No.1094174

英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~

soranoさん

ハーケン会戦~激突の時~

2022-06-07 00:31:48 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:3264   閲覧ユーザー数:1945

~ハーケン平原~

 

「げ、”幻想の小窓”……!どうしてセシリア将軍が魔女の眷属(わたしたち)の魔法を……!?」

「ロゼの話だと、メンフィルの連中は郷にあった書物を全て複写して”本国”に持ち帰ったって話だから、大方その複写した書物――――――魔導書の中にあった”幻想の小窓”を習得したって所でしょうね。」

「そんなことよりも、もう戦闘開始寸前の状況じゃない!?」

セシリアが魔女の眷属(ヘクセンブリード)の一族しか扱えないはずの魔法を使った事にエマは信じられない表情で声を上げ、セリーヌは目を細めて推測を口にし、サラは映像に映っている状況を見て焦りの表情で声を上げた。するとその時映像ではリィンがヴァンダイク元帥に降伏を呼びかけていた。

「リィン……!」

「さすがのリィン君も学院長は父上の時のように問答無用で殺したくなかったようだね……」「

リィンの降伏の呼びかけを見ていたアリサとアンゼリカはそれぞれ安堵の表情を浮かべたが、その安心を裏切るかのようにヴァンダイク元帥はリィンの降伏の呼びかけを断った。

「そ、そんな!?どうして学院長は”学院長達の作戦が絶対に失敗するとわかっていて”、降伏の呼びかけを断るんだ!?」

「まさかヴァンダイク元帥は……」

ヴァンダイク元帥がリィンの降伏の呼びかけを断った事にマキアスは信じられない表情で声を上げ、ヴァンダイク元帥の考えを悟ったアルゼイド子爵は複雑そうな表情を浮かべた。

 

ギリアスによる謀――――――”焦土作戦”も儂は作戦実行前に知っておきながら、それが”内戦が終結したばかりの疲弊したエレボニアを護るため”と自分に言い聞かせて阻止せず、”アルスター襲撃”も”第二のハーメル”である事にも気づいていながら、目を逸らした。そんな儂もギリアスと”同罪”じゃから、公女殿の指摘に対して反論するつもりはない。――――――だからこそ、儂はこの戦争でエレボニアを勝利に導く事を貫き通さなけばならないのじゃ。戦争に勝つ為に自らの手で国民達を傷つけ、苦しめてしまった以上、その責任を取る為にも”どんな絶望的な状況に陥ろうとも国民よりも国を優先してギリアスの謀から目を逸らし、従い続けた儂には諦める資格は許されないのじゃ。”

 

「が、学院長………」

「学院長は”焦土作戦”もそうですが、”アルスター襲撃”の件に対して私達が思っていた以上に強い責任や罪悪感を感じられていたのですね……」

映像に映るヴァンダイク元帥の言葉を聞いたロジーヌは悲痛そうな表情を浮かべ、トマスは複雑そうな表情で呟いた。そして場面は進み、オーレリア将軍達とギュランドロス達がリィン達の援軍として現れる場面になった。

「オーレリア将軍……!」

「それにギュランドロスさんまで……」

「”騎神”二体に”神機”、そして後方からの支援攻撃を行う”ケストレル”、準起動者達による援護に加えて”黄金の羅刹”と”紅き暴君”の加勢は幾ら機甲兵の中でも圧倒的出力・装甲能力がある”ゴライアス”でも”分が悪すぎる相手”だな……」

「ヴァンダイク元帥にとっては”最悪の布陣”ですね……」

オーレリア将軍達の登場にラウラは真剣な表情で声を上げ、ガイウスは複雑そうな表情で呟き、ジンは重々しい様子を纏って呟き、エレインは厳しい表情で推測を口にした。

「クソッ、ボヤボヤしていないでとっとと行くぞ!」

「――――――それを私達が許すとお思いですか?」

そしてアッシュがアリサ達に先を急ぐように促したその時、リアンヌが静かな表情で指摘した。

 

