしたら、陛下達の寛大なお心遣いに甘えて………――――――エレボニアへのケルディックとバリアハートの返還、是非よろしくお願いします。」

「……本当にいいのだな?ケルディックとバリアハートの返還の条件として、ユーシス・アルバレアとその子孫に政府だけでなく、アルノール皇家の”勅命”にも逆らわせる事に。」

リィンの答えを聞いたリウイは静かな表情で確認した。

 

「はい。ですがそれはあくまで、”エレボニアがメンフィルへの報復や領土奪還を行おうとした時”なのですから、ユーシスもそうですがⅦ組やトールズのみんな、そして殿下達はエレボニアが再び我が国に戦争を仕掛けるような事を起こさないようにしてくれると信じています。」

「……そうか。ならば条約の変更の旨、シルヴァン達に伝えておく。」

リィンの話を聞いたリウイは静かな笑みを浮かべて答えた。

「そんじゃ、3日後の”西ゼムリア通商会議”で皇太子達もそうだが、リベールやレミフェリアのVIPの連中に変更した条約に調印させれば後は残った”鉄血”共を討伐すれば、”動乱の時代”もそうだが、”巨イナル黄昏”も万事解決だな。」

「へ……3日後に”西ゼムリア通商会議”が行われるって一体どういう事ですか……!?」

「その件についてだが――――――」

ギュランドロスが口にした話を聞いたリィンは驚きの表情で疑問を口にし、その疑問についてリウイが説明を始めた。

 

その後3日後に控えている”西ゼムリア通商会議”の説明や西ゼムリア通商会議”の際の”灰獅子隊”の任務についての説明を聞き終えたリィンはレボリューションに帰還してから部隊長達を集めてブリーフィングを行った後、久しぶりに仲間達の様子を見る為に艦内の徘徊を始めた――――――

 

 

 

 

次回は久しぶりにして(恐らく)灰の騎士の成り上がりでの最後の絆イベントです。なお、絆イベントの相手はシズナ&クロガネ、デュバリィ達”鉄機隊”、ルシエル、そしてミュゼの予定です。

 

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