「エリンの郷でのお前達への宣言を実行するという意味もあるが、リィンの友人として友人が目指し続けている”道”に必要な手柄の邪魔はさせん!」

「そして同時にメンフィル帝国軍の軍人として、我が軍の犠牲を可能な限り抑える事ができる”軍事作戦”の邪魔をすることは見逃せないわ。」

「ついでにリィンの友人として、”戦争をどちらの犠牲も出さずに終結させるみたいな考え”は所詮は”本物の命の奪い合いの戦いを経験した事のない甘ったれな考え”で、お前達の考えは”間違った考え――――――現実的ではない考え”で、リィンの考えが”正しい考え――――――現実的な考え”である事を教えてやるよ!」

「ぬかせ……ッ!」

「例えそれがエレボニアの為であっても、学院長の――――――”私達トールズの身内が犠牲になるやり方”を黙って受け入れる訳がないでしょう!?」

「何としても押し通る……ッ!」

それぞれ決意の表情を浮かべて宣言したディミトリ、エーデルガルト、クロードに対してユーシス、アリサ、ガイウスもそれぞれ決意の表情で答えた。

 

「僕達”騎士団”の事も忘れてもらっては困る!」

「ええ……!Ⅶ組の好敵手として……そしてトールズの”意地”を示す為にも、貴方達を超えさせてもらいますわ!」

ユーシス達に続くようにパトリックとフェリスがそれぞれ決意の表情で答えたその時

「フフ、意気込みがいいのは認めるけど、君達の相手は”彼ら”だよ。」

意味ありげな笑みを浮かべたシズナが片手を軽く挙げると、突如パトリック達”騎士団”の面々の周囲に煙が発生した後煙が消えると”斑鳩”の”忍び”達が包囲するように現れた!

「おおっ!?な、何だね、君達は……!?」

「誰であろうとヴィンセント様をやらせはしないわよぉ!!」

「い、一体何者だ!?俺達もそうだが、教官達の誰も一切の気配を感じられず、包囲されていたなんて……!?」

「”斑鳩”の副長であるシズナ様の呼びかけによって姿を現したという事は彼らは……!」

「SSS級猟兵団――――――”斑鳩”の猟兵達ですか……!」

斑鳩の忍び達の登場にヴィンセントは驚き、マルガリータはヴィンセントを庇うように前に出て忍び達を睨み、ロギンスは信じられない表情で声を上げ、セレスタンとサリファはそれぞれ警戒の表情で忍び達を睨んだ。

 

「みんな……!?」

「クソッ、一体どういう事だ……!?俺達も今の今まで全く気配を感じ取れなかったぞ!?」

「そ、それも気になりますが、あの構えはまさか……!?」

「その様子だと姉弟子(仮)は気づいたようだね。――――――お察しの通り、彼らが修めている剣術は私と同じ流派にして”八葉”とも関わりがある”黒神一刀流”さ。」

忍び達に包囲されたパトリック達を見たトワは心配そうな表情で声を上げ、アガットは厳しい表情で声を上げ、忍び達の戦闘の構えを見て何かに気づいて信じられない表情で声を上げたアネラスの様子を見たシズナは説明をした。

「!!」

「ちょっと待て!つー事は、あの連中は全員アンタみたいに”八葉一刀流”に似た剣術を扱えるって事かよ!?」

「”隠密”でありながら”八葉”と関わりがある剣術の使い手という事は、シズナ様のような戦闘に特化している純粋な剣士――――――”斑鳩”の”侍”達はどれほどの使い手なのでしょうね……」

「どの猟兵達も”星座”や”西風”の一般猟兵達と互角かそれ以上の使い手もいるね。」

「”SSS級猟兵団”の名は伊達ではないという事か………!」

「ちょっ、全員リィンの”八葉一刀流”に似た剣術の使い手とか、嘘だろ!?」

「確かに相当厄介な相手のようだけど、オルディスでやりあった”神速”よりは劣るのだから臆する必要はないわ!一人ずつ確実に制圧していくわよ!」

「ええ……!みんなでの連携を決して絶やさず、協力してフィーちゃん達の道を咲かせる花を咲かせましょう……!」

シズナの説明を聞いたアネラスは目を見開き、クロウは表情を引き攣らせて声を上げ、シャロンは真剣な表情で呟き、警戒の表情で忍び達を睨むフィーの分析を聞いたラウラは厳しい表情で呟き、表情を引き攣らせて声を上げたアランの言葉を聞いたフリーデルとエーデルは真剣な表情で仲間達に喝を入れた。

 

「まあ、彼らの実力は”鉄機隊の筆頭”である彼女より劣る事は否定しないけど、SSS級猟兵団の猟兵達を舐めない方が君達の身の為だよ。」

「フフ、SSS級猟兵団の猟兵達を前にしても臆さないとはさすがは名高き”Ⅶ組”の好敵手ですね。ですが貴方達”騎士団”の方々のお相手は”斑鳩”の”忍び”の方々だけではありませんよ?」

「何ですって……!?」

「!気をつけろ!まだ潜んでいるぞ!?」

二人の喝を聞いたシズナは意味ありげな笑みを浮かべて忠告し、静かな笑みを浮かべて答えたチョウの言葉を聞いたエレインは血相を変えて声を上げ、ある気配を察したジンが厳しい表情で声を上げたその時チョウは指を鳴らした。すると漆黒の拳法着を身に纏い、顔は仮面で隠している二人の男――――――”黒月”の”凶手”達も忍び達のようにパトリック達を挟み込むように音もなく突如現れた!

「………噂の”裏”の使い手か。”星座”や”結社”との合同によるクロスベルの襲撃時すら温存していた虎の子を繰り出すとは幾ら何でも大人げなさ過ぎねぇか?」

凶手達を見回したヴァンは真剣な表情で呟いた後呆れた表情でチョウに指摘し

「ハハ、さすがはヴァンさん。よくご存じで。実はあの時ギエン様は”西ゼムリア通商会議”での件を利用して”黒月”を追放した”六銃士”の策略の件での”報復”もそうですがツァオとラウの”敵討ち”として放つ事も考えていたとの事ですが、”六銃士”はメンフィル帝国と裏で組んでいる可能性も十分に考えられましたから、思い止まられたのですよ。――――――結果的にはその判断は功を奏したようですがね。」

「じょ、情報局の情報以上にとんでもないんですけど……」

「くっ……守護騎士や黒月、”槍の聖女”の加勢といい、”月の霊場”でのリィンの予告を完全に無視しているじゃない!?」

ヴァンの指摘に対してチョウは感心した後苦笑しながら答え、ミリアムは表情を引き攣らせて凶手達を見つめ、サラは厳しい表情で唇を噛み締めて指摘した。

 

「やれやれ、元猟兵なのに何を寝ぼけた事を言っているのかな?”戦争なんだから状況によって予定が変わるのは当然”だし、そもそもさっきも言ったように彼らまでこの”大戦の戦場”に同行させる可能性は半々だったから、彼らが君達と共に現れなければ私達も君達の足止めの為に忍び達を投入しなかったよ。――――――ああ、ちなみに”スポンサー”の意向の関係で彼らの相手をする忍び達には連合のヴァイスラント新生軍に対する”義理”のように”紅き翼”の関係者である彼らを殺さないかつ四肢の欠損等と言った今後の生活に影響を及ぼす程の重傷を負わすなと命令してあるから、その点は安心してもらって構わないかな。」

「勿論、凶手達にもその点は言い含めてあるのでご安心ください。――――――むしろ、そちらにとっては貴重な”社会勉強”になるかと。」

「ハッ、確かに最高ランクの猟兵団の猟兵達に黒月の虎の子相手に殺されず、重傷も負わずに連中の実力を体験できるなんてある意味”社会勉強”だな。」

「野郎……!舐めた真似を……!」

サラの指摘に対して肩をすくめて呆れた表情で答えたシズナは笑顔で答え、チョウもシズナに続くように笑顔で答え、二人の言葉を聞いたセリスは鼻を鳴らして皮肉を口にし、それらを聞いたアッシュは怒りの表情でシズナ達を睨んだ。

「――――――そうだ。君達”紅き翼”が”更にやる気を出す事ができる人物を偶然見つけたから、その人物を君達に返してあげるよ。”」

「ぼ、”僕達が更にやる気を出す事ができる人物を僕達に返す”……ですか?」

「!あ、あんた達(ら)……まさか紅き翼(あたしたち)の身内の誰かを拉致したの!?」

ある事を思い出して意味ありげな笑みを浮かべて答えたシズナの答えが気になったセドリックが困惑している中、察しがついたサラは怒りの表情でシズナを睨んだ。するとシズナが再び片手を軽く挙げると”ある人物を抱えた”新たな忍びが現れ、現れた忍びは抱えていたある人物―――――”半殺し”の状態のエレボニア帝国軍の軍服を身に纏ったヒューゴを忍び達や凶手達に包囲されているパトリック達の前に放り捨て、それを見たアリサ達やパトリック達はそれぞれ血相を変えた。

 

「ぅ………ぁ………」

「クライスト!?」

「何て酷い怪我……!」

「彼の怪我は君達によるものか!?」

放り捨てられたヒューゴは呻き声をあげ、それを見たヒューゴの担任でもあるマカロフ教官は真剣な表情で声を上げ、メアリー教官は至る所にある痣や切り傷を負ったヒューゴを見て悲痛そうな表情を浮かべ、ランベルトは怒りの表情でシズナを睨んだ。

「確かに私達”斑鳩”の猟兵達が彼を”半殺し”にした事は認めるけど、それは”エレボニア帝国軍の一員として、この戦場に出て来た彼自身の自業自得”でもあるんだよ?」

「ヒュ、ヒューゴが”エレボニア帝国軍の一員として、この戦場に出て来た”ってどういう事だ!?」

「!おい、ヒューゴが着ている服をよく見てみろ……!」

「あ、あの軍服は帝国正規軍の……!」

「多分ヒューゴ君は”クライスト商会”を守る為に帝国政府への協力に加えて”国家総動員法”による帝国正規軍への軍属を強要……ううん、ひょっとしたらヒューゴ君自身が軍属を申し出て今回の”大戦”に参加したのかもしれないね……」

やれやれと言った様子で肩をすくめて呆れた表情で答えたシズナの説明の意味が理解できないマキアスが反論したその時ヒューゴを見てある事に気づいたクロウは声を上げ、ヒューゴが来ている服がエレボニア帝国軍の軍服である事に気づいたエリオットは信じられない表情で声を上げ、トワは複雑そうな表情で推測した。

「ハーシェルさんの推測はどちらであろうとも当たっているでしょうね。カシウス中将の策――――――火計とシェラ元帥達機甲軍団による砲撃から生き残り、更にヴァンダイク元帥率いる特攻隊の守備部隊を率いる将校の一人の担当になった事で”偶然リィン達の突撃を支援していた私達によって発見され、斑鳩の猟兵達による制圧後貴方達の元へと返された彼は本当に運がよかったですわね。”」

「う、”運が良かった”って……!本気で言っているんですか……!?」

「貴女達なら、わざわざ最高ランクの猟兵達に制圧させなくても貴女達の実力だけで、クライスト君にここまでの傷を負わさずに制圧できたんじゃないんですか……!?」

微笑みながら答えたセシリアの答えを聞いたエミリーとテレジアは怒りの表情で反論した。

 

「ハア?何を寝ぼけた事を言っているんですか?何で私達が”敵兵”の為にそんな面倒な事をしてあげないといけないんですか。」

「あたし達はリィン達の突撃の支援で忙しかったってのもあるけど、”Ⅶ組”と違ってリィン達との関係も薄い人の為にそんな手間暇をかけろなんて、幾ら何でも図々しすぎるよ。」

「それに彼はエレボニア帝国軍の一員としてこの”大戦”に従軍しているのだから、当然”自身の戦死のリスク”も理解して従軍していたはずだよ。」

「そんな彼をセシリア将軍の心遣いによって、”生きた状態で貴方達の元へと返された”にも関わらず、そのような厚かましい事を言うなんて呆れるにも程がありますね。」

「”半殺し”は”俺達連合との戦争に勝つという愚かな考えでこの大戦に参加した代償”のようなものだ。――――――今も討たれ続け、敗戦すれば”捕虜”にされてしまうエレボニア帝国軍と比べれば、お前達の下で保護されることになるその男はよほど運がいい方だ。」

二人の反論を聞いたリシテアは呆れた表情で、アメリアとフランツ、イングリットはそれぞれ厳しい表情で反論し、ドゥドゥーは静かな表情で指摘した。

 

「セ、”セシリア将軍の心遣いによって私達の元へと返された”って事は……!」

「あんたが斑鳩の連中にヒューゴを”半殺し”にするように指示したのね!?」

リシテア達の話を聞いてある事に気づいたアリサは信じられない表情でセシリアを見つめ、サラは怒りの表情でセシリアに問いかけた。

「ええ。――――――これで、彼も連合との戦争に勝利しようとしているエレボニア帝国軍に協力する事がいかに愚かであるかを”身をもって思い知った”でしょうから、彼自身を蝕んでいた可能性もある”呪い”も解けていると思いますわよ。――――――さてと。それでは始めて下さい、ミスルギ殿、リー殿。」

「了解。――――――我ら斑鳩の力の一端、彼らにも教えてあげるといい。――――――殺さず、重傷を負わさない程度にね。」

「了解しました。――――――貴方方も”黒月”の恐ろしさの一端を彼らの身をもって教えて差し上げて下さい。――――――ただし、先程も言ったように殺さず、重傷を負わさない事は徹底してください。」

「ハッ!!」

「来るぞ……ッ!」

「”騎士団”、戦闘開始!何としても切り抜けてトワ達の加勢をするわよ!」

「おおっ!!」

サラの問いかけに答えたセシリアはシズナとチョウに視線を向け、視線を向けられた二人はそれぞれ頷いた後忍び達と凶手達にそれぞれ指示をし、指示をされた忍び達や凶手達が襲い掛かってくるのを見たパトリックは声を上げ、フリーデルは号令をかけて騎士団の面々と共に戦闘を開始した。

 

「―――――さてと、あたし達はあたし達で始めましょうか、副長。」

「今までの話を聞いてもやはり退くつもりはありませんか、セリス……!」

パトリック達が戦闘を開始するとセリスはトマスとロジーヌと対峙し、セリスと対峙したトマスは真剣な表情でセリスに話しかけた。

「ええ。メンフィルの思惑とやらには思う所はあるし、幾ら世界を”終焉”させようとしているエレボニアの総大将であろうとも学院潜入時代に世話になった件で助けようとしている副長達の気持ちも理解してはいますが、七耀教会(アルテリア)は既に鉄血宰相もそうですがエレボニア帝国軍の総大将も”外法認定”しました。”外法認定”されている以上、どの道エレボニアの総大将は”終わり”ですよ。」

「そ、そんな……!?オズボーン宰相は理解できますが、どうして学院長まで”外法認定”を……!?」

「恐らくは政府と軍、それぞれの最高責任者を”外法認定”する事で、”エレボニア帝国軍を完全な賊軍に仕立て上げて、ヴァイスラント新生軍が正義である事”にして、戦後それを理由にしてヴァイスラント新生軍と交渉し、戦後のエレボニアの政治への教会の影響力を強める為でしょうね。オズボーン宰相が”宰相”に就任後、エレボニア帝国政府にあった教会の影響力は完全に排除されてしまいましたし……」

セリスの口から語られた驚愕の事実を知ったロジーヌは信じられない表情で疑問を口にし、その疑問をトマスは苦々しい表情で自身の推測で答えた。

「ま、そんな所でしょうね。――――――副長は連合関連の戦いで聖痕(スティグマ)の発動を禁じられているのは知っていますから、あたしも聖痕(スティグマ)は使いませんよ。だからといって、それで守護騎士(あたし)の相手が難なくできると舐めないでくださいよ!――――――ロジーヌ!副長の”従騎士”なら、例え相手が守護騎士(あたし)であろうと副長を護りきれよっ!!」

「……ッ!はい……!ライサンダー卿の”従騎士”として……そしてトールズの生徒として、貴女に挑ませて頂きます、オルテシア卿……!」

「例え聖痕(スティグマ)を使えたとしても、貴女を簡単に制圧できるなんて考えた事もありませんよ、セリス。――――――今はトールズの教官として、貴女を超えさせてもらいます……!」

トマスの推測に呆れた表情で同意したセリスは自身の得物を構えてロジーヌに喝を入れ、セリスの喝に対して答えたロジーヌはトマスと共に決意の表情を浮かべてセリスとの戦闘を開始した。

 

「フフ、それでは我々も”我々の担当”の相手をしましょうか、ヴァンさん。」

「へいへい………――――――察しがよくて、優秀なお前の事だからもう気づいているだろうが、お前の相手は俺だぜ、エレイン。」

チョウに話しかけられたヴァンは答えた後エレインと対峙して格闘技の構えをし

「!その構えは………――――――”崑崙流”か……!」

「ハッ、さすがに”泰斗流”の達人のアンタにはわかるか。――――――ま、俺は他の”弟子”連中の中でも落ちこぼれの不肖の弟子だが、準遊撃士――――――それも最初から手の内がわかっている幼馴染の相手くらいはできるぜ。」

ヴァンの格闘技の構えを見てすぐにヴァンの体術の流派を悟ったジンは真剣な表情で声を上げ、ジンの様子にヴァンは鼻を鳴らして答えた後皮肉気な笑みを浮かべてエレインを見つめ

「そしてそんなお二人の3年ぶりの邂逅の邪魔をさせない為にも、”不動”殿の相手は僭越ながらこの私が担当する事になったという訳です。――――――フフ、我が従兄から継いだ”白蘭竜”の名を示す為にも、お相手願いましょうか?」

「やれやれ……お相手願うも何も、断った所で無駄だろうが……”二代目白蘭竜”としての初の手柄の相手として俺を選んだのだろうが……俺の”泰斗”をそう簡単に超えられるとは思わない事だな……!」

ヴァンに続くように答えたチョウはジンと対峙し、チョウと対峙したジンは溜息を吐いた後全身に闘気を纏ってチョウを睨み

「ハハ、元よりそんな愚かな考えはしていませんよ。――――――では、私の”月華流”、存分に振るわせて頂きましょう……!」

睨まれたチョウは呑気な様子で笑った後ジンとの戦闘を開始した。

「……殲滅天使の思惑に乗る形になるのは正直、複雑だけど………――――――貴方を悪の道から更生させる為にも、誰の手も借りずに私の手だけで貴方を叩き潰すわ、ヴァン!この3年で成長したのは貴方だけじゃない事をその身をもって思い知りなさい!!」

「ったく、酷い言われようだぜ………ま、3年前の”詫び”の意味も込めて、お前の気が済むまで相手してやるよ、エレ公!!」

一方エレインは静かな表情で呟いた後ヴァンを睨んで剣を構えて声を上げてヴァンに襲い掛かり、対するヴァンは苦笑した後真剣な表情を浮かべて声を上げて襲い掛かって来たエレインの迎撃を開始した。

 

「フフ、それぞれ始めたようだし、そろそろ私達も始めようじゃないかな。」

「テメェ……たった一人で俺達を相手にしようなんて、随分と舐めてくれるじゃねぇか……!」

アルゼイド子爵達と対峙したシズナは意味ありげな笑みを浮かべてアルゼイド子爵達を見つめ、アガットは厳しい表情でシズナを睨んで指摘した。

「別に舐めている訳じゃないよ?”エレボニア最高の剣士”と称えられ、ユン老師(せんせい)とも引き分けた”光の剣匠”に3年前の”リベールの異変”解決に貢献したA級正遊撃士、そして”執行者”と姉弟子(仮)を纏めて相手にできるなんて滅多にない機会だから、弟弟子から私の担当の相手を聞いた時からずっと楽しみにしていたんだよ?」

「た、”楽しみにしていた”って……」

「どうやらシズナ様は”痩せ狼”や”劫焔”と同じ”戦闘凶”の方のようですわね……」

笑顔でとんでもない事を口にしたシズナの答えにアネラスは信じられない表情を浮かべ、シャロンは警戒の表情でシズナを見つめて呟いた。

「……なるほど。ユン殿は其方の奥底に秘められている”修羅”にも気づいていた為、”八葉の裏”を其方に託したのか。」

「フフ、私もそう考えているよ。――――――だからこそ、老師(せんせい)は弟弟子(リィン)を”八葉の真の継承者”に選んだと思っているかな。」

「リ、リィン君が”八葉の真の継承者”って一体どういう事……!?それにⅦ組のみんなから貴女の話を聞いた時からずっと気になっていたけど、どうして貴女は私の事を姉弟子(仮)って呼ぶの……!?」

静かな表情で呟いたアルゼイド子爵の推測に同意した後答えたシズナの話に驚いたアネラスは戸惑いの表情でシズナに訊ねた。

「だって君は私やリィン達と違って、”老師(せんせい)の正式な直弟子じゃない”だろう?だけど、老師の孫娘だから老師から”八葉”の型や技と言った技術的な面は学んだらしいじゃないか。だから、”老師の中途半端な直弟子”である君の事は姉弟子(仮)と呼んでいるのさ。」

「……ッ!確かに私はお祖父ちゃんから正式に”直弟子”として認められていないけど、私がお祖父ちゃんから学んだ”八葉一刀流”は決して中途半端な剣じゃないよ……!」

シズナの指摘に辛そうな表情で唇を噛み締めたアネラスは真剣な表情でシズナを睨んで自身の得物である刀を構えた。

「そこまで言うからには(仮)が取れる実力くらいは示して欲しいかな!黒神一刀流零の型、奥義皆伝―――――シズナ・レム・ミスルギ……推して参る!!」

「――――”アルゼイド流”筆頭伝承者、ヴィクター・S・アルゼイド。この剣にて我が祖国エレボニアの”第三の風”たる殿下達の道を切り拓く……!!」

「八葉一刀流奥伝、アネラス・エルフィード。推して参るよ……!!」

「ハッ、俺の”重剣”、とくと思い知りやがれ!!」

「―――主に仕える事を史上の喜びとする我が”同志”にして”友”達よ!今、ここに来たれっ!”エウシュリー”!!こんな愚かなわたくしを許してくださったお嬢様達とリィン様への”愛”の為にも、一切の加減は致しませんわ……!」

そしてシャロンがエウシュリーちゃんを召喚すると、エウシュリーちゃんを加えたアルゼイド子爵達はシズナとの戦闘を開始した。

 

「――――皇太子殿下達の”協力者”の方々はそれぞれ始められました。後は皇太子殿下達です。」

「”騎神”達を呼ぶなら私達の事は気にせず、心置きなく呼ぶといいでしょう。”騎神”達に乗り込む前の貴方達を攻撃して制圧するといった卑劣な真似は致しません。」

それぞれの状況を確認したオリエは静かな表情で呟き、リアンヌはクロウとセドリックを見つめて宣言し

「ハッ、そりゃどうも!――――――誰が俺と皇太子殿下と共に”槍の聖女”達の相手をする!?」

「俺は当然加勢するに決まっているだろうが!」

「私やフィー君達も加勢したい所だが……黒獅子の学級(かれら)の相手もしなければならないから、私達は止めておくよ。」

「わかった!来い、蒼の騎神オルディーネ!!」

「出でよ、紅の騎神テスタロッサ!!」

リアンヌの宣言を聞いたクロウはアッシュとアンゼリカの答えを聞いた後セドリックと共にそれぞれの騎神を呼んだ。するとオルディーネとテスタロッサはそれぞれ”転位”でヘクトルと共に現れ、クロウ、セドリック、アッシュはそれぞれの機体に乗り込んだでリアンヌが駆る銀の騎神アルグレオンとオリエが駆るシュピーゲルと対峙した。

 

「……フフ、さすがはエステル殿達。”相克”対策は完璧と言っても過言ではありませんね。」

「そ、そういえば……”大戦”――――――周囲に凄まじい”闘争”が起こっているにも関わらず、”相克”は発生していませんよね……?」

「ハッ、これでお互い消える心配は無いから存分にやり合えるって訳か……!」

「二対三か……先に双剣使いのシュピーゲルを潰して、”槍の聖女”をフクロにできりゃ、オレ達にも勝機はあるぜ……!」

静かな笑みを浮かべて呟いたリアンヌの言葉を聞いたセドリックはある事に気づき、クロウは鼻を鳴らした後不敵な笑みを浮かべ、アッシュはセドリックとクロウに作戦を伝えた。

「騎神でない私の機体の制圧を最優先にし、制圧後銀の騎神に集中攻撃する……戦略としては悪くありませんが、”ヴァンダール流双剣術”の”皆伝者”である私を甘くみて頂いては困ります。”双剣のヴァンダール”の真髄、とくとお見せ致しましょう。」

アッシュの作戦を聞いたオリエは静かな表情で呟いた後全身に闘気を纏って答え

「今回は今までのように”準起動者”達の支援は得られないでしょう。――――――だからといって、手を抜くつもりは一切ありません。”自身の運命”を受け入れた貴方方の恩師の運命を変えたいのならば、持てる力を全て振り絞りつつ諍うといいでしょう!!」

リアンヌはクロウ達に宣言をした後クロウ達との戦闘を開始した。

 

「――――――さてと。後は貴方方のようですが……今までの話を聞いてもなお、リィン達の邪魔をするつもりですか?貴方方の目的である”エレボニアの存続”が叶う事は”確実”なのですし、ヴァンダイク元帥も”既にこの大戦での敗戦を悟り、自身の死によって今もなお戦い続けているエレボニアの兵達の心を折る為にリィン達との決戦に挑んでいる”と理解しているにも関わらず、リィン達や我々どころかヴァンダイク元帥の目論見も潰すつもりなのですか?」

「当然潰すに決まっているでしょう!?あんた達のふざけた思惑もそうだけど、学院長の早まった真似をあたし達が”はいそうですか”と受け入れる訳がないでしょう!?」

「例え学院長の意志に反してでも、私達は学院長を救います……!」

「”身内は例外なく全て救う”……それがオレ達”紅き翼”が今まで介入してきた”大儀”でもあるのだから、今更それを反故にするような事はできない……!」

「それに何よりも今までお世話になった学院長がトールズの生徒の一人であるリィンに討たれるなんて悲しい結末を私達が黙って見ている訳にはいかないでしょう……!?」

「俺達に学院長の事を託したオリヴァルト殿下の為にも……!」

「そして心の奥底では学院長を討ちたくないと思いながらも僕達やエレボニアの為に戦っているリィン達の為にも……!」

「僕達は絶対に退かないぞ……!」

セシリアの問いかけに対してサラは怒りの表情で答え、エマ、ガイウス、アリサ、ユーシス、エリオット、マキアスはそれぞれ決意の表情で答え

「―――――だったら貴方たちのその往生業の悪さ、ここで打ち砕くまでよ。」

「今こそ思い知らせてやろう――――――俺達黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)の絆と力を。」

「お前達は仮にも内戦を含めて今までの戦いを生き抜いてきたんだ……せめて、肝心な戦いは全てリィンとセレーネ任せだったという汚名を返上するくらいの力は見せろよ……!」

「上等……!」

「そっちこそ、Ⅶ組(ぼくたち)の絆と力、思い知れ~!」

「ついでにロゼや同族達をアンタ達メンフィルの思惑に巻き込んだ恨みも晴らさせてもらうわよ……!」

「我らの全身全霊を持って、其方達を超える……!」

エマ達の決意に対してエーデルガルト、ディミトリ、クロードはそれぞれの武装をアリサ達に向けて宣言し、エーデルガルト達の宣言に対してフィーとミリアム、セリーヌ、ラウラはそれぞれ真剣な表情で答えた。

「エニグマリンクオン!みんな!連携を決して絶やさず、一人ずつ確実に制圧して、リィン君達と学院長達の所へと辿り着く”道”を切り拓くよ……!」

「最初から最後までフルスロットルで行くよ、みんな!!」

「おおっ!!」

そしてトワとアンゼリカの号令にアリサ達は力強く答え

「―――――Ⅶ組の迎撃を開始しなさい、黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)!貴方達が今まで培ってきた経験、彼らに教えてあげなさい!」

「イエス・マム!!」

対するセシリアもエーデルガルト達黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)の面々に号令をかけ、セシリアの号令に力強く答えたエーデルガルト達はアリサ達との戦闘を開始した――――――!

 

 

次回は戦闘シーンなのでいつもより遅いかもしれません。それと戦闘シーンはⅦ組VS黒獅子の学級だけで、リアンヌ達やシズナ達の戦いはカットする予定です。また、恐らく次回でハーケン会戦篇は完結すると思います。なお、シズナの合図によって斑鳩の猟兵達が登場した時からのBGMは黎の”Get Rid of the Urgent Menace”、Ⅶ組VS黒獅子の学級戦のBGMは閃1の”全てを賭して今、ここに立つ”かファイアーエムブレム風花雪月の”鷲獅子たちの蒼穹”のどちらかだと思って下さい♪


 
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